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報連相「相談」【改訂】

目次

00「相談」とはどんなものか?

◆「相談」は共有する情報の性質が違う

報告と連絡は、会社という組織をタテ糸とヨコ糸のように貫く情報のネットワークでした。では、報連相の最後に残った「相談」は、一体どんな働きをしているのでしょうか?相談も、情報を共有するという面では報告や連絡と同じです。ただし、相談の場合は、共有する情報の性質がやや異なります。報告や連絡で共有する情報は、主に業務に関する進捗状況や、その周辺のさまざまな情報、たとえば他社の動向や競合商品の価格といった、純粋な情報であることがほとんどでした。

これに対して相談が共有する情報は、「この仕事はここに問題がある」「もっとこうした方がよい」「これはこうした方がよいのではないだろうか」といった問題意識や提案など、全体のレベルを引き上げる性質の情報なのです。何か問題が起こったときや、仕事のやり方がわからないときに行う相談はどうでしょうか?実はこれらも同じです。

相談することで、どこが問題なのか、どういう問題なのかといった情報を関係者が共有することができ、その問題への解決策を見出していく過程で、相談者のレベルも全体のレベルも引き上げられるのです。

◆「相談」は高さ方向へのレベルアップ

ここまでの解説をまとめると、次図のようになります。報告のタテ方向、連絡のヨコ方向に対して、相談は高さの方向への共有化です。報告と連絡によって、職場のタテヨコに情報の共有化が行われます。そして、相談によってその職場はより上のレベルへと引き上げられます。

より高いレベルになればなるほど、問題意識が高く、積極的な提案がなされている職場であるということです。報告と連絡によって職場の風通しをよくし、相談によってより効率的で強い組織へとレベルアップしていく――。これが、私の考える報連相の報告・連絡・相談、それぞれのイメージです。

◆「相談」は2種類に分けられる

相談をさらに細かく分析すると、2つに分けられます。次図は、相談者の成長と共に、相談によって共有される情報が変わっていく様子を示したものです。相談者の能力がまだ発展途上のうちは、仕事でわからないところを上司や先輩に聞く形の相談が行われます。

まずは与えられた仕事を正しく行えるように、足りないところを上司や先輩の知識で補うのです。そうすることによって、相談者は自分自身の能力を引き上げることができます。これを、「仕事を正しく行うための相談」としましょう。

ところが、相談者が成長して、ひと通りの仕事を上司や先輩に聞かなくてもできるようになってくると、相談の内容が変わってきます。仕事を行う中で気づいたことや考えたことを上司と共有して、提案する形の相談になってくるのです。こうなってくると、その相談によってチーム全体の効率や成果が引き上げられることになります。

こちらの相談は「仕事を変えるための相談」です。この章では、この2つの相談の具体的なコツを、順番に解説していきます。

01仕事を抱え込まず、わからなければすぐに教えてもらおう

◆「自分1人で解決した!」はマイナス評価

最近の若手社員には、「上司や先輩にアドバイスをもらいながら仕事を進めるのは格好悪い」「自分で完結できなかった仕事は失敗である」という考えを持っている人がいます。特に、男性の若手社員に多いようですね。

こうした考え方は、独立心が旺盛で積極的なのはよいのですが、わからないことがあっても自分1人で何とか完結させようとしてしまい、上司に相談するタイミングが遅れがちなのが問題です。

経験の少ない新入社員が、わからないことを自分の判断だけで処理するのは危険きわまりない行為です。たとえうまくいったとしても、上司からは「いつ問題を起こすかわからず、危なっかしいヤツ」という見方をされてしまいます。若手社員の思惑とは裏腹に、自分1人で仕事を抱え込めば込むほど、マイナスの評価をされてしまうのです。

◆独立心を、コミュニケーションから逃げるための口実にしない!

頭を切り換えて、わからないことを聞くのは「当然のこと」だと考えるようにしましょう。躊躇せずにすぐに上司や先輩に相談して、間違いを防ぐのです。これが、「仕事を正しく行うための相談」の基本です。「こんな事で相談したら怒られるかもしれない」とか、「こんなことを相談したらバカにされるかもしれない」と感じることもあるでしょうが、それは、上司や先輩とコミュニケーションをしなくてもいいようにするために、自分で作り上げた口実であることも多いものです。

「こんなこと」も正しく処理できなければ、お客さまや職場の同僚に迷惑をかけてしまうのは明らかです。どんなに恐い上司や先輩であっても、わからないことがあったら勇気を出してすぐに相談し、正しいやり方を教えてもらうようにしてください。

02 10分間の準備があなたの相談をスムーズにする

◆「相談」する側にも準備が必要!

仕事を正しく行うため、わからないことがあったらすぐに相談しなければならないのは前述した通りです。グズグズしていると、何らかの形でトラブルに発展しかねません。ただし、上司に相談を持ちかける前に、上司が状況を理解できるように最低限の情報を用意しておくことが必要です。

あなたにとっては目の前の問題ですから事情がわかっていますが、相談を持ちかけられる上司や先輩にとっては、急に飛び込んできた「初めて見る案件」です。正確に状況を理解してもらえるように、あなたの頭の中でもある程度情報を整理し、必要な資料なども用意してから相談を持ちかけましょう。

何が問題になっていて、上司や先輩に何をしてほしいのか、自分はどうしたいのか、目的意識や相談の着地点を明確にしておくと、さらに効率的に相談に臨めます。このステップを省略すると、相談を受ける側はなかなか事情が飲み込めません。

私もよく相談を受けますが、何がどうしてこうなってしまったのか、何をしてほしいのかが理解できない場合が多いのです。

そうした相談を受けたときには、状況を把握するのにやたらと時間がかかってしまい、「段取りが悪いなぁ」と感じてしまいます。こういった印象を相手に与えないためにも、多少の準備を忘れないようにしましょう。

ただし、資料を用意したり、頭の中で物事の筋道を立てたりするのにあまり時間を取っていては、今度は相談のタイミングが遅くなってしまいます。バランスが重要なのです。

具体的に言うと、10分間を1つの目安にするとよいでしょう。これ以上準備に時間をかけていると相談のタイミングが遅くなってしまいますし、10分あれば必要な資料は大体準備できるものです。

03上司の前に、まずは先輩社員のフィルターを通す

◆すぐに上司に聞いていると煙たがられる

相談するとき、まず誰に相談を持ちかけようか悩むことはありませんか?「仕事を正しく行うための相談」の場合、最初に相談を持ちかけるべき相手は同じ部署の先輩社員です。先輩社員は、あなたが今行っている仕事と同じことを、何年か前の新人時代に担当していたことがあるのが普通です。

わからない部分や問題になる部分はだいたい同じですから、同じ部署の先輩に聞けばほとんどの問題は解決できるのです。そして、先輩社員に相談しても解決できないようなことだけを、上司へと持ちかけるようにします。

この順番で相談することで、上司は新人の部下に細かい指示をすることから解放され、部署全体の舵取りに専念できるようになります。

上司というのはとても忙しいものですから、同じ部署のほかの社員が知っていることであれば、先にそちらに相談してほしいと思っています。何でもかんでも先輩社員を飛び越えて上司に相談していると、上司に煙たがられてしまうということです。

もちろん、先輩社員が席を外しているなどの場合は例外ですから、直接、上司に相談します。

04上司や先輩に丸投げせず、自分の考えを持とう

◆上司の判断に頼りすぎないこと

仕事でわからないことがあったら、勝手な判断をせずにすぐに上司や先輩に相談するのが基本ですが、これは、自分では何も考えなくてもよいということではありません。「仕事を正しく行うための相談」では、やりようによっては手を抜くことが簡単にできます。疑問が浮かんだら、自分では何も考えずにとにかく「どうしましょうか?」と相談を持ちかけて、考えることをすべて上司や先輩に丸投げしてまう「省エネ相談」です。

こういう相談の仕方をしていれば、自分で考えなくてもよいのでとてもラクです。ですが、考えることを相談相手に委ねる悪習が身についてしまうと、実力がいつまで経ってもつきません。自分の意見がない、言われたことをするだけのマニュアル人間になってしまい、相談の本来の目的であるレベルアップができなくなってしまうのです。

◆いつでも「私はこう思います」と応えられるようにしておこう

上司・先輩の知識や経験を教えてもらうときには、常に自分なりの意見や考え方を持つべきです。「自分ならどうするか」「どうしたらよいのか」と考えながら相談することが、自分の能力を引き上げるための第一歩です。第一、そういう自分の意見がなかったら、上司や先輩に「で、君はどうしたらいいと思う?」と切り返されたときに対応できません。

この切り返し、実は私もよく使います。何でもかんでも相談してきて、自分で考えることを放棄しているような人は絶対にこの質問に答えられませんから、ただオロオロするばかり。こんな人を見るとがっかりしてしまいます。

自分なりの考えや意見を持ちながらも、1人で勝手な判断をせずに相談する。もし意見を問われたら、しっかりと説明する。これが、本当の「仕事を正しく行うための相談」なのです。

05あせらずに少しずつ、相談のレベルを上げていく

◆まずは、言われた通りの仕事ができるようになること!

新人のうちは、とにかくわからないことがあれば相談して、自分のレベルを上げていくことに努めます。「仕事を正しく行うための相談」ですね。このレベルでは、とにかく言われたことがその通りにできるようになるのが先決です。

そして、ある程度仕事に慣れてきたら、少しずつ相談のスタイルを変えて、「仕事を変えるための相談」を目指します。具体的に言うと、最初は仕事でわからないことや問題になっていることについて、自分なりの解決策や改善策を考える習慣を身につけます(→Part4の04参照)。

そして、アイデアが出てくるようになったら、相談の際に自分の意見としてときどきつけ加えるようにします。これに慣れれば、自然に「仕事を変えるための相談」ができるようになっていくはずです。

06何かを変えたいと思ったら、実行に移す前に相談する

ここからは、「仕事を変えるための相談」について解説していきます。まずは、相談を持ちかけるタイミングについて述べていきましょう。

◆判断まではあなたの仕事だが、決定できるのは上司だけ

相談は、より効率的な仕事のやり方を追求するためのツールですが、その目的を達成するためなら勝手に仕事のやり方を変更してもよい、というわけではありません。

たとえば、次のようなケースを見てください。

×悪い例

ある営業所では、従来、得意先に月2回の訪問を実施していました。新人の渡辺君は、あるとき、訪問を月1回に減らして、その分の時間をほかの得意先を開拓する時間に充てようと考えました。メールでの連絡が増えたために、月に2回も訪問する必要性がなくなったと感じたからです。上司には相談することなく、渡辺君はその考えを実行に移しました。新規のお客さまの開拓に充てる時間が増えたことで、渡辺君は新しい得意先を次々に獲得できました。渡辺君は自信満々です。ところが、渡辺君が営業ミーティングでそのことを報告した途端、「何を勝手なことをやっているんだ!」と上司から大目玉を喰らいました。

このケースは、まさに相談の本来の目的である「より効率的な仕事のやり方」を追求した例です。実際に、新規の得意先の獲得という成果も上がっています。それでも、渡辺君は叱られてしまいました。成果が出ているのに、なぜ叱られてしまったのでしょうか?ここまで読んできたあなたなら、もう理由はわかりますね。仕事のやり方を変更することについて、上司にあらかじめ相談していなかったからです。

ビジネスで何かを変更しようと思ったら、実行に移す前に必ず上司に相談しなければなりません。現場のさまざまな情報から、「こうした方がよいのではないか」「こうした方が結果が出そうだ」と自分なりの状況判断をするところまではあなたの仕事ですが、それを実行に移すかどうか決める権限を持っているのは、あなたの上司だけだからです。

◆決定権限のルールがチームの秩序を維持している

これは、会社に限らず、あらゆる組織で決められている決定権限のルールなのです。決定する者と、その決定を実行する者を明確に分けておかないと、組織というのはまともに動かないのです。このルールが、チームの秩序を維持するのです。

面倒に感じるかもしれませんが、これは会社(チーム)で働く者の宿命です。どうしても自分1人で物事を決めて動きたいというのであれば、会社を辞めてフリーで働くか、自分が経営者にならないといけないのです。

◆上司を納得させれば、あなたの意見でチーム全体が変わる

決定権限のルールにはメリットもあります。仕事のやり方を勝手に変えたら叱られてしまいますが、実行する前にあらかじめ相談して、上司の許可さえもらっていれば、たとえ新しい試みの結果、何か問題が起こったとしても、自分だけが責任を問われるということはなくなります。新しい試みが常に成功するとは限りませんから、これは重要なことです。

また、上司さえ納得させることができれば、チーム全体をあなたの意見で変えることも可能です。自分の考えによってチーム全体が変化し、レベルアップしていくというのはとても嬉しいものです。とにかく、アイデアが浮かんだら、勝手に実行に移さずにあらかじめ相談することを徹底してください。例に挙げた営業所の渡辺君も、アイデアを実行する前にひと言上司に相談してさえいれば、営業ミーティングで褒められていたはずです。

07新しいアイデアも、1週間放置したら色あせ始める

◆3日から1週間のうちに相談する

「仕事を正しく行うための相談」では、すぐに相談しなければトラブルに発展してしまうケースを考慮し、10分以内に相談内容をまとめることを目安としました。

しかし、「仕事を変えるための相談」では、もう少し時間をかけて資料を用意したり、考えをまとめてから相談しても問題ありません。ただし、これもあまり時間をかけすぎると、状況が変化してしまったり、気づいたことを相談しようとする気持ちの勢いがなくなってしまいます。

アイデアが新鮮なうちに、早め早めに相談するように心がけましょう。これにも具体的な目安を示しましょう。アイデアを思いついたら、できれば3日、遅くとも1週間以内には、上司や先輩に相談を持ちかけるべきと心得てください。

◆忙しそうな上司に相談を持ちかけるには?

ただし、相談を受ける上司や先輩の側にも予定や都合があります。上司や先輩に、「ただでさえ忙しいのに……」と思われないように、タイミングを測って相談を持ちかける必要があります。では、上司や先輩にとって、相談を受けるのに適切なタイミングとはどんなときでしょうか?

当然、それほど忙しくなくて、余裕のあるときになります。ただ、そうした時間帯がいつなのか、部下の側からはなかなかわかりませんよね。判断がつかない場合は、「○○の件の相談で20分ほど頂きたいのですが、お時間はありますでしょうか?」と、素直に聞くのがよさそうです。そのとき手が空いていればすぐに対応してくれるでしょうし、忙しければ予定を組んでくれるはずです。

報告の章で紹介した、忙しい上司の時間を奪う作戦も参考になるでしょう(→Part2の04参照)。ただし、相談は報告よりもじっくりと時間を取って行うものですから、外出先から戻ってきたばかりのときや、出かける直前などのスキマ時間を利用する作戦は避けるべきです。

相談も報告と同じく、上司の時間を奪う行為です。上司にとっては、相談に乗るのも仕事のうちではあるのですが、突然持ちかけられる部下の相談を負担に感じることがあるのも事実です。「上司だから相談に乗ってくれて当然だ」とは考えず、時間を取って頂いたことに対して感謝し、お礼を言うのを忘れないでください。

08「相談メモ」で内容を整理する

◆メモに落とし込むと、考えが具体化する

相談は、報告や連絡とは違って抽象的な内容になることが多くあります。そのため、相談内容をあらかじめ頭の中で整理しておかないと、いざ上司や先輩と話をするときに、考えていることをうまく伝えられずに困ってしまうことがあります。自分の頭の中では「わかっている」のに、それを相手に伝えられないのです。

そういう事態を避けるため、相談を持ちかける前に頭の中の曖昧な状態の考えを紙に書き出して、具体的な相談メモという形に「落とし込んで」おくのがオススメです。相談メモに含めたい内容は次図のようなものですが、これはあくまでも一例で、アイデアの要点がまとまっていればどんなものでもかまいません。アイデアを相談メモに落とし込んでいくと、頭の中で考えていただけでは気づかなかった問題や、考えが足りなかった部分などが浮かび上がってきます。

相談メモを完成させるためには、そうした曖昧な部分を具体的な言葉にしていかないといけませんから、ただの思いつきで相談しているときよりもグッと具体的な内容の相談になるのです。上司や先輩の側にとっても、相談メモがあるとあらかじめポイントが整理されているので、部下から情報を引き出す必要がなく、短い時間で的確なアドバイスを与えることができます。相談を持ちかける前に時間的な余裕がある「仕事を変えるための相談」では、こうした相談メモを使うのが非常に効果的なのです。

◆相談メモは手書きで充分

注意したいのは、あまり書式や見た目にこだわらないことです。それこそ手書きのメモ1枚でかまいません。要点を簡潔な表現で箇条書きにしてあり、言いたいことがわかればそれで充分です。

09「オレオレ相談」にならないように気をつけよう!

◆相手の意見を聞く気がない「オレオレ相談」

私が受けて困る相談者に、相談しているように見えて、実は自分の意見を聞いてほしいだけで相手の意見などハナから聞く気がない、というタイプの人がいます。たとえば、「相談があります」と部下の方から持ちかけてきたにもかかわらず、こちらがアドバイスをしても、「いや、それは……」と、何だかんだと理由をつけてはねつけるようなタイプです。

こうした人たちの相談スタイルのことを、「オレオレ相談」と名づけました。オレオレ相談は、完全な一方通行のコミュニケーションですから、もとより相談者は上司や先輩の意見を聞く気がありません。こういう相談をされると、「人の意見を聞く気がないのなら、相談する必要はないのに」「時間の無駄だなぁ」と思ってしまいます。

◆相談は上司や先輩の意見を聞くためのもの

ビジネスで行う相談とは、どんな内容のものであれ、上司の知識や考えと自分の知識や考えをすり合わせて、第三のよりよいアイデアを導くためのものです。仮に、相談の結果あなたの意見が100パーセント通ったとしても、それは上司とのすり合わせの結果、たまたまそうなったのであ

って、最初からあなたの意見や考えがそのまま通ったものではありません。だから、最初から相手の意見を聞く気がないオレオレ相談では、そのすり合わせができず、相談にならないのです。自分の意見を述べたら、それについての相手の意見を謙虚な姿勢で聞くようにしてください。

そもそも相談とは、そのために行うものなのです。上司や先輩は、若手社員のあなたよりも多くの経験を積んでおり、業務についての知識も豊富に持っています。そうした人の視点から見て、あなたの意見や提案がどう見えるのかを聞くのが相談なのです。

◆上司や先輩のアドバイスは、不安に思われている証拠

相談の際に、上司や先輩が意見をつける部分は、彼らが不安に思っている部分であることも知っておくとよいでしょう。上司や先輩の知識や経験に照らし合わせて、あなたの提案の中で「危ないな」と感じられる部分に意見をつけてくるのです。逆に言えば、意見をつけられなかった部分は上司も問題ないと考えているということです。

その不安になっている部分さえ改善すれば、あなたの意見や提案が通るかもしれないのです。上司や先輩のアドバイスには真摯に対応することです。そうすることが、彼らの不安を解消し、あなたのアイデアの実現につながります。オレオレ相談では、いつまで経ってもあなたの意見や提案は実現されませんよ。

◆相手の意見を聞く姿勢を持つと、気持ちの余裕も生まれる

また、上司の考えを聞く姿勢を持っていると、気持ちに余裕ができて、上司の表情や身振り手振りなど、自分の意見を一方的にまくし立てているときには気づかなかった部分にまで注意を振り向けることができます。そうすると、上司の言葉の裏にある本音や期待まで、敏感に感じ取ることができるようになります。

上司の側でも、部下が自分の意見をよく聞いているのがわかれば、よりリラックスして、細かい部分にまでアドバイスしたり、指示してくれるようになります。「相談」で上司の意見を聞く姿勢を持つことは、とても大切なことなのです。

10チームの一員として、一人ひとりが助け合う姿勢を持つ

◆チームの重荷にならないように!

相談をするときには、自分のためだけの相談にならないように心がけることも必要です。たとえば、会社全体の方針転換によって、あなた個人の業務の内容が変わったり、増えたりすることがあります。こんなとき、自分の事情だけを振り回して無茶な相談をすると、評価を下げてしまいます。もちろん、急激に業務が増えて手が回らないとか、新しい業務に慣れないので仕事のペースを落としてほしいといった事情を、相談するなと言っているわけではありません。

合理的な理由があれば、こうした事情はむしろ積極的に相談してほしいくらいです。そうではなくて、そういう相談をするときには、自分1人の事情だけを考えずに、会社という大きなチームの一員であるという意識を持って、解決方法を考えたり、上司のアドバイスを受け入れたりしてほしいのです。

どんなに相談を重ねても、チームの一員として助け合う気持ちがなければ、あなたにとっては効率的な仕事のやり方になったとしても、チーム全体にとってはあなたが重荷になるという状況になりかねません。自分がチームの一員であるということをしっかりと自覚し、皆で助け合いながら全体として成果を上げていくのだということは、忘れないでくださいね。

11「相談結果の報告」が次につながる!

◆結果がよくても悪くても必ず報告する

上司や先輩に相談に乗ってもらったら、アドバイスに従って自分なりに物ごとを進めることになります。そうして、その案件にひと段落ついたら、相談に乗ってもらった人に結果を報告して、アドバイスしてもらったことへの感謝を伝えます。目の前の仕事に夢中になってついつい忘れがちですから気をつけましょう。

これは、相談に乗ってもらった結果がうまくいかなかった場合や、さまざまな事情でアドバイスされた対策を見送った場合でも同じです。相談された側からすると、自分のアドバイスの結果がどうなったのか気になるものです。どうなったかわからないというのは気持ちが悪いので、結果がよくても悪くても、とにかく知りたいのです。

◆相談に乗ってくれた人全員に報告する

結果の報告がしっかりされると、上司や先輩は次の相談にも気持ちよく応じてくれます。逆に、相談結果の報告がないと、相談に乗ってあげる甲斐がないので気が乗らなくなってきます。いつでも気軽に相談できる雰囲気を維持するためにも、相談結果の報告が必要なのです。「指示」と「報告」と同じで、「相談」と「相談結果の報告」はセットなのだと心得ておきましょう。

なお、相談に乗ってくれた人が複数いる場合は、面倒がらずにその人たち全員に報告をします。また、相談相手を紹介してくれた人がいる場合には、その仲介者にも結果の報告をしてください。とにかく、関係した人全員に結果を報告するということです。

17相談相手の「都合」を考える 気を使っているつもりでも

「相談」は「報告」などと違って、多少厄介なこと、自分が処理に迷っていることについて相手から知恵や意見を出してもらうためのものなので、ある程度、時間がかかります。相談をする前には、相談相手の都合を必ず確認しましょう。ただ、その聞き方にも配慮が必要です。

相談があって、部下が上司の都合を確認する際、「ちょっとよろしいですか」という言い方をします。上司はつい「ああ、いいよ」と言ってしまいますが、この「ちょっと」が曲者です。「ちょっと」には「ほんのわずかの時間をちょうだいしたい」という意味と、「たいしたことのない事柄の相談である」という意味の両方が入っています。

この「ちょっと」が本当にほんのわずかの時間であればよいのですが、相当な時間をとるような厄介な案件の相談であると、上司は予定していた仕事ができなくなってしまうかもしれません。私がある会社の「ホウレンソウ研修」で、部下が不始末をして、上司と善後策を相談するという状況を設定し、日ごろの方法でロールプレイをしてもらいました。

すると、部下が最初に発する言葉は見事なくらい「ちょっとよろしいですか」であり、上司役の返事は「ああ、いいよ」でした。日常、いかにこの「ちょっと」が使われているかがわかります。最初に件名を伝える相談相手に対する遠慮の気持ちから、つい「ちょっと」という言葉を使うことが多くなりがちなので要注意です。「ちょっと」という言葉を使ってはいけないということではありません。

ただ、「○○の件でご相談したいことがありますが、今、ちょっとよろしいですか」と、先に具体的な用件名を伝えるようにしましょう。用件によって、おおよその時間が判断できるからです。上司は用件名を聞いて、それほど厄介な内容でなければ、本当にちょっとの時間で済むだろうと判断して、「いいよ、今、聞こう」と言うでしょう。厄介な用件であることがわかれば、短時間では済まないだろうということで、「その用件だと、時間がかかりそうだから後でじっくり聞くことにする。

午後からではどうだろうか」とじっくり話が聞ける時間を指定できます。上司だけでなく、取引先・お客様に都合を確認する時も同じです。具体的用件を告げてから話し始めることを習慣にして、忙しい相手に迷惑をかけないようにしましょう。最近は、Eメールが普及して、メールを発信した時には必ず件名を書くかと思います。それと同じで、「ちょっと」だけではなく、最初に何についての相談なのか、件名を明確にすることで、相手に迷惑をかけずに相談をすることができます。

18内容を整理してから相談する 自分自身に問い直そう

相談するということは、相談相手に時間を割いてもらうわけですから、その時間をムダな時間にしないようにしましょう。そのためには事前に、自分が何を相談したいのか、どのようなアドバイスをもらいたいのか、考えをまとめてから相談します。的確にわかりやすく相談する際には、次の3点を心がけましょう。

①問題を自分なりに整理しておく自分ではどうしてよいかわからない、とにかく困っていて解決の糸口がまったく見えないという状態で相談しなければならない場合もあるでしょう。相談内容を整理せず混乱した状態のままだと、相談を受けたほうは状況を把握しにくいはずです。どんなことで困っているのか、何を相談したいのかを明確に説明できるように整理して相談に臨みましょう。

②自分なりの解決策を持って相談に臨むいくら、困った状況だからといって、「言われた通りにしますので、よろしくお願いします」という具合に丸投げにするのは、社会人としていただけません。上司から「ひとりじゃ何もできない奴」というレッテルを貼られてしまう恐れもあります。「下手の考え休むに似たり」という言葉はあるものの、自分の問題なのに、どうするかという解決策を自分で考えようとしないで、いつも他人を頼りにしていては、自分自身の成長につながりません。ひとりでその問題と向き合う時間をつくり、自分なりの解決策を持って相談に臨みましょう。

③相談内容を筋道を立てて話す相談者が、整理してきた相談内容を順序立てて筋道を立てて話せば、相手にも状況がよく伝わり、どうしたらよいかというアドバイスもしやすくなります。その時、起こったことすべてを話そうとせず、相談内容に直接関係のある事柄だけを端的に話すと、相手も理解しやすくなります。複数の事柄を相談したい場合は、相談内容ごとに分けて話をするべきです。あれもこれもと一緒くたにして相談すると、相談相手も混乱してしまうでしょう。ひとつの相談事項が終わったら、次の相談事項に移るという具合に、ひとつずつ話を進めます。また、相談相手には、結果報告を怠らないようにしなければなりません。貴重な時間を割いてもらいながら、その後どうなったかについて報告をしないのは、大変な失礼に当たります。結果のいかんにかかわらず、後日、必ず報告とお礼を伝えましょう。

19自責を隠さず相談する 黙っていてはわからない

何か好ましくないことが発生して、それを上司に伝えればきつく叱られることがわかっていても、今後の仕事の運び方について相談しなければならない時があります。このような時、人は責任の所在を追及されることを恐れて、自分の責任に帰すことを隠してしまう傾向があります。

正直に言わないと、上司には真実がわからず、場合によっては間違った判断をさせてしてしまうので、叱責は覚悟の上で自責を隠さず相談するべきです。隠しても必ずばれる取引先から「取引を止めたい」という申し出があったことを上司に報告して、善後策を相談したとします。上司は当然、「なぜ、こんなことになったのか?」と聞くでしょう。原因は、自分が取引先との約束を実行しなかったこと。ただそれを正直に話すと、叱られることは必至なので、ほかに責任を転嫁するようなことをつい言ってしまったとします。

たとえば「コスト競争が激化しており、当方の納入価格に不満があったものと思います」と答えたとしましょう。部下の報告を鵜呑みにする上司だと、「それだったら、ウチも思い切って価格を下げよう。見積書を大至急作成してくれ。大事なお客様だから私も一緒に行って取引の継続をお願いしよう」という流れになるかもしれません。

その後、真実が明らかになると、上司の怒りの矛先は、正直に相談しなかった部下に向かいます。そうなってから、「本当のことを言っておけばよかった」と後悔しても後の祭りです。ひとつのミスを隠そうとした結果、もうひとつ余計なミスを犯したことになります。最初から、自分が取引先の約束を守れなかったことを上司に正直に話して、誠意を持って相談すれば、ミスは最小限に抑えられたのです。

人間ですからたまには失敗することもあります。仕事での少々の失敗は誰でもあるものと考え、失敗は失敗として勇気を奮って真実を話し、どうしたらよいかを相談するべきです。私が学生時代に読んだ本の中で、印象に残っていることがあります。「この平和な日本では、よくよくのことでない限り殺されることはない。多少の失敗があったからといって打ち首になるようなことは決してない」私はこの文章を読んでなるほどと思い、仕事上で失敗をした時はその都度、素直に自分の非を認めて謝ってきました。

心やさしい上司ばかりだったということもあり、その場で殴られたり、蹴飛ばされたりすることもなく、減給処分程度で済みました。仕事上で、会社に多大な迷惑をかけるような失敗をしたからといって、始末書を書かされることはあってもそう簡単にクビになることはありません。ましてや命をとられることは絶対にないので、叱責を恐れないで自責を隠さず正直に相談するべきです。

20自分ひとりで問題を抱え込まない 責任感の強い人ほど抱え込む

困ったことが起きても、上司や先輩に相談するのを躊躇する人がいます。相談を躊躇するのは、「任された以上、自分ひとりで処理しよう」という責任感の強さと、「こんなことを相談したら笑われるのではないか」という心理が働くからです。自分がどうしたらよいか悩んでいる問題を、上司を含む関係者に相談することは決して恥ずべきことではありません。

むしろ相談しないで見当はずれの行動をとったり、解決にムダな時間をかけたりして、結果的に組織に迷惑をかけることを考えると、早めに相談してくれたほうが上司としてはよっぽど助かります。自力で解決できない時もあるただ、誤解しないでいただきたいのは、何か困ったことに直面したら、どうしたらよいかを自分で考えることを放棄して、すぐ上司の指示を仰ぐという問題の丸投げを奨励しているわけではありません。

責任感が強い人ほど重要な仕事を任された場合、いろいろと困難な問題があったとしても、自分の力で打開しようと頑張ります。それでうまくいけばよいのですが、そうならないと多くの人に迷惑をかけることになります。頑張り精神は大切ですが、自分ひとりでどう頑張ってもうまくいきそうもないようであれば、最悪の事態になる前に手を打たなければなりません。

早めに自分の苦しい状況を正直に報告して、この後どうすべきかを相談することが大切です。タイムリミットぎりぎりになって「ダメです。完全にギブアップです。どうしたらよろしいでしょうか」と相談されても、上司といえども手の打ちようがありません。ある会社で実際にあった話です。重要なプロジェクトが大詰めを迎えたころ、ミーティングで、プロジェクトリーダーがメンバー一人ひとりに進捗状況を確認した時のことです。

全員から、経過は順調で、期限までには間に合うという報告が得られたのでリーダーはひと安心しました。しかし、メンバーのAさんはある不安を抱えていました。実は、少し進行が遅れていたのです。自分だけが遅れ気味だとは言い出しづらく、頑張ればなんとかなるだろうと考え、リーダーに相談できなかったのでした。

ところが、どんなに頑張っても状況は変わらず、結局、期限間近になってリーダーに状況を打ち明けたところ、「なぜ前回のミーティングの時、正直に言ってくれなかったんだ。あの時言ってくれていたら、応援を出すなど手が打てた。今となってはもう遅い」と嘆かれてしまったそうです。

上司が部下の様子を見て、何か困った問題を抱えているのではないかと察知して頻繁に声をかけてくれればよいのですが、忙しい上司にそのようなことを期待するのは無理というものです。やはり部下のほうから進んで報告・相談するべきです。

21不明点・疑問点は悩まず相談する 聞くことは恥ではない

任された仕事を進める過程で不明点・疑問点があったら、自分ひとりであれこれ悩まずに周囲の人に相談しましょう。安易に人を頼りにするのは決して好ましいことではありませんが、とくに新入社員であったり、任された作業についてまだ十分習熟していない段階では、周囲の人に積極的に質問することはいっこうに構いません。

もちろん毎回毎回、同じことを聞くのはよいことではありませんが、それでもいい加減に仕事を進められることに比べれば、相談してくれたほうが上司は助かります。迷ったものの、相談しないで作業を続けて、その結果、修復に大変な手間を要するような大ごとにまで発展したというケースもあります。大きな失敗を犯す前に、不明な点はその場で確認した上で仕事に着手するようにしましょう。遠慮なく上司の経験に頼ろう通常、仕事に関係する情報量は、部下よりも上司のほうが多く持っています。

一般的に、最新情報の入手も早いので、部下が把握していないことでも上司は知っているかもしれません。わからないことは上司に遠慮なく聞きましょう。新しい仕事に取り組む時、その目的、意図、留意事項を最初にすべて明らかにしてくれると助かりますが、そのような上司ばかりではありません。最初の段階で不明点・疑問点があったら聞いておくべきです。さもなければ、途中で、自分が今進めている方向が上司の意図にかなっているかどうかを上司に確認しましょう。仕事がすっかりでき上がってからでは修正が困難な場合が多いからです。

ある大手家電メーカーで起こった話です。中国・上海の工場から○○部品を至急にほしいと連絡を受け、資材部の課長は、部下のAさんに「○○部品1000個を中国の上海工場に送ってほしい。大至急頼む!」と指示を出しました。部品を用意したAさんは、それを時間はかかるがコストの安い船便で送るか、時間は早いがコストの高い飛行機便で送るかで迷いました。

「大至急」と言われたけれども、日ごろからコスト高にならないような工夫をしなさいという指導を受けていたからです。結局、「大至急」とは「大至急、○○部品を送る作業に取りかかれ」という意味だろうと判断したAさんは、いつも通り船便で部品を送ることにしました。課長に確認したほうがいいかなとも思いましたが、課長も忙しそうにしているので、あえて確認しませんでした。

その結果、部品が届かないというクレームを受けた課長から「私は大至急と言ったではないか!なんで飛行機便で送らなかったんだ!」と叱られることに。その時になって、ひと言確認すればよかったと後悔したそうです。

22上司の出方を読んで相談に臨む 即座に結論を出す

上司が本当に親切な上司か?困ったことが発生して、「どうしましょうか」と相談すると、「よし、わかった、こうしなさい」と即座に結論を出して、的確な指示をしてくれる上司がいます。そのような上司は一見、頼りになる上司です。

ところが「どうしましょうか」と相談すると、「君ならどうする?君の考えを聞かせてくれ」と逆に質問され、「さあ、どうしたらよいかわかりません」と言おうものなら、「考えてからもう一度相談に来い!」と部下を突き放す上司もいます。

でも、前者が本当に頼りになる上司で後者が頼りにならない上司かというと必ずしもそうではありません。後者の上司は、部下の成長のためにわざと質問している場合もあるからです。

上司の質問パターンを予測する部下の成長を願っている上司は、部下が「どうしましょうか」と上司に疑問や課題を丸投げしてくるのではなく、自分なりの意見や解決策を持参して相談に来ることを期待しています。

そのため、思慮深い上司は、さまざまな質問をして、部下から意見を引き出そうとします。上司や相談内容によって、質問内容は異なりますが、この上司だったらどのような問いかけをしてくるかを予測して相談に臨めば、その問いかけにも的確に答えることができて、快い了承をとることができます。

状況によってどのような質問パターンが考えられるか、その例を次のページに紹介しています。相談者が上司に言われそうな質問パターンを頭に入れ、答えを用意しておけば上司の期待に応えられるでしょう。

23再検討を促されてもすぐ引き下がらない 再検討は「ダメ」とは違う

仕事上でなんらかの改善策を求められているとします。その事柄について、いろいろな角度から検討し、自分としてはベストと考えた案を持参して、「これでいきたいのですがどうでしょうか」と上司に相談したとします。すんなりいく場合もありますが、上司から再検討を促されることもあります。

たとえば、部下と上司との間で、次のようなやりとりが行なわれることもあるでしょう。「○○の作業は非常に人手がかかっていますので、この××システムを導入して省力化を図ろうと思いますがいかがでしょうか」「うん、この××システムもよさそうだが、他に方法はないかね?」「これが一番いいと思います」「比較するものがないので、これが一番いいかどうかは私にはわからない。他の方法を考えてきてほしい。

それらと比較した上で、これが一番よければこれにしてもよいと思う」「やっぱりダメですか」「そうは言ってないだろう。目的からいったら、方法がひとつしかないということはないはずだと言っているんだ。もう一度よく考えて持ってきてくれ」最後に部下は「わかりました」と引き下がるでしょうが、内心ではこの上司は頭が固くて、この案のよさがわからないんだと不満を持ち、そしてあきらめてしまいます。

でも、この上司は部下の案がダメだと反対しているわけではありません。「目的から考えると別の方法もあるのではないか、それを考えてほしい」と言っており、他にどんな方法があるのかをじっくり確認した上で、どの方法が一番よいかを判断したいのです。

ところが、この部下のように反対されたと誤解して腹を立てられてしまうと、上司はその先の対話ができなくなります。勉強のチャンスだと思え再考を促されたからといってすぐ腹を立てたり、あきらめたりせず、「わかりました、もう一度検討してみますが、この案のどの部分が気になりますか?」という具合に上司の真意を確認し、その上で再度、案を練り直し、修正案を持っていきましょう。

もし「今ひとつ」と言われたのなら、どの部分が足りないのかを確認すれば、上司の期待に添う案を次に提出することができます。上司はそれなりに一段高い視点で物事を見ているのが一般的です。自分の視野が狭かったからかもしれないと考え、再考を促されたということはいろいろなことを勉強するチャンスと前向きにとらえましょう。意地悪で反対するような上司はめったにいません。一度や二度の再考の促しにいたずらに腹を立てたり、あきらめたりしてはいけません。

24言外の相手の「思い」を察する 頼みづらい上司の思いを察する

上司と部下といった関係であっても、上司が遠慮ぎみに相談を持ちかけることもあります。そのような場合は、上司の思いを察しましょう。私たち日本人は、思っていることをみなまではっきり言わない傾向があります。相談を受けた時は、言外の相手の思いを察することも必要です。

たとえば、上司があなたに「明日何か予定はあるかな?」と聞いたとします。その時、「はい、予定があります」という返事だけでは不親切です。明日は休日だけども、何か自分に頼みたいことがあるのではないかと察して「はい、予定がありますが、どうかしましたか?」とたずねれば、上司は「実はそれほど時間がかかるわけではないが、○○の件で君に頼みたいことがあるんだ」と言いやすくなります。

上司がストレートに言わず、遠慮がちに話をしてきたら、想像力を働かせ、何か自分に頼みたいことがあるのではないかと気を利かせた対応をしましょう。お客様の真の目的・要望は何か?相手が取引先やお客様の場合は、さらにその思いや要望を察することは重要になります。あるシティホテルでのこと。夜の9時すぎに到着したお客様から「レストランは何時までですか?」と聞かれた新人のフロントマンは、「レストランは9時までです」と答えました。お客様は「あっそう、遅かったか………」と、残念そうに、部屋に向かわれたそうです。翌朝、先輩のフロントマンにこの話をしたら、「お客様のお腹が空いている、何か食べたいという気持ちを察して、9時からでも食事ができるところをご紹介するべきだった」とアドバイスを受けました。

単に聞かれたことに答えるだけでは、気の利いた対応とは言えません。言葉の端々から、相手が望んでいることを読み取って対応することが必要です。それが、お客様や取引先との信頼関係を築くことにつながります。言葉のウラに事情あり上司と部下の関係に限らず、親しい仲でも自分の思いをストレートに言わず、遠まわしに表現することがよくあります。友人と話をしている途中で「お忙しいでしょうから、今度またゆっくりおいでください」と言われたとします。

そこで、自分の都合だけで「いや、今日は大丈夫です」と話を続けないようにしましょう。「お忙しいでしょうから……」という言葉のウラに、実は「そろそろおひらきにしましょう」という相手の要望が隠されている場合があるからです。普段の友人との会話のなかでも、気を利かせて言外にある本心を見逃さない心がけが大切です。

「相談」とは

「相談」とは、自分が判断に迷うような時、上司や先輩、同僚に参考意見を聞くこと。相談する人とされた人とが問題を共有し、知恵を出し合い、最善の解決策を見出す作業といえる。

適宜・適切なホウレンソウの効用⑦「ビジネスチャンスを逸しない」

企業間競争が激しさを増している今の時代は情報が勝敗を左右するといわれる。ちょっとしたことでも、気を利かせて上司や関係者にホウレンソウすれば、貴重なビジネスチャンスを逸することはない。

適宜・適切なホウレンソウの効用⑧「お客様満足度が高まる」

競合する企業間で、提供する商品にそれほど差がつかない今日、サービスで差をつけることが重要になっている。きめ細かいホウレンソウはサービスのひとつであり、お客様の満足度アップの決め手にもなる。

適宜・適切なホウレンソウの効用⑨「会社のイメージが上がる」

社内の関係者間でホウレンソウがきちんと行なわれていれば、来社したお客様に迷惑をかけることは少なくなる。それにより、「あの会社はしっかりしている」と信頼度が高まり、会社のイメージアップにつながる。

適宜・適切なホウレンソウの効用⑩「チームワークが強化される」

自チーム内でホウレンソウが適切に行なわれ、メンバーが情報を共有化していれば、全員で協力し合って仕事が進められる。また、ホウレンソウというコミュニケーションによって、良好な人間関係ができる。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項①「ホウレンソウしやすい雰囲気を」

上司がいつもせかせか動いていたり、しかめっつらして書類をにらんでいたりしていると部下はホウレンソウしづらい。上司は忙しくてもできるだけリラックスした雰囲気を醸し出すべきである。

ホウレンソウを受ける立場の留意事項②「じっくり聴く」

部下が報告・相談したいと言ってきた時は仕事の手を休めて、相手のほうに体を向けて話を聴くべきである。「hear」ではなく「listento」の姿勢で、部下の報告・相談にじっくり耳を傾けて。

コラム3勝手な決めつけは禁物

●感じ方は人それぞれ

対人関係で気を利かせることは大切ですが、慎重に行なったほうがよい場合があります。こんな風にすればきっと喜んでいただけるだろうと勝手な思い込みをして、相手を不快にさせたり、怒らせたりしてしまうようなケースです。

ANAの元取締役執行役員・客室本部長の山内純子さんが、新聞のコラムで次のようなことを語っています。客室乗務員になって10年たった30歳のころ。大阪発東京行の便にチーフパーサーとして搭乗した。サンドイッチを持ち込んだ男性を見つけた。スーツをビシッと着こなした50歳代のエリートビジネスマン風。「温かいコーヒーとおしぼりを差し上げたら、絶対に喜ばれる」と思った私は、さっそくコーヒーを持っていった。ところが、男性は烈火のごとく怒った。

「ぼくはコーヒーが大嫌いなんだ!」気を利かせたつもりだっただけに、ショックを受けた。「本当に申し訳ございませんでした」と平謝りに謝った。山内さんは「サービスには正解がない。同じサービスでも、喜ばれたり、不快にさせたりすることがある。失敗を重ねて自分の引き出しを増やし、よりよいサービスを目指すしかない」と語っています。

【23】できる人は「相談」の使い方が驚くほどうまい

◆成長する絶好の機会

「こういうケースでは、どう対応すればいいのだろう?」「今進めている仕事のやり方でいいのだろうか?」「発生したトラブルを、どのように解決すればいいのだろうか?」このように、仕事をする上で判断に迷ったり、疑問に感じること、あるいは一人では解決できない事柄は多く出てくるでしょう。

そんなときに、上司、先輩、同僚から意見やアドバイスをもらうために、「相談」をどんどん活用することをおすすめします。相談するということは、今あなたが抱えている仕事上の問題を解決することなのです。上司が若手社員に求めているのは、「仕事ができる人」ではありません。「報連相ができる人」を求めています。1日でも早く、そうなってもらいたいと願っています。

そして、なかでも相談が上手くできるようになってもらいたいと思っています。なぜなら、相談できる人が、結果として仕事ができる人になっているからです。報告、連絡は他者のために行うことが多いのですが、相談は自分のために行うことがほとんどです。「相談する」ということは、自分が成長する絶好の機会なのです。「これは相談したほうがいいかな?」という考えが少しでも頭に浮かんだら、即相談するのがいいでしょう。

◆自分を過信すると、ミス連発の原因に

しかし、上司や先輩にいざ相談しようとしても、「そんなこともわからないのか」とあきれられたり、なかなかタイミングがつかめずに、相談できないということもあるでしょう。また、2~3年仕事をしていると、なんとなく〈わかった気〉になってしまうこともあります。私にも経験がありますが、誰にも相談せずに「このやり方で正しい」と思い込んでしまうと、ミスをしてしまうものです。

そんなときには、「相談の判断基準」を自分の中に持ってみてください。「相談しようかどうか、迷ったときは相談する」という自分なりの基準があれば、悩むたびに基準がぶれることがなくなります。上司の本音としては、相談なしに何でも自分で決めて成果を出す部下を頼もしく思う一方で、「大丈夫だろうか」といった不安や、少し寂しい気持ちを持っていることもたしかです。

そこで、上司や先輩には普段からいろいろと相談をするようにしてみましょう。くり返しになりますが、報連相とは日々のコミュニケーションから成り立ちます。頻繁に相談することも、上司や先輩との信頼関係につながるのです。こまめに相談することで上司との接触頻度を増やし、今まで以上に信頼関係を築いていきましょう。そして、相談した結果、もらったアドバイスを素直に実行したり、うまくいったことを報告すれば、上司からの好感度も上がり、スムーズに仕事を進めやすくなります。

【24】「自分一人でなんとかしよう」は二流の発想

◆詳しい人に教えを乞うのが早い

相談することのメリットは、「上司と信頼関係を築くことができる」だけではありません。うまくいかない仕事やトラブルについて相談することで、上司や関係者を味方につけることができるのです。上司から与えられた仕事に対して、最後まで責任感を持ってやり抜く気持ちは、もちろん大切です。

しかし、自分一人の力では仕事が進まないときに、「自分でなんとかしよう」「誰にも頼らず、自分だけの力で頑張ろう」と考えてしまってはいけません。なぜなら、相談することが遅くなり、大きなトラブルになりかねないからです。自分ではどうしようもなくなる前に、上司や先輩に相談し、どんどん他者の知恵を借りましょう。そうすれば、質の高い仕事をすばやくできるようになります。

では、誰に相談すればよいかといえば、やはり一番多い相手は上司ということになるでしょう。ほかにも先輩、後輩、ときには社外の関係者・専門家ということもあるかもしれません。あなたが迷っていること、疑問を感じていることに対して、参考になる意見やアドバイスをしてくれる人であれば、誰でもかまわないのです。

「えっ、後輩に相談?」と思うかもしれませんが、実際にはよくあることです。たとえば、上司から今年度の新製品説明会で使用する投影用スライドを作成するように指示があったとします。もしあなたがスライド作成に不慣れであれば、スライドの作成方法、プレゼンソフトの操作方法については後輩に相談したり、操作方法を教えてもらうこともあるでしょう。

◆「誰に相談するか」

相談する先ほどもお話ししたように、相談する相手は上司だけとは限りません。そこで、「誰に相談するのか」を上司に相談する、という方法もあるのです。上司が推薦した人に相談に行けば、上司も「●●さんが言うなら」とあなたの案に賛成してくれます。

また、相談した相手もあなたの味方につけることができるのです。相談することで、上司や関係者をどんどん巻き込んでいけば、一人で悩むよりもスムーズに仕事が進みますし、トラブルが起きることもないでしょう。

【25】後回しにされない相談のベストタイミング

◆上司のスケジュールをつかんでおく

「今日は上司の機嫌が悪そう……」「やっと帰ってきたと思ったら、また次の打ち合わせに出かけてしまった……」いざ相談しようと思っても、このような状況だと、なかなか相談しにくいですよね。また、相談すること自体怒られるのではないかとビクビクしてしまい、「相談する勇気が出ない」「相談するのを躊躇してしまう」という悩みを、多くの方から聞くことがあります。

しかし、この章ですでにお伝えしている通り、相談とは「問題解決」のための手段なのです。質の高い仕事をするため、ミスやトラブルを避けるためにも、一刻も早く相談する勇気を身につけましょう。

では、どんなタイミングで相談すればよいのでしょうか?まずは、相談するタイミングをつかむ練習をしましょう。相談するタイミングをつかむコツは、普段から上司のスケジュールを把握しておくことです。いざ相談しようとしても、上司のスケジュールによっては後回しにされることもあります。また、報告や連絡と違い、相談には時間がかかる場合が多いです。それに、時間があったとしても、その場で解決しないことも多いでしょう。さらに、切羽詰まった状態でいきなり相談をしに行くと、次のように後回しにされてしまうかもしれません。

部下「課長、ご相談があります!」上司「悪いけど、今から出張なんだ。来週の水曜日まで帰らないから、木曜日でいいか?」部下「あっ、はい。わかりました(もっと早く相談しておけばよかった……)」

このような状況にならないためにも、早め早めに動くことが必要です。上司のスケジュールを把握するということは、「上司の余裕がありそうな時間を見つける」ということです。逆に、上司が忙しそうな時間帯も把握できるので、話しかけるべきタイミングを見極めることができます。

このように上司のスケジュールを把握することで、相談するタイミングを失うことも後回しにされることもなくなりますし、相談する相手への気配りもすることができます。

◆「その後」を必ず伝える

ほかにも、相談相手に対する気遣いが必要なことがあります。それは、相談したあとの結果報告やお礼です。意外と忘れてしまう人が多いので、ここは気をつけなければいけません。相談した人は、アドバイスがもらえたことで完結したと思ってしまいます。ところが、相談された相手にしてみれば、まだ完結していません。

自分がアドバイスしたことを実行したのかどうか、アドバイスが役に立ったのかどうか、結果がどうなったのか気になったままなのです。ですから、アドバイスをもらった結果についてもちゃんと伝えるようにしましょう。あなた「▲▲先輩ありがとうございました。アドバイス通りに分析した結果、とても説得力のある調査になりました。

課長からもほめられました。本当にありがとうございました」先輩「そうか、よかったな。またわからないことがあれば、いつでも相談して!」このように、相談相手に対する配慮も忘れなければ、また次回相談したいと思ったときにも「●●さんのためなら……」と時間を割いてくれるはずです。

そういった人を周りに増やしていくことで、あなたの仕事はどんどん進めやすくなっていきます。

【26】「丸投げ」では何も教えてもらえない

◆自分なりの意見が必要

上司や先輩、関係者に相談することで仕事は一気にスムーズに進みます。しかし、「とりあえず相談しよう!」という考えはNGです。相談といえども、考えることを上司に丸投げして、すべて任せてしまうのはよくありません。「少しは自分で考えろ!」と言われてしまう原因になります。研修の中で「上司に相談しても、『どうしたいの?』と聞かれてしまって答えられなくなる」という相談を受けることがあります。

「どうしたいの?」と上司から聞かれると、固まってしまう方が多いようです。しかし、上司も自分の意見がない部下には、手取り足取り教えてあげようとは思いません。「自分なりにいろいろと考えているものの、どうしても結論が出ないので相談してきた」ということであれば、手助けしてあげようと思うものです。

「今はこういう状況で、問題を抱えているから、(手っ取り早く)解決策を教えてください!」というスタンスでは、あなたの評価を下げる原因になってしまいます。「私が考えた答えは●●です。そこで、その考えに対して、アドバイスをもらえませんか?」という姿勢で相談に行けば、上司から的確なアドバイスをもらうことができ、あなたへの評価も変わるはずです。このように、自分なりの考えや意見を持って相談することで、上司に限らず相談相手は親身になって相談に乗ってくれるようになります。

◆抱えている問題を分解して「仮説」を立てる

「仮説」とは、仮に考えた説、答え、結論ということです。「今ある情報をもとに、仮の結論を考えること」であり、現時点で考えられるベストな答えのことです。限られた情報の中でも、まず一度答えを出すということが、ビジネスではとても重要です。そして、相談では「仮説」を立てることがとても大切なのです。仮説を立てるために、まずは抱えている問題を整理していきましょう。次の「問題の8段構造」を使って問題を構造化することで、情報を整理することができます。

①目的:最終的なゴール、目指すところ

②目標:あるべき姿、達成すべきレベル

③現状:現在のレベル

④問題:目標と現状とのギャップ

⑤原因:問題が発生した(複数の)原因

⑥問題点:対処すべき真の原因

⑦課題:問題解決のためにやるべき事柄、問題点の解消

⑧解決策:課題を遂行するための具体的アクション

この8段構造が頭に入っていれば、今はどこのステップに位置しているのかということが明確になり、状況を相談相手にわかりやすく伝えることができます。当然ですが、相談する時点では、ステップの途中までしかわかっていないので、相談することでステップ8(解決策)を目指すことになります。

仮説を立てる際には、8段構造の中でも「目的」「目標」「現状」をはっきりさせておくようにしましょう。仮説の精度は、せいぜい80%程度でかまいません。あとは、相談相手からの意見やアドバイスによって100%に近づけていければいいのです。

また、仮説を立案する際の注意点として、情報やデータを客観的に扱いましょう。そして、相談相手からはいろいろな質問もあるはずです。そうした質問にも答えられるような準備として、データや資料をしっかり揃えることも忘れてはいけません。

【27】具体的なアドバイスを引き出すポイント

◆「ご相談があります」は魔法の言葉

事前準備をしっかりと行い、相談相手のスケジュールも把握し、問題を整理したら次のステップです。毎日の仕事の中で、どうしても「今相談したい!」と思うこともあるでしょう。そんなときや、なかなか相談するタイミングがつかめないときには、ぜひ最初に「相談があります」と切り出してみてください。「相談があります」と切り出す最大のメリットは、相手の都合が確認できることです。

報告や連絡に比べ、相談には時間がかかり、相手にとっても負担が大きくなります。「相談があります」と切り出すことで、相談相手も「相談か。じゃあ、これくらいの時間がかかるな」と大まかな時間の計算ができます。本当に時間がないなら、あとで改めて時間を割くなどの対処をしてくれるはずです。具体的に相談に乗ってもらうためには、次の4つのステップが基本となります。

①何に関する相談なのかを伝える(相手の都合を確認する)

②現状について伝える(問題の8段構造で整理する)

③自分の考え、答えを伝える(仮説に基づいて考える)

④相手に意見、アドバイスを求める

例に当てはめて考えてみましょう。部下「部長、A社のデータ調査の件でご相談があります。今、お時間よろしいでしょうか?」部長「今ならいいよ」部下「ありがとうございます。これから各項目の詳細について分析するのですが、●●の部分でどのように進めていいか迷っています。私としては……。部長のご意見を聞かせていただけないでしょうか?」部長「そうだな、基本的には同じでいいと思うよ。ただ……」ここで、部長はあなたからの相談の申し入れに対して、「今急ぎの仕事をしているけど、A社のデータ調査の件なら、おそらく2、3分で終わるだろう。だから、相談に乗ってあげることができる」と、その場で判断したはずです。

でも、仮に「A社のデータ調査の件」とは伝えず、単に「今、お時間よろしいでしょうか?」と聞いていたら、「ごめん、今忙しいからあとにして!」と言われてしまっていたかもしれません。「A社のデータ調査の件でご相談があります」とひと言添えるのと、添えないのとでは大きな違いです。また、相談は5分かかるのか、10分かかるのか、見積もりしづらいものです。そのため、「あとでお時間いただけますでしょうか?」とか「ご都合がよろしいときにお声がけいただけますでしょうか?」といった配慮も必要になります。

◆「お聞きしたい」より「教えていただきたい」

また、相談をする際の切り出し方にはこんな例もあります。たとえば、あなたが後輩から相談を持ちかけられたとします。そのときに、「先輩、お聞きしてもいいですか?」と言われるのと、「先輩、教えていただいてもいいですか?」と言われるのとでは、受ける印象がまるで違うと思いませんか?「お聞きしたい」と言われると、何を聞かれるのだろうかと少し警戒してしまいます。でも「教えてください」と言われると、自分が優位な立場のまま、教えてあげようという気にもなります。ほんのわずかな違いなのですけどね。

後輩「先輩、A社のデータ調査の件、教えていただいてもいいですか?」先輩「(教えるんだったら)今いいよ」このように、報連相する際には、相手の自己重要感を刺激することで、快く相談に乗ってもらえるということも覚えておくと便利でしょう。

【28】相談の形で説得する「3つの選択肢」法

◆イチ押し案を真ん中にはさんで

相談は、相手を説得したいときにも有効な手段です。たとえば、商品開発プロジェクトも順調に進み、無事に商品が完成したとします。そして、最終の価格設定の段階になり、プロジェクトメンバーの総意として定価5万円が妥当であると決定しました。ただし、最終的な価格を決めるのはリーダーの課長です。このあと、課長に対して「メンバー全員で話し合った結果、定価5万円と決まりました」と報告し、承認を得なければなりません。

この場合、どのように話をもっていけば、課長は「YES」と言ってくれるでしょうか?これまでの話し合いの経過や、価格の妥当性を論理的に説明して納得してもらう、という方法がありますが、ほかにもあります。それは、課長が決断したという状況をつくることで、説得するという方法です。その前に、ちょっと考えてみましょう。仮に、あなたが休日に友人とランチをすることになったとします。メニューには3つのランチコースが書かれています。Aコース……500円Bコース……1000円Cコース……1500円あなたならどのコースを選びますか?多くの人はBコースを選ぶでしょう。なぜなら、真ん中のコースだからです。実は、私たちはいくつかの選択肢を示されると、両端を嫌い、真ん中を選ぶ傾向があります。

そこで、こうした人間の心理を応用して、上司に相談してみるといいでしょう。部下「課長、新商品の価格設定の件でご相談があります。メンバーで議論を重ねた結果、最終的に3つまで絞り込みました。A案3万円、B案5万円、C案7万円です。課長のご意見をお聞かせいただけないでしょうか?」課長「そうだな、B案が一番良さそうな気がするけど」部下「わかりました!では課長のおっしゃるようにB案にします」この方法なら、課長の意見を尊重していますし、結果として課長が決断したという形になります。課長を説得するのではなく、相談することで最も好ましい案を課長自ら選び、納得してもらったのです。

◆違った案を選ばれたら、やってみるのも大切

ここで気をつけたいのが、意見やアドバイスをもらった相手を尊重し、否定しないで、まずはやってみることです。「せっかくのアドバイスなのですが、今回のケースには当てはまらない気がしまして」など、否定したい理由はいくらでもあるかもしれません。

しかし、せっかく相談に乗ったのに、頭ごなしに否定されては「だったら最初から聞くな!」と上司を怒らせる原因にもなります。そうした固定観念を一度外して、素直な気持ちで受け入れるということも、ときには必要です。実際に動いてみた結果、思うように物事が進まないようなら、軌道修正はいくらでも可能なのですから。

【29】反論はNG。一度受け入れて再質問を

◆聞きたい答えが返ってこなかった……

「せっかく上司に勇気を出して相談したけど、聞きたい答えが返ってこなかった」「聞きたかった答えじゃないけど、もう一度聞けないし、結局わからないまま」相談したけれど、上司から聞きたい答えを聞けずに、このような思いをしたことはありませんか?コミュニケーションでは、どうしても相手に伝えたい意図がうまく伝わらないこともあります。

そんなときは、上司から聞きたい答えを引き出す工夫も必要になってきます。まず、上司と部下の行き違いの例を見てみましょう。部下「次回C社訪問の際に、提案書を持って行きたいと考えています。先方はコスト意識が高い方なので、とくに価格面について訴求したいと考えています。課長のご意見を伺えますでしょうか?」上司「そうか、提案書を持って行くんだな。先方の担当者は●●さんか?●●さんはけっこう気難しい人だと聞くから、失礼のない態度で接しないといけないな。そしてまずは信頼関係を築くことが大切で……」部下側としては、提案書の訴求ポイントが、価格面を強調したものでよいのかどうかを聞きたいわけです。

しかし、課長はその点に触れず、まずはコミュニケーションが大切であることを説いています。部下は内心、「もちろん、そんなことは十分わかっていて、これまで信頼関係を築いたからこそ、やっと提案までこぎつけることができたんですけど……」と反論したくなっています。では、どうすれば上司から聞きたい答えを引き出すことができるのでしょうか?

◆「もう1点お聞きしたいことが……」と切り替える

先ほどの例で部下が反論してしまったとしましょう。部下「課長、そうではなくて、私がお聞きしたいのは価格面を強調した提案書でいいのかどうかということで……」このように即座に否定してしまうと、上司も否定したくなるものです。

「いや、そうじゃないんだよ。わかってないのは君のほうだ!」と、上司の話はさらに長くなり、聞きたいことも聞けないままです。そんなときには、聞きたい答えではないとしても、一度肯定的に受け入れるのがポイントです。「たしかに信頼関係は重要ですね。当日は失礼のないような態度で臨みます。ありがとうございます」と、ここで課長の話をいったん受け入れて、話を終了させます。

そして、改めて聞きたいことについて質問して、聞きたい答えを引き出します。相談とは、仕事をスムーズに進めるための「根回し」でもあります。相手を味方につけて、自分にとって仕事を進めやすい環境づくりが不可欠です。切り出し方、話の受け入れ方を少し変えるだけで、仕事は驚くほどスムーズになり、信頼も勝ち取ることができるのです。

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