売買契約書は必要か?
なお、個別売買契約の締結に関しては、フォーマルな「契約書」という形を取らず、買手からの注文書(Purchase Order)の送付とそれに対する売手の注文請書(Sales Confirmation)の返送で成立とするケースも多くなっています。
個別契約に記載される内容は通常、商品の品名・品番、価格、数量、出荷時期、仕向地(到着地)、代金決済方法、保険の付保などについてです。 また、基本契約と異なる条件での発注を希望する場合は、その旨も明記します。
海外取引の実施にあたり、契約書は必要でしょうか?海外取引において契約書の締結は必ずしも必要とはされてはいませんが、取引を守るという点からも、非常に重要です。
- 小型の契約なら初回PIでいく、継続的な取引ができそうなら正式な契約書を結ぶ
- 大型契約ならしっかりと契約書を結ぶという
貿易取引において、売買契約書は非常に重要なもので、記載された内容も全て大切な内容ばかりです。今回は、記載事項に書かれている内容について詳しく解説します。
売買契約は“書面”で交わされる
貿易取引における売買契約は、通常“取引条件を記載した書面”によって輸出者(売主)と輸入者(買主)の間で交わされます。
契約書は双方の合意内容をもとに作成されますが、書式には決まりがありません。例えば、輸入者の注文書(Purchase Order)、輸出者の注文請書(Order Acknowledgement)や販売契約書(Sales Contract)などの契約書で交わされるケースがあれば、基本契約書と注文書(または販売契約書)の2つの契約書*を用意するケースもあるなど、さまざまなケースが見られます。
* 代理店契約、販売店契約などの継続的取引では、取り決め事項をすべて文書にした基本的な売買取引契約書を交わし、さらに受発注については、基本契約書にもとづいた簡易な契約書(注文書/注文請書)で行うのが一般的です。
ただ、いずれの場合も、双方が署名しなければ売買契約書にはなりません。もしどちらか一方の署名しかなければ、注文書は注文書のままですし、注文請書なら注文請書のままになりますので、その点はご注意ください。
貿易実務の現場では、双方ともに安心感があるなどの理由で継続的な取引を行っている際、一方だけのサインで取引が行われることがあります。
しかし万一のために、自分たちが作成した書類には相手に署名(サインバック)してもらい、相手の書類で進める場合には、書類の内容を確認し、署名をしたあと返送するようにしましょう。
※関連記事:「貿易取引における『代理店契約』『販売店契約』のこと」
売買契約書に表面に記載される「タイプ条項」
では、売買契約書(注文書/注文請書/販売契約書)の表面に記載される内容、取引条件について見ていきましょう。
- 一般的な売買契約書の記載事項
- ① 契約書番号(No.)
- ② 日付(Date)
- ③ 商品名および品質(Commodity & Quality)
- ④ 数量(Quantity)
- ⑤ 単価(Unit Price)
- ⑥ 総額(Amount)
- ⑦ インコタームズ(Incoterms)
- ⑧ 船積港(Port of Shipment)
- ⑨ 揚港(Port of Destination) *必要に応じて最終仕向地(Final Destination)
- ⑩ 船積時期、または納期(Time of Shipment または Delivery Time)
- ⑪ 梱包、荷印(Packing、Shipping Mark)
- ⑫ 支払条件(Payment Terms)
- ⑬ 保険(Insurance)
- ⑭ その他特別条件(Special Terms and Conditions)
記載事項はすべて大切な内容ですが、取引条件で決めなければいけないのは、「インコタームズ」と「支払条件(どのようなやり方、どのタイミングで支払うのか)」です。
また、インコタームズをCIPやDATなど(海上貨物)保険込みの契約を交わすときには、保険の種類も記載しておく必要があります。
さらに、商品の種類によっては、品質条件、数量条件、貨物の受渡し条件などの条件を、⑭や備考欄に記載する必要があります。
ちなみに、ここで挙げた記載条項は売買契約の主要項目であり、「タイプ条項」と言われます(正確な語源はわかりませんが、取引ごとに取り決めた取引条件や内容を“タイプ打ち”することから、タイプ条項と呼ぶのでしょう)。
売買契約書の裏面に記載される「印刷条項」
ここまでご紹介した記載事項だけでも売買契約は成立するのですが、売買契約書の裏面(もしくは2枚目)に記載事項についての注意事項や、取引条件の解釈など、どの取引でも共通して適用される条件が印刷されているケースがあります。
その内容は、どの取引でも共通する条件であることから「一般取引条件(General Terms and Condition)」と言われ、「印刷条項」とも呼ばれます。
- 「印刷条項(一般取引条件)」の主要記載事項
- ① 追加費用(政府などによる税金や輸送料アップの費用ついて)
- ② 支払条件(輸入者の支払不履行の対処について)
- ③ 船積条件(輸出者の船積時期の厳守や船積遅延の対処など)
- ④ 保険(保険金額「原則CIF110%」やPL保険について)
- ⑤ 保証(輸出者の責任、輸入者の権利など)
- ⑥ クレーム(免責事項について)
- ⑦ 特許、商標等(輸出者の商標や特許について)
- ⑧ 不可抗力(予測や制御のできない外的事由による契約不履行の免責)
- ⑨ 契約不履行(輸出者の契約不履行に対する輸入者の対抗手段)
- ⑩ 譲渡禁止(同意なき契約の権利、義務の譲渡禁止)
- ⑪ 権利不放棄(クレームや権利は文書承認がない限り放棄なし)
- ⑫ 仲裁(紛争が起こった場合の仲裁について)
- ⑬ 準拠法(インコタームズなど準拠する法律や規則について)
上記の「印刷条項」は、本来売買契約を結ぶ前に合意されるべきなのですが、実際にひとつひとつを取り上げていると契約交渉が長引いてしまうため、貿易取引の現場において話し合われることは多くありません。
そのため、先にご紹介した「タイプ条項」と矛盾がある場合には、「タイプ条項」が優先されます。
ただ「印刷条項」については、一般的に作成した側にとって有利に作成されているものなので、受け取る側は注意が必要です。しっかりと確認しておきましょう。
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売買契約書(Sale and Purchase Agreement)
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取引基本契約書とは
海外から商品を輸入する場合は取引基本契約書や売買契約書を作成する必要があります。取引基本契約書(Basic Sale and Purchase Agreement)は、売買の基本的事項について定める契約書ですが、取引基本契約書の他に個別の売買契約書を締結する場合や、取引基本契約書の他には、注文書(Purchase Order)と注文請書のみで取引を行う場合など取引の内容は様々です。従って、取引基本契約書の作成を行う場合においても、当該契約書がどの範囲までをカバーすることを想定しているのかを明確にしておく必要があります。
簡易な契約書
売買契約書の場合、とにかく売買を行うことが重要であるということで、最小限の取引事項のみを定めて取引をすることもあります。そのような場合の取決めとしては下記のような記載事項が考えられます。
Party: Party A and Party B (当事者Aと当事者B)
Date: March 31, 2019 (2019年3月31日)
Price: ● JPY (●円)
Delivery: ex works (工場渡し)
Payment: June 30, 2019, by cash(2019年6月30日現金支払)
Name of Products: (商品名)
Special Terms and Conditions: (特別条件)
特別条件としては、輸送用の荷造りや輸送費用の負担についての取決め、人の派遣やその費用負担、導入場所における商品の設置義務、技術者の派遣、品質保証、受け入れ検査等があります。上記のような簡易な形式の契約書であっても、売主、買主、売買の対象となる商品の種類・数量・品質、価格、代金の支払い方法、受渡期日など売買の基本条項が記載されていれば立派な契約書と言えます。大手の商社などでは、大型の売買であっても迅速な契約締結を図るために、簡易な形式の売買契約書をFAX等で交換し、取引を実行することもあります。一方でこれから長期にわたる契約関係を構築し、取引を拡大していきたいと考える場合には、ある程度きちんとした契約書の締結を希望される場合が多いと思われます。
取引基本契約書の契約条項
このような場合の売買取引基本契約書の条項としては例えば次のようなものが考えられます。
前文における当事者の特定
前文の中で、契約の当事者が誰であるかを明確にします。海外の場合、会社でも様々なタイプの会社がありますし、契約当事者が有限責任法人(LLC)であったり、パートナーシップであったりすることもありますので、当該法人の法律的な性格を明確にし、かつ誰が当事者かを明確にしておく意味があります。また、継続的取引を行う場合には、相手方の信用力にも関係しますし、裁判による強制執行の可否にも影響しますので、住所や設立準拠法などによって、当事者の確定をしっかり行っておく必要があります。
(例)
This Agreement made and entered into this day of , 2019 (“Effective Date”) by and between ●● Co., Inc., a corporation organized and existing under the laws of Japan with its principal place of business at ●●, Chiyoda-ku, Tokyo, 100-0000 Japan (“Seller”), and ●● Co., Ltd., a corporation organized and existing under the laws of California, USA with its principal place of business at ●●, California, USA (“Purchaser”)
(訳文)
本契約は、2019年__月__日(発効日)において〒100-0000日本国東京都千代田区●●に本店を有し、日本法に基づいて設立され存続する●●(「売主」)と、アメリカ合衆国カリフォルニア州●●に本店を有し、アメリカ合衆国カリフォルニア州の法律に基づいて設立され存続する●●(「買主」)との間で締結された。
Whereas条項
WHEREAS条項と言われるものです。売主がある商品の製造販売の意思を有していること、買主がその商品を購入する意思を有していることを簡潔に記載しておけば問題ありません。
WHEREAS, Seller is engaged in the business, among other things, of manufacturing and selling products as defined hereinafter; and
WHEREAS, Purchaser desires to purchase said products from Seller and to sell them to customers in USA; and
WHEREAS, Seller and Purchaser are willing to cooperate for the development, marketing, and distribution of the said products in USA;
NOW, THEREFORE, in consideration of the premises and mutual covenants and agreement hereinafter contained, the Parties hereby agree as follows:
売主は、以下に定義される商品の製造販売その他の営業を行っている。
買主は、売主から商品を購入し、アメリカ合衆国の顧客に対し、これらの商品を販売することを希望している。
売主と買主とは、アメリカ合衆国においてかかる商品の開発、マーケティング及び販売活動について協力することを希望している。
本契約に含まれる誓約、相互の約束、及び合意事項を約因として当事者は以下の通り合意する。
契約の目的
本契約書の適用対象を明確にします。特に対象となる商品や言葉の定義を明確にする趣旨から、当事者が取引の対象として意図している特定の商品について適用になるものであることを明確にしています。対象となる商品は、Whereas条項や定義規定の中に書くこともありますし、別紙(Attachment)を作成しその中で明確にすることもあります。基本取引契約書の場合、通常個別の契約書や、注文書などの記載が優先適用されることになりますので、基本契約書の記載と個別の契約書及び注文書の記載の優劣関係を明確にしています。
This Agreement shall be applied to the sale and purchase of ●, ● and those otherwise agreed upon in writing between the Parties (hereinafter referred to as the “Products”).
This Agreement shall govern the general terms and conditions of contract between the Parties; however, upon the consent of the Parties, the Parties may choose terms different from this Agreement, or agree not to apply certain terms of this Agreement to an individual sale and purchase agreement.
本契約は、●、●および当事者間で文書で合意されたその他の商品(以下「本商品」という)の売買に適用される。
本契約は、当事者間の契約に関する一般条項を定めるものである。但し、当事者間の合意により、本契約の条項と異なる条項を定めることができ、また、本契約のいくつかの条項について個別の売買契約に適用しないことを合意することができる。
個別契約との関係
The Parties may use individual purchase order provided for in Article 4 hereunder as a substitute of individual sale and purchase agreement.
In the event of any conflict between this Agreement and individual purchase order, the terms and conditions of individual purchase order shall take precedence over this Agreement, unless otherwise explicitly specified.
当事者は、個別の売買契約の代わりに下記第4条に定めた個別の注文書を使用することができる。
本契約の条項と個別の注文書との間に食い違いが生じた場合、別途明確に定められた場合を除き、個別の注文書の条項が本契約の条項に優先するものとする。
個別条件の合意
取引基本契約を定めた後においても様々な種類の商品が取引される可能性があり、契約当初の段階で全ての商品について明確に特定できないことが多いと思います。そこで取引基本契約書では、売買契約の基本的事項についてのみ定め、個々の売買の対象となる商品、品質、数量、価格、その他の取引条件については、個別契約の都度、注文書や個別契約書において定める形としています。
Each terms and conditions for the quantity, specification, conditions of sale and purchase, delivery and any other terms shall be agreed upon at each time in accordance with the provisions in Article 4.
各商品の数量、仕様、売買条件、受け渡し条件及びその他の条件については、第4条の規定に従い、その都度合意されるものとする。
注文と注文の承諾
Purchaser shall place a written purchase order by fax, e-mail or telephone stating the order numbers, model numbers, unit prices, total amount, and required date of shipment addressed to Seller’s international department.
Within days after the receipt of individual orders from Purchaser, Seller shall notify Purchaser whether Seller accepts the order or not by telephone, e-mail or fax. The Parties agree that each individual contract becomes effective on the day of the receipt by Purchaser of notification of acceptance issued by Seller.
Upon the delivery of the said Products, Seller shall deliver a copy of invoice to Purchaser specifying names of the Products, specifications, quantity, price, and shipping agent.
Upon the receipt of the said Products, Purchaser shall deliver to Seller a receipt of delivery of the Products.
買主は、売主の国際部門に宛てに、注文数、型番、単価、合計金額及び希望する輸出日を記載した書面により、FAX、Eメール又は電話によって買受の申し込みを行う。
買主から、個別の注文を受けた後、_日以内に、売主は買主に対して、FAX、Eメール又は電話により、かかる注文を引受けるかどうかを通知する。当事者は、売主が発行した承認通知を買主が受領した日において個別の契約が有効となることに合意する。
上記商品が納品された日において、売主は、商品名、仕様、数量、価格及び荷受人を記載した送り状を買主に交付する。
上記商品の受領と同時に、買主は、売主に対して、本商品の受領書を交付する。
輸出
海外との取引においては貿易条件について定めることが重要です。最近は海上輸送よりも航空輸送が多いことにも注意が必要になります。貿易条件については、インコタームズ(Incoterms)において基本的な用語の定義が定められております。インコタームズ(正式名称は、International Rules for the Interpretation of Trade Terms)は、輸出入取引に関する定型的な取引条件、費用負担、リスクの分配などについて国際商業会議所(International Chamber of Commerce)が策定した定義規定です。当事者がインコタームズによることを明示している場合や、そのように解釈される場合には、当該用語の意味はインコタームズにより判断されることになります。貿易取引において特に重要な用語は次の通りです。
・FOB:Free on Boardの略で、「欄干渡し」とも言われます。売主が、売買契約書で定められた船積み港で船積みを行うことで、売主の義務が果たされたことになります。輸送途中の運送賃、保険、通関費用などは買主の負担となります。また、FOBでは、売主の義務は船積みによって終了しますので、海上輸送途中の商品の滅失や盗難などのリスクは買主が負担することになります。
・CIFとは、Cost、Insurance、Freightの頭文字で、海上運送に関わるコスト、保険料、海上運賃については全て売主の負担となり、売主は船積書類(船荷証券、海上保険証券、商業送り状)を買主に提供して初めて義務を免れることになります。
・CFRは、C&Fとも言われ、売主は船積み港で荷物を積み込むまでの費用と海上運賃を負担し、それ以降の保険料と会場でのリスクについては買主が負担する契約です。
・EXWとは、工場渡しのことで、売主の施設や指定場所(工場、倉庫など)で商品を買主の処分に委ねた時点で売主の引渡義が完了します。売主は引き取り車両への積み込みや通関手続きなども行いません。売り主にとっては最も有利な条件となります。
In case of a C.I.F. contract, Seller shall, at its own expenses, arrange for ocean freight of the products from the port of shipment to the port of destination of the Products. Shipment within the time stipulated shall be subject to shipping space being available.
In case of a F.O.B. contract, Purchaser shall give shipping instructions and provide shipping space; otherwise Seller may dispose of the Products for the account and risk of Purchaser or extend this Agreement or terminate any or all portions of this Agreement without prejudice to Seller’s right to recover damages or loss resulting from such termination.
In case of shipment in installment, each shipment shall be regarded as a separate and independent agreement. Seller shall have the right to make partial shipment.
The date of the bill of lading shall be conclusive evidence of the date of the delivery.
C.I.F契約の場合、売主は、自己の費用により、本商品の輸出地から目的地までの海上輸送を手配する。定められた期間内に輸出することは、船の手配が可能であることを条件とする。
F.O.B契約の場合、買主は、輸送指示及び船の手配を自ら行う。かかる手配がなされない場合、売主は、買主の勘定及び危険負担のもとに本商品を処分し、又は契約解除によって発生する売主の損害賠償、又は損失を回復する権利を侵害することなく、本契約を延長し、又は本契約の全部又は一部を解除することができる。
分割輸送の場合、各輸出は、独立した別個の契約とみなされる。売主は、分割輸送を行う権利を有する。
船荷証券の日付は、輸出日の確定的証拠とする。
価格及び支払い
価格の支払に関する条項です。近時は貿易取引もより迅速に行われるようになってきていますので、決済も比較的短期になされる傾向にあります。また、国際的取引において相手方の信用力に不安がある場合には、前金を要求したり、LC取引を要求することもあります。代金の支払は1回払いだけでなく、商品の発送時に半額を支払い、受け入れ検査後30日以内に残りの金額を支払うなどの分割払い(Installment payment)の方法もあります。売主の側に立つ場合と、買主の側に立つ場合があると思われますので、それぞれの事情を勘案しながら、自己にとって都合のいい決済条件が何かを考えておくことが重要になります。代金の支払い条件として、D/P(Document against Payment)(代金の支払いがあって初めて船積み書類の引渡しが行われる場合)、D/A(Document against Acceptance)(手形の交付と同時に船積書類の引渡しが行われる場合)、L/C(信用状)を利用した決済がなされる場合、TT(代金の振り込み送金がなされる場合)など様々な方法があることは以前記載したとおりですので、どの決済方法が用いられるかを明確にしておく必要がありますし、決済方法の違いによって、代金不払いのリスクが大きく異なってきますので、慎重に判断する必要があります。
Payment for Products shall be made by Purchaser in US Dollars by means of telegraphic transfer (T/T) remittance to the bank account designated by Seller from time to time no later than one hundred fifty (150) days after the receipt by Purchase of Seller’s invoice.
Unless otherwise agreed between the Parties, invoices will be issued and mailed by Seller to Purchaser upon the delivery of the Products at the place of delivery set forth in this Agreement.
In the event the full amount of any invoice issued by Seller under this Agreement is not paid by Purchaser when due, any unpaid amount shall bear interest from the due date until paid, at an interest rate of fourteen (14) per cent per year or the maximum interest rate permitted by usury law of Purchaser’s country, if any, whichever is lower, on the basis of 360 days.
本商品の支払いは、売主の送り状を買主が受領してから150日以内に、米ドルにより、その都度売主が指定した銀行口座宛に電信送金の方法で行われる。
当事者間で別途合意がない限り、本契約で規定する引渡し場所で本商品の引渡しがなされ次第、売主から買主に対して送り状が発行され、送付されるものとする。万一、買主が、売主の発行した送り状の全額を期日に支払うことができない場合には、買主は、支払日から支払われる日までの期間について年360日のベースで年率14パーセント又は買主の国の利息制限法で認められる最高利率のいずれか低い利率により、遅延利息を支払うものとする。
検査
受け入れ検査をいつまでにどのように行うか、瑕疵修補や損害賠償請求、代金減額請求などをいつまでに、どのように行うことができるかを定めておく必要があります。国際間の売買契約においては、受け入れ検査の方法や瑕疵修補のクレームを請求することができる期間がいつまでかは、よく係争となる事項ですので、それぞれの取引条件に応じてその内容を明確にしておく必要があります。
Purchaser shall inspect the appearance, model number, quality and quantity of the Products purchased from Seller within [ ( )] days after the delivery of Products, and if Purchaser discovers any patent defects, incorrect model numbers, or any deficiency in quality or quantity, it shall immediately give notice thereof to Seller; otherwise Purchaser shall have no right to demand a remedy for any deficiency, replacement of defective Products, refund of purchase amounts, or a reduction in the price. Seller shall, free of charge, remedy the deficiency if so admitted by Seller and shall replace such defective Products, refund the purchase amounts, or reduce the purchase price of such Products, as the case may be.
買主は、本商品の交付を受けた日から、_日以内に、買主から購入した商品の外観、型番、品質及び数量の検査を行う。買主が、特許侵害、型番違い、又は数量及び品質の不足を発見した場合、買主は、直ちに売主に通知するものとする。買主が売主への通知を怠った場合、買主は、不足の補填、欠陥商品の取替え、購入価格の返還、又は価格の減額を請求する権利を有しない。売主自ら欠陥を認めた場合は、売主は、無償で欠陥の修正を行い、かかる欠陥商品を取替え、購入価格を返還し、又は場合に応じて本商品の購入価格を減額する。
所有権の移転、危険負担
所有権の移転時期を明確にしておきます。危険負担や運送賃の負担については、上記のインコタームズの条項にも関係してきます。また、貿易条件をどのようにするかを定めることで、各当事者のリスクが明確になってきますので、そのリスクを回避するための保険に関する条項も検討する必要があるかもしれません。通常、リスクの負担を負う当事者の側で貿易保険に加入し、海上輸送におけるリスクなどは保険で回避されることが多いと思われます。例えば、FOB横浜と記載している場合、横浜港で舩に荷物を積み込むまでは日本企業に責任があるが、荷物が船の欄干を超えたときからは買主の責任であることを示しています(FOBの解釈はインコタームズによります)。従って、海上輸送の代金、海上輸送途中の保険、その他の海上運送中の費用については、すべて買主の負担ということになります。当事務所でも、①海上運送途中に運送人の責任で荷物が損害を被った、②運送中に荷物のすり替えがあり、買主の港に中古品が届いたというような案件がありました。このような場合は、危険負担を負う当事者が海上運送保険に入っていたかが重要となってきます。
Risk of and title to the Products shall pass from the Seller to Purchaser at the time when the Products or any part pf the Products passes the ship’s rail of the vessel at the port of shipment.
本商品の危険負担及び所有権は、本商品又は、その一部が、船積港で本船の欄干を通過したときに売主から買主に移転するものとする。
保証
品質保証条項とか、保証表明条項と呼ばれるものです。特に製品に瑕疵があった場合の責任を明確にしておく必要があります。売買では見本売買や仕様書に基づく売買が一般的だと思いますので、そのような見本や仕様書に合致しない商品については、瑕疵(欠陥)がある商品として取り扱われることになります。そのような場合の売主の責任としては、代金減額、瑕疵のない商品との取り換え、瑕疵の修補、損害賠償など様々な方法が考えられますが、国によって救済方法が異なってきますので、そのうちどの救済方法が適用になるかを明確にしておかないと思わない請求がなされる可能性もあり、大きなリスクとなってしまいます。品質保証のうち、特定目的への適合性や、市場性についての品質保証が行わない(保証対象でないことを明示する)のが通常です。
Seller warrants to the Purchaser the quality of the Products in conformity with the specifications agreed upon between the Parties and quality expressly set forth in each individual contract. Seller shall indemnify and hold harmless Purchaser from products liability claims in relation to the Products.
If Purchaser receives a claim from any third party for the defects of the Products, Purchaser shall notify Seller promptly in writing of the claim. Seller and Purchaser shall make its best effort to correct defects in the Products as promptly as reasonably possible. Seller shall, at its option, repair or replace the Products or part thereof.
SELLER DOES NOT MAKE AND HEREBY DISCLAIMS ANY WARRANTY IN RESPECT OF THE PRODUCTS OTHER THAN AS PROVIDED ABOVE IN THIS ARTICLE, WHETHER EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING WITHOUT LIMITATION ANY IMPLIED WARRANTY OF MARCHANTABILITY OR FITNESS FOR ANY PURPOSE.
売主は、本商品が、当事者間で合意された仕様に合致し、個別契約で明白に定められた品質を備えたものであることを買主に対して保証する。売主は、買主に対して、本商品に関する製造物責任から免責し、害が及ばないようにする。
万一買主が、本商品の欠陥について、第三者から請求を受けた場合、買主は、直ちにかかる請求について書面により売主に通知する。売主と買主は、合理的に可能な限り迅速に本商品の欠陥を是正するよう最大限の努力を行う。売主は、その判断により、本商品又はその一部を修復し、又は取り替えるものとする。
売主は、本製品については、本条の上記規定のほかには、明示又は黙示を問わず、黙示による商品性の保証や目的への適合性の保証を含め、何らの保証も行わないものとする。
取引基本契約書の一般条
期間
契約の有効期間についての定めです。当事者間に紛争が生じた場合は、契約期間の満了時に契約を終了させたいと考えることが多いと思われますので、契約期間についての定めは実務上きわめて重要となります。また、契約の更新があるのかどうか、契約の中途解除は可能かどうか、契約解除の効果はどうなるのか、などについて定めておくことも考えられます。
This Agreement shall be effective on the date first above written and, unless sooner terminated in according to the terms hereof, shall continue in effect for a period of three years.
本契約は、冒頭に記載した日から効力を生じ、本契約書の条項に基づき早期に解除される場合を除き、3年間効力を有する。
譲渡
相手方当事者の了解がある場合を除き、いずれの当事者も契約上の地位や契約により生じた権利を第三者に譲渡できないことを確認するものです。相手方当事者を信頼して契約関係に入ったにもかかわらず、知らないうちに第三者に契約上の地位が移転していることを禁じるものです。企業買収の際に、この契約条項が支障となることがあります。法務デューデリジェンスでは、チェンジ・オブ・コントロール条項により、契約相手方の同意がないと契約上の地位の移転が生じないのかどうかを常に確認する必要があります。
Without prior written consent of the other party, neither party may assign, pledge or otherwise encumber this Agreement or its rights hereunder.
相手方当事者の事前の文書による同意がある場合を除き、いずれの当事者も本契約及び本契約上の権利を譲渡、質入れ、その他の方法による担保設定を行うことはできない。
準拠法
This Agreement shall be governed by and interpreted in accordance with the law of Japan. It is hereby explicitly agreed that the United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Products (CISG/Vienna Convention) shall not apply to this Agreement and Individual Contracts. Any dispute arising out of or in connection with this Agreement or any individual agreement shall subject to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court.
本契約は日本法に準拠し、日本法にもとづいて解釈される。国際物品売買契約に関する国連条約(ウィーン売買条約)は本契約や個別契約に対して適用されないことについて明確に合意する。本契約により又は本契約に関連するすべての紛争については、東京地方裁判所の専属的管轄に服する。
ウィーン売買条約
日本はウィーン売買条約の締結国です。ウィーン売買条約とは、United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods(国際物品売買契約に関する国連条約)(CISG)の略称です。物品の売買についての国際契約を締結する際には、日本がウィーン売買条約(CISG)の加入国(2009年8月1日発効)であることから、CISGの適用の可能性について常に検討する必要があります。ウィーン売買条約(CISG)については、現在、アメリカ、カナダ、中国、韓国、シンガポール、ドイツ、イタリア、フランス、オーストラリア、ロシア等、ほとんどの主要な先進国が締約国となっています。ウィーン売買条約(CISG)については、契約により適用を排除することが可能です。ウィーン売買条約(CISG)の適用を排除していない場合は、条約の内容が契約の中に読み込まれることになりますので、事前にウィーン売買条約(CISG)の内容を確認しておく必要があります。
海外取引における、契約書の必要性や役割について教えて下さい。
海外取引における「契約」とは、その国が準拠する法律体系によって、様々な解釈があるなど、日本で一般的に考えられる「契約」とは異なる場合があります。
また国際間取引では、商習慣などの違いによる問題発生が起こることも多く、取引上のトラブルを回避するためにも、相手方と書面で条件を定めることは、契約書(英語の場合はContractやAgreementといった呼称)、や覚書(英語の場合はMemorandumやNote, Letterといった呼称)等の形態に拘らず、非常に重要です。
法律体系が異なる、国際間の物品売買に関する契約や損害賠償条件の原則を定めた国際条約としては、「ウィーン売買条約」が国連で定められており、日本でも2009年から発行されています。ただ同条約は売買契約におけるクレームの提起期間は「物品の引渡しから2年間」とされているなど、一般的な国際売買や日本の商法と異なる規定もあるため、「ウィーン売買条約」の適用を、個別の契約書上で排除または変更することができます。
なお契約締結に際しては、契約の開始に関する諸条件を定めるのみならず、実際の運用、契約の解消に関する諸条件についても、配慮、言及することも必要です。
契約締結に不安がある場合は、国際弁護士や司法書士にご相談されることをお薦めします。
実際の契約に至る国際間交渉では、当事者双方が取引条件に関する合意が形成されることを通して、契約締結がなされますので、契約者自身の主体的な関与と、文書化された文言等には遺漏が無いか再考されるなど、慎重な注意を期して取組まれることが大切です。
輸出入ビジネスと英文契約書
国際売買契約書
| ◆ 国際売買契約とは? |
国際取引の中でも、異国間で「モノ」を売買する輸出入(貿易)取引は特に基本的なものです。
輸出入取引を行うにあたっての様々な条件を取り決めたものが、国際売買契約(Purchase/Sales Agreement)です。
輸出入取引は、売手(輸出者)と買手(輸入者)との間の法制度・商習慣・伝統・文化などの違いや、言語の違いによる意思疎通の難しさ、さらには船や航空機を利用しての長距離輸送が不可欠であることなどにより、国内取引と比較すると様々なトラブルが発生することの多い、リスクの高い取引であるといえます。 その上、一度トラブルが発生してしまうと、その解決には多大な困難うものであることもまた事実です。
そういったリスクをあらかじめ回避し、異なる国同士が安心して取引を行うために、輸出入取引の世界には国ごとの法制度とは別に様々な国際ルールが存在します。
もっとも基本的なものとして、売手・買手間の費用負担や危険(リスク)負担を明確にしておくためのルール(貿易条件とよばれるもの)がありますが、その他にも、国際輸送にかかわる保険の制度や代金決済のシステムなど、長い歴史の中で形作られてきた様々な仕組みが存在するのです。
国際売買契約を締結するにあたっては、こういったルールをよく理解した上で、契約書の内容が自身の希望に沿ったものとなっているかどうかを充分に検討する必要があります。
| ◆ 契約交渉のながれ |
国際売買契約の締結までには、売手・買手の両者間で、一定の時間をかけて契約条件についての交渉が行われるのが普通です。
この交渉の過程で、自身の要望を明確にかつ漏れなく相手方に伝え、また相手方の要望を丹念に検討した上で、充分に納得のいく内容となった段階で締結に持ち込むことが、取引を成功に導くカギといえるでしょう。
売買契約が成立するまでの売手と買手との交渉は、通常次のようなステップをふんで進められます。
① 売手が買手に対し、自社商品の提案(Proposal)を行う。
または買手より売手に対し、購入希望商品の概要を通知し、提供が可能かどうかや
取引条件などの情報を求める、いわゆる引き合い(Inquiry)を出す。
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② 売手から買手に対し、取引条件等を提示する申込み(Offer)を行う。
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③ 買手は売手からの申込みについて検討し、価格や諸条件についての改善を求める
反対申込み(Counter Offer)を行う。
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④ 買手と売手との間で反対申込み(Counter Offer)のやり取りを繰り返した結果、一方
が相手方の申込みを承諾(Acceptance)すれば、契約が成立する。
| ◆国際売買契約の主な条項 |
国際売買契約で取り決めておくべき内容として、もっとも基本的かつ重要なものは次のとおりです。
■商品とその品質・仕様
まず明確にしなければならないのが、「取引の対象となる商品は何か」ということです。
品番・サイズ・色・素材等を明記することで商品を特定するのが一般的ですが、たとえば「同じ黄色でも微妙に色合いが違う」、「同じSサイズでも微妙に長さが異なる」といったことは頻繁に発生するため、あらかじめ仕様書や図面などを入手しておくことが必要です。 さらに可能であれば、見本品の提供を受けておくことをおすすめします。
■売買価格
売主が提示する売買価格には、商品の価格そのものだけでなく、輸出入手続にかかわる様々な費用(国際運賃、国内運賃、通関手数料、梱包費用、保険料、倉庫費用など)が含まれている場合があります。 売買価格にこういった諸費用を含めるかどうか、言い換えれば諸費用をどちらが分担するかについては、あらかじめ契約交渉の中で明確に取り決めておかなければ、後々の紛争のもととなってしまいます。
この費用負担に関する条件のほか、双方の危険負担の範囲や商品引渡しについての条件を総合的に貿易条件とよびます。 こういった貿易条件を一からすべて書き出していると、漏れや誤解が生じるおそれがあるため、通常はインコタームズ(International commercial terms)とよばれる国際規則を利用します。
インコタームズは1936年に国際商業会議所により定められた国際ルールで、その後数度にわたって改訂され、現在、世界的に認知され採用されています。
インコタームズ2000年版(現状最新のもの)では、貿易条件を定義するための13種類の類型が定められており、このうちひとつを契約に明記することで、出荷・費用負担・引渡しなどに関する売手・買手双方の義務を明確にすることができます。
■決済通貨
外貨建て決済の場合には為替変動のリスクが生じるため、可能であれば日本円建てでの決済が望ましいところです。 ただしこれは相手方にとっても同様のため、話し合いにより決定することになります。 また、米ドルやユーロなど、安定した第三国の通貨を採用する選択肢もあります。
■数量
商品の仕様やサイズごとに、それぞれの数量を明確に特定します。 そうでないと、「赤を100個、青を100個、白を100個」発注したつもりでいても、「とりあえず今在庫のある色で合計300個」出荷してくる・・・といったケースも珍しくないからです。
また、工業製品など個数で特定できるものであれば問題ありませんが、体積や重量などで特定する場合には、使用される単位に注意します。
■梱包方法
商品の特性に合い、長距離輸送に適する梱包方法をあらかじめ取り決めておきます。
天然素材を用いた梱包(ワラの緩衝材や木箱など)の場合、検疫を受けなければ輸入通関ができない場合があるため、注意が必要です。
■代金決済
国内取引であれば、両当事者がそれぞれ現金と商品を持参してその場で引き換える方法を採ることも可能ですが、国際取引ではこれは現実的ではありません。
輸出入取引で用いられる主な代金決済方法には、銀行送金、信用状(L/C)、手形などがあります。 また決済の時期により、前払いと後払いに分けられます。
前払いとは、商品の出荷前に代金を決済する方法です。 売手にとっては安心できる方法ですが、買手にとっては商品が手元に届く前に支払を行わなければならず、リスクの高いやり方です。
逆に、後払いは買手にとっては安心で有利な方法ですが、売手には代金回収のリスクが発生します。
■出荷/引渡し
商品の売手から買手への引渡しがいつ、どこで、どのように行われるかは、双方が特に注意を払わなければならない重要なポイントです。 輸出入取引の場合、船や航空機を利用した輸送が必要となるため、輸送手段や委託する輸送会社についても取決めが必要です。
引渡しの条件については、前述のインコタームズに定義された条件を利用することで、明確に定めることができます。
これに加えて、輸送途上での商品の積替や分割出荷が認められるかどうかについても、あらかじめ取り決めておく必要があります。
■保険
ここでいう保険とは、輸送途上での事故による損害をカバーするための保険を指します。
保険手配を売手・買手のどちらが行うかについても、前述のインコタームズに定義された13種類の条件のうちいずれを選ぶかにより、規定することが可能です。
| ◆ 基本契約と個別契約 |
売手と買手との間で、同種の商品の売買取引がある一定期間継続的に行われることが決まっている場合、一連の取引の大枠となる条件だけをあらかじめ規定しておく場合があります。 これを基本売買契約とよんでいます。
繰り返し取引が行われる場合、その都度詳細な売買契約書を作成するのは大変な労力となるため、毎回の取引に共通する重要な条件については最初にこの基本契約で合意しておくのです。 その後、一回の取引ごとに個別売買契約を締結し、具体的な売買の内容を決定していきます。
| ◆基本売買契約書の構成と内容 |
基本売買契約書では、前述のとおり、個別契約に記載される商品、価格、数量などを除くすべての詳細な条件が規定されます。
基本売買契約書の構成と、記載される主な内容を次にご紹介します。
1.表題
「こうでなくてはならない」という明確な規定はありませんので自由につけることができますが、Sales and Purchase Agreement(売買契約書)、Master Agreement/Basic Agreement(いずれも基本契約書)といった表題とすることが多いようです。
2.頭書
契約の締結日、当事者の名称、住所、法人の場合はその設立の準拠法などが記載されます。
3.前文
当事者が契約を締結するに至った経緯や、契約締結の目的などが記載されます。
4.本文
(1)定義条項
契約書の中で繰り返し使用される用語について、ここで定義しておきます。 長い固有名詞などを、その都度いちいち記載しなければならない等といった煩雑さを防ぐことができます。
(2)本体条項
契約書の中心部分であり、取引の内容や当事者の実質的な権利義務が規定されるところです。 一般的には次のような各条項が設けられます。
■売買/Sale and Purchase
売買の合意について確認する条項です。 売手と買手の基本的な法律関係を規定しています。
■個別契約/Individual Contracts
これは一連の取引の大枠を定めた基本契約書であり、個別の取引についてはその都度取り交わされる個別契約書の内容に基づいて行われるということを、ここで確認します。
■支払い/Payment
代金支払方法と支払時期をここで明確にします。
■引渡し/Delivery
商品の引渡し(出荷)の方法、時期、場所などを記載します。 前述のインコタームズにより規定するのが一般的です。
■所有権/Title
売手から買手へ所有権が移転する時期をここで明確にします。
インコタームズにより商品の危険負担の範囲については自動的に決まりますが、所有権の移転については規定されていないためです。
■クレーム/Claim
商品の受領後に何らかの不具合が発覚した場合、どのように対処するかを定める条項です。
■製造物責任/Products Liability
特に対アメリカの輸出取引などでは、製造物責任訴訟で敗訴すると多額の賠償請求がなされることがあり、あらかじめ充分に注意を払う必要があります。
(3)一般条項
売買契約書だけでなくすべての種類の契約書に共通する条項で、取引の内容にかかわらず定めておくべき当事者の権利・義務について規定されています。
詳しくは、一般条項についてをご参照下さい。
(4)後文と署名
締めくくりの文に続いて、各当事者の氏名・肩書きと契約締結日が記載され、そこに署名が記されます。
| ◆国際売買契約書のチェックポイント |
これは輸出入取引に限らないことですが、売買取引において、売手と買手とではほとんどの点で利害が相反します。 取引の相手方から契約書が送られてきた場合、それは当然のことながら、自身の利益を最大限に確保することを目的に作られたものであり、こちら側には不利な内容となっている場合が多い・・・と考えてチェックにあたる必要があります。
■売手側のチェックポイント
売手サイドから見てもっとも重要といえる点は、確実な代金の回収です。
商品を出荷した後(または前であれば理想的ですが)、いかにスムーズに商品代金全額を回収できるかどうかが、取引成功のカギとなります。
また、商品を買手が受領した後には、クレームの問題が発生してくる可能性があることにも注意が必要です。 クレーム通知や交渉に関する過大な権利を買手に与えすぎないよう、契約書作成の段階で充分な検討が必要です。
買手サイドで作成した契約書が送られてきた場合、特にこういった条項について重点的にチェックする必要があるでしょう。
■買手側のチェックポイント
買手サイドから見てもっとも重要といえる点は、商品の品質と納期です。
希望通りの品質の商品を、予定された時期に入手することができれば、まず取引は成功といえるでしょう。
また万一、入荷した商品に瑕疵があったり納期が遅れたりした場合、どのような保証が受けられるかについてもあらかじめ取り決め、権利を確保しておくことが重要です。
売手サイドで作成した契約書が送られてきた場合、こういった点について特にチェックする必要があります。
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