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Part1輸入商品・取引先の選定

…はじめに…本書は、輸入の貿易実務をメインにわかりやすくマンガで学んでいただくものです。

今回は、貿易実務の「ぼ」の字も知らない主人公である瑞希さんが、上司のパワハラに負けずに、ちょっとあやしい貿易コンサルタントのマイクに助けられ、無事、会社の新規事業である輸入部門を立ち上げるというストーリーです。

マンガのストーリーを読み、私の解説本文を読んでいただくことにより、輸入貿易のしくみが見えてくると思います。

まずは、輸入貿易のしくみの全体像を見ていただきます。

貿易は、国際間の売買取引です。

そのため、国内取引とは、異なるいろいろなリスクが存在します。

貿易実務を学ぶことにより、貿易を行う際のリスクを最小限に押さえることができます。

これらは、先人たちの知恵と経験から生まれた「しくみ」です。

この「しくみ」は、貿易環境の変化にあわせ、改良されていきます。

つまり、貿易実務の「しくみ」は、経済活動の中で生命力を有するもの、生きているものだとイメージするといいでしょう。

ですから、環境の変化に順応しながら将来に向かってあり続けるのです。

ところで、環境の変化に順応という場合、色を変えるのか、形を変えるのか、いろいろな順応の仕方があります。

つまり、この順応は、「オリジナル(原形)」に対し、その何か(色や形など)を変えていくのです。

そのため、この「オリジナル(原形)」を知っておかないと応用が利かないのです。

本書は、この「オリジナル」にあたる部分を瑞希さんと共に学習していただこうと考えました。

これが「基本」となるわけです。

輸入をテーマに書きましたが、輸入は、輸出と異なります。

輸入商品は、国内で使われるものですから、消費者などの需要者に売るためのマーケティングは、国内を対象としたものです。

商品も日本の風土にあったものを提供しなければなりません。

また、国内の法令で定められたさまざまな規定を遵守しなければなりません。

さらには、関税や消費税などの税金も課されます。

輸出の場合とは異なり、輸入者は納税義務者としての税務知識も必要です。

また為替リスクの観点から言えば、輸入の場合、円高水準であれば、いいのですが、円安傾向になるとリスクが高まります。

輸出の場合と真逆です。

このような輸入独特の考え方をお話ししていきましょう。

輸入実務について間もない方、これから輸入を考えている方、貿易実務検定を挑戦したい方など本書を活用していただきたいと思います。

2017年3月吉日片山立志

マンガでやさしくわかる貿易実務輸入編CONTENTS

目次

はじめに

Prologue貿易と輸入Story0はじめての輸入は泥船出航!?①貿易の流れ②輸入とモノ・カネ・カミ③貿易取引のリスク

Part1輸入商品・取引先の選定

Story1商品選びと戦略①取引先を探す②マーケティング戦略③競争戦略④輸入の損益分岐を考える⑤取引先の確定COLUMN1国内産業保護と関税

 

Prologue貿易と輸入

①貿易の流れ

突然、輸入の仕事を任されるようになってしまった瑞希さんですが、マイクのような人に手伝ってもらえない限り、いきなり一人で輸入ができる人はそういないでしょう。

簡単に輸入といいますが、そこにはさまざまなルールや手順があります。

まずは、「そもそも貿易とは、輸入とはどういったものかということから学んでいきましょう。

「貿易」とは異なる国同士で物品の売買取引を行うことをいいます。

そして、外国に物品を売るのが「輸出」、外国から買うのが「輸入」です。

本書では1章からこの輸入について学んでいきます。

この「貿易」の取引については、国同士のさまざまな違いから各業務にトラブルが起こらないように、条約や法律、国際機関による規則などが定められており、それらを守りながら業務を進めることが必要です。

次の図が大まかな貿易の流れです。

①の売買契約に始まって、ちょうど⑯の矢印が「外国貨物の引渡し」となり、輸入の完了となります。

そこに至るまでにさまざまな道を経て、輸入貿易が行われるのがわかるかと思います。

こうした手順を円滑に進めるための各種手続きの実務を行うことを「貿易実務」と呼んでいます。

輸入の場合、さらにこの前段階として市場調査などがあり、そこから売買契約を結んで貿易取引が始まり、代金の決済、貨物の受取と進んでいくのが主な流れなのです。

②輸入とモノ・カネ・カミ「貿易」は、国際間の売買契約により行われるものです。

この売買契約が成立すると、契約に基づいてモノ、カネ、カミが国際間を流れます。

この「モノ、カネ、カミ」が貿易取引の流れを理解するキーワードになります。

では輸入において、それらが国際間を実際にどう行き来するのかをもう少し具体的にみてみましょう。

モノとは、輸入する貨物のことです。

貨物(モノ)は、輸出者から輸入者へ流れます。

貿易契約に沿って、輸出者により貨物(モノ)は輸出港で船積みされ、日本に向けて出発します。

日本に貨物(モノ)が到着すると、いよいよ輸入者の出番です。

現在、多くの貨物がコンテナ船で運ばれていますが、そのコンテナ船を迎えてくれる波止場が、コンテナヤード(CY)と呼ばれる場所です。

貨物(モノ)は、ここから日本の市場へと流通していきます。

コンテナ・ヤード(CY)に到着した貨物は、コンテナ船から通称キリンと呼ばれるガントリー・クレーンで降ろされ、輸入者の元に運ばれて、市場に流通するのです。

貨物(モノ)の流れには、主に船会社、航空会社、荷役業者などがかかわります。

国際貿易の場合には、輸出国、輸入国においてそれぞれ、税関による検査などがあります。

次にカネです。

つまり、商品代金を国境を越えてどのように支払うのかという決済資金の流れです。

輸入の場合、買手である輸入者が売手である輸出者に、モノの代金を支払うわけです。

この場合、現金そのものが流れるということはほとんどでありません。

ジュラルミンケースに札束を入れて決済に臨むことは、まずありません。

では、どうするのかと言うと、多くは為替というしくみを使うのです。

為替というのは、現金そのものを動かすのではなく、資金移動の指図を行うことにより資金を移動させる方法です。

例えば、送金による決済の場合も、これから学ぶ信用状(L/C)を利用した決済の場合も皆、この為替という方法を利用しています。

このように、カネの流れは、国際間の為替(外国為替)のしくみを学ぶことにより理解できるのです。

そして、カミの流れです。

この紙の流れは、貿易書類の流れで少々複雑です。

契約、輸出者による船積準備、輸出通関・船積、輸入通関、貨物の受取、外為法による輸入(承認・許可)申請など、それぞれの場面で書類が作成され、流れます。

つまり、契約から始まり、船積手配、輸出入通関を経て、市場に流通させるため必要な書類がカミなのです。

カミは、モノやカネの流れの潤滑油のような役割を担っています。

作成する書類の数も多くあります。

しかし、近年は、タイプで書類を作成することに代わり、電子情報処理組織を利用してやり取りが行われる場面も増えてきました。

例えば、輸入通関の際には、輸出入・港湾関連情報処理システムであるNACCS(ナックス)が利用され、ペーパレスで業務が流れています。

カミの流れから情報の流れに置き換わっています。

このような傾向は、さらに強まっていくでしょう。

③貿易取引のリスク貿易は、海外の業者と取引をするのですから、いくら素敵と言っても国内取引には、あまり見られないリスクも伴ってきます。

「納期に間に合いそうもない」「輸入した商品が傷だらけ」「貨物を開けてみたらすべて偽物だった」ということだって起こり得るのです。

実は、貿易実務を勉強するというのは、結果としてこのようなリスクをいかに軽減していくかを学ぶことなのです。

まずは、本書でこのグローバルなしくみやルールのABCを学んでいき、これから先のいろいろな経験のための基本知識としましょう。

Part1輸入商品・取引先の選定

①取引先を探す「海外と取引をする」なんて、とても夢のある話ですね。

自分の気に入った商品を日本に輸入し、商売を始めるなんて素敵なことです。

今は、海外旅行もずいぶん安く行けるようになりました。

ですから、直接、現地に赴いて買い付けをするというのも夢ではないと思います。

しかし、利益を出さなければビジネスとして成り立ちません。

しっかりとした調査なしの輸入は、マイクが言っているように「海図を持たずに航海にでるようなもの」ですから、その検討をしっかりとすることが輸入成功の鍵となります。

次の図は取引先の選定までのフローです。

貿易では輸入者をバイヤー(Buyer)、輸出者をセラー(Seller)といいます。

バイヤーのあなたは、輸入しようとしているものが、本当に売れるものなのか、消費者に必要とされているものなのか、需要を喚起すれば相当数売れるものなのか、気になるでしょう。

いくら無事に輸入出来ても、その商品が売れなければ大きな損失になってしまいます。

自分がいいと思っても売れない、ということは多くあります。

また、取引先は本当に信用できる相手かという不安もあります。

そうしたことを回避するために、市場調査、取引見込み先の信用調査、輸出国情報など、輸入する商品に対して日本で売ることができるかどうかを調査する必要が出てくるのです。

国内で競争相手になるのはどこの商品か、また、どのようなチャネルで販売していけばうまくいきそうなのか。

値入はどうするのか、市場はブルーオーシャンなのか、など日本国内での市場調査は重要です。

この市場調査の結果を参考に、輸入して採算が合うかを判断していきます。

②マーケティング戦略輸入ビジネスで成功するためには、計数管理が必要です。

そして、またビジネスを成功に導くしくみづくりであるマーケティング戦略も重要です。

輸入の場合、海外商品が日本で売れるものかどうか、をしっかりリサーチしなければなりません。

そのためには、日本国内のマーケティングが欠かせません。

市場調査により、「モノ」を商品化したり、これを市場でどのように販売していくのかなどを練ります。

基本的には、商品(Product)、価格設定(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の戦略を立てます。

これらを頭文字のPをとって、マーケティングの4Pと呼んでいます。

それぞれの戦略については以下で説明しますが、これらの戦略を組み合わせ効果的な方法をとります。

これをマーケティング・ミックスと呼んでいます。

1商品戦略外国のその商品を日本の市場に持ってきた場合、果たして商売として成り立つのかを考えます。

外国では非常に人気があり、一見素晴らしい商品でも、そのままでは日本人の嗜好、規格、サイズ、品質、デザインが合わないことはよくあります。

このような場合、日本人のニーズ、ウォントにあった商品に改良する必要があります。

開発輸入の可能性も探る必要もあるでしょう。

さらには、外国製品を自社ブランドにして輸入したいという場合には、OEM輸入も考えます。

また、商品のライフサイクルも考慮します。

輸入の商品戦略は、日本国内での戦略なのです。

2価格設定コスト(費用)の面から採算性をベースに、競合他社の状況や市場の動向を考え、売れる価格を設定します。

輸入品の価格設定の一般的なやり方に「コストプラス方式」があります。

次のように外国の商品が国内の小売業者にわたるまでの諸費用をだし、小売価格を算出する方法です。

もっともこの方法は、輸入者だけの視点で設定された価格なのですが、輸入品のコストを知る上で、重要な方法です。

具体的にどのような費用が加算されるのか、見てみましょう。

日本に貨物が到着するまでの価格日本に貨物が到着するまでには、貨物自体のコストのほかに運送関連費用や海上保険料がかかります。

これらの費用をすべて入れた価格(CIF価格またはCIP価格)を算出します。

税金等日本市場に引き取るには、輸入税(関税・消費税・地方消費税など)が課税されます。

日本、到着後の荷役費用等貨物が日本に到着すると船から荷卸し、保税地域であるCY(コンテナヤード)や倉庫に搬入されます。

このときに陸揚げ費用。

倉庫保管料、検査料、保税運送費用、通関に係る費用が発生します。

輸入業者の経費や一般管理費輸入業者の通信費、銀行借り入れの金利、人件費などの費用、輸入者利益など諸経費がかかります。

小売業者の経費や一般管理費小売業者の手に渡るまでの国内輸送経費などが発生します。

小売業者の利益からまでが小売業者にとって仕入原価になるわけです。

これに利益分(値入額)を加算します。

この値入額は、仕入時に計画した利益額です。

価格設定の戦略は、どの程度の利益を確保して最終的に価格を設定するかが重要です。

コストプラス方式は、あくまで、小売業者のコストだけを基準とした価格設定です。

戦略として、コスト、需要、競争を総合的に判断することや、より利益を確保するためにコスト削減もあわせて行うことが必要となります。

それでは、価格設定の総合的な判断をするための要因は他にどのようなものがあるのでしょうか?コストは、輸入者側の内部要因です。

内部要因にはこのほか、マーケティング・ミックス要因、マーケティング目標、経営資源要因があります。

例えば、輸入商品が食料品や日用品などの最寄品なのか、家具などの耐久品や趣味用品などの買回品なのか、宝石などの専門品か、という製品の種類や特性などを考慮することはマーケティング・ミックス要因の一つです。

またマーケットシェアでの最大化を狙うのか、利潤の最大化を狙うのか、というのがマーケティング目標です。

そして設備、ノウハウなどその企業そのものの経営資源(リソース)なども価格設定の要因になります。

一方、国内の需要、市場、競争、法的規制などの外部要因も存在します。

これらは価格設定の上での要因になります。

また、コストプラス方式の他には以下のようなものがあります。

まず、消費者がその商品に対してどのくらいの価値を認めているかという視点で決定するのが需要志向型価格設定法です。

消費者は、その商品の必要性の大小や自分が負担するコストと、それによって得られる価値を比較考量し、コストより商品価値の方が大きいと思ったときにその商品を購入します。

この消費者行動からわかるように、品質やサービスに加え、価格も消費者を満足させるものでなければなりません。

消費者が商品やサービスに求める価値を追求し、消費者に満足感、充実感、安心感、納得感を与える価格設定方法が、一般的です。

次に、競争企業が設定している価格を参考に、同レベルの価格にしたり、追随したりする方法が競争志向型価格設定法です。

あくまで、競争企業の価格を重視する方法で、コストや需要を考慮しないやり方です。

さらに、コスト、需要、競争の要素の他に心理的な要素を加味して価格を設定する心理的価格設定方式もあります。

特に、高級品などについては、消費者に品質の良さを印象付けるために高価格を設定することがあります。

これを名声価格と呼んでいます。

3販路(流通チャネル)流通チャネルは、商品を消費者の元に届けるための経路のことをいいます。

日本では、販売商品が小売業者にたどり着くまで外国とくらべ多くの段階を経ることに特徴があります。

輸入製品が、一次問屋(卸売業者)から二次問屋(卸売業者)を通り、小売業に渡り、消費者の元にたどり着くというわけです。

輸入者が直接、消費者に販売する方法には、どのようなものがあるでしょうか。

①アンテナショップを構える(店舗)②訪問販売、カタログ販売、マス媒体による通信販売、インターネットによる通信販売を行う。

瑞希さんは、新規事業としてアンテナショップを構える計画なのでしょう。

アンテナショップの場合、直接販売により消費者の生の声を聞くことができますし、消費者の購買動機を直接知ることができ、マーケティング戦略を行う上で重要な情報になります。

また、輸入者自身が販売代理店を募集し、そこを通して販売するとか、あるいは輸入者がフランチャイズ・チェーンをつくり、フランチャイジーを募集し、全国展開するというようなことも考えられます。

これらの方法ですと、コストを抑えて販売場所を拡大することができるという特徴があります。

もっとも、代理店やフランチャイジー(加盟店)に加盟したいと思わせるには、相当に魅力的な商品であり、付加価値がなければならないでしょう。

そして、また他社と差別化できるような商品とサービスでなければなりません。

4販売促進商品の存在や効用・利点などをコミュニケーションによって、市場・顧客に伝達し、顧客のニーズに訴え、潜在ニーズを掘り起こすのが、販売促進(プロモーション)です。

販売促進戦略には、プル戦略とプッシュ戦略があり、これらを巧みに混在させています。

プル戦略消費者の指名買いを促進させる戦略です。

この戦略は、ブランド選好があり、差別化しやすい製品にはもってこいの戦略です。

具体的には、マス媒体を使った広告、インターネット広告、パブリシティがあり、さらにはこれらを補完するダイレクトメール(DM)、チラシ広告、ポスターなどを使用し行います。

また最近は、SNSや口コミサイトを活用している例もあります。

さらに、ニュース性、話題性のある商品であれば、ニュースや記事で取り上げられることもあります。

これがパブリシティです。

このような手段を使い、どのように消費者に指名買いしてもらえるか戦略を練るのです。

プッシュ戦略直接、人的販売を通し消費者に製品を販売していく戦略です。

差別化しにくい製品などについて行われるものです。

人的販売は、次のような業務により行われます。

◎販売創造業務新規顧客を開拓し、さらには需要を創造するものです。

◎販売維持業務既存顧客との関係を維持し、リピート需要を確保するものです。

◎販売支援業務例えば、輸入商品を代理店を利用して販売するような場合、自らも代理店のために支援し、援助するものです。

◎技術・専門的業務顧客の要求に応じて専門家が訪問し、顧客の抱える問題を解決するもので、一般にセールス・エンジニアと呼ばれています。

小売業の場合、イベントで集客し、デモンストレーションを行い、さらに購入する顧客にプレミアムをつけたりするのがプッシュ戦略です。

そのほか、小売店の場合、陳列も重要です。

視覚的効果を狙った陳列(ビジュアル・マーチャンダイジング)により、商品のコンセプトを訴えることも重要です。

これらのプル戦略・プッシュ戦略を組み合わせ効果的なプロモーションを行います。

③競争戦略1競争優位性を築こう輸入商品がブルー・オーシャン商品であれば、競争相手もいないので、とりあえずは先行メリットが見込めます。

もし、この商品が日本の消費者にマッチし、爆発的に人気商品になったとしましょう。

そうすると、どこからともなく同業者、類似する事業を行っている者、内部の者などが、参入を狙ってきます。

ヒット商品には顧客だけではなく、いろいろな所からいろいろな業者が集まってきます。

また、輸出元から原材料の高騰などを理由に値上げを要求されたり、買手から品質・サービスの向上について要求されたりします。

そこで必要なのが、彼らの参入や要求をいかに阻止するのかということです。

つまり、競争障壁をいかに築くかが、需要なポイントになります。

できるだけ高い壁を作り、簡単に乗り越えられないようにします。

技術、デザイン、付加価値などで独自性を発揮し、他社との差別化を鮮明に打ち出し、競争優位性を獲得することや特許権、商標権、意匠権などの知的財産権の国内の専用実施権を取得するなど、独占的な地位を取得することも有効に働くでしょう。

また、低価格戦略を実現したり、市場を細分化して特定の顧客、地域に集中することにより、競争上の優位性を高めることも考えられます。

2競争市場戦略著名なマーケティング学者であるコトラーは、市場における企業の相対的な規模、地位、マーケティング戦略との関係から企業を4タイプに分けそれぞれのとるべき戦略を述べています。

自分の立ち位置を知って戦略を練るうえで、大変重要な理論です。

4タイプの企業とは、競争環境の中で最大のシェアを有するリーダー型企業、リーダー企業を追従し、リーダーの地位を狙っているチャレンジャー型企業、競争環境の中で、すき間を狙って特定の市場の中で自社の地位を築き上げようとしているニッチャー型企業、リーダー企業を追跡はしているもののリーダー企業に挑戦しようということはせずに、リーダーの模倣を行っているフォロワー型企業です。

たとえば、ニッチャー型企業の場合、大企業と競争を行うのではなく、大企業が手を出さない、いわゆる「すき間」市場を対象とし、集中化戦略により運営し、大きな成果を上げようとするものです。

④輸入の損益分岐を考える1利益の構造輸入ビジネスを行う場合、ビジネスとして成り立つのかどうかを十分に検討する必要があります。

たとえば、小売業の場合、輸入品の原価に値入をして販売するわけです。

この場合、値入額が利益の予想額です。

輸入原価500円のものに値入分200円をプラスして700円を売価にした場合、200円が予想利益です。

輸入品すべてが売り切れれば、値入額がそのまま利益になると考えていいでしょう。

しかし、現実には、売れ残りが発生したり、商品にキズがついたり、さまざまなロスが発生する可能性があります。

売上高から売上原価を差し引くと粗利益が算出されます。

この売上原価は、輸入品が小売業者の手元に着くまでの費用と考えてください。

そこで、1,000万円の原価の輸入品に500万円の値入れをし、1,500万円で販売する計画を立てました。

計画通りいけば、500万円の利益が発生します。

しかし、1,000万円分の輸入商品が、当初の値段ではなかなか売れず、1,400万円で販売することになりました。

それでも5分の1が売れ残り、廃棄処分を余儀なくされました。

この場合、売上高は、1,400万円の5分の4である1,120万円です。

あとの輸入品は、廃棄してしまったのですから、在庫はなしです。

値下げロスと廃棄ロスが発生したわけです。

これらのロスは、商品の売上原価からは控除せず、そのまま売上原価の中に含め、粗利益を計算します。

つまり、売上高1,120万円-売上原価1,000万円=120万円となり、値入段階の利益の予想額は500万円でしたが、実際の粗利益は、120万円ということになるのです。

しかし、マイナスにならなかっただけよかったという事例です。

もっともこれは、粗利益の段階での話です。

粗利益は、売上総利益と同じです。

さらに、人件費や地代・家賃、広告宣伝費、消耗品などの販売費及び一般管理費がかかり、これを差し引いたのが営業利益です。

これらの費用が、120万円未満なら営業利益は、かろうじて黒になりますが、超えていたら、赤が出てしまいます。

輸入する場合の計数管理は、できるだけ現実に即して考えていくべきです。

2損益分岐の考え方例えば、輸入品の原価が、1個1,500円のものを2,000円で売っているとします。

この商品を売るために、店舗代、人件費、光熱費、通信費などの経費(固定費)が1カ月2,000万円かかります。

この場合、利益を出すために必要な販売量は何個なのか、というのが、損益分岐の考え方です。

いくつ売ったら、釣り合いがとれるのでしょうか。

輸入品1個当たりの利益……2,000円-1,500円=500円2,000万円÷500円=40,000個つまり、40,000個販売したら収支は均衡します。

しかし、これだけでは利益は生まれません。

ビジネスとして継続するのは不可能です。

これを超える数を販売して黒に転じさせなければなりません。

そこで、経費(固定費)に希望利益をプラスして考えます。

例えば1カ月で150万円の利益を出したいということであれば、次にようになります。

(2,000万円+150万円)÷500円=43,000個つまり、43,000個販売すればよいということになります。

これらを損益分岐点売上高の算出の公式で見てみましょう。

上記の例でいえば、固定費は、売り上げに関係なく発生する費用でこの例ですと経費の2,000万円が該当します。

一方、変動費は、輸入品の原価である1,500円です。

そして、変動費率は2,000円で売るのですから、1,500円÷2,000円=0.75(75%)という計算で算出されます。

∴2,000万円÷(1-0.75)=8,000万円8,000万円÷2,000円=40,000個利益が150万円でればいいと値入した場合の損益分岐点は、2,150万円÷(1-0.75)=8,600万円8,600万円÷2,000円=43,000個となります。

このように、損益分岐点の公式を使うことにより、簡便におおよその損益分岐の販売個数などがわかります。

また、販売個数のみならず、輸入貨物のコスト削減、つまりいわゆる売上原価を削減することにより、損益分岐点がどのように変化するかも見ることができます。

⑤取引先の確定マーケティング調査により、輸入戦略計画がたてられます。

同時にセラー(売主)をさがし、業者の目途をつけておかなければなりません。

この見込み先には、カタログや見積書、あるいは、見本を請求しアプローチしてみます。

外国の売主の情報は、商工会議所(TheChamberofCommerceandIndustry)や日本貿易振興機構(JETRO:ジェトロ)などのビジネス・マッチング・データベースを利用したり、見本市や展示会に行って得ることができます。

ただしジェトロの引き合い案件データベースなどは取引先をジェトロが保証しているわけではなく、単に海外の引き合い情報を出しているにすぎないので、商業興信所などで信用調査を行い、自己責任で取引先を決定する必要があります。

商業興信所で世界的に有名なのが日本にも支社がある、ダン・アンド・ブラッド・ストリート社、略してダン社です。

また、商工リサーチや帝国データバンクなどを利用する方法があります。

これらの企業は、企業調査が本業ですし、情報もストックしていますから、スピーディに調査をしてくれますし、調査結果も信用できます。

このほか相手の取引銀行に照会したり、同業者や相手の取引している業者に照会する方法もあります。

この信用調査は、3C(3CofCredit)と呼ばれるポイントがあります。

Character(誠実性)Capital(資本力)Capacity(営業能力)の3つで、頭文字のCをとって3Cと呼ばれています。

さらに、信用調査には、独立行政法人日本貿易保険が発行している海外商社名簿を利用することも行われています。

本来、貿易保険の引き受け基準として用いられているものですが、この名簿では、海外バイヤーの格付けが記載されています。

この格付けは、G格(政府・国際機関)、E格(民間企業)、S格(商業銀行)P格(信用状態不明の4つがあります。

たとえばEEとされている場合は、最初のEは民間企業を表し、つぎのEは、Excellentを表しています。

つまり、優良会社で信用状態は良いと判断できるわけです。

逆に、ECのCは、Cautiousで、不安材料の多い企業だととらえることができます。

通常はこれらの情報を複数入手し、分析します。

その他、相手先だけに限定せず、輸出国自体の政治体制、経済、通商制度、通関制度など、いわゆるカントリーリスクも把握しておく必要があります。

一夜にして政治体制が変わり、貿易管理がきわめて厳しくなる危険はないかなども重要です。

また、政権が変わったためにこれまでスムーズにその国と貿易ができていたものが、出来なくなったということも起こり得るのが貿易の世界です。

これをConditionsと呼んでいます。

異なる政治体制の国は、特に注意が必要です。

委託加工貿易などのように、取引先との関係が深くなると撤退のリスクも考えておく方がいいでしょう。

国内産業保護と関税売買契約に基づいて、日本の売主が外国に向けて貨物を送り出すことを輸出といい、逆に日本の買主が外国から貨物を引き取ることを輸入と呼びます。

この輸入の際、輸入貨物に対して関税が課税されます。

実は、この関税の課税には、国内産業保護という重要な目的があります。

通常の関税を課す以外にも、国内産業の保護という観点から、輸入割当を行ったり、関税割当を行ったりという制約をすることもあります。

同じ「割当」なので、混同しそうですが、輸入割当というのは、関税制度の枠組みの中の制度ではありません。

政府が輸入できる数量を決めて、それを超える数量の輸入は認めないという輸入制限のことで、外為法・輸入貿易管理令に基づく制度です。

また、関税割当は、関税制度の一つで、一定の数量は、リーズナブルな税率(一次税率)にし、それ以外は、高税率(二次税率)にするというもので、一次税率で輸入する場合には、割当を国から受ける必要があるというものです。

輸入割当がされていた物品を関税化(例えば、コメの関税化)するというのは、関税割当制度に変更したということなのです。

また、日本に不当に安い価格で輸出され、国内産業に損害を与えたという場合、不当廉売関税が、通常の関税の他に加えて課されることがあります。

これは、不当に安価な分、関税でその分加算しようというものです。

輸入者が納付します。

このほか、相殺関税、緊急関税の制度などもあり、国内産業保護のための役割を果たしています。

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