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報連相「報告」【改訂】

目次

00「報告」とはどんなものか?

◆報告は会社ピラミッドの中のタテ方向のコミュニケーション

三角形の下側は人数が多い一般の社員で、上部の頂点の近くは、社長をはじめとする少数の経営陣を表します。中間は管理職です。

さて、このピラミッド図に表現された会社という組織の中で、上は社長から下は多くの一般社員に至るまで、タテ方向の「情報の共有化」を行うのが、「報告」の役割です。どういうことか、これから説明します。

◆指示と報告がセットになっている

実際の職場では、上から下へと向かう情報は、最初は「指示」という形でピラミッドの中を「下りて」きます。経営陣から各部署の部長へ、部長から各チームの係長へ、係長から一般の社員へという「指示」の流れです。こうして上から下りてきた指示に基づいて、会社というチーム全体が動くのです。

でも、上から下への指示だけでは、ピラミッドの上の方にいる経営陣や管理職の人たちには、現場の情報がまったく入りません。情報がなければ、新しい指示を出すことはできませんね。そこで、下から上へと向かう情報の流れ、つまり「報告」が必要となります。

報告は、基本的に指示とセットになっています。上から下りてきた指示によってやるべき仕事を指定されたら、その仕事を精いっぱい実行し、実行した結果がどんなものであれ、その結果を下から上に報告する。この、指示と報告のサイクルが、仕事を行ううえでの最小の単位となっているのです。

報告の一番の役割は、このサイクルを回転させ続けることです。上下に情報の循環が行われることによって、会社のピラミッドの中での、タテ方向の「情報の共有化」が実現されるのです。

◆報告の分類は5つ

報告を状況によって分類してみると、大きく次の5つに分けられます。

  1. 指示の受命
  2. 結果の報告(結果報告)
  3. 問題の報告
  4. 中間報告(経過報告)
  5. 気づきの報告

の5つです。

①指示の受命は、報告のスタート地点である上司からの指示を受ける場面です。ここがしっかりできていないと、正しい報告を行うことは不可能です。

②結果の報告は、指示を受けた仕事を完了させてその結果を報告する、報告の基本となる場面です。いろいろなシチュエーションが考えられます。

③問題の報告は、仕事の途中で失敗をしてしまったり、何らかの問題が起きたときの報告です。

④中間報告は、長期間にわたる仕事や状況が変化してきた仕事で、要所要所で行わなければならない報告です。

最後の⑤気づきの報告は、少しレベルアップした報告で、提案型の報告になります。

01上司からの指示を、間違えずに受け取ることが第一歩!

◆報告のよし悪しが決まる指示の受け方とは?

上司から指示を受けることを「受命」と言います。この受命の仕方、つまり仕事の指示の受け方が、その後の報告がうまくいくかどうかの鍵を握っています。

そもそも、上司からの指示の内容を上手に受け取ることができなければ、仕事自体の段取りや進め方まで大きく影響されてしまいます

◆指示の内容を正しく共有するためのコツ

指示の内容を、聞き間違いや意味の取り違いをすることなく、正確に受命することを心がけます。これが、正しい報告への第一歩です。

常にメモを取ることの大切さは前述した通りですが、指示を受命する際にもメモは必須です。上司のところに呼ばれた段階で、必ずペンとメモ帳を持っていくように習慣づけて、いつ指示を与えられても大丈夫なようにします。

特に聞き間違いをしやすい箇所では、復唱して確認するようにします。5W2Hも意識しましょう。

受命では、指示の内容を忘れてしまったり、聞き間違いをしてしまったりといった単純なミスでも、その後の仕事の結果に大きな影響が出てきます。

しっかりと説明してくれない人もいますから、曖昧な内容の指示にならないように、指示を受ける立場のあなたの方で、欠けている情報を聞き出す意識を持つ必要もあります。

02指示の裏には「目的」が隠れている

◆指示を受けるときは真剣勝負!

5W1Hの内容を聞き出すことができたら、その仕事が何のために指示されたのか、指示の目的まで確認しておくことができれば、よりよい報告につなげることができます。

たとえば、上司から、職場で使われている備品をリストアップするように指示を受けたケースで考えてみましょう。指示の際には、そのリストの使用目的の説明は特にありませんでした。こんなとき、何も考えずに、ただズラズラと職場の備品をリストアップし、結果を報告するだけでは、上司が満足する可能性はあまりありません。

指示を受ける段階で、「これは何のためのデータですか?」などとこちらから確認をして、たとえば「コストダウンのために使うデータだよ」ということであれば、その目的に合わせて価格や納入元も調べたり、同じ種類のものをグループ分けするなどしたデータを報告できます。

このように、上司に喜ばれる気の利いた報告を行うためには、指示の裏側に隠れている「目的」、つまり〈上司が本当にしてほしいこと〉を確認しながら受命し、その目的に合わせた形で仕事を進めて、報告につなげていくことです。ただ漫然と上司の指示に頷いているだけではなく、できるだけ指示の目的まで共有するように努め、目的がわからない場合には自分から聞く姿勢を持つこと。これが、しっかりとした受命を行うための心得です。

03早め早めの「結果の報告」が、仕事の流れをスムーズにする

◆結果の報告が1つの仕事を終わらせる

指示を正しく受けたら、指示された仕事を実行してその結果を報告します。これで、1つの仕事が終わります。逆に言えば、結果の報告がなければ、その仕事はまだ終わっていません。たとえ、あなた自身はその作業をとっくに終えて次の仕事に取りかかっていたとしても、上司の側からはそれはわからないのです。「結果の報告」が、1つの仕事の終了を区切る。まずは、それをしっかりと自覚しましょう。

◆報告は、期日よりも少し早めがちょうどいい

仕事が終了したことを示す「結果の報告」ですから、手元の仕事が終了したら、すぐに上司に報告することが求められます。最初に指示を与えられたときに、いつまでに終了させるようにという期日を確認しているはずですから、少なくともその期日までには報告しなければなりません。期日をすぎても仕事が終わらなかったり、とっくに終わっているのに報告をしていなかったりして、上司から「あれ、どうなった?」と催促されてしまうのは、「報告が遅い」と言われているのと同じなのだと心得ておいた方がよいでしょう。上司にそう言わせてしまうのは、社会人として失格です。

もし、思ったよりも早く仕事が終わった場合には、仕事が終了した段階ですぐに結果を報告します。期日までの余裕期間でさぼるのは論外ですが、次の仕事へと勝手に進んでしまうのも間違いです。上司が指示する期日というのは、最悪でもそれまでには終わらせてほしいという時間のことです。上司の側から言えば、できればそれよりも早く仕事を終了してくれれば大歓迎です。だから、報告をする際には、常に期日よりも少し早めのタイミングを心がけるぐらいでちょうどいいのです。そうすれば、上司は次の指示ができ、仕事がよりスムーズに流れていきます。

また、早めの報告を心がけていると、急な状況の変化にも対応しやすくなります。クライアントから時間の変更を指示されて、翌日の納期が急に30分後になるなんて話は、ビジネスの現場ではごく普通に起こることです。常に早めの報告を心がけていれば、こういう状況にも素早く対応することができます。逆に、毎回期日ギリギリに結果の報告をしているようでは、赤点ギリギリでテストをパスし続けているようなものです。上司の印象がよいはずがありません。

◆間に合わなければ、間に合わせるための報告を

ほかの雑務に追われたり、仕事自体が意外に手間がかかったりして、期日までに仕事を終了させられない場合はどうしたらいいでしょうか?そういう場合には、期日まで待つ必要はありません。期日に遅れそうなことがわかった時点で、期日までにできないことを報告します。

期日になって「できませんでした」と報告するのでは、上司はもはや何の対応もできません。社会人にとっての期日は、絶対に守らなければならないものですから、これでは大目玉を喰らうことは目に見えています。指示された仕事を期日までに終わらせるのが難しいと感じた段階で、早めにその旨を報告することです。

そうすれば、上司が状況を理解して、期日に間に合わせるためにヘルプをつけたり、チーム全体で取り組むなど、何らかの対応策をとる時間の余裕が生まれるのです。

04大事な報告は上司の時間を奪ってでも行う

◆報告ができなくて、怒られるのはあなた!

報告は早めにとは言っても、上司の都合を無視して報告はできません。多忙な上司には、報告しようと思っても「ごめん、今は無理!あとにして」と断られたり、そもそも外出ばかりでほとんど席にいないという上司もいます。しかし、こういう上司の場合、上司の都合にばかり配慮していると、重要な報告も行うことができません。

報告がしっかりできず、怒られるのは誰でしょうか?上司ではありませんよ。もちろん、あなたです。上司の都合で報告ができなかったとしても、その責任を問われるのはあなたです。なぜなら、結果の報告は、上司ではなく部下がしなければならない仕事だからです。どんなに忙しい上司が相手であっても、どうにかして報告をする機会を作らなければなりません。そのための作戦を、3つ紹介しましょう。

◆スキマ時間利用作戦

基本的な作戦として、報告相手である上司のスケジュールを把握しておき、仕事と仕事の合間のスキマ時間を見つけて、そのタイミングを逃さず報告を行う方法があります。会社によっては、上司のスケジュールを共有ソフトを通して各自が確認できるシステムになっています。こうしたシステムがあれば、細かく上司のスケジュールを把握することができますから、上司の手が空いた時間を狙って報告を行えばよいでしょう。

こういうシステムがない場合は、上司の行動を自分の目で確認して、手が空いた瞬間を狙います。上司が視界の中に入っている職場であれば、ほとんどの場合はこれで対応できるはずです。まとまったスキマ時間がないほど多忙な上司であれば、それこそ瞬間的なスキマ時間を狙う必要があります。外出やお手洗いに向かう際や、戻ってきた直後、電話を切った直後などは、次の仕事に取りかかる前に一瞬のスキマ時間が必ずできます。その瞬間を見逃さずに、報告をしてしまおうという作戦です。

もちろん、昼休みや就業直後、帰宅する直前などの時間も活用できるでしょう。この作戦の場合、第一声が重要になります。上司はすぐにでも次の仕事に移りたいと思っていますので、ダラダラと話していては「あとにしてくれ」と言われてしまいます。「部長、○○の件の報告です。1分よろしいですか?」といった感じで、要件の内容と大まかな所要時間をひと言目から告げるようにすると、時間を取ってもらいやすくなります。

報告強行作戦スキマ時間を狙おうにもまったくタイミングの合わないときもあります。そんなときは、強引に報告を行ってしまう作戦が必要になります。報告を強行する作戦では、上司が電話中のときが狙い目です。先程も述べたように、電話のあとにはどうしても一瞬のスキマ時間ができるからです。

たとえば、上司が電話をしていたら、上司のデスクの斜め前に立って、そのまま電話が終わるのを待つのはどうでしょうか?ちょっと気まずいですが、ほとんどの場合、電話が終わったあとに「どうした?」と声をかけてもらえます。また、5W1Hで報告内容をまとめたメモをつくり、末尾に「以上、ご多忙のようですのでメモの報告で失礼します。必要でしたら呼んでください」と書いて、電話中の上司に強引に手渡す方法もあります。

この方法は、上司が外出してばかりでつかまらない場合も使えますね。その場合には、机の目立つ場所に置いておきます。必要なら上司があなたを呼びつけますので、オススメの方法です。同じことは、メモではなくメールで行うこともできます。どちらにしろ、上司が多忙なため書面(メール)で報告することをわびる一文と、必要なら呼び出してくれるようお願いする一文を入れるようにして下さい。

◆報告タイミング共有作戦

外出の多い上司の場合は、外出先から上司がかけてきた連絡の電話など、数少ない報告の機会を職場のみんなで共有してしまいましょう。まずは電話を受けた人が、上司が電話を切る前に「課長、○○の件の報告があるのでもう1分よろしいですか?」と引き延ばします。報告し終わったら、「あ、ほかの方も報告があるようですので、もう少しお待ちください」などと言って、職場の全員に「課長からの電話ですが、報告ある方はいませんか?」と声をかけ、必要な人に回すのです。

◆報告するのに遠慮は無用

前述したように、どんな作戦をとるにせよ、忙しい上司に何とかして報告を行うのは、部下の仕事です。上司の仕事は指示することで、部下の仕事は報告することです。たとえ上司の事情で報告ができなかったとしても、それは、あなたの仕事が失敗したということなのだと、しっかり心得ておきましょう。次の失敗談を見てください。

×悪い例

今か、今か、とタイミングを見極めて、ちらちらと上司を横目に見ながら、腰を椅子から浮かせては「もう少しあとの方が上司の都合がよいのではないか」などと思い直し、何度か座り直したりしていると、気づいていた上司から「何か用か?」と不機嫌に言われてしまいました。

報告するために上司の時間を奪うのも仕事なのですから、必要以上に遠慮することなく、どんどんと攻撃するような気持ちで報告を行いましょう。何度も言いますが、報告ができなくて叱られるのはあなたなのですよ!

05上司のパターンを知ってソツなく報告をすませよう

◆上司のパターンは先輩社員に聞け!

強引にでも報告を行うことが仕事の一部だと前述しましたが、現実的な問題として、上司のムードを見極めることも必要です。機嫌がいいときに報告したら「はい、わかりました」ですむところが、機嫌が悪いタイミングに当たってしまうと、同じ報告内容なのに「そんな報告に何か意味があるのかっ!?だいたい君は、いつも報告の仕方がなってないんだ。そもそも……」と、いきなりお説教されたうえに、無理難題を言いつけられるといったことは、不条理ではあるのですが、現実としてよくある話です。

そうした上司は、日頃から気をつけて観察していると、贔屓の野球チームが負けた次の日は機嫌が悪くなるとか、天気の悪い日は機嫌が悪くなるとか、何らかのパターンがあることが多いようです。私の知っていたある人は、糖尿気味のために、血圧の関係で午前中は機嫌が悪く、午後になると機嫌がよくなっていました。職場の上司についてのその辺りの事情は、先輩社員がよく知っているはずですから、あらかじめ聞いておくことをお勧めします。

上司のムードに左右されすぎるのは厳禁ですが、そうしたパターンに合わせて、機嫌のよいときを狙って報告を行うことも、実際問題としては必要になるかもしれません。

06結論を先に伝え、事実と意見を明確に分ける

◆「結論先出法」が基本

報告を行うときには、タイミングだけでなく、どのように伝えるか、どのように話すかも大切です。「結果の報告」では、結論、つまりは仕事の結果をまず簡潔に述べたうえで、その理由や経過をあとから説明していくのが基本です。これを「結論先出法」と言い、報告する際のスタイルとしては最も一般的なものです。

結果の報告だけでなく、あらゆる報告はこのスタイルで行うことが求められます。報告に限らず、報連相のすべてに共通する情報伝達のスタイルと言ってもよいかもしれません。職場では、誰もが時間に追われています。大きな責任を背負っている上司は、特にそうです。だから、ダラダラと長い説明を聞いている時間は誰にもありません。最初に結論(仕事の結果)を報告するようにすれば、話の内容が何についてのものであるのか、聞き手である上司はすぐにわかります。その後の詳しい説明を聞くべきか、省いてよいかもすぐに判断できますので、非常にスピード感のある報告になるのです。

◆上司を混乱させる報告をしない

報告をする際の伝え方・話し方で、もう1つ注意しなければならないのは、実際に起こっている(起こった)事実と、自分の考えや意見や印象などの部分は、きちんと分けて伝えなければならないということです。実際の事実は1つであっても、その事実をどのように解釈するか、事実に対してどういう意見を持つか、どういう印象を受けるかは人それぞれです。この点をしっかりと認識し、事実と自分の考えを混在させないように報告しないと、報告される側は、どこまでが実際に起こった事実で、どこまでがその人の頭の中だけで起こっていることなのか、区別がつかなくなってしまいます。

たとえば、新企画のプレゼンを行って、その結果を上司に報告するとします。「新企画のプレゼンの件ですが、先方はなかなか斬新な企画だと喜んでおられました。おそらく大丈夫でしょう」このような報告の仕方では、上司からすると、部下の報告のうちどこまでが実際にあった事実で、どこまでが部下の希望的観測なのか、まったく区別がつきません。結論も先出しされていません。新企画に対して、どうして「大丈夫」と言えるのか?先方に何か言質をもらったのか?先方が喜んでいたというのは、部下の印象なのか、それとも何か明言したのだろうか?上司の頭の中は、こんな疑問でいっぱいになってしまうでしょう。

◆求められなければ感想は必要ない

こういう場合には、通常は先に事実のみを言い、自分の感想や意見は求められなければ言う必要はありません。もし加える場合は、自分個人の考えであることを明確に断ってから話すようにしなければなりません。先程の例の場合なら、次のような感じです。部下「新企画のプレゼンの件は、結論はまだ出ておりません。

ですが、先方はなかなか斬新な企画だとおっしゃっていました」上司「そうか……、どんな雰囲気だった?」部下「私の受けた印象では、喜んでおられたようです」こうすれば、斬新な企画だと先方が言ったのは事実。喜んでいたと感じたのは、部下個人が受けた印象であると明確にわかります。個人の受ける印象やアイデアには、ときに仕事を進めるうえで重大なヒントが含まれていたりして、伝えることに価値がないわけではありません。ですが、一人ひとり感覚が異なるために、事実とは分けて伝えないと聞き手が判断を間違えてしまうのです。

07判断に迷う「頭越し指示」への対応のポイント

◆別の人に頼むのは厳禁!

結果の報告を行うときには、直接、その仕事を指示した上司に行います。これは原則であり、必ず守らなければなりません。同僚や先輩に伝言を頼んだり、別の上司に報告したりするのは、結果の報告をしたことにはなりません。必ず、自分で報告するようにしてください。

◆「頭越し指示」の場合、結果の報告は誰にすればよいか

では、次のような指示には、どう対応したらよいでしょうか?ビジネスの現場では、上司の上司である立場の人や、別部門の管理職の人などから、直属の上司を飛び越えて直接、仕事の指示をされることがあります。こうした指示を「頭越し指示」と言います。本来の指揮系統を外れて与えられた指示と言ってもいいでしょう。こういう頭越し指示で任された仕事を終えたときは、結果の報告を誰にしたらいいのか、迷うところですね。

この場合は、直属の上司と、頭越し指示をした別の上司の両方に、同じ内容の報告を行うのが正解です。直属の上司にだけ終了の報告をすれば、あとは直属の上司が報告を上げてくれるだろうとか、直属の上司には関係ないから報告は必要ないだろうと考えていると、必ずどこかで連絡ミスが起きてきます。直属の上司が、頭越し指示された仕事が終わったことを知らないままだったり、頭越し指示をした上司が、いつまで経っても報告がこないことに怒り出すかもしれません。そうしたことを防ぐためには、両方の上司に報告をする必要があるのです。

具体的には、まずは直属の上司に次のように報告を行います。「課長。先日、部長から指示されていた報告書ができました。こちらになります。これから、部長にも報告してまいります」そうしたら、次は頭越し指示をしてきた上司にも同じ報告をするのです。「部長、先日、指示されていた報告書ができました。こちらになります」これで、対応に迷う頭越し指示にも、的確な報告を行うことができますね。

◆結果報告だけでなく、頭越し指示をされたことも報告する

頭越し指示への「結果の報告」を誰にすればよいかの疑問は解決しましたが、頭越し指示ではもう1つ、注意しなければならないことがあります。それは、頭越し指示をされたら、その都度、直属の上司にもそのことを報告することです。これは結構忘れがちな点です。

でも、これを忘れると、あなたの直属の上司はあなたが別の仕事を抱え込んでいることを知りませんから、二重に仕事の指示を与えられて困ることになります。次の体験談は、この点を間違えて失敗した例です。×悪い例直属の上司を飛び越えて、他部署の管理職や部長から、直接指示がくることがしばしばありました。最初のうちは、直属の上司に「誰々からこういった指示を受け、このくらいの業務時間を割くと思います」と報告していたのですが、そのうち、同じ管理職だから大丈夫だろうと、直属の上司には報告せずに、頭越しの指示で指定された仕事をこなすようになりました。そうしたら、頭越しに指示された仕事と直属の上司に指示された仕事で業務量が増えすぎて、毎晩深夜まで残業をしてパンク状態になってしまいました。頭越し指示をしてきたのが誰であれ、職場でのあなたの行動に直接の責任を負っているのは、あなたの直属の上司です。ですから、本来は指揮系統から外れた業務を引き受けるには、まず直属の上司の許可が必要なのですが、社内での地位が上の人に対してそう伝えるのは現実的に難しいでしょうし、得策でもありません。一旦その指示を受けたあとで、すぐに直属の上司に報告して、本来の指揮系統を外れてやってきたその指示に対して本当に時間や労力を割いて対応してもよいのかどうか、確認するのです。この報告をないがしろにすると、直属の上司の面子を損ねかねないので、絶対に省略してはいけません。同じ会社の管理職同士であっても、あなたの業務に対して管理する権限を持っているのは、本来は直属の上司だけなのです。また、自分の部下の行動を把握していないことは、直属の上司にとって恥ずかしいことでもあるからです。実際には、直属の上司にも連絡が入っていることが多いでしょうが、それでもこのプロセスは省略しないようにしましょう。なお、直属の上司が不在の場合は、ひとまず頭越し指示に対応したあと、直属の上司が戻ったらすぐに報告します。

08指示の「目的」を踏まえた報告をしよう

◆目的に合わせることで気の利いた「結果の報告」になる

指示を受命するときに、上司が自分に一番してほしがっている「指示の目的」を確認しましたね。結果の報告をするときにも、そのとき確認した目的に合わせた報告をすると、より効果的な報告を行うことができます。

企画課が売上げの数字をただまとめることに何か意味があるの?」「……」何だか、せっかく仕事をしたのに、報告が上司に認められていないようですね。このケースで問題にされていることは、課長が本当にしてほしかったことが何かを、指示を受ける受命の際にしっかり共有できなかったことから発生しています。各部門の売上げ集計をしてほしいという指示は、単に売上げ数字を課ごと、商品ごとに集計してほしい、という意味だったのでしょうか?

◆受命の際に目的を確認しておくのが大切

「企画課の立場からまとめてくれ」と言っていたということは、それだけではなく、その集計をしながら気づいたことや結果の数字を分析して、もっと売上げが上がるような企画提案をしてほしい、と考えていたのではないでしょうか?そのための準備として、まず集計作業を指示したのでしょう。

田中さんは、指示の裏に隠れていたそうした上司の「本当の目的・期待」に気づかずに、単に数字の集計で終わらせてしまったがために、上司を満足させられなかったのです。

報告のときには、指示を受命する際に共有した、上司が最優先で「聞きたい」と思っていること(本当の目的)に応える内容を伝えます。

繰り返しになりますが、そのためには、受命の際に相手の本当の目的が何なのかをしっかり確認しておく必要があります。上司の目的が何か、わかりづらいこともありますから、自分から積極的に、相手の目的を確認しにいく姿勢も求められます。

この例の場合なら、集計した数値を伝えることはもちろんですが、その数値から気づいた各課の売上げ差の理由の分析や、より重点的に販売していくべき商品はどれかといった意見を、ザックリとでもいいから伝えていたら認められていたでしょう。

09ミスしてしまったら、隠さずにすぐ報告する

◆ミスをするのは仕方ないが、ミスを隠すのは罪が深い

仕事で失敗するというのは本当に嫌なものです。まず、ミスを発見したショックでガーンと暗い気持ちになります。次には、上司に怒られる自分がワーと頭に浮かんできて、さらに落ち込みます。そのためでしょうか、多くの人はミスをしたとき、自分のミスやそれによって引き起こされた悪い状況などを、上司に伝えずに隠してしまいがちです。

もしくは、思いきって報告するにしても、自分にとって都合がいいデフォルメした形で報告してしまいます。しかし、これらは上司からの信頼を失う最短ルート。絶対にやってはいけません。ミスをするのは別に悪いことではないのです。もちろん、できる限り避けなければなりませんが、人間ですから誰だって間違えます。まだ仕事に慣れていない新人社員ならなおさらです。悪いのは、そのミスを隠すことなのです。

◆「まずい」と感じたらすぐに報告する

ミスを隠さずに早い段階で報告してくれれば、上司はそのミスをカバーするための何らかの手が打てます。早い段階であればあるほど、傷口は小さく、それをカバーするための労力も小さくてすみます。上司は部下よりも豊富な経験を持っていますから、部下がどうしようもないと思ってミスを報告したときでも、部下の知らなかったノウハウを使って何とかしてくれることさえあります。逆にミスを隠すと、ほとんどの場合、隠している間に傷口が広がって、上司の打つ手がどんどんなくなってしまいます。ミスをしたときは、隠さずに自分から報告しましょう。

それも、できるだけ早く、「まずい」と感じた時点ですぐに伝えることが重要です。そうすれば、ミスをしても極端に評価が落ちることはないのです。ミスをした責任を最小限に抑えるためにも、悪い情報ほどすぐに報告するようにしましょう。また、どんなに隠そうとしても、悪い情報は必ずバレます。そのうちつじつまが合わなくなり、結局は隠しきれなくなることがほとんどです。万が一、バレなかったとしても、いつバレるかとビクビクしながら仕事をするのは、心臓によくありませんよね。

◆情報のデフォルメやしつこい言い訳は絶対にしない

ミスを報告するときは、まず最初に、素直に自分のミスを謝罪し、現状がどうなっているのかをありのままに報告します。そうすれば、ミスを修正するための対策を上司や先輩が指示してくれるはずです。このとき、情報を自分に都合のいいように変えては絶対にいけません。そういう情報は、上司や先輩の判断を狂わせる原因になるからです。

また、言い訳をしたいところでしょうが、それはグッとこらえて自分からは言わないようにし、ミスをした理由を上司に問われたときにだけ、できるだけ客観的に話してください。自分のミスを認めずに、しつこく言い訳ばかりしている報告は、上司の心証を大きく損ねます。

10トラブルやクレームにも、落ち着いて対応する

◆トラブル発生時も落ち着いて報告する

自分のミスではなくても、仕事で突然トラブルが発生することがあります。こういう場合も、基本はミスしてしまったときと同じ対応をすれば大丈夫です。つまり、自分1人で勝手な判断をせずに、すぐに上司に報告するということです。

まだ仕事の経験が少ない新人社員よりも、経験豊富な上司の方が、正確な判断を下せる可能性が高いですからね。その際には、できるだけ感情的にならないようにして、冷静にわかっている限りの情報を上司に伝えます。

◆クレームには丁寧な対応を忘れずに

トラブルのときはすぐに報告しなければならないのですが、お客さまからのクレームなど相手があるトラブルの場合には、最初の段階で対応に失礼がないようにすることも重要です。上司に報告することだけに気を取られず、まずは謝罪しつつお客さまの話をよく聞き、事情を整理したうえで報告を上げることが求められます。

11時間と労力の無駄を防いでくれる「中間報告」

◆長期の仕事では「中間報告」が求められる

上から下りてくる仕事の指示と、仕事を終了させたときの結果の報告とはセットになっていますが、仕事の流れの中では、それ以外にも報告が必要とされる場合があります。それが「中間報告」です。中間報告は、時間のかかる仕事をする際に節目節目で行います。

報告する内容は、主に仕事の進捗状況(計画や段取り、実作業の進み具合)ですが、必要ならば、疑問に思っていることや問題になっていることも報告して、関係者間で調整を図ったり、よりよい結果が出る方法を模索することも含みます。なぜ長期間の仕事では中間報告が必要とされるのか、一番の理由は時間と労力の無駄を防ぐためです。長期間かかる仕事を手がけるときに、中間報告をまったくしなかった場合を考えてみれば、その理由がよく理解できます。

◆「中間報告」で仕事のズレを修正する

長期の仕事の場合、本人はその仕事に没頭して大変な苦労をしながら完了まで導き、最後の最後で上司に結果の報告をします。本人は達成感もあって満足顔です。しかし、その結果が上司が求めていた通りならよいのですが、長い作業の間に上司の期待と実際との間にズレが生じてしまい、必要とされていた結果と異なるものになっている可能性があります。

ズレがすぐに修正できる程度なら問題ありませんが、やり直しが必要なほど大きくズレていた場合、それまでにその仕事にかけた時間と労力の多くが無駄になってしまいます。中間報告は、こうした時間と労力の無駄や損失を防ぐために、必ず行わなくてはならないのです。

◆「中間報告」で責任の分担ができる!

中間報告によって、上司は部下の仕事の方向性がズレていないか、節目節目で確認することができます。目の前の仕事に没頭しているあなたが気づいていない状況の変化にも、上司は注意を払っているでしょうから、当初の指示内容を状況に合わせて修正することも可能です。

一生懸命に仕事を終わらせたのに、状況の変化のためにやり直しを余儀なくされる、といった事態を防げるのです。また、仕事の途中で判断が必要な場合にも、中間報告をすることによって指示してもらったり、アドバイスしてもらったりして、判断を間違えて時間と労力をロスしないようにできます。

別の言い方をすれば、責任を上司と分担できるということです。すべて自分で判断して何らかのトラブルになった場合は、責任もあなた1人で負わなければなりませんが、中間報告で上司の指示を仰いでいれば、第一の責任はあなたではなく上司が負うのです。

さらに、自分1人だけでは不可能なことも、中間報告によって上司と情報を共有していれば、ヘルプをつけてもらったり、チーム全体で取り組んでもらったりと、調整を行うことで実行可能になります。中間報告は、上司の側から見ても、仕事を行うあなたの側から見ても、双方にメリットの多い報告なのです。次節から、より詳しく中間報告を解説していきますので、しっかりと身につけて実行していきましょう。

12仕事の期間によって間隔が変わる

◆「中間報告」が必要な仕事は3つに分けられる

中間報告の必要な仕事には、大きく分けると次の3種類があります。①すぐには終わらない仕事②思うように進まない仕事③状況が変化してきた仕事まずは、①のすぐには終わらない仕事について見てみましょう。

◆どれくらいの期間の仕事から「中間報告」が求められるか

①の「すぐには終わらない仕事」に中間報告が必要だというのは、前述したように当たり前のことです。問題は、どれくらいの期間がかかる仕事から中間報告が必要とされるのか、また、その場合、どのくらいの頻度で中間報告が求められるのかですね。状況によるので一概には言えませんが、1週間以上かかる仕事では、確実に中間報告が求められます。チームを組んで行う大きなプロジェクトなどが当てはまるでしょうが、こうした場合は、毎日、中間報告を行うのは、逆に手間ばかり増えて非効率です。

2〜3日おきとか、毎週月曜日というように、状況に合わせて中間報告を行う日をあらかじめ決めておき、その際に、前回の時点から変化したことを報告するとよいでしょう。この場合、指示を受けた段階で全体の大まかなスケジュールを作成し、中間報告を何日おきにするのかも決めて、まずはその計画をできるだけ早く報告することが必要です。

もっと短くて、2〜3日の仕事ではどうでしょうか?この場合にも、中間報告をした方が上司には喜ばれます。数日間程度の仕事の場合は、毎日1回、手の空いたときに中間報告すれば充分でしょう。

13上司の判断を仰げば、予定通りにいかない仕事も大丈夫

◆勝手に実行する前に「中間報告」する

②の「思うように進まない仕事」の場合はどうでしょうか?思うように進まないということは、その仕事に何らかの困難があって、予定通りには進んでいないということですね。このような場合には、そうした困難を感じた時点で、まず、ある程度は解決策を自分で考えてみます。

そして、ここが重要ですが、その自分で考えた解決策を実行する前に、中間報告をして上司の判断を仰ぐのです。その際、現在どういう状況なのか、何に困っているのか、問題点をあらかじめ整理しておき、できるだけ正確な情報を上司に伝えます。自分で考えた解決策はこのときに、事実と意見を明確に分けたうえで伝えます(Part2の06参照)。

このステップを踏むことで、あとで述べる決定権のルール(Part4の06参照)を守りながら、自分で考える習慣を身につけることができます。とにかく、既に不安を感じ始めている仕事に、上司の判断を仰ぐことなく時間や労力をかけるのはやめましょう。前述したように、中間報告することによって上司やチーム全体の力を借りることができますし、万一の場合には責任の分散にもなります。

◆「中間報告」をためらって、期日を破ることがないように!

ところが、②の状況での中間報告では、指示を受けた側が「ああでもない」「こうでもない」と1人で悩み、「せめて解決策のメドがついてから」とか、「とりあえずほかの部分が終わってから」と自分の都合のいいように考えて中間報告を遅らせてしまうケースが多々あります。次のケースなどはその典型でしょう。

×悪い例

鈴木君は、課長から大きな案件のプレゼン資料の作成を指示されました。これほど大きな取引きの資料作成を任せられたのは初めてのことです。鈴木君は、任せてもらった喜びもあり、非常に意欲的に取り組みました。ところが、いろいろと資料を集めてはみたものの、どのようなコンセプトでまとめたらいいのかわかりません。

かと言って、せっかく任せられた仕事で音を上げたくはありません。いろいろと悩んでいるうちに、納期が明日になってしまいました。「困ったな。まだコンセプトがまとまらない……」「どうした鈴木君、困った顔をして?プレゼン資料うまく進んでいるのか?」「ハァ、実はいろいろと資料を集めてはみたんですが……中心となるコンセプトがまだ決まらなくて……」「えっ?コンセプト!?じゃあ、もしかしてまだ全然進んでないのか!?」「イヤ……、実はそうなんです」「先週からずっと悩んでいたのか?なぜ思うように進まない段階で報告しにこないんだ!もう間に合わないじゃないかっ!!(怒)」鈴木君は気が引けて、まったく進んでいないことを中間報告する勇気が持てなかったようです。

このように、能力がない人材だと見られてしまうのではないかとか、叱られるのが嫌だからという理由で、思うようにいかない状況になっても中間報告をしない人が多いのです。悩むこと自体はよいことです。自分ではまったく考えずにすべての判断を上司に任せていては、いつまで経っても主体的な意見や本当の実力を身につけることはできません。

ただ、社会人の仕事は、時間の制約を守って初めて評価されるものです。期日を越えてしまったら、どんなに立派な仕事もまったく評価されません。自分でしばらく考えても思うようにいかない場合は、ためらうことなく上司に状況を中間報告し、決して納期を破ってしまうことのないよう気をつけなければなりません。

14「中間報告」で、状況の変化に素早く対応する

◆状況の変化に対応しないのは、バカがつく正直者

最後に、③の「状況が変化してきた仕事」の場合を見ていきましょう。上司の指示により、あなたはあれこれ段取りを組んで、計画を立てて仕事を始めます。ところが、仕事を進めている間に周囲の状況が変化し、指示された内容をそのまま進めることが合理的でなくなることがあります。

そういう場合、「自分がやれと言われた仕事はこの内容だから」と元々の仕事を進め続ける人は、正直ではありますが、頭にバカのつくバカ正直な人です。そのまま進めることが時間や労力の無駄なのであれば、より効率的で合理的な方法に変えなければなりません。

自分なりにどうすればよくなるのかを考え、状況を整理したうえで、直ちに上司に中間報告して、仕事のやり方を変える確認や提案をするのが正解です。このとき、上司から新しい指示があればそれに従います。なお、上司の確認を得ずに指示された仕事のやり方を変えるのは、よほどの緊急時やあらかじめ許可されていた場合を除いて避けるべきです。

◆「中間報告」で変化に対応する

次の会話例は、指示された仕事を取り巻く状況が変化したことを簡潔に伝え、上司の確認を得ているものです。○よい例「課長、コピー機の今週中の入れ替えの件ですが、社内での問題により難しくなりました。来週中なら問題はないので、納入の期限を来週中に変更してもよろしいでしょうか?」「その社内での問題とは何だね?」「はい。経理部の山田課長から、今週中は一時的にでもコピー機が使えないことがあっては困ると申し出がありました。

今週中に、給与データのプリントアウトを終了させなければならないとのことです」「なるほど。では、来週中でかまわない。経理部には私からもひと言声をかけておくよ。来週ならいいんだね?」「はい。来週中なら経理部も問題ないとのことです」この例のように、自分なりの解決策を考えながら中間報告することによって、仕事を取り巻く状況の変化にスムーズに対応することができます。

また、そうした経験を積み重ねることによって、主体的な仕事の力も身についていきます。もし、あなたの考えた解決策に問題があれば、中間報告の際に上司の修正指示が入りますので、上司の持っている知識やノウハウを活かすことにもなります。なお、何らかのトラブルや緊急事態が起こった場合(Part2の10参照)は、前述したようにとにかくすぐに問題の報告をして、対応策を検討してもらいます。どんな状況であれ、自分1人で何とかしようとしてはいけません。突発的な状況の変化には、1人で対応するよりもチーム全体で対応した方がはるかに効率的だからです。

15周辺情報もこまめに報告しよう!

「結果の報告」「問題の報告」「中間報告」の3つは、必ず行わなければならない報告でした。それに対して、「気づきの報告」は義務的なものではありません。「気づきの報告」は、ほかの報告と比べると自主的でレベルが高い報告です。より気の利いた報告とも言えるでしょう。最初は、周辺情報の報告から始め、最終的には、提案型の報告ができるようになることを目指します。

◆周辺情報は思わぬ面で役に立つことがある

「気づきの報告」の最初のステップは、周辺情報の報告です。報告によって共有される情報は、何も指示された仕事そのものに関することだけではありません。その仕事の周辺に少しでも興味を引く情報があれば、そうした周辺情報も常に収集するように心がけておきましょう。そうやって集めた情報の中で、少しでも仕事に影響を与えそうなものがあれば、余裕のあるときに上司に報告して共有しておくのです。

そうすると、意外なところで役に立つ場合があります。たとえば、取引先企業の担当者が変わったことや、やり取りする書類の書式が変わったこと、もしくは訪問した会社の雰囲気が以前と変わったことなど、小さなことでもかまわないので、気づいた情報をどんどん上司に報告していきます。

そうすると、たとえあなたは知らなくても、上司がその新しい担当者の攻略法を知っていて教えてくれたり、新しい書類の書式が別会社のものとまったく同じで、合併や提携の気配を感じたり、雰囲気が悪くなっている会社の信用情報を調査したりと、思ってもみなかったところに役立つことがあるのです。

◆役に立たない周辺情報もイメージを共有する

助けになるもちろん、まったく役に立たない情報も多いのですが、たとえ役に立たなくても、そうした細部の情報が、上司と部下との間でより正確に対象をイメージする助けとなります。こうした周辺情報を適度に織り交ぜれば、あなたの報告はより気の利いたものになります。ただし、Part2の06で説明したように、自分の考え(意見や感想)と事実はしっかりと分けて明示してくださいね。

16報告の最終目標は「提案型の報告」

◆あなたの気づきを活かす報告

「周辺情報の報告」をしていると、集めた情報から「もっとこうした方がいいのに」とか「この商品も取り扱ったら売れそうだ」などと、より効率的に結果が出る方法に気づくことが多くなります。こうした気づきを無駄にせず、チーム全体のために活かしていくのが「提案型の報告」です。

◆提案する姿勢が上司に評価される!

具体的には、義務である「結果の報告」「問題の報告」「中間報告」の際に、「これは私のアイデアなのですが……」などと断りながら、つけ加える形であなたが気づいたことを提案します。もちろん、提案した内容が必ず採用されるわけではありませんが、積極的に提案していく姿勢は、上司に必ず評価されます。上司は、常に新しい試みについて検討していますが、新しいアイデアは上司が1人で考えているだけでは限界があります。上司としても、新しいアイデアの提供はありがたいのです。提案を考える際には、指示を受命した段階で確認した、上司の目的・期待を念頭に置きながら、5W1Hを意識するとよいでしょう。「何を」「どのように」「いつまでに」「どれだけ」「誰が」「いくつ」「いくらで」といった要素を確認しながら提案を固めていけば、パッと思いついただけの提案よりも、ずっと現実的で役に立つものになります。提案型の報告は、ある意味、相談に近いものです。相談の章も参考にして、より建設的な報告を行えるようになりましょう。

01報告相手の「都合」を考える

いきなり話し始めないこと上司の席に行って、「ちょっと報告したいことがあります」といきなり話し始める部下がいますが、これはよくありません。上司にも都合のいい時と、そうでない時があります。こまめに報告することは必要ですが、相手の都合も考えなければいけません。

常日ごろ、「いつでもホウレンソウに来い」と言っている上司でも、部下にひっきりなしに報告に来られては困ります。緊急の報告の場合は、上司の都合を確認するまでもありませんが、そうでない場合は、上司の都合を確認した上で報告するべきです。もし上司が忙しそうにしていて、時間がなかなかとれそうもない時は、「○○の件でご報告したいことがありますので、ご都合がよい時に声をかけてください」というメモやEメールで申し入れしておくとよいでしょう。

とくに、込み入った事柄を報告するような場合には、相手の時間を相当とってしまうことにもなるので、用件をまず伝え、相手の都合を確認してから本論に入るべきです。言葉遣いに注意してまた、上司の都合を確認する時、言葉遣いには十分注意することを忘れずに。上司と親しい人間関係ができていると、「今、暇ですか?」などと声をかけてしまうことがあるかもしれませんが、これでは目上の人に対して失礼です。「確かに今、それほど忙しくはないが、部下である○○くんにそのように言われることはない!」と腹を立てる上司もいるでしょう。「親しき仲にも礼儀あり」で、「○○の件でご報告しておきたいことがあるのですが、今、お時間よろしいでしょうか?」という具合に声をかけましょう。

タイミングをはかろう上司といえども人間で、出がけに奥さんと口げんかして機嫌が悪かったり、体調が悪くて気分が優れないこともあるでしょう。そのような時は報告のタイミングを考慮しなければなりません。気分が悪い時に厄介な事柄を報告・相談すると、普段だったらすんなり了解されるものが、そうでなくなってしまうこともあります。厄介な事柄を報告・相談する時は、上司の表情を確認したり、上司の近くにいる人に上司の機嫌を確認したりしてからのほうがよいでしよう。相手の姿が見えれば、当人がどういう状況にあるかがある程度わかり、大変忙しそうで

あれば報告・相談は後回しにしようという判断は容易につきます。しかし、電話のように相手の姿が見えない時は、相手の状況を予想しなければなりません。たとえば、月曜日の朝一番であれば、今ごろは部内のミーティングをしているのではないかと想像して、一刻を争う用件でなければ時間をずらすという配慮が必要です。

02結論は先に、言い訳は後にするダラダラと前置きをしない

報告に来た部下が、肝心の話をせず、ダラダラと周辺の話ばかりをしていると、忙しい上司は「いったい、君は何を報告したいんだ」といらだってくるでしょう。

たとえば、報告に来た部下が次のような前置きをしたとします。「今日、A社を訪問したのですが、はじめてだったので、道がわからず苦労しました。なんとか先方に着いたものの、約束の時間に10分も遅れてしまいました。そのため、お会いする予定の先方の部長が外出してしまい、参りました。その上、悪いことに……」こんな前置きから話し始めると、上司は次のように言うはずです。

「わかった、その辺の事情はもういいから、結果はどうなったんだ。うまくいったのか、ダメだったのか、結果を早く聞かせてくれないか」言い訳や苦労話は後回しに結果が思わしくない時の報告は、「自分は精一杯努力したが状況が悪かった」「周囲の協力が得られなかった」など、言い訳めいた話から始めがちです。

「いやぁ、参りました。やっぱり景気の低迷には勝てないものですねぇ。私も誠心誠意頑張ったのですが、よそ様も必死ですからなかなか厳しいですねぇ。ウチの積算部門の連中も頭が固いし、それに……」こんな言い訳めいた話をしていると上司はじれてきて、次のように言うはずです。「わかった。言い訳は後でゆっくり聞くから、結果はどうなったんだ。受注できたのか、ダメだったのか」また、自分の心配ごとばかりに気をとられて、要領を得ない報告をしてしまう人もいます。

たとえば、あなたが上司から3つの会社の資料入手を指示されていて「この間頼んだ資料の入手はどうなっている?」と問われたとします。その時、「B社からの資料は明日中には届けてくれることになっていますが、B社は過去にも約束を守らなかったことがありますので心配です。昨日も今朝も念押しのメールを入れてありますが、今になっても返事がありません。今、大変困っています」などと答えたらどうでしょう。これでは、残りの2つの資料がどうなっているのかわからず、上司の質問への答えになっていません。上司は「残りの2つはどうなっている?」と聞かざるを得ないことになります。

忙しい上司は言い訳や状況の説明より、結論を知りたがっています。報告に当たっては、「受注できませんでした」「3つのうち、2つの資料が入手できました。もうひとつは明日、入手できる見込みです」などと、まず結論を先に話しましょう。その上で時間があれば、経緯や状況の説明をするべきです。

03「事実」と「憶測」は分けて報告する

報告内容を事前にチェック上司を含む関係者に何かを報告する場合、事実を正確に伝えなければいけません。この場合の事実というのは、誰もが否定しようがない客観的事実のことです。報告者である当人はすべて事実として報告しているつもりでも、自分の意見・憶測が入っている場合があります。

早呑み込みの上司だと、報告者の報告内容をすべて真実としてとらえ、それを基にどうするかという判断をしてしまう恐れがあります。報告内容をあらかじめチェックして、客観的事実と自分の意見・憶測は分けて報告しなければいけません。不確定な情報はそのまま報告しないたとえば、工場で不良品が発生して次のような報告があったとします。

「今朝の急激な冷え込みのせいで、○○製品に××不良が全生産量の10%に発生しています」この場合、「○○製品に××不良が全生産量の10%に発生している」というのは客観的事実であるとしても、「今朝の急激な冷え込みのせいで不良品が発生した」というのは、事実かもしれないし、報告者の意見・憶測かもしれません。

口頭でこのような報告があると、そこに憶測が入っていたとしても、上司はすべてを事実のように受け止めてしまうでしょう。暖房を早めに入れて、作業場内の温度の低下を防ぐという対策を指示するかもしれません。このような報告をする時は、「○○製品に××不良が全生産量の10%に発生しております。これは私の憶測ですが、今朝の急激な冷え込みのせいではないかと思います」という具合に、「客観的事実」と「自分の意見・憶測」は分けて報告します。

そう報告すれば、上司は「君の憶測の根拠はどこにあるんだ?」という問いかけがしやすいですし、あわてて間違った指示を出すこともないでしょう。情報を鵜呑みにしない関係者から上がってきた内容を上司に報告する場合は、その内容の「精度・出所」を確認してから報告したほうがよいでしょう。

関係者に悪気はなくても、報告内容にその人の意見が入っていたり、勘違いなどで間違った内容になっていたりすることがあります。関係者の言ってきた内容を十分確かめず、すべてが真実であると自分で勝手に判断して上司に報告してしまうと、上司はその内容に基づいて、間違った対策を講じることになりかねません。これは、のちのち部下への不信に発展してしまいます。

人づてに得た情報は、確かな根拠がない限り事実とは言えません。関係者の言葉を鵜呑みにすることなく、「誰が言ってきたのか」「どこの情報なのか」「根拠となった事実は何か」を確認することが大切です。

04問われることを前提に報告に臨む わかりません」では評価されない

「指示・命令された事柄について適宜・的確に報告することは必要なことですが、事実をただ単に報告するだけでよいかというと、そうでもない場合があります。一般的に、上司に何かを報告した時「あっそう、わかった。ご苦労様」という答えが返ってくることがほとんどです。

しかし、何か好ましくないことが起きたことを報告すると、上司は「なぜそのようなことが起きたのか?」と、必ず理由を聞きます。さらに「では、どうしたらよいか、君の意見を聞かせてくれ」などと言われることもあるでしょう。上司から問われても「わかりません」の連続では、上司を怒らせることになります。

新入社員ならともかく、ある程度経験を積んだ社会人なら、多少でも厄介なことを上司に報告する場合は、問われることを前提に自分の意見なり、判断を持って臨むことが必要です。自分の判断・意見を持とう営業担当が「○○商品の売り上げが前月比20%落ちました」と報告すれば、上司は「なぜ、売り上げが落ちたのか?」と、必ず原因を聞いてきます。

もし、営業担当の主張する原因が腑に落ちない時は、さらにつっ込んで聞いてくるでしょう。説明に論理性があり、裏づけもとれていれば納得してもらえますが、当てずっぽうのいい加減な答えだと、上司の不信を買うことになります。報告する前に、なぜそのようなことが起きたのかという原因を正しく把握した上で、報告に臨みましょう。

そして、この事態に対して「では、どうしたらよいのか?」と問われることを想定して、「早急に次のように対処いたします。再発防止のためにはこの方法を考えております」と再発防止対策も提示できれば、上司は安心します。上司に問われる内容を想定して意見を整理して上司からなんらかの企画立案を命じられ、自分なりにベストと思われる案を用意して報告に臨んだ時、鋭い上司は「なぜこの案を考えたのか」「別の案はないのか」などと聞いてきます。

ここで、自分の意見が伝えられなければ、企画案は採用されません。上司を説得し、納得させるためには、「企画案の狙いはどこにあるのか」「他にどんな案があったか」「なぜ、この案を選んだのか」「採用した企画案を実行した際のリスクはあるか」など、あらかじめ上司から問われる内容を想定した上で、答えを整理してから報告しましょう。何か意見を求められた時、適切に答えることができれば、上司からは「あいつは頼りになる」という評価が得られ、信頼度が高まります。

05まずいことこそ早めに報告する ミスをひとりで抱え込まない

私たちは、結果がよかった時は関係者に喜んでもらいたいという気持ちも手伝って早めに報告しますが、結果が悪かった時の報告はつい遅れてしまいがちです。しかし、結果がよかった時は急いで報告しなくてもよく、悪かった時こそ早く報告するべきです。

なぜならば、好ましくないことが起きてもできるだけ早めに報告していれば、部下より権限を有する上司の立場で、なんらかの手が打てるかもしれないからです。反対に、土壇場になってからの報告では、上司でもどうしようもできないことも多いのです。

早めの報告で失敗を乗り切る私たちは問題が起こると、しばしば自分ひとりで解決しようとしてしまいます。自分で解決しようと頑張り、その結果、うまくいけばよいのですが、さらに状況が悪化することもあるでしょう。どうしようもなくなったところで上司に報告・相談に行くと、上司から必ず「なぜもっと早く報告してくれなかったんだ。報告がもっと早ければ手の打ちようがあったのに」と注意を受けることになります。

あなたがメーカーの資材の購買担当だったとします。自分の手配ミスで納期にAという部品が入らないことが判明した時、あなたならどうするでしょうか。自分でミスをカバーしようと、どうにかA部品を入れようとしても、一担当者の立場では限界があります。

一方、部下より権限のある立場の上司であれば、同時並行で手配しているBという部品のほうを後まわしにして、A部品を優先するという処置がとれるかもしれません。あるいは、生産部門に連絡して、A部品を使う工程を後まわしにするなど、生産ラインの組み替えが可能かもしれません。

ただし、このような対策がとれるのも、早い段階で状況を正確に報告した場合です。納期が間近になってからの報告では、上司といえどもどうにもできないことも多いのです。手配ミスなど、仕事上で何か失敗があったとしても、それは一時的なミスにすぎません。

素早く上司に報告して、善後策を講じることにより、その後の影響を最小限に済ませれば大きな失点にはなりません。しかし、自分だけでどうにかしようと報告・相談を怠ったことで、周囲に多大な迷惑をかけ、ひいては上位者の責任問題にも波及してしまうと、これは大きな失点です。

「バッドニュースは早めに、グッドニュースは後に」をモットーに、まずいことも早めに関係者に報告・相談しましょう。多少叱られることはあっても、上司は立場上、なんらかの指示や解決法を与えてくれるはずです。経験の豊かな人、権限の範囲が広い人であれば、失敗の悪影響を最小限に抑えることができるものと考えて、早め、早めに報告・相談しましょう。

06事実をごまかさず、正直に報告する叱責を恐れない

何か好ましくないことが発生して、上司に報告すれば叱られることが明らかであったとしても、事実を正直に報告して善後策を講じるべきです。一般的に好ましくないことをしてしまった時、私たちは責任を追及されることを恐れて、自分の責任に帰することを正直に言わないことがあります。とくに、責任感の強いきまじめな人ほど、自分でなんとかしようと頑張る傾向があります。

しかし、正直に話をしないと、上司には真実がわからず、場合によっては間違った判断をしてしまいます。小さな失敗が重大な問題に発展することもあるので、勇気を奮って正直に報告しましょう。過失を隠すと上司に迷惑をかける以前、兵庫県尼崎市で発生したJR西日本の車両の脱線により、貴い命が多数失われるという事故がありました。

電車が事故現場の手前の駅で、40メートルのオーバーランをしていながら、その電車の車掌は亡くなった運転士と口裏を合わせて、運転指令所にオーバーランは8メートルであったと虚偽の報告をしたそうです。オーバーランしたのは運転士の責任ですが、車掌が運転士の依頼があったからといってなぜそのような口裏合わせをしたかというと、車掌にも過失があったからだそうです。車掌は、停止位置を過ぎても電車が止まらないのに気づきながら、手元の非常ブレーキのスイッチを押すという車掌の本来なすべき行為を怠ったというのです。大幅なオーバーランで生じた遅れを取り戻すために、本来の速度を相当上回るスピードで電車を運転したことは、想像に難くありません。電車のオーバーランした距離が正しく報告されていれば、事故直後のJR西日本の記者会見時の対応は、異なったものになったはずです。うその報告は物事を悪化させる人間だから誰だって自分がかわいいですし、保身にまわりたい気持ちになるのは当然です。

しかし、前述の例のように、叱責されるのを恐れて、うその報告をしてしまうと、思った以上に大きな問題に発展し、場合によっては会社の存在を危うくさせてしまうこともあります。一度、うそをつくとうその上塗りをしなければならないことになりかねませんし、隠しても、うそはいつかばれるものです。真実が明らかになった時、上司の怒りの矛先は正直に報告しなかった報告者に向かいます。仕事上で失敗をすることは決してほめられたことではありませんが、人間ですから、時には失敗することもあります。失敗は失敗として勇気を奮って正直に報告すれば、叱責されることはあっても上司の判断を誤らせるようなことはありません。どんな場合も自責を隠すことなく、事実を正直に報告するよう、肝に銘じましょう。

07中間報告を怠らない

上司は実は気にしている仕事が終了したら、上司への報告は絶対必要ですが、仕事がまだ終了していなくても、ひと区切りついた時点で、中間報告をしておく必要があります。

上司から任された仕事が多少厄介な事柄であっても、完全にでき上がったら報告しようと思いがちです。そんな時、よく上司から「○○会社の件、どうなった?うまくいきそうか?」と報告を督促されることがあります。仕事を任せたといっても最終責任をとるのは上司ですから、気にしていないようで結構、進捗状況を気にしているものです。上司は進捗状況がわからないと不安を感じてしまいます。

タイミングよく中間報告があれば上司は安心するし、場合によってはアドバイスがもらえることもあるでしょう。間違った方向に進んでいたら、それを指摘してもらうことで軌道修正をすることもできます。組織内の仕事は連携プレーで進めていくことが多いので、進捗状況は上司にこまめに報告しておくべきです。

取引の信頼につながるお客様から何かを依頼され、その用件が多少でも長引くような時にも、やはり中間報告をしておきましょう。依頼された事柄に一生懸命取り組んでいても、相手にはこちらの状況は見えないことが多いので、適宜、的確な報告・連絡をするべきです。

とくに時間のかかる仕事を依頼された場合、中間報告を怠ると、相手を不安にさせ、最悪、顧客を失う場合もあります。実際、こんな話がありました。通信関係の会社が競ってある特定商品の加入者獲得に乗り出していた時のこと。大手のN社に次ぐK社の担当者Aさんが顧客であるS社を訪問したところ、先方の責任者にこう言われました。

「これまでのおつき合いからいけば、当然おたくにお願いするのが筋だが、N社にしてしまったよ。ウチがお願いしたことに対していつまでたっても返事がないので、おたくはウチみたいな小さい会社は相手にしないと思ったんだよ。それに引き換え、N社はすぐ返事をくれたから、お願いすることにしたんだ」Aさんは、「私どもは、御社から要望された5項目についていろいろな角度から慎重に検討していたのです」と説明をしましたが、「おたくでどのように検討しているかは、私にはわからない。なぜ途中で何かしらの報告をしてくれなかったんだ。それがあれば、おたくが真剣に検討しているということがわかって、それなら待とうということになったと思う」と先方の責任者に言われたそうです。

中間報告をすることは、進捗状況とともに、自分たちの努力している姿を伝えられるので、相手を安心させることにつながります。上司や取引先・お客様から報告の督促があるようでは、ビジネスマンとしては失格と心得て、タイムリーな報告を怠らないようにしなければいけません。

08「こんなことは」と思わずこまめに報告する

「気の利かない奴」と言われないためにこんな些細なことはわざわざ報告するまでもないだろうと勝手に思い込んで、報告を怠ることがあります。上司から「この文書を得意先のA社にFAXで送っておいてくれ」と依頼されたとします。このような場合、依頼された人は正しく送信したので、送信終了したことをあえて報告するまでもないと思いがちです。

ところが、依頼した上司はその送信したものをA社の担当者に見てもらいながら話をしようと思っていたとします。「先ほどの依頼されたものは先方にFAXしておきました」と報告すれば、上司から「ありがとう、では早速A社と打ち合わせする」と感謝を込めた言葉が返ってくるでしょう。

しかし、報告をしないと、上司から「さっき頼んだものは送信してくれた?」と聞かれることになります。「ええ、確かに送信しました」とあっさり答えようものなら、「そういうことはしっかり報告してくれよ!」と言われてしまうでしょう。そんなことが繰り返されると、そのうちに「あいつは気の利かない奴だ」というレッテルを貼られてしまい、信頼を損なうことになりかねません。

わざわざ報告しなくてもいいだろうという思い込みが、時として関係者の不信を招くことがあるのです。報告するか迷った時は、報告すべき上司は、部下が自分の指示した通りやってくれていると信用していても、何も報告がないと気になるものです。太っ腹に見える上司といえども、気の小さい人(神経質な人)であるとみなして、それをカバーするために部下のほうから気を利かせた報告をするべきです。通常、余計な報告というものはありません。報告するべきか否かで迷ったような場合は、報告するのが正解です。

たとえば、取引先を訪問した際、社内になんとなく落ち着きがなく、ばたばたしているような印象を受けたとします。さらに、以前の担当者の消息を確認すると最近辞めたとのことで、他の社員の表情も生気がないような感じがします。トラックの出入りもいつもより頻繁なようです。

こんな時、何かあるかもしれないと直感的に引っかかるものがあれば、帰社してから、上司に「私の杞憂かもしれませんが」と前置きした上で気になったことを報告しておくとよいでしょう。経験豊かな上司から「それはひょっとしたら最悪の事態の前触れかもしれないので、もう少し情報をとってみよう。貴重な情報をありがとう」と感謝されるかもしれません。

ちょっと気になるようなことがあったら、こんなことはわざわざ報告するまでもないだろうと思わず、こまめな報告に徹するべきです。報告が多いと「お前はマメだなぁ」と苦笑を浮かべながら言う上司はいるかもしれませんが、怒る上司はめったにいません。

「報告」とは

「報告」とは、仕事の経過や結果を上司やお客様などに伝えることである。報告には、指示された仕事の現況・結果を知らせる「義務としての報告」と、自分の聞いたこと、見たことを自主的に知らせる「情報提供としての報告」がある。

「ホウレンソウ」という言葉はいつから?

報告・連絡・相談を表す「ホウレンソウ」が広まったのは、昭和61年、当時の山種証券の社長であった山崎富治さんが、『ほうれんそうが会社を強くする』という本を世に出してからであるといわれている。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由①「認識のギャップがある」

部下は、「こんなことはわざわざホウレンソウしなくてもよい」と思っているが、上司は「当然、ホウレンソウがあるはず」と思っているなど、認識のギャップがあると、ホウレンソウは適切に行なわれない。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由②「明確な基準がない」

ホウレンソウすべき事柄と、そうでない事柄には、明確な基準がない。ある意味、人任せとなっているため、気の利かない人はホウレンソウがおろそかになる。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由③「タイミングがむずかしい」

相手が不在の場合はもちろん、忙しそうにしていたり、不機嫌な顔つきをしていたりすると、ついホウレンソウを躊躇してしまうことがある。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由④「すぐ怒る上司の存在」

何かまずいことをしてしまった時、それを正直に報告すると、烈火のごとく怒る上司がいる。その怒りの激しさや嫌味たっぷりのお説教が嫌で、部下はホウレンソウするのを躊躇してしまうことがある。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由⑤「責任問題に発展するのを恐れる」

何か好ましくないことが発生すると、自分の責任問題になることや、直属の上司、さらには会社に迷惑をかけてしまうことを恐れ、ホウレンソウしたがらない人が多い。

ホウレンソウが適切に行なわれない理由⑥「人はホウレンソウが嫌い」

人は、他人からあれこれ干渉されることを本能的に嫌うものである。仕事も、任された範囲内で自分の思い通りやりたがるので、ついホウレンソウを怠ってしまう。

コラム1自分勝手な判断はしない

●些細なことでも報告をある建設会社の北陸支店で実際にあった話です。ある日、支店長秘書の山口さんは、石井という男性からの電話を受けました。石井さんは「支店長はいる?」とくだけた調子で聞いてきます。「本日、支店長は外出しております」と答えると、「今日もゴルフかな?」と言います。山口さんは失礼な人だなぁと思いつつ、「支店長が戻りましたらお電話差し上げましょうか?」と答えると、「私も外出先なので、後で改めて電話するからいいよ」と、電話は切れました。

夕方、支店長が戻ってきた時に山口さんは、石井さんから電話のあったことを報告しようか考えました。しかし、「改めて電話するからいいよ」と言われたし、何よりも電話の調子で石井さんは友人のようだったので、「きっと今晩飲みに行こうという誘いか何かだろう」と勝手に判断して、あえて報告しませんでした。

すると数日後、山口さんは支店長から「石井さんから電話があったことをなぜ私に知らせなかったんだ!」と叱られてしまいました。支店長がある会合に出たところ、電話をくれた石井さんから、「この間、仕事の件でいい話があったので電話したんだ。その時秘書の人には『後で電話する』と言ったが、忙しくてできなかった。その後、あんたから電話があると思ったがなかったね」と言われたからです。山口さんは、自分で勝手な判断をしないで、きちんと報告しておくべきだったと深く反省したそうです。

 

【11】どんな報告のときも「結論から言う」のが鉄則

◆いつも「何が言いたいの?」と言われる……

部下「昨日B社に営業に行ったのですが、あいにく担当の方が不在でして、でも、代理の方が対応してくれたのですが、その方にはあまり今回のサービス内容をご理解いただけていないようでして……」上司「それで、何が言いたいの?」部下「えっと……契約が取れませんでした」このように、報告の最中に「何が言いたいの?」と上司から言われてしまった経験はないでしょうか?「結論から報告しないといけない」と頭ではわかっていても、言いづらい報告だとついつい結論を先延ばしにしてしまうものです。また、結論から報告したところで、上司は必ずその結果に至った過程を聞きます。それなら、「結論から話す必要はない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、部下から上司への報告の場面で、上司にとって一番関心のあることは「結論」です。業務が無事に完了したのかどうか、どのような結果になったのか、といったことに一番関心があります。ですから、まずは上司にとって一番聞きたい結論から伝えます。また、私たちに与えられた報告の時間は限られています。もし、あなたの報告の途中で〈時間切れ〉となったとしても、結論から報告し始めれば、一番重要なことだけは伝えることができるのです。

さらに、結論から報告することで、上司としてもその報告に対してどのくらい時間を割けばいいかを判断できます。このまま進めて良さそうであれば、3分程度で報告は終わるでしょうし、フィードバックが必要であると判断すれば、まとまった時間を取ることもあるでしょう。上司から次の指示を引き出すためにも、一番重要である「結論」から報告するようにしましょう。

◆報告を簡潔にまとめるポイント

「簡潔に話をまとめるのは難しい」と不安に思う方もいらっしゃるでしょうが、安心してください。簡潔でわかりやすい報告はたった3ステップでできるのです。この3ステップさえ押さえれば、上司に必要最低限の報告をすることができます。

ステップ1:何に関する報告なのかを伝える

ステップ2:結論がどうなったのかを伝える

ステップ3:今後の展開を伝える

では、3ステップ法を使った報告の例を見てみましょう。

このように、3ステップ法のあとに上司からの質問に答えるという形で進めれば、上司も重要な情報と知りたい情報だけ把握できますし、部下側としてもよけいにダラダラと報告する必要もなくなります。余分な情報を与えて上司を混乱させることもなければ、時間の短縮にもつながるので、仕事はより効率的に進められます。そのために、上司からの質問を想定し、どんな質問でも答えられるよう事前に準備しておく必要があるでしょう。

【12】「あの件どうなった?」と上司に聞かれたらオシマイ

◆仕事への態度を見られている

「仕事中に何度もミスをして上司に怒られた」「上司の力をたくさん借りてしまった」「期限がギリギリだった」そんな状態で仕上げた仕事であったとしても、最後にしっかり結果を報告できれば、あなたに対する上司の印象はかなり良いものになります。「ギリギリだったけどよく頑張ったな!お疲れ様!」と労いの言葉をかけてもらえたり、次回の仕事への期待の言葉ももらえるかもしれません。

しかし、ミスも失敗もなく、完璧に仕上げた仕事だとしても、最後の結果報告をしなかっただけで、評価を下げてしまうことがあります。まず、報告には「結果報告」と「経過報告」の2種類があるということを頭に入れておきましょう。「結果報告」とは、指示された仕事が完了したことを報告することであり、「経過報告」とは現在進めている仕事の進捗について報告することです。

たとえば、上司から議事録の作成を頼まれたとします。上司「議事録の作成は終わった?」部下「はい。すでに終わっています」一見、何の問題もないように思えますが、上司から聞かれて報告するようでは、信頼を勝ち取ることはできません。気難しい上司であれば、「終わったら報告するのが普通だろ!」と怒られてしまうかもしれません。

「せっかく頼まれた仕事を終わらせたのに、なんで報告しないことだけで怒られなきゃいけないのか?」と思うかもしれませんが、頼まれた仕事はあなた一人だけの仕事ではないのです。クオリティの高い仕事をすることはもちろん大事ですが、仕事が終わったことを報告できない人は、上司から「いい加減なやつ」という評価をされてしまいます。

逆に、7割のクオリティしか出せなかったとしても、きちんと仕事が完了したことを上司に報告できる人は、上司から「次も任せてみようかな」と信頼、期待されます。仕事もある意味、「終わりよければすべてよし」なのです。

◆結果報告までが業務

第1章でもお話ししたように、仕事は上司の指示から始まり、結果報告で完了となります。ですから、報告の前に、受けた指示内容を再度確認します。「納期は間に合っているか」「アウトプットの形は指示通りか」「口頭での報告でいいか」このように、指示内容と報告内容にズレがないかを自己チックします。

そして、報告の3ステップに沿って報告します。とくに、口頭での報告の場合には、抜け漏れを防ぐためにメモを持ち、間違えのないように報告しましょう。結果報告をする際に、絶対にしてはいけないのが「言い訳」と「苦労話」です。頑張ってやり遂げた仕事は、ついつい業務が完了するまでの苦労話や、うまくできなかった言い訳をしたくなる気持ちもわかります。

しかし、上司にしてみればあまり聞きたくない話です。上司から「今回の仕事を進める中で、最も苦労した点は何?」などと聞かれたのであれば別ですが、報告が長くなる原因にもなるため、絶対に避けるべきです。言い訳や苦労話は自分の評価を下げる原因にもなるので、心の中にしまっておくのが良いでしょう。上司はあなたの頑張りをきちんと見ています。

【13】「経過報告」が実は一番待たれている

◆こまめな報告で、すぐに軌道修正できる

第2章でもお伝えしたように、報告の目的は「報告内容をもとに上司が次の判断、指示をしやすくすること」です。この「次の判断、指示」ということを考えれば、仕事が完了したときに行う結果報告以上に、進捗状況を伝える経過報告が重要なのは一目瞭然です。前項で「『結果報告は大事』と言っていたじゃないか!」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、経過報告は上司が仕事の進捗状況を把握できるだけではなく、次の指示や方向転換の指示もしやすくなるため、事前にミスを防ぐこともできるのです。「結果が一番大事だし、いちいち途中で報告しなくてもいいのでは?」と、経過報告を面倒に感じることがあります。

でも面倒くさがらないでください。あなたにとってもメリットがあります。定期的に経過報告することで、これまでの仕事の進め方が良かったのか、悪かったのか、上司からチェックを受けることができます。軌道修正することができる絶好の機会でもあるのです。

また、上司の頭の隅にはあなたの仕事が常にある状態になるため、頻繁に気にかけてもらえるようになったり、優先的に話を聞いてもらえるようにもなります。経過報告をする際に、一番みなさんが悩むのは報告をするタイミングでしょう。経過報告をするタイミングは大きく分けて3つしかありません。次の3つのタイミングなら、適切な頻度、情報量で報告することができます。

・前もって決めていた、節目となるタイミング(中間報告、定期報告)

・予定外のことや、何か変化が起きたとき(環境や状況の変化、進め方の変更)

・悪い状況になったとき(ミス、トラブル、問題発生)

以上のタイミングで経過報告をすることで、上司から再度正しい指示を引き出すことができます。また、自分一人で進めてミスを起こしたり、報告せずに上司から怒られることもなくなるはずです。

◆「どのような情報があれば、次の指示がもらえるか」

考える経過報告では、現在までの結論に至った理由や、経緯が重要な情報となります。ですから、上司がどのような情報をほしいと思っているのか、どのような情報があれば判断や次の指示を出しやすくなるのか、考えた上で報告するのがポイントです。

経過報告では次の4ステップで話を構成します。結果報告の3ステップとほとんど変わらず、一つ段階が増えるだけなので難しくありません。

ステップ1:何に関する報告なのかを伝える

ステップ2:結論がどうなったのかを伝える

ステップ3:結論に至った経緯や理由を伝える

ステップ4:今後の展開を伝える

ポイントは、上司がどのような情報を求めているのか、どうして今のような状況になったのかの理由や経緯をわかりやすく話すことです。そして、あなたが考えている「今後の展開」とともに伝えれば、上司から適切なアドバイスをもらえるはずです。経過報告を通して、上司と頻繁にコミュニケーションを取ることで、ミスを防ぐことができ、上司の仕事の進め方まで習得できるのです。

【14】「悪い報告は早く」が信頼回復のカギ

◆「自分一人でなんとかしよう」は危険

「作業ミスがあった」「トラブルが発生した」「顧客からクレームがあった」毎日仕事をしていれば、このような出来事はつきもので、上司に悪い報告をしなければいけないことも多々あります。でも、やはり怒られるとわかっていると、悪い報告はしたくないものです。そうすると、このような考えが頭に浮かぶことはないでしょうか?「絶対に怒られるから、自分一人で解決してみよう」「解決してから報告でもいいよね……」「怒られたくない」「自分に対する評価が下がるのではないか」と不安になり、後回しにしたり、もう完全にアウトになった状態で報告した経験がある方も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、こうなっては上司としても打つ手がありません。もう手遅れなのです。コンサルタント時代、お客様からやんわりと来期の契約の継続を断られたことがありました。私は「そのお客様とは良い関係を保てていたし、今回は相手のニーズが変わっただけ」と自分に言い聞かせ、上司に報告をしませんでした。

しかし、もう手遅れな状態でこの件が発覚し、部長は大激怒。私はお客様を失い、上司からの評価も下げてしまったのです。若い頃の私のように、取り返しがつかないことになっては大変です。ですから、悪い中でもまだリカバーできる段階で、しっかりと正直に上司に報告するようにしましょう。「自分の力でなんとか盛り返せるだろう」「もう少し状況が改善してから報告しよう」などと、自己判断するのは危険です。かえって取り返しのつかないことになる可能性が非常に高いです。

◆チーム全体に迷惑がかかる可能性も

さらには、「なんでもっと早く報告しないんだ!」と上司に二重で怒られてしまう危険性もあります。それから、ミスを隠すなどということも、もちろんNGです。組織の中でミスを隠すことなど不可能です。隠していることがあとになってバレたり、ほかのメンバーから上司が聞いて発覚したり、という状況になれば、あなたに対する信頼はなくなり、評価も最低のものとなってしまいます。

ミスやトラブルは自分だけの問題ではありません。上司やチーム全体にも迷惑をかける可能性があります。「失敗しても、自分が責任を負えば済む」ものではないのです。悪い報告は1秒でも早くする。これが報告の大原則です。上司にしてみれば、悪い報告ほど早くほしいと思っています。そこで、まずはスピードを重視します。

それから、悪い報告ほど時間をかけて、詳細に伝えます。部下にとっては、悪い報告はできるだけ早く、簡単に済ませたいですよね。でも、ここはしっかりと丁寧に報告することが大切です。「得た情報をすべて伝える」というのが、悪い報告の原則です。包み隠さず、すべてを正直に報告しましょう。

悪い内容の報告をするときも、基本的には報告の3ステップに沿って行います。ただし、悪い結果が起こった原因が本人にあるような場合は、「申し訳ありません」というひと言から始めるとよいでしょう。

上司も感情で動いています。淡々と報告するだけではなく、反省の気持ちや謝罪の気持ちを持って伝えることが大切です。

【15】会議の邪魔をしても報告すべきときがある

◆お客様に関わること、緊急のこと……

「悪い報告は1秒でも早くしよう」と前項でお伝えしました。でも、上司が忙しそうにしていたり、イライラしている様子を見ると、つい報告するタイミングを見失い、とまどってしまうことはありませんか?しかし、そのような場合でも、悪い報告と重要な報告については、上司の都合とは関係なく報告して良いのです。

まずは、報告しようとしている内容がどれくらい重要なのかを考えてみましょう。重要な報告とは、「自分にとって重要」というよりも、「上司にとって重要」と思われる内容のことです。

つまり、お客様に関わる内容、他者への影響が大きい内容、緊急性が高い内容になります。たとえば、「大きな案件の受注が決まった」「イベント開催日程を変更することになった」「午後からのクライアントとの打ち合わせが1時間遅くなった」などが考えられます。「今報告したら怒られるかも……」と考えてしまうかもしれませんが、ここは勇気を持って「怒られてもいい」という気持ちで報告しましょう。

クレームやトラブルなど、内容によっては報告しなかったことで、かえって上司から怒られることがあります。若手社員にとって、上司の機嫌が悪いときに話しかけるのは、ものすごく勇気がいることです。しかし、上司がイライラを態度に出している場合でも、勇気を出して報告することが、チームや会社のミスをリカバーするきっかけにもなり、必ず感謝されるはずです。

◆待っていては取り返しのつかないことに

では、こんなケースではどうしたらいいでしょうか?課長は、次年度の課の方針を決めるために、社長とミーティング中です。とても大事なミーティングなので、課長からは「2時間くらいはかかるから、その間一切連絡してこないように」と指示がありました。

しかし、ミーティングが始まって1時間が経過した頃、先輩が担当しているお客様から電話が入ってきたのです。明らかに緊急を要する内容とわかるクレームでした。あなた一人では対応できるような案件ではありません。それに、担当者である先輩は休暇中でつかまりません。

社内にいる課のメンバーといえば、あなたとミーティング中の課長だけです。さあ、困りました。課長からは「連絡しないように」と言われています。このような状況であっても、すぐに課長に報告しましょう。おそらく、課長から「よく報告してくれたな。ありがとう!助かったよ」と感謝されるはずです。もし、「報告すべきか」「報告すべきでないか」迷ったときには、報告することを選ぶようにしてください。報告した場合のリスクと、報告しない場合のリスクとでは、比較にならないほどの違いがあります。

前項でお伝えしたように、手遅れになる前に報告することが重要です。「なんでもっと早く報告しないんだ!」と怒られるより、「なんで今報告するんだ!」と怒られるほうがまだマシですよね。上司の都合や機嫌を気にして重要な報告をせずに黙り込むよりも、そんなものは全部無視して、伝えるべきことは最優先で伝えることが正解です。

また、上司が休暇中、出張中の場合に報告すべきかどうか迷うこともあるでしょう。そのような場合は、上司と報連相の方法を決めておくことが理想です。しかし、そうした決めごとをしていない場合は、上司のさらに上の上司に相談します。同時に、上司の会社用のメール、携帯などにも連絡を入れておくといいでしょう。

【16】「だんだん」より「70%」、「後ほど」より「1時間後」

◆具体的であるほどインパクトがある

報告の3ステップや経過報告の4ステップに加えて、信頼され、わかりやすい報告をしている人たちには共通点があります。その共通点とは次の3つです。

  1. 数字を使って報告する
  2. あいまいな表現を使わない
  3. プラスイメージで伝える

まずは、数字を使った報告について見ていきましょう。報告する際に数字を入れるだけで、報告はグッとわかりやすく、説得力のあるものになります。「仕事がだいたい終わりました」と報告するのと、「仕事が70%終わりました」と報告するのでは、数字が入っている報告のほうが理解しやすいはずです。部下にとって報告は、これまでの仕事の成果を発表する機会でもあります。どうせなら、上司に評価されるような報告をしたいものです。

そこで、成果を数字にして伝えることを考えます。普通の報告「とてもたくさん売れました」成果を強調「1日10個売れました」これで成果が明確になります。さらに、この数字がどれだけ「変化」したかを伝えることで、効果はますますアップします。変化を強調「以前より3個多く、1日10個売れました」前回の報告からどれだけ変化があったのか、仕事が進んだのかを数字を使って具体的に伝えます。上司は改善された点、時間が短縮されたことなど、変化にとても関心があります。

部下の成長の証であり、それは上司にとっても喜ばしいことです。そして、もっと成果を強調したい場合は、このように報告する方法もあります。さらに変化を強調「以前より20個多く、1週間で70個売れました」1日10個、つまり1週間でいえば70個となります。結局、同じことを言っているのですが、大きな数字にはインパクトがあります。「10個」より「70個」のほうが、成果があったように感じてしまう効果があるのです。

◆「誰が聞いても誤解のない表現」を徹底

報告をする際に「後日ご連絡いたします」という言葉を使う方が多いようです。しかし、人によって解釈や判断基準などが異なる言葉は、極力避けるようにしましょう。「では、後ほど詳しく説明します」「後日ご連絡します」「予定より少し早めに到着予定です」言葉に幅を持たせたいときなど、つい使ってしまうかもしれません。相手もそうしたあなたの気持ちに配慮して、「後日改めてよろしくお願いします」と言葉を返してくれるでしょう。

でも、報告の場面ではもっと正確な表現が求められます。仕事に締切はつきものです。締切を決めないと、いつまでたってもその仕事を終えることができません。また、上司は自分やチームのスケジュールとの兼ね合いもあるため、すかさずこう返すでしょう。「後ほどっていつのこと?1時間後?」「後日って明日?それとも3日後のこと?」「少し早めって、どのくらい?5分前?10分前?」上司に正確な報告をするためにも、打ち合わせなどの段階からしっかりとした時間や日程を決めることを意識しましょう。正確な報告のためには、誰が聞いても誤解のない表現を使うことがポイントです。

◆「そこで」を使ってプラスイメージを

同じ内容の話をする場合でも、接続詞の使い方一つで印象が変わることがあります。たとえば、複数の広告代理店から新製品の販促企画案が上がってきたとします。部下「課長、A社B社C社からの販促企画案を比較検討しました。その結果、ウチにはC社の企画が最も適していると考えます。

しかし、当初の予算よりかなりオーバーしてしまいます」上司「んー。予算は決まっているからなぁ。それじゃ無理だな……」このように、「しかし」のような逆接の接続詞を使って、「肯定+否定」の話を展開すると、プラスからマイナスへのギャップが大きく、ネガティブな印象が強くなります。

そうすると、せっかくプラスの提案をしているのに、上司はその提案を聞き入れてくれなくなるのです。では、次のように「そこで」を使ったらどうでしょうか。部下「課長、A社B社C社からの販促企画案を比較検討しました。その結果、C社の企画が最も適していると考えます。そこで、当初の予算よりはオーバーするものの、実施すればかなりの売上増が見込めます」上司「お~そうか、わかった。では少し検討しようか!」可能な限り「肯定+肯定」の話にすることで、ポジティブな印象となり、その場の雰囲気も良くなります。

【17】書面の報告は「一瞬で見られる」ものに

◆報告書のフォーマットを持っておく

仕事が速く、周りからの信頼も厚い人の報告書はとにかく見やすく、内容がすぐわかる報告書です。

上司にとって、部下は一人だけではありません。複数の部下を抱えていると、なかなか一人ひとりの報告書にじっくりと目を通している時間を確保できません。読んでもらう報告書というより、「見てもらう報告書」を心がけましょう。

重要なのは、読み手の立場に立って情報を整理することです。そこで、わかりやすい報告書作成のポイントが3つあります。

①自分用の報告書フォーマットをつくる社内で規定のフォーマットがあれば、もちろんそれを使わなければなりませんが、とくに指定のものがなければ、A4サイズ1枚程度のフォーマットを事前に作成。報告のステップに沿ったものだと、わかりやすくなります。次にフォーマットの例がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

②文字を減らし、短い文で作成するまわりくどい表現はせず、文字数を減らして簡潔で短い文を心がけます。目安ですが、一文を60文字以内にまとめるといいでしょう。あまり「、」(読点)を打ちすぎると、文がつながって長文になるので、「。」(句点)を多くして、短文になるようにします。こうすることで、上司にはとても読みやすく、一文一文を理解しながら、ラクに読み進めることができるはずです。

③見やすいレイアウトを心がける見てもらう報告書のためには、文字の大きさを少し大きめにしたり、適度な行間を空けるなどして見やすさを追求します。そして、強調したい箇所については色文字にしたり、太文字にするなどして目を引く工夫も必要です。

◆メールは「件名」で開かせる

報告書と同じように、同じ内容のメールでも、すぐに開封してもらえるメールには共通点があります。それは、「報告内容がひと目でわかる件名」という点です。

  • 「ご報告です」
  • 「見積もりの件」
  • 「業務終了の件」

といった件名では、どのような内容のメールなのか上司は判断できず、開封するのも後回しになってしまいます。

まずは報告であることを伝えるため、「~の件」ではなく「~のご報告」とします。あとは、いつのことなのか、どのような報告内容なのかなど、簡潔に表現します。

  • 「12月1日(金)A社訪問結果のご報告」
  • 「新製品Zの価格決定のご報告」
  • 「●●業務完了のご報告」

このような件名であれば、上司もすぐに何の報告であるのかを理解することができ、後回しにされることなく、開封してもらうことができます。

また、メールでの報告は、報告書よりさらに文字数を絞って報告することがポイントです。そこで、箇条書きをうまく使うと良いでしょう。箇条書きのポイントは次の3つです。

  • 項目の順番は、時系列、重要度などで決める
  • 項目の内容は、大中小のレベルを合わせる
  • 項目の長さや表現方法は、統一感を持たせる

報告メールを作成するときには、箇条書きで、「時系列」か「重要度の高い順」に書くと、とてもわかりやすいメールを書くことができます。

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