00「連絡」とはどんなものか?
◆チームで仕事を進めるためのヨコ方向のコミュニケーション
指示された仕事を行うにあたっては、同じ職場の同僚やチームリーダー、関係する部署の人たちなどの間で、業務に関係するさまざまな情報を伝言ゲームのように伝え合う必要があります。これが「連絡」です。
報告(と指示)がタテ方向への情報の共有化を行うものだったのに対して、連絡は職場のヨコ方向へ情報の共有化を行います。そうすることで、チームプレーをするときにより効果的に組織の強みを発揮できるのです。
考えてみてください。業務知識や進捗状況など、さまざまな情報を共有しているメンバーで構成されているチームと、そうでないチームとでは、前者の方がずっと無駄なく、的確に仕事を進めることができますよね。
そういうチームプレーを行うための土台となるのが、ヨコ方向への情報の共有化、すなわち「連絡」なのです。厳密に言えば、部下から上司に連絡したり、逆に上司が部下に連絡したりすることもありますから、ナナメやタテ方向への連絡もたくさんあります。ただ、ここでは、タテ方向の報告(と指示)に対して、指示された仕事を実行するために行うヨコ方向の情報の流れが「連絡」であるとして、単純化して捉えてください。
連絡の3つの要素連絡では、
①確実に情報を共有することが最も大切です。
②内部連絡では、連絡の基本スキルと心構えについて述べます。
③外部連絡では、お客さまや取引先の企業などと、どのようにして情報を共有すればよいのかを述べます。
便宜的な分類にすぎませんが、この3つの要素を順番に解説していきたいと思います。
01最大のポイントは、間違えて伝えないこと
◆ビジネスの伝言ゲームは間違えられない!
連絡は、伝言ゲームによく似ています。伝言ゲームは、短い文章をメモを取らずに言葉だけで伝えていくゲームですが、ほんの2〜3人を間に介しただけで、あっという間に伝言内容に間違いが生じてしまいます。ゲームならその間違いを楽しめるのですが、ビジネスの連絡で間違いが起きたら大変です。
たとえば、発注数量を間違えたり、納品日を間違えたり……。どんな間違いにしろ、すぐに損失やクレームに結びついてしまいます。連絡では、連絡する側とされる側が、どちらも情報を間違えないで共有することが最も大切です。何はともあれ、まずはそのことを頭にたたき込んでください。
◆基本のメモ取りと復唱確認を徹底する
共有する情報が、投げ手と受け手の間で齟齬を生じないようにする方法はいくつかあります。まず、伝言ゲームと違ってビジネスの連絡ではメモを取ることができますから、連絡をするとき・受けるときには、必ずメモ帳とペンを手元に用意し、いつでもメモを取れる体勢を作っておきます。
もう1つの基本は「復唱確認」です。連絡を受けたとき、あなたがメモを取って理解した内容と、情報の投げ手が伝えたかった内容には、もしかしたら間違いが生じているかもしれません。間違いがないことを確認するためには、ひと通り連絡を受けた段階で「わかりました。確認しますが、………ということですね」と、声に出して聞いたことを繰り返し、お互いの認識に違いがないことを確認するようにします。
これも、怠ってはならない基本スキルです。逆に、連絡する立場で相手が復唱確認してこない場合には、こちらから復唱をお願いしてもかまいません。確認のための復唱は、それほど基本的なことなのです。ただ、何にでも例外はあります。相手の役職がずっと上であるなどの理由で復唱をお願いできない場合には、連絡の最後に、情報の内容を要約してもう一度念押しするようにします。これで、間違いは格段に少なくなるはずです。
02数字を確実に連絡する習慣を身につける
◆数字のミスはダメージが大きい!
連絡で情報を確実に伝達するコツを、もう少し紹介しましょう。情報の中でも、「日付」や「発注量」などの数字は、絶対に間違えてはならない部分です。納品日や打ち合わせの時刻、生産量、取引先の電話番号などなど、例を挙げ出したらキリがありませんが、こうした数字を間違えて連絡すると、ビジネスでは大きなトラブルや損害になってしまうことは説明しなくてもわかりますね。
でも、恐ろしいことに、こうした数字の間違いの原因は、ちょっとした不注意やケアレスミスであることが多いのです。ふと気が緩んだとか、聞き間違えたとか書き間違えたとか、とにかく日常でいくらでも起こり得る小さな失敗が原因で起きるのです。プライベートなら笑ってすませられるこうした失敗が、ビジネスでは致命的なものになることもあり得ます。
不注意やケアレスミスは、いつでも起こり得るからこそ、逆に防ぐのがなかなか難しいものです。完全な予防法というものはありません。でも、普段からケアレスミスをしないように意識していれば、かなり減らすことができるのも事実です。いくつか具体的な方法を紹介しますので、今日からでも取り入れてください。体に習慣づけてしまって、意識しなくてもできるようになることが大切です。
◆日付を省略しない
日付を連絡するときに、日にちだけを連絡して、月を省略してしまう人がかなりいますが、これは数字の間違いにつながりかねない習慣です。情報の送り手が考える月と、受け手が考える月が同じだとは限りませんし、今月のことだとわかっている場合でも、連絡してからしばらく時間が経つとどの月のことだったのかわからなくなってしまいます。
日付を常に○月○日の形式で連絡すれば、こうしたミスは避けられます。長期間にわたる業務の連絡や、記録に残る書類やメールなどの場合には、さらに○年○月○日まで明示するとよいでしょう。これだけのことでも、メールや書類の資料性がグッと上がり、あとから調べものをするときに役立ちます。
◆時刻は24時間表記で
また、時刻についても曖昧にならないように気をつけましょう。常に24時間表記を使用し、たとえば3時ではなく15時と連絡し、午前・午後の間違いを防ぎます。
◆曖昧な表現は指定していないのと同じこと
日時や時刻の指定の際は、曖昧な表現を極力避けるようにします。たとえば、「朝イチ」「月末」「そのうち」「早急に」「だいたい○日頃に」などの表現は、対象となる時間の幅が広すぎて、情報の受け手側が予定を立てることができずに迷惑をかけてしまいます。
こういう表現は、実質的には何も指定していないのと同じです。もっと具体的に、「朝の9時」とか「30日(月曜日)」のように、時間の幅が狭い表現をするよう心がけましょう。どうしても漠然としか予定が立たない場合には、だいたいの日時の連絡をしたあとに、「明日17時までに、詳しい日時を連絡します」と、追って正確な日時を連絡するようにしてください。
◆数字の出元に確認することをためらわない
連絡しようとする情報の数字が、どうもおかしいんじゃないかと思うこと、結構ありますよね。たとえば、連絡された生産量についてゼロが1つ多そうだとか、いつも同じ数だけ注文される商品の発注量が突然増えているとか、これまでの経験から、「何となく数字がおかしいな」と感じた場合です。こういう場合、疑問には思いながらも、そのまま連絡してしまう人が多いと思いますが、それはやめましょう。
次の人に連絡する前に、その情報を渡してきた人に確認したり、可能であれば数字の出元に電話をかけたりして、本当にその数字で間違いがないのか、確認することをためらわずに行ってほしいのです。これは、数字を正確に伝えるうえで、重要な習慣です。あなたがその数字をおかしいと感じたということは、他の人もおかしいと感じるはずです。それならば、自分のところに回ってきた数字を一旦戻して確認することによって、もし間違っていれば大きなトラブルになる前に修正できますし、何らかの理由があるのであれば、その理由も添えて連絡することで、数字に違和感を持つ人がほかにいてもその数字が正しく共有されていきます。
とにかく、ビジネスではちょっとした数字の間違いが大きな損失につながります。それをしっかりと認識して数字を扱うようにし、相手が聞き間違えたり、読み間違えたりしていないか、常に確認することです。よく似た発音の数字(イチとシチ、シ、クとロク)も、読み変えるなどして聞き間違いが起こらないように気をつけましょう(Part2の04)。
固有名詞にも気をつけるなお、記号や略字、商品名、人名などの固有名詞も、数字と同じように間違えるとダメージが大きい部分です。充分に注意してください。
03「思い込み」に捕らわれていないか振り返ろう
◆連絡ミスのもう1つの原因「思い込み」
人間は誰しも思い込みの激しい生き物です。しかも、自分が今、思い込みで話している、行動していると気づけない生き物でもありますから始末が悪いですね。そして、思い込みはときに事実をも曲げてしまいます。連絡では、こうした思い込みが、情報の共有を妨げる原因になることがあります。思い込みがよく起こるのは、大きく分けて次の4つのシチューションです。
①ほかの仕事のことで頭がいっぱいなとき
②そうなればよいという強い期待感や願望があるとき
③過去に同じような経験があるとき
④ほかの人が自分と同じ状況にあるとき
それぞれのシチュエーションで、どんな連絡ミスを起こしやすいのか簡単に説明しましょう。
①ほかの仕事のことで頭がいっぱいなとき……何かに没頭しているところに急な連絡が入ってくると、頭を切り替えられずに間違った情報を信じ込んだり、誤解をしたまま信じ込んでしまいます。聞き間違いや単純な勘違いをしやすいのはこのときです。
②そうなればよいという強い期待感や願望があるとき……たとえば、受注したいという強い願望があるときには、相手の反応が煮え切らないものであっても、てっきり受注できるものだと思い込んだりします。
③過去に同じような経験があるとき……過去に似たような状況での成功体験や失敗経験があると、あのときはこうだったから今回もこうに違いないと思い込みやすくなります。確かに、同じ状況なら同じ結果になることも多いのですが、それは絶対ではありません。類似点ばかりに注目して、異なる点を見ようとしなくなります。
④ほかの人が自分と同じ状況にあるとき……自分たちにとって緊急性の高いものなら、ほかの人もそうだろうと思い込んでしまいます。実際には、人や組織が異なれば判断基準や価値観などすべてのことが異なるので、自分と同じ判断をするとは限らないのに、そう思い込みやすくなります。
◆自分も思い込んでしまうことがあるのを自覚する
これで、思い込みが起こりやすいシチュエーションはわかりました。では、思い込みを防ぐには、私たちはどうしたらいいのでしょうか?それにはまず、自分が思い込みで行動したり、話すことがあると自覚することです。
思い込みの存在を自覚することによって、「もしかして、今の私は思い込みに支配されてるんじゃないか?」と自分に対する問いかけを行うことができます。思い込みを完全に防ぐのは不可能ですが、この「これってもしかして思い込みでは?」という問いかけを、連絡する前に自分に向かってすることよって、間違った情報の連絡を防げるのです。
04お客さまの視点に立てば、連絡忘れ・連絡モレが見えてくる
◆気づかないところで起きるから恐い!
連絡ミスを発生させる原因はまだあります。それは連絡忘れや連絡モレです。連絡忘れや連絡モレの恐いところは、自分ではすべての関係者に連絡したつもりなのに、ちょっとした見逃しで起きてしまうことです。たとえば、次の失敗談のケースを見てください。
×悪い例
高橋さんは、とある遊園地で働いていました。ある遊具の点検作業をすることになり、「しばらく乗車を中止させ、もしお客様がきたらほかの乗り物へ誘導するように」と指示されたので、その遊具の係員に連絡しました。ところが、点検中もなぜかお客さまが次々にやってきて、遂にはクレームに発展。何と、チケット売り場に点検の連絡をするのを忘れていたために、乗れると言われてきたらしいのです。チケット売り場は離れた場所にあり、子会社の管轄だったので見逃していたのです。でも、お客様から見ればそんな事情は関係ありません。高橋さんは、お客さまには平謝りで、上司にもあとからこっぴどく叱られました。この例でも、高橋さん自身はすべての関係者に連絡したと思っていたのです。一体、どうしたらよいのでしょうか?
◆お客さまの視点に立ってみるのがカギ
連絡忘れ・連絡モレを防ぐには、連絡するときに、その情報がどういう意味を持つのか、できる限り自分でも考えるしかありません。単に「上司に言われたから連絡する」という態度では、例に出したような単純な連絡モレを防ぐことはできません。情報の内容から、関連する部署はどこか、担当者は誰か、自分なりに考えて、わからない部分は上司や先輩に確認しながら、連絡忘れ・連絡モレが起こらないように情報の共有化を進めるのです。
その際には、お客さまの視点で考えると効果があります。自分の仕事だけを考えているときには気づかなかったことも、「もし自分がお客さまだったらこれで大丈夫だろうか?」と考えることで、気づいていなかった連絡先に気づかされることがあるのです。ケアレスミスや思い込みと同じく、連絡忘れや連絡モレを完全に防ぐことはできません。何しろ、頭の中にその連絡先のことがまったく浮かばないからこそ、連絡忘れや連絡モレが出てしまうのですから。でも、お客さまの立場に立って考えてみたり、自分なりに情報の内容を検討することによって、ある程度は防ぐことができるのです。
05スタンドプレーは没コミュニケーションを招く
◆誰もフォローしてくれないのは、連絡ができていない証拠
内部での連絡がおろそかになりがちな人の典型的なパターンは、自分1人だけで仕事をしているつもりの人です。こういう人は、自分の手柄や成果ばかりに目がいっているので、上司に対する報告はしっかりできています。自己アピールは完璧なのです。でも、職場の同僚や取引先、お客さまといったヨコ方向へのコミュニケーションがなくなってしまっています。
そのような没コミュニケーション化した状況では、思ってもいなかったトラブルが起きたり、別の部署との連携がうまく取れなくてお客さまを怒らせたりと、小さな問題がポロポロとこぼれるように起こってきます。当然、仕事の結果や成績にも悪い影響が出るでしょう。
自分でそうした状況を招いているのですが、こういう人に限って、「誰も自分をフォローしてくれない」と嘆くものです。でも、周りの人は、「フォローしてほしいのなら、きちんと連絡しろ」と思っているかもしれませんね。
◆連絡を密にしていればフォローしてもらえる
どんな仕事であれ、自分1人の力で1から10まで完結させることはできません。本書の読者は、ほとんどが会社勤めをされている方だと思いますが、組織で働いている人は自分1人で仕事をしている気になってはダメなのです。そういう気になると、どうしても連絡がおろそかになってしまいます。
そういう思い込みをせずに、職場内部の連絡を密にして、情報がすぐに共有される状態を作っておくことが大切です。充分な連絡がされていると、お互いの状況がわかっているので、問題になりそうなところでは自然にフォローし合い、助け合うようになります。また、ほかの人の視点で見た情報も常に入ってくるようになります。
そうすると、チームプレーの強みが存分に発揮されます。仕事の効率がよくなり、ミスなく成果を上げられるようになります。全体の成績も上がり、結局はあなた自身の評価も上がっていくでしょう。連絡は、職場全体のためだけに行うのではありません。あなた自身の仕事を、ミスなく効率的に行うための行為でもあることを、忘れないようにしましょう。
06電話の取り次ぎと連絡メモの取り方をマスターしよう
◆身近だけど重要な電話の取り次ぎ
日々のビジネスの中で最も身近な「連絡」の場面は、同僚や上司にかかってきた電話を取り次ぐことでしょう。身近すぎるためにあまり意識していませんが、うまく取り次ぎができないと大きな失敗につながることもあります。1日に何度も直面する場面でもあり、これがソツなくこなせないようでは、それだけで使えない人材だと判断されかねません。しっかりとマスターして、確実に取り次げるようにしておきましょう。
◆基本の3項目を確認してから取り次ぐ
電話連絡を取り次ぐ基本は、次の3項目を確実にメモしてから、名指しされた人に取り次ぐことです。これは、たとえその人が隣に座っていたとしても同じです。
①相手の会社名(所属部署)
②相手の名前
③用件のおおまかな内容
少なくとも、①と②の「相手の会社名」と「名前」だけは確実に把握してから取り次いでください。
これは、曖昧な情報を連絡しないために重要なことですし、あやしげな営業電話をシャットアウトする効果もあります。また、電話を取り次ぐ際には、電話をかけてきた人を30秒以上待たせないこと。それ以上長いと、待っている方はイライラしてきます。長く待たせてしまいそうなときは、一旦電話を切ってもらい、こちらからかけ直すようにします。
◆不在の上司や同僚には連絡メモで伝達する
取り次ぐべき上司や同僚が不在の場合は、連絡メモを残します。連絡メモは、必要な情報をモレのないようにすべて記入するのがポイント。多くの人は、1つか2つ情報が抜けてしまっているので要注意です。まず、①誰宛ての電話だったのか、メモを残す相手の名前を書きます。これを忘れると、メモが風などで机から落ちてしまったときに、誰宛てのメモなのかわからなくなってしまいます。次に、②電話をしてきた人の会社名と名前。これは必須ですね。そして、③用件のおおまかな内容か伝言の内容を書きます。相手が伝言を残さなかった場合にも、「伝言はありませんでした」と記入します。そして、可能な限り④相手の連絡先も聞き出して、メモに記入しておきます。たとえ相手がかけ直すと言っても、「申し訳ございませんが、念のためご連絡先を頂けますか?」と、一度は問いかけるようにしましょう。そして、最後に⑤自分の名前と、電話を受けた日付と時間を記入します。日付を忘れる人が多いのですが、意外に重要です。どうでしょうか?電話の連絡メモも、結構奥が深いのです。こうして作成した連絡メモは、相手の机の目立つ場所に貼っておきます。そして、できれば不在にしていた本人が帰ってきたら、その時点で電話があったこととメモを残したことを伝えてください。書類の影になって連絡メモに気づかなかったり、ほかの用件に追われてデスクに戻ってこないこともあるからです。
本人が出先から連絡してきた場合は、電話があったことと、連絡メモの内容を電話ですぐに伝えてあげると親切です。なお、この連絡メモは、電話連絡に限らず、不在の上司や同僚に連絡をしたいときにも使えます。
◆こんな電話にはどう対応する?
連絡すべきかどうか迷ってしまう、次のようなケースもたまにありますね。こんなときは?「田中はただいま席を外しております。何か伝言を残されますか?」「いや、結構。また電話しますから」「そうですか。では、お電話があったことだけ伝えておきます」「いや、それも結構です。また直接かけ直しますから」電話してきた本人が連絡しないでくれと言っています。あなたならどうしますか?この場合の正しい対応は、たとえ先方が連絡は必要ないと言ったとしても、名前や会社名は最低限聞き出し、そのような電話があったことを伝えることです。「C社の鈴木様から電話がありましたが、特に伝言はなく、またかけ直すとおっしゃっていました」という感じです。
07目的のわからない連絡は無視されやすい
◆指示のニュアンスを含んだ連絡は、「目的」まで伝えるのがポイント
連絡される情報は、多くの人の間で間違いなく共有されるために、必要最小限の簡潔な内容になりがちです。そのため、どうしてその連絡が必要なのか、何のために連絡しているのかという情報が欠落しやすく、その連絡が行われた本来の「目的」がわからないまま、とりあえず連絡だけが行われることが少なくありません。しかし、目的がわからないままに実際の作業指示だけの連絡をしていると、問題になる場合があります。たとえば、次のようなケースです。×悪い例C社の人事部では、営業部の新しい人事配置を検討するために、営業部員全員に「毎月の残業時間報告書」と「外回り時間報告書」を提出してもらうことになりました。そこで、翌月5日に全営業部員が人事部にこの2つの書類を提出するようにと、次のような社内メールを通じて連絡しました。「営業部の皆様:『毎月の残業時間報告書』と『外回り時間報告書』を提出してもらうことになりました。以下がその書式となります。9月5日までにご提出ください。人事部」ところが、期日になっても書類を提出してくれない人が何人も現れました。理由を聞いてみると、「自分1人くらい出さなくても問題ないだろう」「今は大きな商談中なので、そんな資料を作る時間があればもっと営業活動をしたい」「そもそも、何のための資料かわからないのに時間をかけるのはもったいない」といった声が聞かれました。この例では、資料を提出してもらう目的を伝えないまま、報告書を作って提出するという実際の作業だけを連絡していました。そのため、各営業部員が実際に報告書の作成を行う段階で、その作業の重要性がわからず、より重要そうな事柄(たとえば営業活動)に費やすべき時間を割いてまで行うことではないと判断する人が出てしまったようです。これでは、連絡した本来の目的が達成できませんね。連絡を行う際には、お願いする作業の内容だけではなく、その連絡を流した本来の目的、つまり、その連絡によって何をしたいのかを同時に伝えるようにしなければなりません。先程のケースなら、次のように連絡していればよかったはずです。○よい例「営業部の皆様:営業部の新しい人事配置を検討する資料として、『毎月の残業時間報告書』と『外回り時間報告書』を提出してもらうことになりました。以下がその書式となります。9月5日までにご提出ください。人事部」これなら、営業部の人たちも自分たちの人事に関係する話ですから、間違いなく全員が書類を提出してくれたでしょう。
◆お願いの連絡は、伝え方に注意が必要
ここまでの説明でわかるように、連絡というのは、その内容によって業務の指示と同じ性格になる場合があります。ところが、連絡による指示はヨコ方向からの指示ですから、上下関係に縛られている上司からのタテ方向の指示と違って、強制力がなく、徹底させることが難しいのです。悪くすると、Part3の07の例のように無視されてしまうことになりかねません。ヨコ方向の指示は、どちらかと言えば「お願い」に近いものなのです。「お願い」をしっかり実行してもらうためには、細かいところまで説明してあげなければ、相手もやる気になってくれません。指示のニュアンスを持つ連絡の場合は、その連絡を必要とする「目的」まで、相手に伝える必要があるのです。
08「目的」がわからなければ、ためらわずに確認しよう!
◆わけもわからないまま仕事をしても、身が入らない
逆に、目的のわからない連絡がきたときはどうしたらよいでしょうか?たとえば、先程の資料提出のお願いが連絡されてきた営業部の1人だったら、どうしたらよかったのでしょう?大きな商談を抱えていて猫の手も借りたいほど忙しいのに、人事部は「資料を早く提出してください」と催促の連絡をしてきます。ほかの営業部員の中には、書類の作成などほったらかしで、本業の営業活動に注力している者もいます。こんなとき、「この忙しいのに人事部は何を寝ぼけたこと言っているんだか。使用目的もわからない書類なんかつくってられないよ」と、相手のせいにして連絡を怠るようではいけません。連絡されてきた作業の目的がわからなくても、もしかしたらそれが重要な作業である可能性もあります。それを放棄してしまっては、あとで後悔することにもなりかねません。こういう場合は、連絡元にその作業の目的を直接聞いて、確認してしまうのが一番です。例の営業部でも、人事部に電話をかけて次のように確認してみました。「もしもし、営業部の佐藤です。今度提出する資料についてですが、これは何に使うものなのか教えて頂けませんか?今、営業部では大きな案件を抱えていて、その営業活動より優先すべきものなのかどうか、判断ができないのですが」こうやって、連絡元に連絡の目的を直接聞いてしまえば、わけもわからないまま作業をすることはなくなります。聞かれた方も、自分たちの伝え方が悪かったのだと気づき、もう一度連絡をし直すなどの対策を取ることができます。少なくとも、むやみに嫌がられたり、疎まれたりすることはないでしょう。佐藤君の質問に対して人事部の担当者は、この資料によって営業部員の労働時間や経費をとりまとめ、今後の人事配置の参考資料にすることを話してくれました。それならばと、営業部の人たちも忙しい時間を削って報告書を作成し、全員がきちんと提出してくれました。
◆目的がわかっていた方が仕事ははかどる
人は、納得して仕事をする方が、わけもわからずに仕事をさせられるよりはかどりますし、よい結果を出せるものです。また、目的がわかっていれば、「もっとこうしてあげたら相手は助かるだろうな」といった思いやりや、「もっとこうした方がよいのじゃないか」という知恵も出てます。連絡された指示の目的がわからなければ、ためらわずに確認することが大切なのです。
09誰にでもわかる言葉で伝えよう
◆お客さまや外部の人は業界用語など知らない連絡
相手が社内の人ではなく、社外の取引先や関係者、またはお客さまである場合は、その人たちが理解できない言葉を使わないよう、気をつけなければなりません。社内では当然のように使っている単語も、社外の人からすればまったく意味がわからないというケースはよくありますからね。たとえば、その職場の中や同じ業種の人にしかわからない業界用語や、専門用語などを使って連絡すると、連絡された相手は意味がわからず、正確に情報を共有するという本来の目的が果たせなくなってしまいます。業界用語や専門用語は、複雑な情報を短く言い表すことができて使い勝手のよいものではあるのですが、情報の受け手もその用語を知っているとは限りません。社外の人やお客さまが相手なら、知らないのが当然だと考えた方がよいでしょう。子どもでもわかるくらいの言葉遣いを心がけると、ちょうどよいはずです。また、相手にわからない言葉を使っていると、悪い印象を持たれてしまうこともあるので気をつけます。
◆わかっていてもつい使ってしまう
繰り返しますが、外部の人を相手にした連絡では、誰にでもわかる言葉で、正確に情報を伝えることが大切なのです。わかっていてもつい使ってしまったり、自分ではそれが業界用語だと気づいていないこともありますから、一度、自分が仕事で使っている用語をチェックしてみるとよいかもしれませんね。
10初めて会った人にはお礼の連絡をする
◆「気持ち」の連絡がビジネスの潤滑油になる
報告と同じで、連絡が伝えるのは具体的な仕事の情報だけではありません。たとえば、初めて会った人には、すぐあとに「お礼」のメールや手紙を送って連絡し、こちらの感謝や喜びの気持ちを伝えることがよく行われます。つまり、連絡では「気持ち」を共有することもできるのです。こうして共有された気持ちは、その後のビジネスをスムーズに進める潤滑油になります。
◆お会いしたらすぐに出す
こうしたお礼の連絡は、特に初めてお会いした人には、すぐに出さなければなりません。メールであれば、翌日の朝、その人がメールチェックをしたときに受信できるようにしておくのがベストです。遅くとも、面会の翌日中には受信されるように送っておくのが礼儀とされています。これが、3日も4日も経ってからメールを出すと、相手は「今ごろになってお礼のメールか。不精な人だな〜」と、かえって悪い印象を与えてしまいます。これなら、逆に出さない方がまだマシです。手紙やハガキなどのお礼状の場合は、メールほどすぐには届きませんから、もう少し時間がかかってもよいようです。でも、それでも2〜3日中には届くようにしなければなりません。
する人が少ないからこそ効果抜群手紙やハガキのお礼状には、メールにはない暖かみがあります。たまに毛筆のお礼状を頂くことがありますが、くださった方に対して敬意さえ抱きます。こうしたお礼の連絡は、した方がよいと言われながら、実際に行っている人はそれほど多くはありません。でも、だからこそ、相手に強い印象を与えることができます。ビジネスをスムーズに進めるために、是非活用してみてください。
09状況を「把握」してから連絡する
変更の理由も知っておく上司から「社内外の関係者に○○の件を連絡しておいてほしい」と指示されることがあります。そんな時、用件にもよりますが、連絡相手から「どうして?」と理由を問われることがあります。あらかじめ連絡内容を確認し、
なぜそのような連絡が必要になったかという事情を把握してから連絡行為に移ったほうがよいでしょう。たとえば、上司から「部内会議の開始時間が当初の予定から変更になったので、連絡しておいてくれ」との指示があったとします。会議の参加予定者に「本日の会議の開始時間が都合で変更になりましたので、よろしくお願いします」と電話で連絡すると、「なぜ変更になったのか」と聞かれました。
その時、「さあ、私は連絡しろと言われたので連絡したまでです。なぜそうなったかはくわしくは聞いていません」と言おうものなら、「参るなぁ、こっちだって都合というものがあるんだよ」と、相手からブツブツ不平を言われることになります。
これが「本日の会議の開始時間ですが、○○部長に緊急の用件が発生した関係で変更になりました」と伝えていれば、「そういうことなら仕方がない。わかりました」と相手は納得してくれます。連絡にいたる事情を知っておく取引先やお客様に連絡するような場合も、なぜその連絡が必要になったかという事情をきちんと把握しておかないと、相手から不満を買うことになります。
以前、私の知人Mさんが、A駅の乗車券の販売窓口から、このような連絡を受けたそうです。「本日、お客様が私どもの窓口にクレジットカードをお忘れになりました。できましたら本日の夕方までにとりに来ていただけないでしょうか」
しかしMさんが思い返してみると、乗車券を購入するためクレジットカードを係員に渡した後、戻してもらった記憶がありません。自分がうっかり忘れてきたのではなく、係員がクレジットカードの返却を忘れていたのです。まるでMさんのミスであるかのような連絡をしてきた先方に、Mさんが不満を持ったのはいうまでもありません。
もし、連絡をした人が正確な状況を把握していれば「大変申し訳ございません。うっかりお客様にクレジットカードをお返しするのを忘れておりました。ついでの折で結構ですので、窓口にお寄りいただけないでしょうか」と、まず自分たちのミスを謝罪できたはずです。
とくに何かトラブルや変更などが生じたことを連絡する場合は、どちらの都合で変更やトラブルが生じたのかなど、事情を確認して、それにふさわしい対応をするべきです。連絡を指示するほうがどうして必要になったのかを話してくれないことも多いので、指示を受けたほうが積極的にその辺の事情を確認した上で、連絡しましょう。
10相手の期待に添えない結果でも連絡する よくない連絡も相手のため
一般的には結果のよくないことを連絡するのは神経を使うものです。また、勇気が必要な場合もあります。そうかといって「連絡がいかなければダメだと思ってください」と言って連絡しないという「無言の連絡」は、決して好ましいことではありません。
無言の連絡は、結果の知らせを首を長くして待っている人からすれば、不人情な処置ということになります。結果のよくないことの連絡でも、理由を丁重に話せば、相手の了解を得ることはできます。
たとえば、複数の会社から見積もりをとって比較検討した結果、A社に仕事を依頼することにしたとします。A社には当然連絡しますが、見積書を提出してくれた他の会社に「期待に添えない結果になりました」という連絡をするかといえば、しないほうが多いのではないかと思います。
発注者側は、連絡がいかなかったらダメだとわかるだろうと思っていても、相手は、今回は受注できるかもしれないと期待を込めて待っているかもしれません。その気持ちをくんで、「大変残念な結果になって申し訳ありません。次回もあるので今回は悪しからずご了承ください」と丁重に連絡しましょう。連絡なしは不信の元相手の期待に添えない結果を連絡するのは、気が重いことです。がっかりする相手を想像すると、「連絡しないで済ませられないか」と考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、連絡を怠ると、「なんの連絡もくれないのはけしからん」という不満に発展することもあります。たとえば、仕事を依頼するかもしれないからと、先方の都合を聞いておいて、その仕事が流れてしまったとします。正式に仕事を依頼したわけではないからと考えて、そのまま連絡しないでいれば、あきらめる人が多いでしょう。
しかし、場合によっては、その仕事が入るかもしれないと考えてスケジュールを空けているかもしれません。断りの連絡がこないので、新しい仕事も入れられないとしたらどうでしょう。相手が不満に思うのは当たり前です。人は不満を感じると、満足した場合の3倍も多くの人にその内容を話しまわるそうです。相手の不満を買わないよう、速やかに連絡することが大切です。
手間を惜しまない連絡するにはそれなりの手間とコストがかかります。郵送による連絡はもちろん、電話、FAX、Eメールなどによる連絡も送信相手先が限られていれば、手間を含むコストはそれほどかかりませんが、非常に多くのところに送信するとなるとかなりコストがかかることもあります。しかし、こちらからの連絡を待っている人がおり、連絡したほうが親切であると思われる場合は、ある程度コストや手間がかかっても、のちのちのトラブルが避けられます。
11言葉の「省略」には注意する こんな誤解が生じやすい
私たちはみなまで言わなくても、自分の意思は相手に正しく伝わったと思ってしまうことがあります。その通り、正しく伝わっていればよいのですが、そうでないと、思いもよらぬ誤解に発展してしまうことがありますので、言葉は省略しないで使いましょう。
たとえば、電話が入ったけれど、忙しく、落ち着いて話を聞く時間がない時、相手が気のおけない関係者だったので、「ごめん、今、手が離せないので、後で」と言ったとします。でもこの場合、「後で」という言い方は、「後で私のほうから電話します」といった意味で言ったのか、「後で改めてお電話をいただきたい」という意味なのか確かではありません。
もし、「後で電話をいただきたい」という意味で言ったのに、電話をかけてきた相手は「後で電話します」という意味で受け取ってしまっていたら、どうなるでしょう。相手は、ずっと待っているのに電話がかかってこないと、「電話すると言っておきながら、どうして電話をくれないのだ」としだいに不快になります。
電話を受けたほうは、そんなこととは知らずいつまでたっても電話がかかってこなければ、たいした用件ではなかったのだろうとみなして、忙しいせいもあり、こちらから電話しようとしません。このような誤解はよく生じることです。言葉は省略せず、「後でこちらからかけます」、あるいは、「後でもう一度電話をいただきたい」とはっきり伝えましょう。
指示語の使い方にも注意
しかし、ビジネスの世界ではそのようにうまくはいかないことがあります。仕事相手に「例の件どうなりました?」といった言い方をしたとします。「例の件」がお互いにぴったり一致すればよいですが、こちらのイメージしているものと相手がイメージしているものとが食い違うことは大いにあり得ます。
例の件が、○○工事のことであれば、最初から「先日お願いした○○工事の件ですが、その後の進捗状況はいかがでしょうか」といった具合に、言葉を省略せずに話すのがベストです。相手が「例の件」と言って話し始めた場合、多少でも疑問があったら、「○○工事の件ですね」と確認してから話し合うべきでしょう。指示語は使い方によって混乱や誤解を招くことがあるので要注意です。
12重要な事柄は「確認」を怠らない 確かに届いたか
連絡事項をFAX、郵便などで送信した場合、送信したことは確かであっても、相手の元に届いたという絶対の保証はありません。FAX番号や住所を間違えて出した可能性がゼロとはいえませんし、先方の会社に届いていたとしても何かの間違いで相手の手元に届いていないこともあります。
とくに重要な事柄は相手に確実に届いたかどうかを確認するべきです。正しく届いたかどうかを確認するという行為は、FAX、郵便だけでなく他の連絡方法を用いた場合でも必要です。重要な連絡をEメールで送った時も、当人が確実に見てくれたかどうかを確認しましょう。何かの都合でメールを開けていなかったり、誤って読まずに削除していたりすることも考えられるからです。
しばらくたっても先方からの返信がない時は、タイミングを見て「先ほどメールをお送りしたのですが……」と電話で確認してみましょう。伝言の場合は行き違いに注意連絡する人とその連絡を受ける当人とが直接会話した場合は、行き違いが生じることはあまりありません。ところが、当人が不在のため伝言をお願いした場合、当人に伝わっていないことがあるので要注意です。
伝言を頼んだ人がついうっかり忘れたとか、あるいは忙しくて伝言できなかったということがあります。電話をとった人に伝言を頼んだ時は、連絡内容が重要なものであれば、当人に「伝言は聞いていただけたでしょうか」と確認したほうがよいでしょう。
あるいは、伝言を引き受けてくれた人に失礼にならないよう、言葉に気をつけて、「ご伝言はしていただけましたでしょうか」と確認してもよいと思います。そのためには、伝言をお願いした時、相手の名前を確認しておくことも必要です。相手が名乗ってくれなかった時は、自分の名前を再度、名乗った上で、「失礼ですが、お名前をお聞かせいただけますか」と言って確認して、メモしておく習慣をつけるとよいでしょう。
名前を確認するという行為は、相手に「必ず伝言しなければならない」という義務感を芽生えさせる効果もあるので、伝言のし忘れを防止することにもつながります。当人に伝言が伝わっているかどうか確認する際も、「○○さんに伝言した件ですが」と言えば、話が通じやすいはずです。伝言してくれるはず、届いているはずという「~のはず」は危険です。「伝えた」ということと、「伝わった」ということは違います。
肝心の相手にこちらの意思が正しく伝わってはじめて、伝えたことになります。確かに送信したからといって、あるいは伝言を依頼したからといって安心しないで、重要な事柄は肝心の当人の手元に届いたか、あるいは伝わったかの確認を忘れずに行ないましょう。
13誤解の生じかねない 言葉は注意して使う
いろいろな解釈ができる言葉に注意何かを連絡した時、それほど深く考えずに不用意に使った言葉が、相手に誤解を与えてしまうことがあります。私たちは「後日、ご連絡を差し上げます」といった言い方をよくしますが、「後日」という言葉はとてもあいまいで、翌日も後日ですし、1週間後も後日です。人それぞれとらえ方が違うため、できるだけ早い返事を待っている人は、「翌日には連絡をくれるだろう」と考えてしまうかもしれません。
一方、連絡すると言ったほうは「2、3日後でも、1週間後でもいいだろう」と考えて連絡しなければ、相手を不快にさせてしまうことになります。言葉によってはこちらのイメージしているものと、先方が受け取るイメージが異なることがあるのです。ある人が友人のAさんの勤務先に夕方電話した時のことです。電話口で「Aさんをお願いします」と言うと、電話に出た人に「Aは退社しました」と言われました。その時電話したほうは、「退社した」と聞いて、一瞬、Aさんが会社を辞めてしまったのかと思ってしまったそうです。
しかし、何の連絡もなしに突然会社を辞めているのはおかしいので、今日はもう帰ったということではないかと思い直し、念のため確認すると、「その通りです。明日は通常通り出社します」と言われたとのことでした。「退社した」という言葉は会社をなんらかの都合で辞めたという意味と、勤務を終えて会社から退出したという2つの意味があります。このように複数の意味がある言葉も相手に誤解を与えることがあるので要注意です。相手に正確に情報を伝えるために、「後日」「退社」などのあいまいな言葉は、なるべく使わないのがベターです。
「後日」でなく「2~3日後」と言い換えたり、「本日は退社いたしました」と言葉を補足したりして、誤解を与えないようにしましょう。希望的観測を伝えない相手に失望を与えたくないという思いから、つい楽観的な見通しを言葉にして伝えてしまうことがあります。見通しの通りになればよいのですが、そうでないと不信を買うことになりますので、相手に過度の期待を持たせるような言葉の使い方には注意すべきです。たとえば、取引先から注文された商品の在庫がなく、取り寄せる必要があった時、相手から「いつごろ入りますか?」と問われたとします。
その時、いつもと同じくらいだろうと楽観的に考えて、「2~3日中に入荷すると思います」と言ってしまったらどうでしょうか。本当に2~3日中に入荷すればよいですが、そうでないと相手に不信感を与え、信頼関係がこわれてしまうこともあります。
入荷日が不確かであれば、「明後日までに入荷すると思いますが、はっきりしたことは今、わかりませんので、確認した上で改めてご連絡いたします」といった対応をするべきです。意味があいまいな言葉や、あいまいな情報は誤解を生む元ですので、言葉を選んで、確かな情報を伝えるようにしましょう。
14早め、早めの親切な連絡を心がける こまめに状況を伝える
お客様から依頼された仕事の遂行に一生懸命に取り組んでいても、相手にその様子が見えないと、その一生懸命さは相手にはわかりません。相手にこちらの状況が見えない場合こそ、早め、早めの報告・連絡が必要です。きめの細かい報告・連絡をすれば相手の信頼を勝ち取ることができますが、そうでないと相手の不信を買うことになりかねません。
ときおり、相手に報告・連絡しておこうと考えている間に次から次へと用事が入って、つい報告・連絡が遅れ遅れになってしまうことがあります。皮肉なことに、そうした時に限って、「あれ、大丈夫ですか?その後、なんの連絡もないので気になって……」という問い合わせが入ったりします。
「今、ご連絡しようと思っていたところです」とあわてて弁解しても、素直に信じてもらえません。「先手必勝」という言葉がありますが、ホウレンソウしたほうがよいと思ったら上司に指示されるまでもなく、早めにすることが肝心です。口頭による報告にこだわらず、Eメールでも構わないので、こまめに報告・連絡しましょう。
トラブルの時こそ早めの連絡ビジネスの世界では予期せぬまずいこと、望ましくないことが起こるものですが、そのような時も早めの報告・連絡が必要です。たとえば、納めた製品に何か欠陥があったとします。製品に欠陥があることは決して好ましいことではありませんが、製造物である限り、完全無欠というわけにはいきません。
欠陥が見つかった後の対応が大切です。ここでも早め、早めの報告・連絡と適切な処置があれば、当初の不満は相当程度拭い去り、さらにお客様の信頼を回復することができます。しかし、適切な対応を欠くと、お客様の不満は不信に変わり、場合によっては不買に発展してしまうかもしれないので注意しましょう。
相手の不安を取り除く取引先やお客様から何かを依頼され、依頼相手がこちらの返事を心待ちしているような場合は、相手の立場に立ってできるだけ早く連絡するべきです。お客様から注文いただいたものが、たまたま在庫がなくて取り寄せることになったとします。お客様には「○月○日までにはお届けできると思います」と予定を伝えてあっても、相手にはまだ、「本当に届くだろうか」と不安があるかもしれません。
お伝えした日時に確かに届けられることが確定したら、待っているお客様に安心していただくために、すぐ連絡をしましょう。「ご注文いただいた品は約束の日時に確かにお届けにあがれます」と言えば、お客様は安心し、そのような親切な連絡をしてくれた担当者に感謝します。「こんなことは」とか「そこまでは」と思わず、相手の立場に立って、早め、早めの親切な連絡を心がけましょう。
15連絡の「タイミング」を考慮する 早いだけではダメ
上司から「この件を○○に連絡しておいてくれ」と指示があれば、速やかに連絡するのは当然です。一方、上司からの指示ではなく、自分の判断で関係者に連絡をする場合、内容によっては連絡するタイミングを考慮する必要があります。たとえば、取引先から仕事の打診があった時、多少不確かであっても、「まだ確定した話ではありませんが」と前置きした上で、上司を含む関係者に早めに伝えておくべきです。
ただ、あまりにも不確定な要素が多くて、漠然としている場合は関係者に連絡するタイミングを考えたほうがよいでしょう。話がひとり歩きしてしまい、内容に大幅な変更があった時に迷惑をかけてしまうことがあるからです。こちらが外部の取引先に仕事を発注する場合も、どうなるかわからない、不確定な段階で話をするのは考えものです。
まだ確定ではないと前置きしても、相手にそれなりの準備をさせてしまうことがあります。連絡するのは具体的な仕事内容が決まってからにするなど、連絡するタイミングには注意しましょう。気の利いた連絡とは何かタイミングを逸することなく、早めに連絡したほうがよいことが多いのは確かですが、なかには、相手の状況などを深く考えずに素早く連絡をしたことで、「気が利かない奴だ」と思われてしまうこともあります。
私の知人であるA氏が体験した話です。仕事で地方都市に出張した際、宿泊したホテルの部屋に読みかけの本をうっかり忘れてしまったそうです。分厚い本なので気づかないわけもなく、ホテルからA氏の元に「忘れ物がありましたが……」といった連絡がすぐあるかと思っていたら、1日たっても2日たっても何も言ってきません。しびれを切らしたA氏がそのホテルのフロントに電話すると、電話口に出たフロントマンは「確かにお預かりしています」と言います。A氏が「おたくのホテルは客が忘れ物をしても、すぐに連絡を入れないのですか?」と聞くと、「ご連絡して差し支えない場合と、そうではない場合がありますので、その辺のところは十分見極めて、こちらからご連絡をとったほうがよいと判断した場合はご本人様に直接ご連絡するようにしております」と言われたそうです。
それを聞いたA氏は、このホテルのお客様へのホウレンソウは不十分であると思っていたのは、自分の誤解であることに気づきました。忘れ物があったということで、お客様の事情をあまり考えずにご自宅に連絡をとったところで、「ウチの主人がなぜそちらに泊まったのですか。誰と一緒だったのですか」と家庭争議に発展することも稀にはあるかもしれません。素早い連絡は大切だといっても、やみくもに思いつきの行動に移るのではなく、連絡のタイミングや状況を少し考えて行動してこそ、本当に気の利いた連絡ということになります。
16大切な連絡には手間隙を惜しまない 言いづらい内容の連絡もある
仕事の上で、上司あるいは関係先に「うまくいきました」と報告・連絡する場合と、反対に、「申し訳ありませんが……」と相手の期待に反することを報告・連絡しなければならない場合があります。相手の期待に反する結果でも、真心を尽くして伝えれば、相手も人間であり、やむを得ないとこちらの言い分を認めてくれることが多いので、そのような事柄の報告・連絡に当たっては手間隙を惜しまず誠意を持って臨むべきです。
直接会って、真意を伝えようこちらの率直な思いを伝えるには直接、お目にかかって肉声で伝えるのが一番です。もちろん、電話でもこちらの思いを十分伝えることができるのであれば、それでもよいですし、丁重な手紙が効果的なこともあるでしょう。ただ、ITが普及したからといって、Eメールですべて済ませてしまうというのはいささか考え直したほうがよいと思います。もちろん、取り急ぎ連絡するためにEメールを使用しても構いませんが、その後、直接お目にかかるなり、電話するなりといった礼を尽くした対応が必要です。
私が以前、本田技研工業の関係者に聞いた話があります。相当前のことですが、当時、本田技研工業の社長をしていた創業者である故本田宗一郎さんの元に、以前から懇意にしていた浜松のオートバイ販売店のご主人から「ウチの倅が大学を卒業するのだが、本人はホンダに入社を希望している。なんとか採用試験を受けさせてほしい」という手紙が履歴書つきで届いたそうです。
このご主人とは本田さんは顔馴染みの間柄であり、なんとかしてあげたいと思って、人事の担当者に「よろしく」と言って応募書類を渡しました。ところが採用試験の結果は芳しいものでありませんでした。「採用は難しい」という報告を受けた本田さんは、応募書類と試験成績の出ている書類を持って会社を出て、一路浜松に車を走らせました。そして目指す家に着き、部屋に通されたところで、ご主人に深々と頭を下げて謝ったということです。
「申し訳ない。試験の結果、採用基準に達しなかった。あなたとは長いつき合いだが、あなたが私に頼みごとをしてきたのは今回がはじめてだ。あなたの最初で最後かもしれない頼みを聞いてあげることができない俺を許してくれ。すまん、この通りだ」そう言って、下げた頭を上げようとしないので、ご主人は「わかった。頭を上げてくれ。あなたがこのように来てくれただけで十分だ。息子の入社はあきらめる。そしてこれからもホンダ車を大いに売っていくよ。今日は本当にありがとう」と快く了解してくれたそうです。
悪い結果連絡もこのように誠意を見せ、心から謝れば相手もわかってくれるものです。謝罪の時だけではありません。お礼を伝える場合も、直接会って話したほうが、感謝の気持ちがより強く伝わるはずです。
「連絡」とは
「連絡」は、自分の意見をつけ加えず、簡単な事実情報を関係者に知らせるものである。報告は上司と部下というタテ型のコミュニケーションが大部分だが、連絡は同僚、他部署、取引先といったヨコ型のコミュニケーションの比重が高くなる。
適宜・適切なホウレンソウの効用①「上司を安心させられる」
部下からの報告は上司にとって精神安定剤。タイミングよく仕事の中間報告や完了報告があると、上司は安心する。また、次の仕事の指示も遅滞なくできる。
適宜・適切なホウレンソウの効用②「適切な手が打てる」
何か好ましくないことが起きた場合でも、早い段階でホウレンソウすれば、部下より権限を有する上司により適切な手が打てる。ホウレンソウが遅れると問題が大きくなる。
適宜・適切なホウレンソウの効用③「上司の判断を誤らせない」
何かまずいことが発生して、それに自分がかかわっていたとしても、真実を包み隠さず正直に報告すれば上司の判断を誤らせることはない。叱責を恐れず正直にホウレンソウするべき。
適宜・適切なホウレンソウの効用④「大ごとに発展するのを防げる」
「蟻の穴から堤も崩れる」という。少しでも気になることがあったら、すぐに上司や関係者にホウレンソウを。大ごとに発展するのを防げる。
適宜・適切なホウレンソウの効用⑤「上司の意図に沿った仕事ができる」
仕事を指示されたら、ホウレンソウを心がけ、疑問点や不明点をその都度、確認していけば、仕事内容が、上司の意図したものとかけ離れたものにならない。
適宜・適切なホウレンソウの効用⑥「『伝えた』が『伝わった』になる」
伝言を依頼したり、メールを送っても、当の本人に伝わっているとは限らない。重要な事柄は本人に伝わったか確認を。それではじめて、「伝えたこと」が「伝わったこと」になる。
コラム2 完済のお礼に花束を届ける信用金庫
●手間を惜しまない姿勢が信頼関係をつくるマンションや一戸建ての家を購入するに当たって、金融機関の住宅ローンを利用する人が多いかと思います。10年、あるいは20年で住宅ローンが完済すると、金融機関から「住宅ローンはすべてお支払いいただきました」というお知らせと、当初交わした「借用証書」に済みという印が押されて郵送されてくるのが一般的です。
ところが、信用金庫大手の巣鴨信用金庫では、住宅ローンの完済者の自宅を支店長が訪問し、花束を贈ることにしているのだそうです。この信金の理事長である田村和久氏は「自分は若いころ、レストラン経営に挑戦し、1700万円の借金をしたことがあるが、それを完済できた時は、本当に泣きたくなるほどうれしかった。きっと住宅ローンを完済されたお客様も同じ思いに違いない。そう思って数年前から始めたのです」と言います。
実際にお客様に花束を届けたことのある支店長のひとりは「最初はお客さんも、なんで花束がもらえるのかと驚いておられましたが、理由をお話しすると、とても喜んでいただけます」と言っています。思いがけない花束をもらって感激したお客様は、お金が必要になったら次もこの巣鴨信金を利用しようと思うに違いありません。手間はかかるし、費用も発生しますが、それを惜しまず、感謝の熱い気持ちを伝えることが、お客様との信頼関係をつくり、よい循環につながるはずです。
【18】連絡を軽視していませんか?
◆研修会場の変更を伝えていなかった……!
「関係者って誰に連絡すればいいんだろう……」「あとで課長に聞いてから連絡すればいいや……」このように、連絡事項の確認不足で、連絡を後回しにするクセがついているビジネスパーソンを、研修活動を通して多く見てきました。私がある企業の研修に行ったとき、窓口となっていたAさんから研修前日までほとんど連絡がないということがありました。
少し不安になりながらも、当日を迎えましたが、開始時間になっても誰一人会場に現れません。実は当日の会場が1週間前に変更になったのですが、なんとAさんは、参加者に対して会場変更の連絡を忘れてしまっていたのです。
結局、1時間遅れで研修は開始できたものの、Aさんは上司や研修参加者から信頼を失うことになってしまったのです。どうしても連絡は、報連相の中で一番軽視されがちです。ですから、勝手に「連絡しなくていい」と判断してしまい、上司に「そんなこと聞いていないぞ」「なんで連絡しなかったんだ!」と怒られるケースもよくあります。
連絡をする目的は、関係者の間での情報共有です。仕事によっては、上司だけではなく、他部署、社外の人などが関係者に含まれる場合もあるでしょう。そのため、情報は全員に漏れなく伝える必要があります。もし一人でも伝わっていない人がいたら、それは連絡したことにはならなくなってしまうのです。
「Aさんには伝わっているけど、Bさんには伝わっていない」ではトラブルの原因になってしまいます。万一、情報共有に漏れが生じることがあれば、あなたに対する信用も一気に失ってしまう可能性があるので、連絡こそ注意深く行わないといけません。
◆「連絡管理表」の形でデータに残す
そこで、連絡についてはデータとして残して、管理することをおすすめします。たとえば、「連絡管理表」などの形で、いつ、誰に対して、どのような方法で、どんな情報を連絡したのか、といった事柄を漏れがないかチェックします。速くて正確な連絡こそ、信頼されるビジネスマンへの第一歩です。
情報共有のためには、スピーディーな連絡を心がけます。連絡は「鮮度」が命です。情報を新鮮なうちに関係者に届けることで、より早く対策ができたり、ミスの二次災害を防ぐことができます。連絡はとにかくスピード勝負なのです。また、スピーディーに連絡することで情報共有の漏れもなくなります。関係者全員のスケジュールや居場所を、常に把握することなど、とても不可能です。
たまたま社内にいたAさんには連絡できたものの、外出しているBさんには連絡できなかった、ということが起きないためには、やはりスピーディーに動くしかないのです。連絡すべき関係者が多ければ多いほど、早め早めに手を打ちましょう。とはいうものの、スピードだけにこだわった、単なる連絡係になってもいけません。仮に、あなたが直接携わっていない仕事であるにもかかわらず、上司から社外の関係者にメールで連絡するようにと、指示があったとします。
「●●さん、この5人の関係者に▲▲について連絡しておいてくれないか。内容はこの通りだから」と、メモを渡されました。あなたは、ただ上司の指示通りにメールで連絡します。
でも、連絡を受けた人は、発信者であるあなたも関係者であり、送られてきた内容について理解していて、質問にも答えられるだろうと思うはずです。単なる連絡係になることなく、連絡内容についてしっかりと理解した上で、なおかつスピーディーに連絡することが大切です。
【19】先方が確認したか、確認するところまでが任務
◆「言った・聞いてない」でトラブルに
上司「そういえば、今日の会議は部長は欠席だよね?」部下「いえ、部長は出席されますが……」上司「え!聞いてないよ!そういうことは早く連絡してくれないと!」部下「(先週ちゃんと連絡したのに……)」第1章でもお話ししましたが、報連相ではこのような「言った・聞いてない」というトラブルが非常に多いです。
では、なぜそのようなトラブルが多発してしまうのでしょうか?連絡は相手に対して「一方的に伝える」ことのように思われるかもしれませんが、そうではありません。実は、一方通行ではなく、双方向なのです。相手から何らかのリアクション、伝わったことが確認できて初めて連絡が完了したことになります。
もちろん、連絡を受ける側がしっかりと確認すれば良いのですが、日々多くの仕事を抱えている上司が、細かい連絡を忘れてしまうことも多々あります。ですから、連絡内容がしっかり相手に伝わったかどうか、常に確認することが大切です。とくにメール、伝言メモ、FAXなどは、その場で相手のリアクションがあるわけではなく、一方通行のコミュニケーションに陥りやすい傾向があります。
また、口頭での連絡も「言った・聞いてない」というトラブルが起こる可能性が非常に高いです。連絡する側は正確に言ったのに、受け手が聞き損ねたのか、あるいは聞き間違いをしたのか。それとも、連絡する側が言い損ねたのか。本当の原因はわかりません。しかし、こうした初歩的なコミュニケーションミスは、もっと大きなトラブルに発展しかねませんので、連絡は書面で残すことを心がけましょう。
必ずしも、Wordなどのワープロソフトで打ったものを印字する必要もありません。場合によっては手書きのメモ、付箋、メールでもかまいません。とにかく、文字として残しておくことが大切です。
◆伝言をお願いするときは要注意
あなた「Aさん。申し訳ないけど、課長に▲▲商事のBさんから電話があって、折り返し電話がほしいと言っていた』と伝えてもらえる?私、これから外出しないといけなくて」Aさん「わかった。伝えておくね」日常的によくある伝言のシーンですね。
このようなちょっとした連絡であっても、第三者にお願いした場合には注意が必要です。課長に伝わったかどうかの確認は、決しておろそかにしてはいけません。帰社後、課長に対して確認するときは、「課長、Aさんからお聞きかと思いますが、▲▲商事のBさんから電話があり、折り返し電話がほしいとのことでした」と話します。課長からは「ありがとう、Aさんから聞いたよ!」と返事があるはずです。
でも、もしそのやり取りをAさんが見ていたら、「『伝えておく』と言ったのに、私のこと信用していないのかな?」と少し嫌な気持ちになることもあるでしょう。そこで、Aさんに伝言をお願いするときに、もうひと言添えるようにします。「戻ったら、私からも課長に話すけど、急ぎみたいだから、その前にお願い!」と。
このひと言があれば、Aさんだって嫌な気持ちになることはないはずです。この小さな気遣いこそ、周囲から信頼を得る大きなポイントです。伝言をお願いした人に対して、伝えてもらったかどうかの確認を取ることも大切です。その場合、「課長に伝えてもらった?」とストレートに聞く方法もあれば、少し遠回しに「課長何か言っていた?」と確認する言い方もあります。
連絡は伝えるだけの一方通行のコミュニケーションではなく、双方向のコミュニケーションです。それは、第三者が間に入ったとしても変わりません。大きなトラブルやミス、「伝えたのに怒られる」という理不尽な場面をなくすためにも、ぜひ「伝わったかどうかの確認」を習慣化してください。
【20】「知らせる」ことそのものに意義がある
◆ささいなことでも関係者に「実況中継」
報連相の中で、連絡は軽視されがちであると先にお話ししました。でも、実は一番頻繁に行う必要があるのが連絡なのです。報告や相談は、相手に考えてもらい、すぐに何らかの結論を求める行為です。次の指示をもらったり、アドバイスしてもらったり。でも、連絡は情報が共有されれば、今すぐ何かを求めることもありません。連絡は相手に負担をかけることもないので、とにかく「知らせる」ことにこだわってください。とは言っても、「どこまで細かく連絡すればいいのか?」と頭を悩ます方も多いでしょう。
しかし、「この情報は連絡しなくてもいいか」と、勝手に判断することは危険です。何が重要で、何が重要でないか、ということは連絡を受ける相手が決めることで、連絡する側が決めてはいけません。たとえば、仕事中にもかかわらず、テレビで生中継しているスポーツの様子がどうしても気になってしまう、なんてことはありませんか?ネットでたまに状況をチェックしながら、「勝っている!」「負けている!」などの経過を知るだけでも、ひとまず仕事に集中できたりします。
実は、この「知る」ということで、私たちは安心するものなのです。仕事も同じで、関係者に連絡することで「知っている」状態をつくり、安心してもらうことができます。今の仕事の状況を知らせるだけでもかまわないのです。逆の立場から考えてみてください。
たとえば、チームで仕事を進めている場合に、あなたの知らないところで何か進んでいたら、疎外感や不安を感じてしまいませんか?ささいなことでも細かい連絡を積み重ねることで、上司にとって必要な情報がすばやく行き渡り、あなたの信頼度アップにもつながります。連絡の手段は、口頭・電話・メール・携帯メール・書面・メモ・付箋・SNSなど、さまざまなものがあるので、それぞれの場面によって使い分けましょう。
【21】何回もメールしたのに締切を守られない理由
◆キーワードを3回はくり返し入れる
報告と同様に、わかりやすい連絡は「短い」というのがポイントです。わかりやすい連絡では、重要なキーワードで短く伝えます。しかも形を変えて、何度もしつこいくらいに伝えます。ここでは、相手の印象に残りやすくする工夫をするのが大切です。実際に「●回連絡する」という基準があるわけではありませんが、一度連絡して満足するのではなく、2回、3回とくり返し伝えることが大切です。これは口頭での連絡でも、文書による連絡でも同じことが言えます。つまり、忘れられなくするため、記憶に留めてもらうために「短く、そして何度でも伝える」のです。
たとえば、次回の課のミーティングを控え、課長から「課のメンバー全員に、『事前アンケートを提出するように』とメールを出しておいて!」と指示されたとします。そこで、あなたは提出期限の5月5日までに、事前アンケートの提出を求めるメールを送ることにしました。ここで重要となるキーワードは「事前アンケート」「提出期限5月5日」ということです。
次図のように、メールの一文に2つのキーワードを3回ずつ入れることで、記憶に残りやすくします。このように、「事前アンケート」「提出期限5月5日」というキーワードを、くり返し伝えることで、相手の記憶に留めてもらうことができます。連絡したい内容を「短くくり返す」ことが、相手に連絡内容を留めてもらうポイントです。
【22】「お礼の連絡」は5分以内。そこが評価の分かれ目
◆社外の人にはとくに慎重に
上司「●●社のAさんに見積もりお願いしておいて!あと▲▲社のBさんに明日の打ち合わせの時間も一応確認よろしく!」部下「は、はい!わかりました……」このように、入社数年目で仕事に慣れてくると、上司の補佐として、または自分の仕事関係で、社外の人と連絡を取ることが多くなります。社内の人への連絡であれば、普段から頻繁に顔を合わせることもあるでしょうし、補足の連絡や訂正なども比較的に容易に行うことができます。
しかし、社外の人の場合、ほとんど顔を合わせることがなかったり、一度の連絡で、完璧に状況を伝えなければならないことも多いはずです。ですから、社外への連絡の場合には、より注意深くすることが求められます。また、自分より立場が上の人と関わることも多くなりますが、立場が上になればなるほど言葉遣いや表現方法には気をつけましょう。
報告や相談は基本的に一人の相手に対して行いますが、連絡は相手が複数の場合も多くあります。対象となるのは、上司・同僚・後輩・他部署など広範囲にわたるでしょう。そのため、情報を受け取る側の関心度や理解度に、どうしてもバラツキが出てきてしまうのです。同じ内容の連絡を受けても、理解できる人もいれば、そうでない人もいます。ですから、複数の相手に連絡する場合は、全員が理解できるような表現で伝えることが重要になります。
◆「わざわざありがとう」と一気に評判アップ
「お礼の連絡は社会人としての基本」と教えられた方も多いのではないかと思います。上司や先輩にごちそうしてもらったあと、何かを手伝ってもらったあと、贈り物をもらったときなど、ビジネスシーンではお礼の場面が数多くあります。しかし、どのタイミング、どのような手段、どのような言い方でお礼を伝えればいいのか悩むこともあるでしょう。基本的にお礼の連絡は「すぐに」と考えてください。
たとえば、SNSでメッセージをもらったら、メッセージを返信しますよね。私たちは、誰でも「相手から何かを与えられると、それを返さなくてはいけない」という気持ちになります。逆に、SNSでメッセージを送っているのに、返信がなかったら「なぜ?」と思ってしまいます。
この「何かをもらったら、何かを返す」という心理は、ビジネスでも同じなのです。あなたが外出中に担当しているお客様が来社し、お菓子の詰め合わせをお土産としていただいたとしましょう。このような場合、帰社したらすぐにお礼の連絡を入れます。帰社してから、5分以内にできるといいです。できれば、電話がいいでしょう。もし電話が通じなければ留守電、携帯メールでもかまいません。
「わざわざ連絡くれなくてもよかったのに」とお客様は言うかもしれませんが、内心では嬉しいものです。そして、あなたへの信頼感もアップします。お礼の連絡は〈超速〉が基本なのです。また、あなたが何かお願いをして、相手が動いてくれた場合などは、なおさらお礼の連絡は必要です。お客様に「どなたかお友達を紹介してください!」とお願いした場合には、「紹介してもらった人とアポイントが取れた」「初回訪問した」「受注が決まった」など、節目節目で連絡すべきです。
お客様から「もう連絡しなくてもいいよ。あなたが思うようにしていいから」と言われるまでこまめに連絡します。自分がしてあげたことに対して、そこまでお礼を言ってくれる人のためには、「次回も何か協力してあげよう」と思うものです。そうすることで、次回相手と一緒に仕事をするときに、これまで以上にあなたの思う通りに仕事が進めやすくなるはずです。
コメント