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マニュアルの運用・活用

目次

マニュアルを徹底的に活用する

マニュアルの「活用」の重要性については、これまで何度も説明してきました。では、実際にどのように活用していくのか、どのように活用すれば成果が上がるのか、そのための考え方と方法について見ていきます。

1 「活用」の基本的な考え方

(1)マニュアルの活用とは

膨大な時間・経費、エネルギーを費やして完成したマニュアルを、「生かすも殺すも」この活用次第、といえます。

成果を上げる、という視点で考えた場合、作成が 1に対して、活用は 9割にも匹敵します。それほど「活用」が占める割合は大きいのです。

私はマニュアルの「活用」を次のように定義しています。 「習得と徹底」によって、基準を「定着」させること つまり、日常活動の中で、きちんと実行されている状態を実現することが重要です。

「必要な人は、読んでおいてね」では、決してないのです。 そのためには、さまざまなツールや仕組みが必要になります。

なぜなら、前述したように、 マニュアルは、決して一人歩きをしない からです。さらに、重要なことは、 マニュアルを、徹底的に「使いきる」 ということです。

単に「読んだ」というレベルではなく、しっかり身につかせる、「定着」させることが、最も大事なことです。 ある会社の人がこう述べたことがあります。 「マニュアルがボロボロになるまで使いきりました。これは、私のバイブルです」 感動して聞いたことを、今も鮮明に覚えています。

繰り返しますが、「活用」とは、「基準を定着させる」ことです。

(2)マニュアルの活用を促進させるために

マニュアルの活用を促進するためには、いくつかの注意点や取り組み事項があります。この中には、作成段階から始まっていることもありますが、ここでもう一度確認し、さらに整理しておきましょう。

《マニュアルの活用を促進するポイント》

① 個人の制作物にしない

② 社内告知・啓蒙活動に取り組む

③ ベテラン社員から周知徹底する

④ “イベント”的活動にして、全員を巻き込む

⑤ 業務改善活動と連動させる

⑥ 改訂を共有化し、仕組みにする

⑦ 人事(評価)制度に組み込む

① 個人の制作物にしない

マニュアルは得てして、「 ○ ○さんが作ったもの」というレッテルを貼られがちです。 トップから直々に指示されたことであっても、それが会社全体で認知されていないと、「個人の制作物」になってしまいます。

「 ○ ○さんが作ったマニュアル」であれば、別に拘束されることはなく、 「やりたい人がやればいい」 「必要な人が読めばいい」 という認識を持たれかねません。

また、作成を担当した人が、 「とりあえずまとめてみましたので、使ってください」 という謙虚(?)な態度をとったとしたら、なおさらです。

これでは、そのマニュアルが会社の仕事の基準として認識してもらえるはずがなく、マニュアルの価値・役割を十分に発揮することはできません。 マニュアルは、全員が厳守すべき、会社の仕事の基準である ということを、作成前や完成後にトップから全員に明確に伝えることが、絶対に必要です。

こうすることで、完成したマニュアルに“お墨つき”を与えることになります。この「錦の御旗」があるかないかで、社員の受け止め方がまったく違ってきます。

さらに、「人事評価とも連動させる」といったことをつけ加えれば、決定的に変わってきます。マニュアルに権威づけをすることが、活用を促進させる上で、非常に重要です。

② 社内告知・啓蒙活動に取り組む

マニュアルを作成していること、できたことを知らない人は意外と多いものです。 “知らせる”取り組みは、作成の段階から、全員を巻き込む活動にしていくためにも、早くから始めることが必要です。社内報やイントラネット、各種会議などを利用して、作成の進捗状況や問題・課題を報告し、みんなの関心・注目を集めるようにします。「マニュアル」の現状を全員で

共有化する、ということです。 こうした取り組みをしっかりしておかないと、 「何かやっているみたいだけど、自分には関係がない」 「自分は何も聞いていない」 「新人さん(だけ)が必要なんでしょ」 などと自分事としてとらえない社員が必ず出てきます。

また、この活動は抵抗勢力の芽を早い段階で摘むことにもなります。社内告知・啓蒙活動は、意図的・計画的に考えて取り組んでいきましょう。

③ ベテラン社員から周知徹底する

ベテラン社員がそのマニュアルを使わなければ、新人は使わない ということを肝に銘じておくべきです。なぜなら、新人への影響力は、マニュアルよりベテラン社員のほうがはるかに強いからです。ベテラン社員がマニュアル通りにやらなければ、新人はやるはずがありません。従って、まずはベテラン社員への教育を先行させることが重要になります。

ベテラン社員に対して、作成したマニュアル、つまり、新しい仕事の基準、新しい仕事のやり方を徹底的に教え込まなければなりません。ある会社では、その教育期間中は、 「必ずマニュアルをそばにおいて作業をするように」 と決め、上司が常にそれをチェックすることにしたそうです。

そうでもしなければ、 「つい、今までのやり方で仕事をしてしまう」 ことになるからです。これまでなじんだやり方を変えるということは、並大抵のことではありません。 ここでも強制力を徹底することが大事になります。 ベテラン社員への教育は、 1カ月程度をかけるのが普通です。

また、ベテラン社員に対しては、 新人に、マニュアルに対する否定的なことは、絶対に言わない ということを約束してもらいます。この重要性は、ここまでお読みになった方なら分かることだと思います。マニュアルの活用がうまく軌道に乗るかは、このベテラン社員の認識・対応が大きく影響してきます。ベテラン社員への対策は、非常に重要な取り組みです。

④ “イベント”的活動にして、全員を巻き込む

ある会社では、各部署の取り組み状況やマニュアル習得計画の達成率などを「活用レポート」にして、全員に配付したり、掲示板に貼ったりしています。マニュアルの活用情報を共有することで、相互に良い刺激となる取り組みになっています。

また、ある会社では、マニュアルをもとにした「技能コンテスト」「技能テスト」に、全社を挙げて取り組んでいます。これにはトップ自らも参加して盛り上げに一役買っているそうです。 さらに、毎週月曜日の午前中を「マニュアル活用デー」と決めて、マニュアルの勉強会や振り返りに活用している会社もあります。 会社の状況にあわせて、また社員のアイデアを集めることで、さまざまで活発な活用方法が考えられることでしょう。

このように、嫌でも取り組まなければならない環境を作り出し、具体的な取り組みを通して「マニュアル」を身近なものにしていくのです。マニュアルが身近な存在として認知されているとしたら、それは最も上手にマニュアルが「活用」されているという、何よりの証になります。 いかに会社全体を巻き込んで進めるかが、「活用」を左右する大きな要因です。

⑤ 業務改善活動と連動させる

マニュアルに対する反発や意見の中には、業務改善につながる内容が多いものです。マニュアルの導入と併せて、業務改善活動を進めることが必要です。 すでに業務改善に取り組んでいるなら、それと連動させる。そうでないなら、これを機会に業務改善に取り組んでいくということです。

マニュアルと業務改善は、コインの裏表の関係です。同時に取り組むことで、問題意識や改善意識を養うこともできます。これは否応なく現場力(現場での問題解決力)を鍛えることになります。相乗効果が上がります。

⑥ 改訂を共有化し、仕組みにする

マニュアルの導入は、時として「寝た子を起こす」ことになります。これまで表立っては問題が出ていなかった会社に、「会社の仕事の基準だから全員厳守」などと物騒な掛け声がかかると、状況が一変する場合があります。なぜなら、今までのやり方を否定するということにもなるからです。

そして、その多くは“反発”という形で吹き出してきます。マニュアルが、これまで眠っていた“問題”に火をつけてしまったのです。 しかし実は、この状況は歓迎すべきことなのです。今まで隠れていた、見えなかった問題が顕在化してきたということは、マニュアルの改善や業務の改善につながる絶好の機会になるのです。

「このやり方じゃできませんよ」 「この項目を入れるなら、 ○ ○も入れなきゃダメだと思います」 などと言われたら、 「ありがとうございます。ぜひ、提案してください」 と応じることです。 気づいたことや修正点などは、どんどん提案してもらう。反発も一つの意見です。意見である以上、それを尊重し、また発言した人はそれに責任を持たなければなりません。

こうした反発の多くは、 「マニュアルは、固定したもの」 という捉え方からきています。しかし、 「マニュアルは、現在進行形である」 という捉え方で考えると、その反発を受け入れるのはそれほど難しいことではありません。 それは、改訂することで解決するからです。

「改訂版で対応する」ということは、反発のハードルを下げることになります。反発や意見を出しやすく、言いやすくさせるからです。さらに言えば、自分の提案が採用されることにもなりますから、感情的な反発から建設的な意見へと変わっていくことが往々にしてあります。

そして、そこには責任というものが出てきます。 「気づいたことをどんどん言ってください。改訂版で対応しますから」 マニュアルを改訂する、それも定期的に改訂する、ということを知らせる、全員がそのことを共有化する。つまり、改訂を仕組みにすることは、「活用」の促進にとって、非常に大きな意味があります。

⑦ 人事(評価)制度に組み込む

人事制度の評価項目に取り入れることで、活用の度合いは格段に上がります。 具体的に言えば、マニュアル通りの作業をしなければ、その業務の評価をマイナス評定にする、ということです。こうなると、真剣に取り組まざるを得なくなります。

ある会社では、評価基準表に、 「マニュアル通りに ○ ○ができる」 という言葉が頻繁に登場してきます。マニュアルが活用されていないことに業を煮やしたトップが、 「仕事がマニュアル通りにできなければ、評価はマイナスになります」と宣言したのです。

マニュアルは、人事評価制度と連動させると絶大な効果が期待できるものです。 マニュアルで習得した知識や技能が正当に評価されることは、学ぶ側にとってもやる気の向上につながります。

また、この取り組みは、マニュアルに対するトップの明確な意志を会社全体に知らせるうえでも、非常に有効です。

 

2 「活用」の基本ステップ《活用の基本ステップ》

① ステップ 1:マニュアル勉強会の実施

② ステップ 2:現場での実習

③ ステップ 3:マニュアルの徹底

④ ステップ 4:気づき・改善点の収集

(1)ステップ 1:マニュアル勉強会の実施

マニュアルの活用は、マニュアル勉強会から始まります。 この勉強会は、仕事をする人が業務のノウハウを学ぶだけではだけではなく、マニュアルの役割や重要性を理解し共有する場としての位置づけです。したがって、勉強会はこの理解・確認から始めます。

この捉え方が違っていると、後々問題が出てきますので、最初にしっかり確認しておくことが大切です。 勉強会の参加者は、あまり大人数にしないようにします。内容や対象者の総数にもよりますが、 2 ~ 3人程度で実施すると効果的です。時間は、 30分から長くても 2 ~ 3時間程度で収まるように計画します。

時間よりも回数を多くしたほうが良いでしょう。長くなりそうな場合は区切りの良いところでいったん終了し、次回に持ち越します。 マニュアルの内容は、一つひとつ声に出して読み合わせをします。声に出すことで、より理解が深まります。

座学での読み合わせ終了後、内容によっては、勉強会の場で実際に練習することも必要です。 また、質問はどんどん受けるようにします。重要なことは、「教える」ことではなく、「理解したかどうか」を確認することです。

マニュアル勉強会の主な内容は、以下の通りです。

① マニュアルの役割や重要性を確認する

② 1作業(項目)ごとに、マニュアルに沿って目的から順に読み合わせをする

③ 補足説明をする(体験談を入れるなど)

④ 質疑応答

⑤ 理解を確認する

(2)ステップ 2:現場での実習

勉強会終了後、現場に移動します(勉強会と別の日でも問題ありません)。 マニュアル通りに、一度現場で実習します。その後、マニュアル通りにできるまで繰り返し練習させます。 この「現場での実習」は、内容によって大きく変わります。しかし、重要なことは、マニュアルに書かれていることをまずしっかりと覚えてもらうことです。現場で起こるさまざまなケースをむやみに説明することは、参加者の混乱をまねくばかりです。基本(型)を習得させること、これ

これが現場での実習の一番の目的です。

(3)ステップ 3:マニュアルの徹底

現場での実習後、 1週間以内に「習得確認シート」や「理解度テスト」を活用して、マニュアルの習得度合いを評価します。評価結果が良くない場合は、マニュアルに戻って内容を再確認し、「勉強会の実施 →現場での実習」を繰り返し、基本(型)を徹底的に習得してもらいます。 ここで、「マニュアルの徹底」で活用するツールについて説明します。

① 習得確認シート

「習得確認シート」の目的は、明確な習得の確認と評価反映による意欲の向上です。勉強会での学習とこのシートなどでの評価を一体のものとして考えます。 「習得確認シート」は、業務ごとに作成するのが基本ですが、その内容の質や量によって、

たとえば、章(大項目)や中項目ごとにまとめて作成することも可能です。つまり、複数の業務を 1枚のシートにまとめるということです。 また、1つのシートにチェック項目は 20問以内を目安にします。チェック項目があまり多いと、時間がかかりすぎるからです。 このチェックは、自己チェックだけで済ませるのではなく、上司(トレーナー)にもチェックしてもらうことで、 「自分ではできていると思っていたが、ほかの人から見ればそうではなかった」 という気づきにつながります。

この「自分で気づいて、自分でマニュアルを再確認する」ことが非常に大切です。 いずれにしても、合格させることが目的ではなく、この評価によって必要なことを確実に習得してもらうことが最大の目的であることを忘れないようにしましょう。

以下に、チェック項目づくりの注意点や書き方について整理しておきます。 チェック項目づくりの注意点は次の3つです。

① 評価(習得確認)が明確にできる点を項目にする 【例】正確に ○ ○の操作(対応)ができる

② 必ずマニュアルに書いてあることを項目にする ・応用編的な内容・項目にしない

③ 作業の重要度・難易度、ミス・トラブルの発生頻度などを踏まえ、優先順位をつけて作成する ・最初から全業務のシートを作るのではなく、徐々に増やしていく

チェック項目の書き方・まとめ方のポイントは以下の4つです。

① ポジティブ(肯定的)な表現にする(否定形は使わない)

② 迷わずにチェックできるように、具体的に記述する

③ 1項目に1つの内容にする(あれもこれも入れない)ない)

④ 知識は、「理解している」「説明できる」などと表現する

なお、上司ともに全項目が「 」で合格、という基準にします。

② 理解度テスト

「理解度テスト」は、知識の理解度を確認するために活用します。 これも「習得確認シート」と同じように、あくまで習得確認が目的です。

できなかったところをマニュアルに戻って再確認してもらい、確実な理解や習得につなげます。 この「理解度テスト」は、マニュアルのテーマや内容によって、その量や回数は大きく変わります。

「理解度テスト」は、 A 4サイズ 1 ~ 2枚程度で作ります。出題方式は選択方式などにして、あまり難しくないようにします。 テストの時間は、 1回 15分から 20分程度。必要に応じて、回数を増やします。

「習得確認シート」で取り上げた項目を、知識に置き換えて出題することも可能です。重要な項目は、出題方式を変えて繰り返し出題し、より早く確実に習得させるようにします。 また、テスト終了後に解答を配付し、自己採点方式にするのが良いでしょう。間違った問題を、マニュアルに戻って自分で再確認するのが狙いです。基本的には、「満点」で合格です。

出題は、次に示す5つの方式が主なものです。完全記述方式や穴埋め問題は、暗記していないと解答できないので、この方式で出題するときは、十分検討することが必要です。

【出題方式の種類】 ① 完全記述方式 【例】 ○ ○作業の心構えを、3つ書きなさい。

② 穴埋め問題(一部記述問題) 【例】適切な語句を □内に記入しなさい。

③ 選択問題 【例】適切な語句を下記から選び、その番号を記入しなさい。

④ ○ ×問題 【例】次の文章を読み、正しいと思うものには ○、間違っていると思うものには ×を記入しなさい。

⑤ 並べ替え問題 【例】 ~の基本ステップを、正しい順番に並べ替えなさい。 次に、評価方法について説明します。 主な評価方法は、次の4つがあります。評価項目によって、それぞれの評価方法を取り入れて評価していきます。

(4)ステップ 4:気づき・改善点の収集

以下の各プロセスで、気づいた点や改善点などをメモしておきます。

「マニュアル勉強会の実施」

「現場での実習」

「マニュアルの徹底」

また、対象者の意見・提案もできる限り収集します。 今回作成したマニュアルは、次のマニュアルにつながるタタキ台です。このタタキ台があることで、マニュアルを改善するための意見・提案が収集しやすくなります。

さらに、こうした取り組みの中で、対象者の参画意識を養うこともできます。ただし、すべての意見・提案が採用されるわけではありません。くわしくは、次の「マニュアルの改訂」で説明します。

3 「マニュアル活用報告会」の開催

マニュアル活用の基本ステップに沿って取り組んだ 2 ~ 3カ月後に、「マニュアル活用報告会」を実施します。マニュアルの捉え方や重要性、今後の問題・課題について社内で共通の理解を得るうえで、幹部の出席は、非常に重要になります。 マニュアル作成は会社(仕事)の基準づくりですから、他部門や会社全体を巻き込むことは必然といってもよいものです。

また、幹部からの積極的な評価をもらえるかどうかで、今後の活動の盛り上がりに大きな影響を与えます。 繰り返しますが、この「マニュアル活用報告会」は、マニュアルの活用を推進させていくうえで必須の取り組みだと言えます。

(1)目的

「マニュアル活用報告会」は、どのような成果が上がったのか、今後の問題・課題などを社内で共有し、マニュアルの活用を推進させていくことが目的です。 また、頑張って取り組んできた人たち(部署やチーム)にとって、これまでの活動を振り返り、成果を確認する機会になります。この「活用報告会」で自分たちの活動が評価されると、さらに積極的にマニュアルに関わっていくことにもつながります。 必ず実施したほうが良い、非常に重要な取り組みです。

(2)方法

マニュアルの活動報告は、活動内容をパワーポイントなどで数枚にまとめ、 15分程度で発表します。 できるだけ関わった全員が発表を担当するようにします。事前に発表の練習をして、緊張感をもって本番に臨みます。 報告内容は、大きく4つの項目でまとめます。

① 活用の取り組み どのような取り組みをしたかを、具体的に記述します。たとえば、「毎週勉強会を実施」した場合は、毎週水曜日 9時から 30分間実施。計 10回、 5時間内容:項目ごとの読み合わせとロールプレイの実施進め方:司会を持ち回りにして実施。声に出して読み合わせをした。 などのように記述します。順調に進んだ、「忙しくてできなかった」などの抽象的な表現ではなく、数値などを入れて具体的に記述します。

② 具体的な成果 実際にマニュアルを活用してみて、どのような気づきや改善点があったかなどについて具体的に記述します。たとえば、自己流で仕事をしていたことが分かった →具体例を入れる改善提案が多く出た → 総数 ○件(修正 ○件、追加 ○件) +代表的な提案例を紹介する などと、これもできるだけ数値を入れて記述します。 さらに、実際にマニュアルで教育を受けた人の生の声を列挙することも大切です。 最後に、マニュアルで得られた成果を記述します。このとき、 Before → Afterで比較することで成果を明確に表現するようにします。 たとえば、以下のようにまとめます。 作業時間… 30分が 20分に短縮 → 10分削減できた! このように、できるだけ数値で表すことが重要です。

③ 活用上の問題・課題 実際に活用してみて、どのような問題・課題があったかをかを記述します。このとき、その原因と対策などまで記述するようにします。たとえば、次のように記述します。 勉強会をする時間が不足 → 早番と遅番があり、全員が集まった勉強会は難しかったが、引き継ぎ時間を 20分延長することで対応できた。

④ 今後に向けての提案 ここでは、積極的にマニュアルを活用するうえで必要と思われることや新しく作成したいマニュアルのテーマなどを提案します。

記述する内容については、以上の 4項目を入れてまとめます。この報告の全体が、“感想文”にならないように注意し、ここでも、活動の見える化・数値化をめざすことが必要です。 報告内容の項目例は以下の通りです。

1 活用の取り組み

2 具体的な成果

3 活用上の問題・課題

4 今後に向けての提案

(3)出席者

社長はもちろん、会社の幹部、発表者の上司、他部門の幹部にも参加してもらうことが必要です。 「マニュアルの活用報告会」のプログラム例は次の通りです。

1 作成リーダーの挨拶 マニュアル化に取り組んだ背景・目的

2 完成したマニュアルについての説明

3 マニュアルの活用報告

4 質疑応答

5 社長や幹部の挨拶(全体で、 1時間程度)

4 マニュアルの「活用」を阻む抵抗勢力

「作成」のところでも説明しましたが、この抵抗勢力、活用段階ではさらにパワーアップして登場してきます。いざマニュアルが完成し、「全員厳守」という掛け声がかかると、この抵抗勢力との戦いが再燃します。

ところで、抵抗勢力というレッテルを貼っていますが、その抵抗の程度や内容はさまざまです。また、本人にはそのような自覚が毛頭ない場合も少なくありません。

しかし、この人たちは結果として、次のような行動をとってしまいます。「マニュアルを活用しない」「マニュアルに書いてあることを守らない」「マニュアル通りに仕事をしない」 この行動は、「マニュアル活用」を大きく停滞させる原因になります。こうした自覚に乏しい抵抗勢力への特徴について見てみます。

① 使わない理由を言う「忙しくて、マニュアルを使う時間がない」「使い方がよく分からない」「内容が古い」「一度、読みました」「見る(使う)ように言っています」「自分は特に困っていないので……」 活用状況について質問すると、このような回答をする人がいます。マニュアルの役割・重要性を理解できていたら、このような反応はしないものです。 ② 根強い偏見・誤解を持っている「仕事は、人それぞれ」「マニュアルは、初心者(新人)が覚えるもの」「自分のやり方と違う(だから使わない)」「現実は、マニュアル通りにいかない」 マニュアルに対する偏見・誤解は、本当に根深いものがあります。特に、「習うより、慣れろ」で育ってきた人たちにとって、マニュアルで簡単に仕事を覚えることには、心理的抵抗感が強いようです。

③ 新しいものに対する反発や文句が多い「内容が実際と違う」「もっと良いやり方がある」「マニュアルはきれいごと(理想形)だ」「これをマニュアルにするくらいなら、こっちのほうが……」 マニュアルを導入すると、多くの反発が起きます。これまでそれなりに“穏やかに”仕事をしてきたのに、突然、「仕事の基準だ」、やれ「全員厳守だ」などと言われて、ビックリしてしまう。 マニュアルは、問題を顕在化させます。これまで眠っていた、不満・不便、ムダ・ムラ・ムリなことが一斉に吹き出してくるのです。

④ 周囲にネガティブな考えを広める「マニュアルでは、モノが売れない」「カタチより、心が重要」「仕事は、個性やオリジナリティが大事」 こうしたことを、特に初心者(新人)に対して話す先輩社員がいます。多くの初心者(新人)にとって、マニュアルより先輩社員が言っていることのほうが、絶大な影響を与えます。こうした先輩社員の発言や態度は、マニュアル活用の成否を左右すると言っても過言ではありません。 こうした「抵抗勢力」への対応は、基本的には「作成」のところで説明してきたことと同じです。抵抗勢力になることは、損であることを気づいてもらう勝手な思い込みや言い訳を捨ててもらう排除するのではなく、巻き込んで解決する 「活用」は、さまざまな取り組みを必要としています。それらを上手に活用し、彼らを巻き込んで進めることで、抵抗勢力をマニュアル推進勢力に変える、ことが大切です。 ある小さな会社の社長が、高らかに宣言しました。

「これからマニュアルを使い切り、使い倒します!」 「活用」とは、まさにトップの思い、そのものです。 「活用」を促進するためには、トップが上手に強制力を使い、強いリーダーシップを発揮することが、不可欠になります。マニュアル活用の「旗」を、しっかり振り続けることが非常に重要です。

 

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