MENU

「報連相」応用

目次

01「報連相+PDCAサイクル」で日々の業務を改善しよう

ここまで読まれて、報告・連絡・相談それぞれについて理解を深め、基本を身につけることができたと思います。最後にこの章では、実際の仕事のプロセスの中にどのように報連相を組み込んでいくのか、また、より発展的な気の利いた報連相を行うにはどうしたらいいのかを解説していきます。

◆「PDCAサイクル」とは?

仕事の進め方をどのように捉えるか、さまざまな方法がありますが、本書では「PDCAサイクル」と言う理論で考えてみたいと思います。PDCAサイクルは、経済学者のエドワーズ・デミングやウォルター・シューハートらによって、50年ほど前にアメリカで提唱された典型的な業務管理サイクルです。次の図のような概念図に沿って、時計回りにぐるぐると円を描きながら繰り返し仕事を進めていきます。

それぞれのステップを説明すると、PはPlan(計画)の略で、これまでのデータからよりよい計画を作成するステップ。DはDo(実施・実行)の略で、作成された計画に沿って業務を行うステップ。CはCheck(確認・検証)の略で、業務が計画通り達成できたか、見落としはないか、また、何か改善すべき箇所があるのかどうかを確認し検証するステップ。AはAct(打ち手・改善策)の略で、Cのステップで改善が必要とされた場合に、より効率的で効果的な改善策を決定するステップです。

このサイクルに沿って仕事をすることで、常に小さな改善を積み重ねることができ、より効率的な仕事のやり方へと進化させることができます。そのため、多くの会社で広く取り入れられていて、今ではほとんど常識になっていると言ってもいいくらいのものです。

◆「PDCAサイクル」に報連相を組み込む

このPDCAサイクルに、報連相の概念を加えてより深化させたものが、次図の「報連相+PDCAサイクル」です。

そもそもPDCAサイクルは、働く人一人ひとりが個別に行っていても、あまり効果の上がるものではありません。たとえ自分1人の効率や能力が改善したとしても、職場やチーム全体の能力が上がらなければ、結果はたいして変わらないからです。

しかも、改善していく方向を間違えていたら、すべては余計な労力でしかなくなってしまいます。PDCAサイクルは、組織全体で行わなければ意味がないのです。ということは、PDCAサイクルには報連相がもとより必要不可欠なはずです。そこで、元々のPDCAサイクルにその要素を加えたものが、報連相+PDCAサイクルなのです。

◆報告・連絡・相談で小さなサイクルを作り出す

詳しく解説しましょう。PDCAサイクルでは、業務を改善するための大きな循環のみを示していました。これに対して、報連相+PDCAサイクルでは、その4つのステップそれぞれにもう少し注目しています。計画・実行・検証・改善のどのステップにおいても、実際のビジネスでは1人ですべてを決定し、行うことはまずあり得ません。

現場の状況をもとに、チームリーダーや係長などが何案かを検討し、さらに上の上司に決裁を得て初めて、次の段階に移ることができます。そのプロセスを考えると、次図のような報連相の小さな循環が、4つのステップのすべてで行われているはずです。つまり、報告と連絡によって職場全体のコミュニケーションを充実させ、相談によってよりよい方法を模索するプロセスです。

PDCAサイクルの4つのステップそれぞれで、この小さな循環を行いながら、大きな改善の循環も回していく。日々のビジネスの中でそれを意識して、業務の改善を心がけてください。

なお、この報連相+PDCAサイクルでは、そのままこれまで通りのやり方で進めていいのか、もしくは何か改善策が必要なのか、それともそこで業務は終了するのかを判断する、Cの確認と検証のステップが特に重要となりますから、そのステップの報連相の小循環は特に念を入れて行う必要があります。また、1つのステップから次のステップへの移行に時間がかかるようであれば、途中で中間報告を行う必要も出てきます。

02求められている役割を意識する

◆誰彼かまわず報連相していてはダメ

次の体験談は、私のセミナー受講者の1人から教えてもらったエピソードです。×悪い例入社したばかりの頃、わからないことを多忙な上司に相談することに気が引けて、事務を担当している女性にとりあえず相談していました。ごみの捨て方や、予備のコピー用紙の置き場、稟議書の書き方まで、何でもかんでも彼女に聞いていたのです。

ごみの捨て方やコピー用紙の置き場は彼女でもよかったのですが、稟議書の書き方までは彼女が知るはずもなく、忙しそうな上司に恐る恐る相談しました。上司は女性に聞いているのを横目に見て知っていましたから、なぜすぐに自分に相談しなかったのか、事務担当の女性の業務範囲を知っているのか、と叱られてしまいました。

報連相による情報の共有化は大切ですが、職場の誰にでも、何も考えずに手当たり次第、報連相して回るというのではいただけません。共有化する相手をよく選ばないと、この体験談のようにわかるはずのない人に相談して迷惑をかけたり、情報の管理にも問題が出てしまいます。

報連相する相手は、誰でもいいというわけにはいかないのです。必要な人に、必要な内容を、必要なタイミングで伝えなければなりません。

◆報連相はサッカーの試合と同じ

では、報連相する相手を見極めるには、一体どうしたらよいのでしょうか?サッカーをサンプルにして考えると、よくわかります。サッカーのチームは会社、各プレイヤーのポジションは組織内での役職や担当業務などにあたります。パスされたり、蹴られたりするボールは情報です。

サッカーの試合では、プレイヤーは自分のポジションに従ってプレーをします。ポジションを無視して、トンチンカンなプレイヤーにパスしても、ボールは活用されません。たとえば、ゴールを狙うべき場面でディフェンダーや自陣のゴールキーパーにパスしたところで、得点に結びつく確率はあまりありません。

ゴールを狙う役割を担っているフォワードの選手にパスを送らなければ、いつまで経ってもゴールを決めることはできないのです。報連相でも、同じことです。誰が何を担当しているのか、その担当者の決定範囲はどこまでかといった、職場の中での相手のポジションを日頃からつかんでおき、その相手の役割に合った報連相をしなければなりません。

◆自分と相手のポジションを確認する

また同時に、職場の中で自分に求められている役割も確認しておきましょう。たとえば、社長直属の特命チームの一員と、多くの部署に関係してくる総務の購買担当者に求められる報連相では、その相手も内容もおのずと変わってきます。

相手の役割と自分に求められている役割、つまりはチームの中でのそれぞれのポジションを認識しながら、報告・連絡する情報を選択したり、相談する相手を選ぶようにすれば、一段レベルの高い報連相にすることができるのです。

03通っても通らなくても、自分の意見や考えは常に持とう

◆常に考えていないと、とっさのときに出てこない

報連相をするときには、常に自分の意見を持ちながら行うことが大変重要です。ここまでにも何度か出てきたので重複する箇所があるかもしれませんが、重要なので繰り返し説明します。何も考えずに目の前にやってくる状況について報告・連絡したり、自分では何も考えずに相談しているだけでは、いつまで経っても戦力として見てもらえません。たとえば、次の体験談を見てください。

×悪い例

部門長は、新入社員の私にとっては上司の上司の上司で、とても怖い人でした。日頃から恐れていたこともあり、部門長からの仕事の指示に対しては「はい」か復唱のどちらかしか言わず、仕事の結果も「できました」「終了しました」のひと言だけですませるのが習慣になっていました。ところがある日、いつものように部門長に仕事の結果を報告していると、「それで、君はどう思うんだ?どういう方向でいきたいんだ?」と突然言われました。自分の意見など急には思い浮かばず、下を向くだけで何も言えません。「何も言えないのか!?脳みそはついてないのか!」と、こっぴどく怒られました。

報連相を行っていると、ときにこの体験談のように、自分の意見を求められることがあります。そうしたときに、自分の意見や考えを日頃から意識して考えるようにしていないと、答えることができません。自分の意見や考えは、突然求められても出てこないからです(→Part4の04参照)。

これは、「発想力」とか「判断力」と言われる、ビジネスパーソンとしての大切なスキルの1つです。では、どうやってこの能力を身につければいいのでしょうか?言われたことだけを粛々とこなすマニュアル人間になってしまっている人には、突然自分の頭で考えろと言われても、なかなか難しいものです。

◆仕事への責任感を持つことがマニュアル人間脱出の第一歩

まず最初に、自分の仕事に対する責任感を持つようにしましょう。あなたが正社員であればもちろん、派遣社員やアルバイトであったとしても、あなたに支払われる給料は、あなたが仕事で上げる成果に対して払われています。たとえ、時給で支払われているとしても、それは便宜上のことであって、本質的には仕事の成果に対して給料を支払われていることに変わりはありません。

つまり、あなたの目の前にある仕事が、あなたの収入を生み出し、あなたの生活のすべてを支えているのです。そう考えると、仕事に対して責任感が湧いてきませんか?なぜ、自分の意見を持つのに責任感がいるのかというと、私たちは、どうでもいいと考えている仕事には意見を持つことができないからです。どうでもいいと考えている仕事についてなんて、ろくに考えていないんですから。

たとえ小さな仕事でも、責任感を持って取り組むと、自然と「この部分はこうした方がいいんじゃないか」「これは、こういうふうに進めていけば予定通りに進むはずだ」といった、自分の意見や考えを抱くようになります。もちろん、意識的にそのように考える習慣を持つことも大切ですよ。

こうした習慣を身につけておけば、例に出したように突然意見を求められたとしても、慌てることなく対応することができ、あなたの報連相スキルに厚みを加えることができるのです。

◆いつも主張しているばかりではダメ

ただし、自分なりの意見や考えを持つようにすべきだからと言って、報連相のたびに自分の意見をつけ加えるべきではありません(→Part2の06参照)。報連相は、職場のコミュニケーションを円滑にするための道具ですから、誰もが毎回、自分の意見を主張していては、スムーズな情報の共有化が行われなくなってしまいます。

上司から意見を求められた場合、または、どうしても自分の考えを伝えたい場合に限って意見を加えます。逆に言えば、普段は自分の意見や考えは報連相の裏側に隠しておくということです。メリハリをつけて、どうしても聞いてほしいときにだけ意見を伝える方が、相手も聞く耳を持ってくれます。

◆意見は通らないのが普通

ただ、たとえ自分の意見を伝えたとしても、あなたの意見や考えが通らないこともあります。組織で仕事をしているのですから、自分の考えが必ず通るわけではありません。現実には、通らないことの方が圧倒的に多いでしょう。でも、ここで「どうせ言ったって聞いてもらえないなら、考えたってムダ」とふてくされてはダメです。自分の意見や考えが採用されるか・されないかよりも、常に考えているということが大切なのです。

たとえ採用されなくても、100回考えれば、自分の中に100通りの戦略を持つことができます。意見を持たずに考えないで報連相しているだけだと、戦略は決して蓄積されません。

04的確な手段を選べば効果が変わる

◆報連相は口頭だけではない

最後に、報連相というと口頭で上司に報告している場面を思い浮かべる人が多いと思いますが、何も口頭だけに限った話ではありません。メールを使った報連相をする機会はますます増えていますし、メモや簡単な文書を使って報連相をすることもあります。電話やファックスを使って行う場合もあるでしょう。

これらのいろいろな伝達手段には、それぞれメリットとデメリットがあります。伝達手段ごとのそれぞれの特徴を把握して、最もふさわしいと思われる手段で報連相を行うように心がけましょう。的確な手段の選択ができれば、情報がより効果的に共有されるようになります。

◆口頭

口頭での報連相は、報連相の基本です。そのメリットは、何よりもまず即時性にあります。報連相したい相手が同じ職場にいさえすれば、その場ですぐに必要な情報を共有することができます。また、表情や言い方、身振り手振りなどによって、言葉だけでは表現しきれない伝え手の想いや責任感、やる気などまで共有できるメリットもありますね。

一方、口頭での報連相の一番のデメリットは、相手の時間をたくさん奪ってしまう点です。これは、報連相する側の人は見落としがちな点ですが、多くの部下を持っている上司の場合、切れ目なく報連相に訪れる部下たちへの対応に追われて、自分の仕事がなかなかできないという不満をよく聞きます。

また、口頭の場合、言えばわかるはずだという安易な考えから言葉が曖昧になったり、すぐに伝えられる気軽さからヌケやモレが出やすくなります。意識して、正確で確実な報連相をするように心がけなければなりません。相手が遠方にいる場合は、そこまで出かけていく時間や費用もかかりますね。

◆電話

電話を使った報連相のメリットは、地理的に離れている相手にも即時に報連相ができる点です。1分1秒を争うような場合でも、すぐに相手に情報を伝えることができます。デメリットは、口頭での説明と同じく相手の時間を奪ってしまう点です。

特に電話の場合は、相手の都合にまったく関係なく「かかってしまう」ので、相手が話せる状態にあるのかまず確認するなど、相手の都合に配慮することが大切です。また、表情や身振り手振りなどを使えない分、伝え手の気持ちの部分を伝えることが難しいことも理解しておきましょう。また、口頭に比べて聞き間違いが起きやすい欠点もあります。

◆メール

ますます増えているメールによる報連相は、伝える側と受ける側が、それぞれ都合のよいときに送ったり、受けたりすることのできる点が最も大きなメリットでしょう。相手の時間を奪うことなく、必要な報連相ができます。また、メールは記録に残ることも重要です。画像や各種ソフトのファイルなど、さまざまなデータを添付して送ることもできます。

たとえ相手が海外にいても、すぐに届くという即時性もメリットです。このように、非常に便利なメールによる報連相ですが、もちろんデメリットもあります。伝える側と受ける側が、それぞれ都合のよいときに送ったり、受けたりできるということは、メールを送っただけでは、相手がきちんとそのメールを受信して、内容を読んで理解してくれたかどうかまではわからないという欠点があります。

実際に、何日かメールの受信を忘れていたり、迷惑メールとして間違えて削除してしまったり、多くのメールに埋もれて重要なメールを読むのが遅れてしまう失敗が頻繁に起こっています。こうした失敗を防ぐには、重要な案件をメールで伝える前後には直接電話をかけ、その旨を伝えることが必要です。また、最近は次の体験談のような話をよく耳にします。×悪い例メールは記録が残るし、紙のメモと違って捨ててしまうこともあまりないということで、すべての連絡をメールで行う人がいます。隣の席や向かいの席の人への指示、電話を使えば30秒で終わるようなことまで、すべてをメールで行うのです。しかも、メールの重要度は高に設定してありました(普通は中)。

こちらも暇ではないので、呆れるのと面倒臭いのとで、メールを開く気にもなりませんでした。面と向かって話さなくてすむというので、コミュニケーション能力の不足からメールへ逃げ込んでいる人が多いようなのです。

でも、これでは非効率で時間の無駄ですし、いつまで経ってもコミュニケーション能力を鍛えることができません。しっかりと各伝達手段ごとのメリット・デメリットを認識し、面と向かって話すことを怖がらないようにしたいものです。

さらに、紙の文書よりも気安く出せるせいか、メールの文面があまりにプライベートなメールに近すぎる人もいます。多少フランクに書いてもかまわないのですが、仕事上の連絡であることを忘れず、最低限の書式や礼節は守るように書かなければなりません。

◆文書・メモ

口頭で報連相する際に、込み入った複雑な内容だったり、伝える情報の数が多い場合には、ちょっとしたメモや文書をつくっておいて、それを見せながら報連相するようにしましょう。こうすれば、報連相を受ける相手も負担が少なくなります(→Part4の08参照)。

社外に出す公式な文書とは違うので、書式などは特に気にする必要はありません。ただ、伝える情報の要点を簡潔に、箇条書きにするのが基本です。

◆ファックス

最近はメールに取って代わられつつありますが、まだまだ使う場面もありますね。ファックスのメリットは、紙の書類をすぐにそのまま遠方に送れること。デメリットは、メールと同じく相手が受け取ったかどうかわからないことや、機密性がほとんどないことです。

31相手の話をよく聴く真剣に「聴く」姿勢が大切

「聞く」というより「聴く」という姿勢で、真剣に相手の話に耳を傾けている人は、話し相手に安心感を与えますし、好意を持たれます。必然的にホウレンソウの機会が増え、いろいろな情報が集まり、仕事にもよい影響が出ます。逆に、相手の話をよく聴かない人には、周囲の人たちはホウレンソウするのも嫌になり、近づこうという気にさえなりません。

義務的な報告・連絡はあっても、それ以上のものは期待できません。視線や表情にも心遣いを話をする時は相手の目を見るのが礼儀ですが、話を聴く時、相手の目をじっと見たほうがよいかというとそうとは言い切れません。見つめすぎると相手に圧迫感を与え、話がしにくくなることがあるので、話の内容や相手の様子によって、ときどき視線をはずすとよいこともあります。

たとえば、相手が自分の失敗を打ち明けた時、あるいはつらい話、悲しい話をするような時は、わざと視線をはずして聴いてあげると、相手は話しやすいものです。また、話を聴く時は相手の感情、気持ちに合わせた表情で対応すると、相手は安心して話ができます。話し手がうれしそうな表情を浮かべて笑顔で話す時は、聴き手もそれ以上の笑顔で話を聴くと、相手は自分が理解してもらっている、共感してもらっていると感じるのです。

逆に相手が沈痛な顔つきでつらい話をしたら、聴き手も同様に悲しそうな表情を浮かべて聴きます。そうすることによって話し手は、自分の話をしっかり受け止めてもらっていると感じ、信頼が生まれます。もっと話したいという気持ちにもなるでしょう。相づちとうなずきで話を引き出す自分が熱心に話しているのに、何の反応もないのは、とても話しづらいものです。

反対に、話の合間に適当な相づちがあったり、うなずきがあると話しやすくなります。相づちにはいろいろあります。代表的なものは、「うん」「はいはい」「あっそう?」「なるほど」「ほう」「へえ」「ふーん」などです。聞き上手と言われる人は、びっくりするような話であれば「へえ!」と驚いたり、「ほう」と感心したり、相手の話に聞き入っているときは「ふーん」「なるほど」と納得したり、話の内容に合わせて相づちを巧みに使い分けています。

このように、適度に相づちを打ってもらえると、話しているほうは、この人は自分の話を真剣に聴いてくれていると安心することができ、どんどん話しやすくなります。また、相づちと一緒にうなずくようにすると、さらに、真剣に聴いていることが伝わります。話し手はますます饒舌になり、さまざまな話を引き出すことができるでしょう。

32言葉だけでなく「アクション」を入れる

気持ちを態度で表す人は言葉だけでコミュニケーションをとっているのではなく、言語以外のさまざまな手段(ボディランゲージを含む非言語的要因)を通じて意思の疎通を図っています。言葉の果たす役割は重要ですが、非言語的要因はそれ以上に重要です。

非言語的要因の代表的なものは身振り、手振り、顔の表情、声のトーン、相手との距離や座る位置です。私たち日本人は欧米の人たちと比較するとシャイなところがあり、あまり大げさな身振り、手振りをしない傾向がありますが、自分の気持ち、思いを率直に表した言葉にジェスチャーを加えると、こちらの思いはさらに強く相手に伝わります。

ありがたいと思ったらそれなりの表情を浮かべて、相手に近寄り、相手の手を握り、頭を下げ、そして心からの感謝の言葉を大きな声で伝えます。迷惑をかけて謝らなければならないようであれば、申し訳ないことをしてしまい心から反省しているという表情を浮かべて、お詫びの言葉とともに深々と頭を下げます。多弁をろうするより、むしろ自分の思いを正直に表した表情や態度のほうが相手の心を動かします。

体裁にこだわらず、多少不格好でも自分の気持ちを率直に表現したほうがよいでしょう。電話で謝罪する場合も同じです。相手に表情や態度は見えませんが、心から申し訳ないという気持ちを態度で示して頭を深々と下げれば、不思議なもので、こちらの気持ちは電話の向こうの相手に伝わるものです。歌手の和田アキ子さんが以前、新聞紙上で、ホリプロの創業者である堀威夫さんのエピソードを次のように語っています。

「堀さんはすごく怖かった。事務所で、マネジャーが机の上に足を乗せて電話していると、『その態度が声に出るんだ』と言って、受話器で殴りつけた」堀さんの言われる通り、相手に見えないからといって電話口で不まじめな態度をとっていると、相手に見破られます。言行一致を心がけましょう。

話す距離・座る位置相手との距離についてはあまりにも接近しすぎても話しづらいものです。話の内容にもよりますが、通常の場合は、約1メートルの距離を置いて話し合うのが適切です。また、話をする際、相手がどの位置に座るかによって話がしやすかったり、しにくかったりします。状況にもよりますが、真正面に位置して向かい合うより、互いの横顔が見える斜めに座ったほうが話がしやすいといわれています。話があると言って相手が来た時は、斜め右側に座ってもらうのがよいでしょう。

33人を見て法を説く 理解のレベルに合わせる

昔の人は、「人を見て法を説け」と言いました。実にその通りで、相手に合った話し方をしなければ自分の意図は伝わりません。相手がどんな人なのか、どんな思いがあるのかをじっくり見極めて、どのような言葉遣いをしたら相手の心に届くか十分考えてから話し始めましょう。そうすれば、間違いなく相手にこちらの思いは正しく伝わるはずです。

相手の理解のレベルに合わせて話せば、その人の心を惹きつけることができますが、その逆だと相手はただ聞いているふりをするだけか、場合によってはあなたに反感を抱きます。自分が理解できないような言葉がぽんぽんと出てくると、いらだってくるのかもしれません。

「伝わる」話し方を心がけて以前、あるシティホテルで若いフロントマンとご高齢の夫婦が次のような会話をしているのを目撃しました。「チェックアウトですか?」「はぁ、出かけるので鍵を返したほうがいいかなと思ったんだけど……」「チェックアウトでしたら料金を精算いたしますが……」「金はもちろん払うが、私たちは近くの公園に行ってみたいんです」「それでしたらチェックアウトではなくて、お出かけなんですね?」「チェックアウトが何かがわからないが、鍵を返したらもう一度こちらに戻ってくることはできないんですか?」「そんなことはございません。ただ、私どもとしてはチェックアウトなのかどうかを確認したかったんです」チェックアウトという言葉を、誰もが知っているとは限りません。この時、フロントマンがお客様の反応を見て、「お帰りですか?」「お部屋は引き払われますか?」「しばらく外出されて、またこちらに戻られるのですか?」などと相手がわかるように言い換えていれば、もっとスムーズに会話ができたと思います。

NHKの名アナウンサーであった山川静夫さんは以前、次のようなことを語っています。「放送の仕事に長年たずさわってきた自分が、今ごろになって不安に思うのは、電波を通じていろいろな情報を伝えてきたものの、それが視聴者のみなさんにしっかり伝わったかどうか、ということである。

『伝える』と『伝わる』では大違いで、いくら伝えたつもりでも、相手に伝わらなければ意味がない。(キャッチボールでいえば)こちらの投げた球を捕球してもらえたかどうかが問題である。捕球する相手は気に入らなければジャンプしてまで捕ってくれない。『捕れない』のでなく『捕らない』のである。

たとえ自信のある球でも、相手が捕ってくれなければ、キャッチボールにはならない」山川さんの言われるようにどんな素晴らしい内容の話であっても、相手の心に入っていかなければなんにもなりません。相手に合った話をするように心がけましょう。

34早呑み込み、早とちりをしない 思い込みだけで行動しない

相手の一言半句で何を言わんとしているか、何を欲しているかを察することは大切ですが、重要な事柄は勝手に判断せず、きちんと確認するべきです。上司やお客様から多少あいまいな調子で話があった時、恐らくこんなことを希望しているのだろうと早呑み込みして行動に移したとします。

それが相手の意図とかけ離れたものであると、不興を買うことになってしまいます。また、人は自分の思っていることを言葉にしてはっきり言わないことがあるので、言外の思いを察することも必要ですが、この時も注意が必要です。相手の思いとこちらの解釈が一致しないこともときどきあるからです。

相手の真意をよく確かめもせず、わかったつもりになってはいけません。言葉の意味がわからなかったら再確認するなりして、相手の思いの正確な把握に努めなければなりません。見た目で人を判断する「早とちり」にも注意早呑み込みと似たようなことですが、早とちりにも要注意です。

相手の容貌、身なり、言葉遣いだけで、この人はこんな人だろう、こんなものを欲しているだろうと勝手に判断してしまうと、後で大変なトラブルに発展することもあります。私も以前、こんな経験をしました。アップルの創業者で、当時社長を務めていた故スティーブ・ジョブズ氏が、ヘリコプターで私の勤務していたソニーの工場に見学に来た時のことです。

ヘリコプターからはアロハシャツにジーパン、スニーカーの若者と、スーツをビシッと着込んだやり手ビジネスマン風の男性が降りてきました。私は前を歩いてくるアロハシャツの男性には目もくれず、当然のように、後ろのスーツの男性に「ウェルカム」と言って手を差し出しました。

すると、その男性は前だ、前だというジェスチャーをします。実は、スーツ姿の男性は当時副社長をしていたスカイリー氏で、前のアロハシャツ姿の若者が、社長のジョブズ氏だったのです。ジョブズ氏は若いと聞いていただけで顔を見たことがなかった私は、その容姿から、アロハシャツ・ジーパンの男性を社長のジョブズ氏ではないと判断してしまいました。私はこの時、「身なりや風体だけで、人を判断してはいけない」という貴重な教訓を得ました。

身なりだけではなく、少ない情報から勝手に判断するのはとても危険です。外部から上司あてに電話が入った時、相手の名前がたまたま上司と同姓であったので、つい、早合点して、「課長、お身内の方からお電話です」と伝えてしまい、後で「身内なんかじゃなかったぞ!」と叱られることもあります。察し上手になって気を利かせることも大事ですが、早呑み込み、早とちりをしないように気をつけなければいけません。

35良好な人間関係を構築する まずは挨拶から

社内におけるホウレンソウは上司、同僚、関係する部門の人たちとのコミュニケーションであり、このコミュニケーションは相互の人間関係が良好でないとうまくいきません。あの人は好きだからとか、嫌いだからということでホウレンソウをしたりしなかったりすることは、決して好ましいことではありませんが、人間は感情の動物であることも否定できません。

職場で日ごろから親しい関係、信頼関係を構築しておくことは必要でしょう。職場で良好な人間関係を構築するには次の3つの点に留意すべきです。ひとつ目は日常の挨拶をきちんとすることです。

毎日顔を合わせていると、ついめんどうになることもありますが、率先して元気よく、挨拶をしましょう。日ごろから挨拶もしない無愛想な人間に、誰もホウレンソウしようという気にはならないものです。朝夕の挨拶だけでなく、「ありがとうございます」「失礼しました」「すみません」は集団で仕事を進める上で不可欠な言葉であり、大きな声で元気よくこのような言葉を発していれば、職場の人たちから好意を持たれるはずです。

誰にでも礼儀をわきまえた言葉遣いを

2つ目は、礼儀を心得た言葉遣いをすることです。相手を傷つけるような言葉遣いをする人には、義務的な報告・連絡以外、積極的にホウレンソウしようとは思いません。立場が上の人には丁寧で、下の人にはつっけんどんな言葉遣いをしていると、誰かがそれを見ていて、その人の人間性の評価につながり、必要なホウレンソウがされないこともあるでしょう。

いつでもスマイルを心がけて

3つ目は、職場ではいつもスマイル、ほほ笑みを絶やさないことです。いつもほほ笑んでいる人には、みんなが近づいてきます。その反対にいつも怒ったような、不機嫌そうな顔つきの人には近寄りがたく、ホウレンソウするのも躊躇してしまうでしょう。日本のプロ野球界が生んだ大スターといえば、元巨人軍監督の長嶋茂雄さんでしょう。長嶋さんがなぜ、そこまで人気を集めたかといえば、当然、抜群の勝負強さを発揮した現役時代の活躍もありますが、やはりいつも絶やさないスマイルにあるかと思います。脳梗塞で倒れて、右半身が不自由になった今日でも、いつもほほ笑みを浮かべて、にこやかに話すあの人柄に多くの人が魅了されるのだと思います。人間だから調子の悪い時もあるでしょうし、仕事がうまくいかない時もあるでしょう。でもそんな時でも、周りに気を使わせるような顔つきではなく、常にスマイルを心がけていれば、周囲の人との関係もよくなり、貴重な情報が寄せられるはずです。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑨「狙いを明確に伝える」

上司の指示・命令があいまいだと、部下は上司の意図の把握に時間がかかる。多少でも厄介な事柄を部下に依頼する場合は、どういう狙いがあるのか、達成目標・制約条件をあらかじめ説明しておく。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑩「監督責任を問われることも隠さない」

部下から好ましくないことが起きたという報告を受けた場合も、それを隠そうとしないこと。その悪影響を最小限にするにはどうしたらよいかを重視して、自分が知り得た情報は関係部門に正直に報告を。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑪「自ら進んで挨拶をする」

挨拶とは心を開くこと。上司が率先して、職場の人たちに元気に挨拶すれば、部下も必然的に心を開いてくれる。その結果、部下がホウレンソウしやすい人間関係ができる。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑫「礼儀を心得た言葉遣いをする」

相手が部下や目下の者だからといって、人間としての誇りを傷つけるような言葉遣いをする上司には誰も積極的にホウレンソウをしようとは思わない。誰に対しても丁寧な言葉遣いを心がけて。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項⑬「スマイルを絶やさない」

誰にでも調子の悪い時、仕事がうまくいかない時があるが、周りに気を使わせるような不機嫌な顔つきの上司だと、部下はホウレンソウを躊躇する。いつでもスマイルを心がけよう。

【30】普段のコミュニケーションが、結局は物を言う

◆仕事以外の雑談で信頼関係が深まることも

本書ではしつこいぐらいに「報連相する相手とは、信頼関係が大切だ」「報連相できる人は信頼される」とお伝えしてきました。とくに、上司に動いてほしいとき、どうしても自分の提案を通したいときには、やはり相手との信頼関係が大切になってきます。

あなたと相手との間に信頼関係がなければ、そもそも報連相はうまくいかないのです。まずは、心のかけ橋を築くことで、あなたに対して好意を感じてもらいます。そこで試してもらいたいことは、あなた自身の感情や経験を語る、つまり自己開示することです。

たとえば、出身地、出身校、家族構成、趣味、特技、学生時代の思い出、成功体験などのプロフィールについて話します。それから、将来の夢、ビジョン、悩み、困りごとなどの心の内を開示するということでもいいでしょう。

もちろん、無理のない範囲でかまいません。誰でも頻繁に連絡を取る相手や、親しい人のためには何かをしてあげたいと思うものです。それは上司や先輩も同じです。決して媚を売る必要はありませんが、仕事以外の雑談やコミュニケーションを通して信頼関係が深まる場合もあります。

◆まずは毎朝のあいさつにひと言加えて

自己開示以外にも、信頼関係を築く方法があります。その一つの方法が、相手に関心を持つことです。相手に対して関心を持つというだけでなく、相手が関心を持っている〈コト〉や〈モノ〉に関心を示すことも含みます。

たとえば、相手がゴルフ好きであれば、ゴルフに関心を持つことで価値観を理解できたり、共通の話題もできます。もう一つの方法は、相手と似ている点や共通点を探すことです。人は自分と似ている人、共通点がある人に親近感を覚えるものです。出身地が同じ、大学の先輩後輩、同じサッカーチームが好き、同じ映画が好き、といった共通点があれば、それだけでお互いが好意を感じるものです。

しかし、どうしても会話が弾まない、苦手な上司だという場合もあるかと思います。そのような場合は、無理に会話をする必要はなく、ひと言ふた言あいさつの場面を多くする程度でよいのです。話す内容や時間の長さよりも、相手とどれだけ頻繁にコミュニケーションをとるかどうかが大きなポイントです。

【31】「聞き方」ひとつで上司を動かす

◆バックトラッキングやミラーリング

上司に動いてほしいと思う場面では、「聞き方」もとても重要です。報連相では、相手に伝わるように話をしますが、それは単に一方通行で話をすればいいというものではありません。報連相は双方向のコミュニケーションですから、相手からの話を聞くことも大事な要素と言えます。

上手に相手の話を聞く方法を身につけ、上司を動かしてください。

・あいづち&うなずきあいづちを打つことで、「しっかり話を聞いています!」というサインになります。「はい」「そうですね」「わかりました」「理解しました」といったあいづちに合わせ、うなずきも入れます。

・目を見て、笑顔で相手の目を見て話を聞くことは基本であり、マナーです。パソコンやスマホを見ながら話を聞くのはNGです。

・バックトラッキング相手の言葉を返すことで、聞いているサインになります。相手の言葉をそのまま返したり(オウム返し)、相手の話をいくつかのポイントに要約して返すというやり方です。「ここまでのお話しをまとめると、次の3つということですね。1つ目は……」というように、くり返して確認することで、しっかりと話を聞いているという印象を与えられます。

・ミラーリング&ペーシング相手が手帳を開いたら、あなたもさりげなく手帳を開くとか、動きやしぐさを鏡に写しているかのように真似する方法です。また、ペーシングは相手の話し方に合わせるやり方で、スピードやトーン、声の高低などを合わせます。

ほかにも、「相手の話を途中で遮らず、最後まで聞く」「固定観念や先入観を持たず、白紙の状態で話を聞く」「評価や間違い探し、批判をしないで聞く」といったことも、とても大切になります。また、上司を役職名だけで呼ぶのではなく、「●●課長」などと名前で呼ぶことも距離を縮める有効な方法です。ぜひ試してみてください。

【32】さらにレベルアップ、説得話法を身につける

◆過去の事例や前例を引き合いに出す

上司から仕事の指示があり、その指示に沿って部下が動くといった、「上司が部下を動かす」という構図は当たり前のことです。しかし、反対に部下が上司を動かすということは、とても骨の折れることです。

では、部下側が上司に動いてもらいたい、あるいは説得したいと思ったら、部下としてどのように話を展開すればよいのでしょうか。部下が上司を動かすときのポイントとして、①具体的な事例や数字を使う②感情面で訴えるの2つがあります。

ビジネスは、過去の経験や実績に基づいて成り立っています。初めて取引する業者より、何年も付き合いのある業者のほうが安心して仕事を頼めるように、私たちは過去の経験や実績を信用する傾向があります。ということは、過去の事例や前例を上手に伝えることで、あなたの話を説得力のあるものに変えることができるのです。

具体的な事例をさらに効果的に伝えるためには、PREP法に沿って話を展開するといいでしょう。Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の順序で話すと説明の説得力が増します。PREP法では、まず最初に結論を話します。次にその結論に至った理由を話します。このあと具体例を話します。とくに過去の事例や前例が効果を発揮します。そして、最後にもう一度念を押すために結論を話します

◆結論をくり返す

「PREP法」PREP法の特徴の一つに、結論を最初に伝えるという点があります。「結論を最初に伝える」というのはビジネスでは基本ですし、次の展開への関心を引く効果もあります。また、最後にもう一度結論を話す〈サンドイッチ法〉によって記憶にも残りやすくなります。

それから、PREP法のもう一つの特徴は具体例です。理論・理屈より、具体例はわかりやすく説得力があります。ですから、理論・理屈としての理由を話したあと、その理由を裏付けるための具体例を話すことで、説得力が何倍にも増すことになります。

たとえば、納入業者選定の件で提案する場面であれば、このようになります。

P:結論「今回の納入業者選定の件ですが、D社でお願いします」

R:理由「なぜなら、費用対効果が良く、評判もダントツだからです」

E:具体例「実は、ウチの横浜支社でもD社を採用しています。横浜支社の担当者に話を聞いたところ、自信を持ってすすめられました」

P:結論「ということで、今回はD社でお願いします」このように提案されれば、上司としてもOKを出す可能性が高くなります。

PREP法は一見すると、4つのステップで話を展開しているように思えますが、よく見てみると、結論と理由しか話していないのです。結論→理由→具体例→結論の第2ステップで理由を話し、第3ステップでその裏付けとなる具体例を話します。つまり、形を変えて理由を2回言っているのと同じなのです。

【33】ときには「感情面」へのアプローチも必要

◆共感から納得してもらう

論理的で筋道が通っている話はわかりやすく、説得力があります。PREP法はその代表的な話法です。そのほかにも、数字やデータを使って説明することで、上司は「なるほど!」と言ってくれることでしょう。

一方で、「人は結局のところ感情で動いている」ということも言えます。頭で理解できても、感情で納得しないと動かないということも、また事実です。ですから、報連相する場合でも上司の感情に訴えることで、あなたの話を受け入れてもらいやすくなります。

もちろん、そのベースには普段からのコミュニケーションは欠かせませんが、上司の論理的な側面と感情の側面、この両方に訴えることで上司の納得感をアップさせるのです。

そこで、次のDESC法を使った話の構成が役に立ちます。Describe(描写)→Empathize(共感)→Specify(提案)→Choose(選択)の順番で話す話法です。

まず、客観的な事実や状況を話します。次に、あなたの意見や思いを説明し、上司の感情に訴えます。そして、解決策や何らかの提案を行います。最後に、提案を受け入れた場合と、受け入れなかった場合の結果について伝えます。

たとえば、上司からの業務指示に対して、業務開始時間をずらしてほしいとお願いする場面であれば、このようになります。D:描写「大変申し訳ありません。今、ちょど●●の仕事に取りかかっています」

E:共感「しかし、指示いただいた業務は必ず行いたいと思います」

S:提案「●●はあと1時間ほどで終了します。そのあと取りかかろうと思っていますが、いかがでしょうか?およそ30分あれば完成できます」

C:選択「それなら、15時からの会議には間に合うかと思います」

「感情的に説得する」のではなく「感情を込めて納得してもらう」ことが、あなたの要望を聞いてもらえる大きなポイントです。

【34】報連相で「提案」までできたら、仕事の達人

◆部下の「こうしたい!」を心待ちにしている

前項で上司に提案するDESC法をご紹介しましたが、上司に提案をするというのは、少しハードルが高く感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、部下からの前向きな提案に対して、「そんなよけいなことするな!」と言う上司はいません。

むしろ、「こうしたい!」という提案や、「こうしたほうがいいのでは!」といった具申をすることで、あなたに対する上司からの評価もアップするはずです。

第3章でご説明したように、報告では次のステップが基本となります。

「何に関する報告なのかを伝える」→「結論がどうなったのかを伝える」→「今後の展開を伝える」通常の報告であれば、ここで終わります。

しかし、上司に動いてもらいたい場合では、「今後の展開」をさらに一歩進めて、「提案」まで行います。客観的な状況を事実に基づいて報告したあとに、上司に対してあなたの考えを伝えたり、提案してみるのです。

提案までのステップは次のようになります。

①製品開発会議の件で報告があります。

②懸案だった次世代機〈Z〉の発売時期を今年12月に決定しました。

③今後は次世代機〈Z〉の発売に向けて、販売促進チームの発足を予定しています。

そして、このあと提案をします。

「そこで、私としてはチームのメンバーは公募制で決めてみてはどうかと考えています。まずは私なりに素案をつくってみました。いかがでしょうか?課長のご意見をいただけないでしょうか?」

こうして、相談という形を取りながら、提案します。

もしあなたの提案を承認してもらうことができれば、あなたの思った方向に仕事を進めることができるようになります。

それに、提案することで新しい仕事を創造することにもなるわけで、自立したビジネスパーソンとして、さらに一歩前進することができるのです。

◆事実と憶測は混同しない

報連相では、事実と憶測などを分けることも極めて重要です。事実情報と、事実かどうかわからない情報(憶測・感想・意見・想像・予測)と混同しません。

そして、基本的には「事実」→「憶測・感想・意見・想像・予測」の順番で伝えます。報連相では事実情報がすべてです。その事実情報を伝えた上で、情報を補足するために、あなたの憶測や意見を伝えるようにします。

「これは私見ですが……」「あくまで憶測ですが……」といった言い方で、事実と憶測とを明確に分けるようにしましょう。

また、人から聞いた意見などを伝える際には、「●●●みたいですよ」「●●●らしいです」といった、あいまいな表現で報連相してはいけません。

「●●●といった意見を持っている人がいました」というように、意見を持っている人がいる、という事実情報を伝えるようにします。

このように、事実情報か、あなたの憶測か、第三者の憶測なのかを整理して、誤解なく情報を伝えることも、信頼されるビジネスパーソンへの近道です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次