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Part4代金決済と外国為替

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Part4代金決済と外国為替

Story4決済の決裁①代金決済②外国為替相場の基礎知識③為替変動リスクの回避COLUMN2関税率表は、複雑怪奇?Epilogue世界でビジネス!付録輸入で使う貿易書類

Part4代金決済と外国為替

①代金決済貿易取引の決済方法は、いろいろな方法があります。

すでにPart.3で出てきた荷為替手形を利用した方法、また送金の方法や相殺による方法(ネッティング)などがあります。

多くは、為替という「現金を用いないで決済する取引方法」を利用しています。

この代金決済では、荷為替手形を利用した決済方法を中心にお話しします。

1荷為替手形を利用した方法荷為替手形と為替手形とどう違うのかと、初心者の方はよく悩みます。

この“荷”というのは、「船積書類」のことで、インボイス、海上保険証券、船荷証券(B/L)、原産地証明書、包装証明書(パッキングリスト)、重量容積証明書などです。

これらの船積書類が、添付された為替手形を「荷為替手形」と呼んでいるわけです。

そして、貿易の決済用の荷為替手形といった場合、輸入者である為替手形の支払人が、その為替手形の支払いをしたところで、船積書類が輸入者に引渡されるというしくみになります。

為替手形とは手形には、約束手形と為替手形があります。

「約束手形」は、支払人が満期日に受取人に手形代金を支払うことを約束した有価証券です。

一方、「為替手形」には手形の振出人、名宛人・支払人、受取人という者が書かれています。

そして、振出人が名宛人である支払人に対して、受取人に手形代金を支払ってくださいと支払い委託をしたもので、約束手形と同様に有価証券です。

次に信用状取引で輸入者に呈示される一覧払いの為替手形のサンプル(次の図)を見てみましょう。

この為替手形は、右上部から20xx年にサンフランシスコで振り出されたものとわかります。

手形金額は左上部に数字で記載されるので、16,600米ドルです。

U.S.$16,600.00の最後の.00は端数ですので注意してください。

また、英文で(b)にも記載されます。

振出人、つまり輸出者は、SanFranciscoTradingCo.,Ltd.です。

この輸出者が信用状発行銀行であるTheTokyoCityBank宛てに、支払いを委託しています。

この場合、TheTokyoCityBankを名宛人と呼び、名宛人が支払人になります。

では、誰に支払うよう要求しているのでしょうか。

(a)をみてください。

Paytoに続き買取銀行であるTheBankofSanFranciscoとあります。

そして、続けてValuereceivedandchargethesametoaccountof~と書かれています。

このValuereceivedは、輸出者は、対価を受領済みだという意味です。

つまり、貨物の代金はすでに買取銀行であるTheBankofSanFranciscoから受け取っているというわけです。

だから、手形代金を買取銀行のTheBankofSanFranciscoに支払ってくれというわけです。

さらに、Drawnunder(d)TheTokyoCityBankTokyoBranchIrrevocableL/CNO.1234datedMarch,,20xxと記載されています。

これは、20xx年3月にTheTokyoCityBankの発行した取消不能信用状NO.1234に基づいて発行された為替手形であることが、記載されています。

一覧払いと期限付払い

信用状のしくみ(Part3『②信用状(L/C)の発行』)の中で、信用状発行銀行が送付されたこの為替手形の代金を、輸入者に請求する場面がありました(⑦)。

これは為替手形が一覧払いであることを前提としています。

一覧払いとは、手形が呈示されたら猶予なしに手形代金を支払わなければならない手形です。

この場合、手持ちの現金でポンと支払いができればいいのですが、輸入した貨物を売却し、売却代金で決済するという場合も考えられます。

そもそも為替手形には、一覧払い手形(AtSight手形)と期限付手形(ユーザンス手形:UsanceBill)があり、どちらを発行するかは、契約の際に取り決められ、信用状の条件にもなります。

ユーザンス手形ですと、手形の支払人は手形が呈示された後(一覧後)、指定された期間後に決済をするというしくみです。

例えば、at30dayssightと書かれている場合は、支払人が手形を一覧した時点では、将来の手形の期日に支払うことを約束し、一覧後30日までに支払うという意味です。

この将来の手形の期日に支払うことを約束することを「引受」と呼んでいます。

またもう一つの例が、at30daysafterB/Ldateと書かれるもので、確定日後定期払いと呼ばれているものです。

これは手形の引受を行い、B/Ldate後30日までに支払うという意味です。

信用状付きの取引の場合、ユーザンス手形を利用することは少ないですが、信用状を用いないで荷為替手形決済をする場合には、ユーザンス手形を利用することがあります。

D/P手形とD/A手形信用状なしの荷為替手形決済の場合は、信用状がないのですから、買取銀行が荷為替手形を買取るという場面は通常ありません。

ではどうやって現金化するのでしょうか。

信用状なしの一覧払い手形は、D/P手形と呼ばれます。

また期限付手形は、D/A手形と呼ばれています。

たとえば、輸出者が一覧払いの荷為替手形(D/P手形)を振り出し、取引銀行に取り立ての依頼をします。

今度は輸出地の取引銀行が、輸入地の銀行に取り立て依頼をし、それを受けて輸入地の銀行は、輸入者に荷為替手形を呈示します。

そして輸入者が決済をしたところで、船積書類を渡します。

一方、期限付手形(D/A手形)で取り立てがされた場合、手形が呈示され、輸入者が手形の支払いを引き受けると船積書類が引渡されます。

あとは、指定された期間までに支払いをすればいいわけです。

このように、輸出者であるシッパーから支払いが猶予をされているので、シッパーズユーザンスと呼んでいます。

つまりシッパーズユーザンスとは、銀行の信用を利用せずに、輸出者が直接、輸入者に輸入代金決済の支払い猶予を与えることをいいます。

このほか、後述の送金決済の場合の輸入代金の後払いもシッパーズユーザンスの一つになります。

輸入ユーザンスでは、輸入した貨物を売却し、売却代金で決済するためには、シッパーズユーザンスを使うしかないのかというと、そうではありません。

銀行を利用した銀行ユーザンスを利用する手があります。

信用状取引の場合、信用状発行銀行は、すでに買取銀行への決済は終了しているのが一般的です。

したがって、一覧払いの為替手形を決済できないときは、銀行から輸入者が融資を受ける形を取ります。

これを本邦ローンと読んでいます。

また、取立手形が一覧払いである場合にも、銀行から融資を受け手形決済をすることができます。

これは本邦ローンと区別してB/Cユーザンスと言っています。

このB/Cとは、BillforCollectionの略で取立手形のことです。

本邦ローンやB/Cユーザンスを利用した場合、輸入貨物は、銀行の担保物になります。

この担保物になった貨物を輸入者が船会社から引き取る場合には、銀行から貨物を借り受けるという方法を取ります。

具体的には、「輸入担保荷物保管証(T/R:TrustReceipt)」と呼ばれる借り受けの契約書などを差し入れます。

2電信送金及び送金小切手関連会社などとの取引や少額の取引の決済に多く使われる方法です。

輸入者にとって商品受領前に前払送金をする場合には、リスクを伴います。

電信送金これは、送金者である輸入者が、輸入地の銀行(仕向銀行)に送金を依頼し、輸出者に輸入貨物の代金を支払うものです。

送金の資金移動の指図と資金の流れが同じになるので、これを並為替とよび、また荷為替手形を利用した場合は、資金移動の指図と資金の流れが逆になるので逆為替と呼んでいます。

電信送金は①通知払い②口座払い③請求払いの3つがあります。

①通知払い輸出地の支払銀行(PayingBank)が輸入者の送金の到着を通知し、受取人に支払うというものです。

②口座払い支払銀行が、指定の受取人の口座に入金するものです。

③請求払いたとえば、受取人が口座を持っていない場合に使われる方法で、送金人から連絡のあった支払銀行に受取人が出向き、支払の請求を行うというものです。

送金小切手(D/D:DemandDraft)輸入者から依頼のあった銀行(仕向銀行)は、コルレス先である支払銀行宛の送金小切手を作成し、輸入者に交付します。

輸入者はこの送金小切手を輸出者に渡します。

輸出者は、これをもって銀行に出向き、決済します。

■コルレス契約とは銀行が外国にある他の銀行と為替取引を行うために必要な業務上の諸条件をあらかじめ定めたものをコルレス契約という。

また、この相手先の銀行をコルレス先という。

3ネッティング多くは、商社などの本支店間取引で使われる方法で、債権・債務が相互に発生する場合に、帳簿上で債権額と債務額を相殺し、その差額のみを決済する方法をネッティングといいます。

ネッティング決済によって、為替リスクと送金手数料を低減させることができます。

②外国為替相場の基礎知識新聞やテレビなどでは、今日の外国為替相場は昨日に比べ、円安ドル高になったとか、円高ドル安ということが毎日報じられます。

外国為替相場とは何のことでしょうか。

これは、異なる通貨と交換する場合の交換比率のことをいいます。

これを外国為替レートとも言います。

この相場は、その通貨の需要と供給で決まります。

円が安全な通貨と世界中から見られれば、世界中で買われます。

その結果、品薄になり円の価値は上がります。

これが円高です。

外国為替市場というと、その市場はどこにあるのだろうと思うでしょう。

テレビなどで映し出される市場の風景は、実は外国為替市場ではありません。

通貨を売買している銀行や短資会社の風景を映しているのです。

この外国為替市場という場所はありません。

銀行や短資会社は、ネット回線でつながれており、このネットワークの中で通貨の売買が行われており、このネットワーク全体を外国為替市場と呼んでいるのです。

1売相場と買相場外国為替相場には、銀行間や短資会社(為替ブローカー)との間で行われる取引があり、これはインターバンク取引と呼ばれています。

この取引は、通貨の需要と供給で相場が変動します。

この1日のうちでも相場が変化するインターバンク相場を銀行がそのまま顧客に適用していては、大変です。

そこで銀行は1日のみの固定相場を定めて、対顧客相場として適用し、輸出入者はこの対顧客相場を見て銀行と取引をします。

ところで、この相場表を見ると「売相場」、「買相場」という言葉が出てきます。

この「売る」、「買い」は、銀行から見た表現です。

銀行が外貨を「売る」とか、外貨を「買う」という意味です。

たとえば、アメリカ合衆国から輸入した貨物の代金をドル建てで決済する場合、輸入者は、「買相場」を見たらいいのでしょうか、「売相場」を見たらいいのでしょうか。

輸入者は、円をドルに換えて輸出者に払います。

そうすると、銀行からドルを買うことになります。

これを銀行から見るとドルを売ることになるわけです。

だから、「売相場」を見るのです。

では、逆にアメリカ合衆国に輸出し、輸出代金をドル建てで決済された場合どうでしょう。

輸出者は、ドルを円に換えようとします。

つまり、銀行から見ればドルを買うことになりますから、「買相場」が適用されるのです。

対顧客相場には、直物(SpotRate)と先物(ForwardRate)があります。

直物レートとは、今現在のレートです。

先物レートは、将来の相場です。

先ほどのアメリカ合衆国から貨物を輸入した場合、円をドルに換えるとお話ししました。

この場合は、「売相場」を見るのでしたね。

今すぐ円をドルに換えるとなると、直物売相場が適用されます。

しかし、輸入者は、直物だと為替リスクが発生すると考え、将来発生する決済のために、今のうちに為替予約をしようと考えた場合に、適用されるのが先物売相場です。

輸入者は、受け取る外貨に対し、円の価値が高い方が有利に働きます。

つまり、円高になったほうが円安の場合よりも少ない円で決済できるため有難いのです。

だから、将来、円安になってもリスクを被らないように先物売相場のレートで為替予約をすることがあります。

3対顧客相場表の読み方対顧客相場仲値対顧客相場表を見てみましょう。

相場表の真ん中に「対顧客相場仲値」があります。

この相場表にあるすべてのレートの基準となるものです。

このレートは、当日のおよそ午前10時のインターバンク相場の直相場を参考に決められ、通常は当日のこの相場が適用されます。

外国為替相場表では、117.72円が対顧客相場仲値です。

この仲値より上にあるのが売相場で、これらの相場は、輸入決済に関係があります。

また、仲値より下にあるのが買相場で、これらの相場は、輸出決済に関係があります。

では、輸入者側に関係のある売相場について説明しましょう。

TTS(電信売相場)輸入者が円を売り、外貨を買い電信で海外送金をする場合に適用される相場です。

銀行からみれば、外貨を売ることになります。

この場合のレートは、この表では118.72円になります。

このレートは、対顧客相場仲値+銀行のマージンです。

この表から1円のマージンだということがわかります。

アクセプタンス・レートアクセプタンス・レートは、一覧払輸入手形決済相場のことです。

このレートをお話しする前に、信用状取引の流れをもう一度思い出してください。

輸出者側の買取銀行が、輸出者の振り出した荷為替手形を買取ったとしましょう。

この場合、買取銀行に信用状発行銀行の口座があり、両者の銀行間の為替契約(コルレス契約)に基づいて買取と同時にその信用状発行銀行口座から資金を決済した場合を想定してください。

信用状発行銀行の口座から引き落とした日を6月1日とします。

その後、荷為替手形は信用状発行銀行に郵送され、輸入者へ呈示され、輸入者は6月12日に決済しました。

この場合、信用状発行銀行は手形代金を12日間立て替えていたことになります。

この立て替え期間は、ちょうど融資をしていることと同じですから、信用状発行銀行は、この期間中の金利も徴収する必要があります。

この期間は、荷為替手形の郵送期間になるのでメール期間と、またその間の金利をメール期間金利と呼びます。

対顧客相場表では、118.91円となっています。

つまり、メール期間金利が1ドルにつき0.19円含まれたレートなのです。

これから分かるように輸入者が手形決済をする場合、金利が自動的に上乗せしたレートが使われるのです。

CashSellingRateこのレートは、例えば、海外旅行に行くときに円のキャッシュからドルのキャッシュに両替するレートです。

対顧客相場表では120.52円です。

対顧客相場仲値を1ドルの仕入れ値とすれば、1ドルにつき2.8円の利益があり、CashBuyingRateを仕入れ値とすれば1ドルにつき5.8円の利益があるということになります。

輸出に関係のあるレート次に輸入の場合は、適用されませんが、買相場についても簡単に説明しておきましょう。

・TTB(電信買相場);これは、対顧客相場仲値から1円マイナスした金額です。

たとえば、国からドル建てで送金があった場合(被仕向送金)で、銀行がこのドルを購入する場合のレートです。

・A/Sレート(一覧払輸出手形買相場);買相場でも同様に、銀行にメール期間の資金立替が発生するため、その間の金利をあらかじめ織り込んだレートです。

信用状付一覧払輸出手形の買取等の場合に適用します。

・期限付手形買相場(UsanceBuyingRate)銀行が輸出者から信用状の期限付手形を買取った場合の相場です。

③為替変動リスクの回避例えば、1ドル110円だった時に5千ドルの貨物の輸入契約を行い、これを基に損益計算をしていたところ、輸入貨物の決算時には、円安に移行し1ドル117円になったとしましょう。

当初支払は、550,000円と考えていたのですが、円安になり585,000円に跳ね上がってしまいました。

このように為替変動で採算割れや利益圧迫などが起こる可能性があります。

これを為替変動リスクと言います。

この為替変動リスクを回避する方法は、つぎのような方法が考えられます。

①円建てで取引を行う。

円建てで行えば為替変動リスクはありません。

②為替予約を行う。

将来のある時期に、あらかじめ予約されていた相場で所定金額を受け渡す契約をするやり方が為替予約です。

輸入者が手形決済を行うときに円安になっていても輸入決済のための為替先物予約を行っていれば為替変動リスクは回避されます。

③リーズアンドラグズ(Leads&Lags)決済時期を早めたり遅らせることにより、為替リスクを回避しようというものです。

④通貨オプション:通貨を売ったり、買ったりする権利(オプション)を売買する方法で、主に大口取引に利用されます。

関税率表は、複雑怪奇?関税率表(タリフ)を見ると、一つの物品に対し、上記のように、基本税率、協定税率、特恵税率、暫定税率といくつもの税率が規定されています。

実は、このほかにもFTA(自由貿易協定)を締約している国に対しては、協定で決められたFTA税率があります。

上の基本税率、特恵税率、暫定税率は、日本の国会で決めた税率で、国定税率と呼ばれています。

この中の特恵税率は、開発途上国・地域のうち、日本が定めた特恵受益国の原産品に対しての税率です。

そして多くの場合、通常の実行税率よりも低い税率であるか無税です。

特恵受益国以外の国定税率内では基本税率か、あるいは基本税率と暫定税率の2つが定められている場合は、暫定税率が適用されます。

次に協定税率はWTO(世界貿易機関)で定めた譲許税率です。

これは、WTOの加盟国や地域からの輸入について、この税率を超えて課税してはならないというラインです。

では、仕出港も原産地もフランス(WTO加盟国)と想定して、実際に上の表でどの税率が適用されるか見てみましょう。

貨物Aの国定税率は暫定税率の4%が優先します。

協定税率と比べると暫定税率4%<協定税率5%ですから、暫定税率の4%が適用されます。

また貨物Bの国定税率は基本税率の8%です。

基本税率8%>協定税率6%ですから、協定税率の6%が適用されます。

そして、もし国定税率=協定税率となったときは、国定税率は協定税率を超えていませんから、国定税率が適用されることになります。

片山立志(かたやまたつし)1952年生まれ。

東京都出身。

東京都民銀行などを経て、現在、株式会社マウンハーフジャパン代表取締役社長。

日本貿易実務検定協会理事長。

嘉悦大学経営経済学部非常勤講師。

金融法学会会員。

主著に、『図解貿易実務入門(第3版)』『グローバルマーケティング』(税務経理協会)、『改訂版絵でみる貿易のしくみ』『通関士試験合格ハンドブック』『どこでもできる通関士・選択式徹底対策』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

(URL)http://www.maunharf.co.jp〒220‐8144神奈川県横浜市西区みなとみらい2‐2‐1横浜ランドマークタワー44階株式会社マウンハーフジャパン内

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