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Chapter6保険のしくみと書類

目次

Chapter6保険のしくみと書類保険

0601貨物海上保険の必要性0602貨物海上保険の基本事項と料率0603貨物海上保険の基本条件と戦争約款、ストライキ約款0604貨物海上保険の保険期間0605保険証券(InsurancePolicy)0606保険の申込み0607保険求償の流れ0608代位求償0609共同海損(GeneralAverage)その他の保険0610輸出FOB保険0611貿易保険0612貿易保険の申込み0613生産物賠償責任(PL)保険と企業総合賠償責任(CGL)保険0614クレーム(Claim)と解決方法

索引

Chapter6保険のしくみと書類保険

0601保険Trading貨物海上保険の必要性貨物海上保険により、輸送中の事故による損害はカバーされます。

運送人の責任と支払限度額貿易輸送中に貨物が損傷を受けたり、船の沈没などの理由で消滅してしまったりした場合、荷主は運送人に損害賠償を求めますが、貿易輸送を行う運送人の責任範囲や支払限度額は条約によって限定されているため、十分な補償を受けることは難しいのが実情です。

海上輸送における運送人の責任範囲や限度額については、ヘーグ・ルールとヘーグ・ヴィスビールールが世界的に広く適用されています。

この条約では、運送人の責任は通常の航海に耐えうる堪航能力を持った船舶の提供と荷役中の過失などの商業過失に限定されており、航海中に荒天遭遇により発生する海水侵入や荷崩れによる損害など自然現象に起因する損害は運送人の免責事項となっています。

また、運送人の賠償責任限度額については、1梱包もしくは1単位当たり666.67SDRまたは総重量1kgにつき2SDRのいずれか高いほうとする限度額(パッケージリミテーション)が定められています。

その結果、貨物損傷の多くの原因となる輸送中の自然現象に起因する損傷は運送人免責となり、また仮に運送人の商業過失を証明できて賠償責任を問えたとしても、限度額の範囲内でしか賠償請求できないこととなります。

また、国際航空輸送については、ワルソー条約(日本は1953年に批准)とモントリオール条約(日本は2000年に批准)により航空運送人の責任や賠償責任額が規定されており、パッケージリミテーションは1kg当たり19SDRと限定されています。

貨物保険が提供する補償範囲と限度額一方、貨物海上保険は、自然現象や商業過失を含めて輸送中の危険を広い範囲でてん補しており、保険引受け金額も商品価値全体をカバーするしくみとなっています。

つまり荷主は貨物海上保険を付保すれば、事故が起きた際の金銭的損害の補てんに十分備えることができるので、貿易取引において必要不可欠な手続きとなっています。

0602保険Trading貨物海上保険の基本事項と料率貨物海上保険の保険料率はさまざまな要素を勘案して算定されています。

保険契約と被保険者貨物海上保険は、損害保険会社が保険を引受けており、海上保険の名はついていますが、航空輸送や陸上輸送中の危険もカバーすることができます。

輸出者と輸入者は輸送中の危険を背負ったときに自らを被保険者として貨物海上保険を付保することが原則ですが、CIFとCIP契約の場合は、輸出者が輸入者のために保険契約を結び保険証券に裏書して被保険者の権利を輸入者に移転させます。

保険価額(InsuredValue)と保険金額(AmountInsured)保険価額とは、保険を付けることのできる最大限度額で、通常は輸入港到着価格であるCIF価格(またはCIP価格)に10%を加えた価額となります。

保険金額は、保険をかける金額のことで、通常は保険価額と同額で付保し、これを全部保険(FullInsurance)と呼んでいます。

保険契約者は保険価額より低い金額で保険をかけることはできますが、これは一部保険(UnderInsurance)と呼ばれ、事故発生時には保険金を満額で受取ることはできなくなります。

逆に保険価額以上に保険金額を設定して申込むことを超過保険(OverInsurance)と呼びますが、超過部分は無効となります。

保険料率保険料率は保険金額に対してパーセントで表示され海上危険料率(MarineRate)と戦争・ストライキ危険料率(War&S.R.C.C*.Rate)の2本建てで設定されています。

海上危険料率は、保険条件、貨物、梱包、本船の種類や船齢、航路、過去の損害率など、蓄積されたデータをもとに各保険会社が算定しています。

戦争・ストライキ危険の保険料率は、世界の政治情勢などに影響される特殊なリスクであるため、英国保険マーケットの料率を参考に算定されています。

また、事故のリスクの高い、老齢船や低い船級(Class)の船舶で輸送される場合には割増保険料(AdditionalPremium)が別途課徴されます。

0603保険Trading貨物海上保険の基本条件と戦争約款、ストライキ約款貨物海上保険の条件は、ロンドンで作成された協会約款が広く使用されています。

MARフォームが主流貨物海上保険の契約内容を記載している保険証券にはSGフォームとMARフォーム(Marineフォームの略称)があり、現在はMARフォームが主流となっています。

MARフォーム用の約款はJointCargoCommittee(ロイズと保険会社の合同委員会)が定めた2009年版協会約款が最新版で、海上危険、戦争危険、ストライキ危険の3つの危険に分けて協会貨物約款、協会戦争約款、協会ストライキ約款が作られており、これら3つの約款はセットで付保されます。

協会貨物約款(InstituteCargoClauses1/1/09)輸送中の危険には、沈没や座礁など自然現象に起因する航海中の事故のみならず、荷役中の貨物落下や盗難など人為的な要因による事故などさまざまな危険が含まれていますので、貨物の性状、梱包、輸送用具などを考慮して選択できるように3種類の基本条件が設定されています。

てん補する範囲は(A)条件、(B)条件、(C)条件の順に広く、保険料率はてん補範囲の広さに応じて高くなります。

I.C.C.(A)てん補範囲の一番広い条件で、海上輸送中の事故に限らず、陸上での荷役中の事故や盗難などすべての危険(保険の免責事項は除く)を一括カバーします。

機械や家電製品など製品類にはこの条件が使用されます。

航空輸送の場合には、航空輸送に特化されたI.C.C.(AIR)という条件が使用されます。

I.C.C.(B)この条件では、てん補する危険を個別に列挙する形式をとっています。

具体的には、海水や河川の水ぬれ損害と、火災、爆発、座礁、沈没、転覆、衝突、地震、噴火、雷などの危険をカバーしています。

バルクキャリアで輸送されるばら穀物貨物などにこの条件が使用されます。

また、必要に応じて、雨淡水濡れ損(RFWD:Rain、FreshWaterDamage)や盗難/抜荷/不着(TPND:Theft、Pilferage、NonDelivery)などの危険を追加付保することもできます。

I.C.C.(C)火災爆発などの重大事故、共同海損犠牲など列挙された危険を担保する最も範囲の狭い条件で、追加付保できる危険もI.C.C.(B)に比べ限定されています。

水濡れにも強い鉱石類や鉄屑などの貨物にこの条件が使用されます。

協会戦争約款(InstituteWarClauses(Cargo)1/1/09)戦争約款では、戦争、内乱、革命、謀反、反乱などの危険、およびそれら危険から生ずる捕獲・だ捕など、さらに平常時であっても遺棄された機雷のような遺棄兵器による危険を担保します。

協会ストライキ約款(InstituteStrikesClauses(Cargo)1/1/09)ストライキ約款は、ストライキ(Strikes)、暴動(Riots)、騒乱(CivilCommotions)などにより生じる貨物の滅失/損傷をてん補し、S.R.C.C.と略されます。

テロ行為による損害は、本約款で補償されます。

ただし、ストライキによる労働力不足などから生じる損失は補償されません。

貨物海上保険の免責事由貨物海上保険では、偶発的な事故とは認め難い下記のような損害や巨大リスクである原子力危険等は免責事由となっています。

・被保険者の故意の違法行為

・梱包の不十分/不適切・貨物固有の性質/欠陥、通常の漏損、通常の重量/容積の減少等・運送の遅延、船主等の支払い不能(一部救済措置あり)・原子力危険海賊(Piracy)危険について2009年版I.C.C.約款においては、海賊危険はマリンリスクとして整理され、I.C.C.(A)(B)(C)、いずれの条件でもてん補されています。

0604保険Trading貨物海上保険の保険期間貨物海上保険の期間については次の通りです。

貨物海上保険の保険期間協会貨物約款I.C.C.(A)(B)(C)の保険期間は、倉庫間条項(WarehousetoWarehouseClause)により、保険証券に記載されている船積港の保管倉庫搬出から仕向港にある最終倉庫その他の保管場所にて輸送手段から荷おろしが完了するときまでの全輸送区間と規定されています。

但し、海上輸送においては、仕向港で本船から荷おろしを完了した日から60日経過すれば、たとえ最終倉庫に到着していなくても保険は終了するタイムリミットがあります。

航空輸送の場合には、タイムリミットは荷降ろし後30日と規定されています。

ストライキ約款の保険期間協会ストライキ約款の保険期間は協会貨物約款と同様に倉庫間条項が適用されます。

戦争約款の保険期間協会戦争約款の保険期間は貨物が本船に積込まれてから荷おろしまでと、貨物が海上にある区間に限定されています。

ただし、積替港においては、第1船から荷おろし後15日以内のその港にある間は担保されます。

航空機積込みの貨物についても、航空機積載中のみが保険期間となります。

0605保険Trading保険証券(InsurancePolicy)保険証券は保険求償を行う際に必要です。

貨物海上保険証券(InsurancePolicy)保険会社は貨物海上保険引受の証明書として保険契約者に貨物海上保険証券を発行しています。

保険証券は保険の中心地である英国式の様式が用いられており、現在はMARフォームと呼ばれる英文証券が普及しています。

保険証券は有価証券ではありませんが、CIP契約とCIF契約においては、輸出者は保険証券に裏書を行うことにより被保険者の権利を譲渡し、船積書類の一部として輸入者に送付します。

保険証券の主な記載項目は次の通りです。

被保険者と保険の対象物に関する情報被保険者、インボイス番号、予定保険証券番号、商品名、梱包状態等輸送手段に関する情報本船名や航空機便、船積港、船積日または予定日、仕向地等保険条件に関する情報保険条件、保険金額、保険区間、クレーム発生時の支払地、保険求償代理人等保険契約に関する事項担保危険、免責事由、保険期間、協会約款等各種約款保険承認状(InsuranceCertificate)実務的には、保険承認状(InsuranceCertificate)と呼ばれる裏面の契約詳細の記載を簡略化した書式も使用されており、保険証券と同様に取扱われています。

荷為替手形決済における要求書類として「InsurancePolicyorCertificate」と記載されることもよく見られます。

0606保険Trading保険の申込み貨物海上保険の申込みは、予定保険と確定保険の2段階で行います。

予定保険と確定保険貨物海上保険の申込みは、船積予定が決まった段階で予定保険を申込み、船積み完了後に確定保険に切替える2段階の手順で進めます。

保険会社は、保険の申込み前に発生した事故はカバーしませんので、この手順を採ることにより保険期間のすべてを付保することができます。

予定保険は、船積予定に基づいて予定保険申込書を保険会社に提出し、予定保険証券(ProvisionalPolicy)を入手します。

次に、船積みが完了した後に、保険会社に確定保険申込みを行い、保険料を支払います。

保険会社は保険引受けの証として保険証券(InsurancePolicy)または保険承認状(InsuranceCertificate)を保険契約者である輸出者または輸入者に発行します。

包括予定保険契約(OpenPolicyまたはOpenContract)包括予定保険契約(オープンポリシー)は、継続的に船積みされる貨物の予定保険を包括的に結ぶ保険契約です。

オープンポリシーを結んだ保険契約者は特定の貨物のすべての船積みについて確定保険申込みを行うことを保険会社に約することにより、個々の予定保険申込みの手続きは省略されます。

すなわち、保険の申込みは船積み実行後に確定保険申込書を保険会社に提出するだけで完了するので、事務省力化に効果があり、多くの企業が採用しています。

特に船積み開始予定の情報がつかみにくく、個々に予定保険申込みを行うことが難しい輸入貨物の場合において、付保漏れ防止の効果があります。

0607保険Trading保険求償の流れ輸送中の事故が原因で商品が損傷を受けた場合は保険求償を行います。

保険求償を行う主体貿易輸送中の事故で商品が損傷を受けた場合、被保険者は保険会社への保険求償の手続きを遅滞なく行います。

保険求償は輸送中の危険を負担した側が行いますので、貿易取引条件がE、F、Cグループの規則の場合は輸入者が行い、Dグループの場合は輸出者が保険求償を行うこととなります。

損害発見後、まず行うべき3つのこと事故通知到着した貨物に損傷を発見した場合、保険求償者は、まず保険会社または保険証券に記載されている保険求償代理人(ClaimAgent)に事故通知を行います。

損害拡大の防止もし貨物をそのまま放置すると被害が広がるおそれがある場合は、そのダメージが広がらないように処置を施します。

運送人への求償権の留保貨物の受取証(デバンニングレポートやボートノート)に損傷の事実を記録し、運送人に事故通知を行い、さらに賠償請求権を留保するクレーム通知書を送付します。

この時点では、事故の原因は特定できていない場合が多いのですが、船荷証券や航空運送状には「一定期間内にクレーム通知がなければ貨物は安全に引渡されたものと見做す」といった主旨の運送契約条項が記載されていますので、この期間内に運送人に対してクレームを留保する通知を出しておく必要があります。

運送人に対するクレーム通知書は、保険求償を行う際の書類の一部として後日保険会社に提出することとなります(0608参照)。

保険求償の手続き保険求償の手続きは事故の内容や貨物の性状により異なります。

貨物の滅失や員数不足などの損害であれば、損害を受けた貨物は目前にはありませんので、受渡し書類等で損害を立証して保険求償を進めます。

損害を受けた貨物が目前にある破損や水濡れなどの損害であれば、保険会社はサーベイヤーを派遣し、貨物の損傷状況や事故原因の調査を行い、調査結果報告書(サーベイレポート)に基づいて、事故の原因が保険条件のてん補範囲であるかどうか、ダメージ品の処理方法が妥当であるかどうかなどを検証し、求償者と保険金の協定を行います。

保険求償に必要な書類保険求償では、損傷による商品価値減の損害と商品の修繕や代替品手当に要した費用を求償できますが、保険金額が求償上限金額となります。

求償手続きに必要な書類には、保険証券(または保険承認状)の原本、インボイス、パッキングリスト、船荷証券、運送人宛クレーム通知書と運送人からの回答書、その他損害を証明するための重量証明書やボートノート(0321ボートノート(B/N)、ボートノート(B/N)の例)などの書類、修理費や代替品手当の費用を証明する帳票書類などがあります。

保険会社は書類を審査のうえ、損害を受けた貨物の処分方法を求償者と打合せと損害額の協定を行った後、保険金を支払います。

0608保険Trading代位求償保険会社が損害賠償請求権を譲受け、運送人に行う賠償請求を代位求償といいます。

代位求償の流れ輸出者や輸入者の保険求償業務は保険会社から保険金を受取った時点で完了しますが、運送人の賠償責任は依然として残っていますので、保険会社は、保険金支払いと交換に運送人への損害賠償請求権を譲受け、運送人への賠償請求を行います。

この保険会社による求償を代位求償と呼んでいます。

求償権の移転の手続きは、保険会社から送られてくる権利移転証(LetterofSubrogation)に保険求償者が署名し保険求償書類の一部として保険会社に提出して行います。

保険会社は権利移転証と損害を立証する書類を使って運送人に対する賠償請求を行い、支払った保険金の一部に充当することを図ります。

なお、権利移転には、権利移転領収証(SubrogationReceipt)など同じ内容の書類が使用されることもあります。

0609保険Trading共同海損(GeneralAverage)共同海損は貨物の所有者と船主が共同で損害を分担する制度です。

共同海損の手続き船舶の座礁や火災事故など、放置すれば船と貨物の双方が滅失する危険が発生したとき、その共同の危険を回避するために貨物の一部を投荷したり船舶を曳航して救助したりすることがあります。

このとき、犠牲となった貨物の損害や救助に要した費用を船と貨物の所有者が共同して分担する制度が共同海損で、ヨーク・アントワープ・ルールという国際規則により精算方法が定められています。

共同海損に該当する事態が発生した場合、船会社は共同海損の通知書(G.A.DeclarationLetter)を荷主に送付し、共同海損の精算を行うための各種書類の提出を求めてきます。

共同海損の精算手続きは複雑で、通常は船会社は専門家である共同海損精算人(G.A.Adjuster)に精算業務を委託します。

一方、荷主は保険会社に保険証券(オリジナル)とインボイスや船荷証券のコピーなどの関連書類を提出し、保険会社から受取る共同海損保証状を船会社に渡して、貨物の引渡しを受けます。

共同海損により貨物所有者の分担となる費用はI.C.C.(A)、(B)、(C)いずれの保険条件でもカバーされていますので、貨物保険が付保されていれば、荷主の手続きはこれで終了します。

0610その他の保険Trading輸出FOB保険輸出FOB保険は、船積み前の危険をカバーする国内貨物保険の一種です。

保険期間の開始I.C.C.(A)(B)(C)の保険期間の開始は、倉庫間条項により、船積地の保管倉庫搬出と規定されていますが、FOB規則またはCFR規則の取引の場合、輸入者が手配する貨物海上保険の開始時期は輸入者の危険負担が開始するとき、すなわち本船上となります。

このことを明記するために、保険会社によっては「FOBAttachment」という条項が付帯されることもあります。

一方、輸出者が手配する国内運送保険は国内輸送中と港湾地区倉庫保管内をカバーしているのが一般的です。

このような場合、輸出者は港湾地区倉庫搬出から本船に積むまでの期間の危険をカバーする輸出FOB保険をかけて対処することができます。

輸出FOB保険は国内保険ですので、一般的には地震とその関連する津波による損害はカバーされていないことに留意する必要があります。

CIF規則での輸出契約CIF規則での輸出契約では、保険契約者である輸出者は倉庫間条項の付帯された保険を付保できますので、輸出FOB保険を手配する必要はありません。

また、地震とその関連する津波による損害は、外航貨物海上保険I.C.C.(A)と(B)条件ではカバーされています。

コンテナ輸送でインコタームズを誤使用したときの問題点国際商業会議所は、コンテナ輸送の場合には、FCA、CPT、CIPのインコタームズ規則を使用するよう指示していますが、コンテナ輸送であるにもかかわらず船舶輸送のみに適したFOBやCFR規則で輸出契約を結んだ場合、輸入者の危険負担開始はコンテナが本船に積込まれた時点となり、輸入者が手配する保険の開始時期も同時点からとなってしまいます。

一方、輸出者は自らの危険負担はコンテナヤード搬入時点で終了していると思い込んでいることが多く、結果としてコンテナヤード搬入から本船積み込みまでの期間、輸出者は気付かぬままに危険を負担してしまうこととなります。

過去の大震災の例をあげるまでもなく、コンテナヤード内でも事故は起こりうることですので、インコタームズを正しく使用する、すなわちコンテナ輸送の場合はクラス1のFCA、CPT、CIP規則を使用することが重要です。

なお、輸出者が誤使用に気づいて輸出FOB保険を手配すれば、コンテナヤード保管中の危険をカバーすることが可能とはなりますが、輸出FOB保険は国内保険のため通常は地震とその関連する津波は免責事項であることに注意が必要です。

外航貨物海上保険I.C.C.(A)とI.C.C.(B)では地震とその関連する津波はカバーされますので、この観点からも、正しいインコタームズ規則の使用が求められます。

0611その他の保険Trading貿易保険貿易保険は、信用危険と非常危険をカバーします。

貿易保険とは輸出入貿易や海外への投融資取引を行う企業は、海外取引先の破産などにより代金回収が不能となる信用危険(CreditRisk、CommercialRiskともいう)や、取引先自体には問題がなくても相手国の輸入制限や外貨送金遅延などの不可抗力的な非常危険(CountryRisk、PoliticalRiskともいう)を抱えています。

これら海外取引に係る信用危険や非常危険による損害をカバーする保険が貿易保険で、日本企業の海外での活動を支援しています。

貿易保険の種類貿易保険は、株式会社日本貿易保険(NEXI*:全額政府出資)が保険引受けを行っています。

貿易保険には、貿易取引に係る保険と、投融資に係る保険が各種設定されており、貨物が船積みできないことによる損失(船積み前のリスク)、商品代金や融資金が回収できないことによる損失(船積み後のリスク)、合弁事業などの継続不能や事業停止により投資資産が受ける損失(海外投資リスク)などの損失をカバーしています。

貿易取引の保険貿易取引の保険には、輸出貿易や仲介貿易関連では、最も一般的な貿易一般保険のほかに、輸出手形保険、限度額設定型貿易保険、中小企業・農林水産業輸出代金保険、簡易通知型包括保険などがあります。

また、輸入貿易関連では前払輸入保険、投融資関連では、海外投資保険や海外事業資金貸付保険などが設定されています。

*NEXI:NipponExportandInvestmentInsurance

0612その他の保険Trading貿易保険の申込み貿易保険の申込みには、海外商社名簿への登録が必要です。

貿易保険の申込み日本貿易保険(NEXI)は信用危険の引受けを行うに際して、事前に海外客先の信用状態の調査を行い、NEXIの与信審査基準による「格付」を設定し、「海外商社名簿」を作成して与信管理を行っています。

新規客先の場合、与信審査には信頼できる調査機関の信用調査書と決算期2期以上の財務諸表を用いて行われます。

また、海外商社名簿に登録された客先は、原則として年1回信用状態の再審査が行われます。

また、取引先国の非常危険の引受けについては、OECDによる国ごとの債務支払い状況や経済・金融情勢等の分析評価に基づいて国カテゴリー表を作成して管理を行い、国・地域ごとの引受条件や金額枠などの引受方針を公表しています。

NEXIによる格付NEXIは独自の格付制度で与信枠を分類しています。

格付は2桁のアルファベットで表示され、1桁目は機関形態、2桁目は信用度合いを示します。

民間企業は、EE、EA、EF、EC、ERで格付が表示されます。

0613その他の保険Trading生産物賠償責任(PL)保険と企業総合賠償責任(CGL)保険貿易取引等を行う企業はさまざまな賠償責任にさらされています。

製造物責任(ProductsLiability)とは製造物責任(PL)とは、製品の欠陥が原因の事故で人や財物に傷害や損壊を与えた場合に製造者や販売者が負う損害賠償責任で、世界各国で法制化が進められています。

日本においても1995年に製造物責任法(PL法)が施行されました。

日本を含めて、各国のPL法では、PL責任の主体を製造者だけでなく、加工者、輸入者、販売者も製造者と同等の責を負うと規定しています。

また、製造物の欠陥には、物品自体の欠陥のみならず使用方法や表示の不備なども含まれています。

このようにPL法は消費者保護の観点から販売者にも製造者と同等の責任を広い範囲で課しており、輸出入者は販売者としてPL責任を負っていることを自覚し、PL危険の回避対策や消費者からのクレームに対応する社内体制を整えるとともに、PL問題に直面した場合の損害のてん補策を講じる必要があります。

PL訴訟は時として高額訴訟になりますので、輸出入者は国内外でのPL訴訟への備えとしてPL保険を購入することが一般的に行われています。

生産物賠償責任保険(PL保険)とはPL保険は、被保険者が負担する法律上の賠償責任を負い被害者に支払わねばならない損害賠償金にてん補する保険で、身体賠償の場合の治療費や慰謝料、財物賠償の場合の損害額や修理費用、訴訟になった場合の訴訟費用や弁護士報酬などが保険金支払いの対象となっています。

保険の引受けは損害保険会社が行っています。

PL保険料は、商品の用途や流通地域、売上高、商品の耐用年数、品質管理状況、過去の事故実績、必要とする保険金額、免責金額などの要素を考慮して見積もられます。

PL保険は事故発生場所の区別により国内PL保険と海外PL保険に分けて設定されています。

国内PL保険日本国内で流通する輸入商品は日本のPL法で管理されます。

商品の製造者は海外にいますが、国内の被害者が海外の製造者に賠償請求を行うことは困難なため消費者保護の観点より、PL法は輸入者を含めた流通に係る企業に製造者と同等の責任を課しています。

海外PL保険輸出商品は輸出相手国のPL法で管理されます。

海外におけるPL訴訟リスクは複雑かつ多様で、賠償金も日本国内では考えられない高額になることもあります。

海外の被害者が、自国の裁判所で日本の輸出者や製造者を提訴する手法もあり、輸出者は相手国での訴訟防御を的確に行う必要があります。

海外PL保険は損害賠償金のてん補だけではなく、事故対応や訴訟対応のサービスの観点からも輸出者にとって有用なPL対策となっています。

企業総合賠償責任保険(CGL:ComprehensiveGeneralLiability)国内外で営業活動を行う企業は、PLリスク以外にも施設所有や賃貸者が抱える賠償リスクや工事や荷役作業などを請負った際に事故で他人に賠償責任を負うリスクなど、さまざまな賠償リスクを背負っています。

これらの賠償リスクに対しては個別に対応する保険も作られていますが、企業活動に係る多様な賠償リスクを包括的にカバーする企業総合賠償責任保険(CGL保険)が保険会社により提供されています。

賠償リスクを包括カバーすることにより、賠償リスクの全体管理や保険料コスト削減が図れます。

0614その他の保険Tradingクレーム(Claim)と解決方法クレームの内容により対処方法は異なります。

貿易におけるクレーム貿易取引ではさまざまなトラブルが発生し、時として相手に対する損害賠償クレームに発展してしまいます。

貿易取引のクレームは、運送中に発生した貨物の損傷である運送クレームと、契約不履行に関する貿易クレームに大別されます。

なお、些細な問題を取上げて利を得ようとする行為は、マーケットクレームと呼ばれ貿易クレームとは別物とされています。

運送クレームへの対処運送中に発生した貨物損傷の損害を売手と買手のどちらが負担するかは、貿易取引条件(インコタームズ)により取り決められており、運送人に対して賠償請求を行いますが、多くの場合は貨物海上保険により損害額を回収することで解決が図られます。

貿易クレームへの対処貿易クレームは、品質不良、数量不足、到着遅延、代金支払い遅延など、相手方の契約不履行により被る損害への賠償を求める行為です。

貿易クレームへの対処方法としては、売買契約の当事者間の合意で解決する和解(AmicableSettlement)、斡旋や調停(Mediation)、公正な第三者に解決案を一任する仲裁(Arbitration)、裁判所に提訴(Lawsuit)して法的手段に訴える訴訟などの対処方法があります。

当事者間の話合いでは解決に至らないときは、仲裁か訴訟の選択を行うことになりますが、訴訟になると訴訟内容が公開され、また裁判が長引く可能性があるため、非公開で一審制で処理が行われる仲裁による解決が多く採られています。

仲裁による解決を利用するには、売買契約締結時に仲裁条項あるいは仲裁約款を契約条件に挿入しておく方法が一般的です。

仲裁条項には、仲裁機関、仲裁規則、仲裁地などのルールを記載します。

また、クレーム発生後に仲裁の採用を当事者間で合意する方法もありますが、事後的に両者の合意を得ることに困難が伴う可能性があります。

日本の商事仲裁機関としては、日本商事仲裁協会があげられます。

仲裁条項の例“Alldisputes・・・・・shallbefinallysettledbyarbitration・・・・inaccordancewiththeCommercialArbitrationRulesoftheJapanCommercialArbitrationAssociation.”「すべての紛争は、日本商事仲裁協会の商事仲裁規則により最終的に解決されるものとする。

索引日本語語句あ行アメンドアンペイド委託加工貿易一覧払輸入手形決済相場(ACC)一般貨物賃率インコタームズ2020インパクトローンインボイスウイーン売買条約(CISG)売約書運賃支払い条件(定期船)エアウェイビルオープン信用状オープントップコンテナオープンポリシーオファーか行外銀アクセプタンス外国為替及び外国貿易法外国為替相場海上運送状外為法回転信用状買取銀行カウンターオファー確定保険確認銀行確認信用状課税価格為替手形為替レート簡易審査

関税暫定措置法関税定率法関税評価制度関税法関税率間接貿易カントリーリスク規格売買機器受渡書(EIR)企業総合賠償責任保険期限付手形買相場基本運賃(定期船)基本税率キャッチオール規制キャリアーズパック協定税率共同海損緊急関税グループAクレーム通知書経済連携協定(EPA)ケープサイズケーブルネゴ決済条件現金売相場現金買相場原産地証明書原産地・船積規制制度検数現物検査検量航海用船航空運送状航空貨物デリバリーオーダー航空貨物到着案内コールオプション国定税率国連武器禁輸国個人輸入コルレス契約混載貨物コンテナ扱いコンテナシールコンテナ船コンテナ船の船荷証券コンテナターミナルコンテナディテンションチャージ

コンテナデマレージコンテナパッキングリスト(forCLP)コンテナ番号コンテナフレートステーションコンテナヤード梱包明細書さ行サーチャージサービスコントラクトサービスの貿易サーベイヤーサーベイレポート最恵国待遇最低料金(航空)在来型貨物船先物為替予約先物相場サレンダードB/L三国間貿易暫定税率直物相場事後調査事前確認品目事前教示制度実行関税率表シッパーズパックシッピングマーク指定地外検査指定保税地域自動車専用船自由貿易協定(FTA)重量証明書受益者仕様書売買譲渡可能信用状書類審査申告納税方式信用状信用状付一覧払輸出手形買相場(ASB)信用状統一規則信用状発行銀行信用調査報告書スイフト数量条件製造物責任(PL)税表番号

世界貿易機関(WTO)専用船総揚げ送金決済総合保税地域相殺関税た行ターミナル・ハンドリング・チャージ代位求償滞船料(不定期船)代理店他所蔵置タリーシートタリフレートタンカータンクコンテナダンレポートチャーターパーティB/L仲介貿易仲裁直接貿易直載貨物直取り通貨オプション取引通関時確認品目通知銀行定期船停泊期間計算書ディスクレパンシーデバンニングデバンニングレポート電信売相場(TTS)電信送金到着案内書特殊関税特定原産地証明書特定品目賃率(SCR航空)特定輸出申告特例輸入申告ドックレシート特恵税率ドライコンテナトランパー取消不能信用状取立統一規則(URC522)

な行ナックス荷為替手形荷印日本版24時間ルール荷渡指図書(D/O)ネッティングネットワーク・ライアビリティ納期限延長制度は行バースタームバーゼル条約売買契約書売約書バイラテラルネッティングハウス・エアウェイビルパッキングリスト発注書パナマックス早出料(不定期船)ばら積み船(バルカー)バルクローディングシステムパレットローディングシステムハンディサイズバンニング販売店ハンブルグ・ルール引合い評価申告標準品売買品質条件品目分類賃率(CCR航空)品目別運賃品目無差別運賃フォーフェイティング複合一貫輸送複合運送証券不知文言艀中扱いブッキングブッキング確認書プットオプション不定期船サービス不当廉売関税船積依頼書(S/I)

船積確認文言船積指図書船積重量条件船積書類船積品質条件船荷証券(受取式)船荷証券(記名式)船荷証券(故障付)船荷証券(指図式)船荷証券(サレンダード)船荷証券(呈示期限切れ)船荷証券(複合一貫輸送)船荷証券(船積式)船荷証券(無故障)船荷証券(用船契約)フラットラックコンテナフリータイムプロフォーマインボイス米国向け輸出24時間ルールヘーグ・ヴィスビールールヘーグ・ルールベリースペース貿易取引条件貿易保険包括予定保険報復関税ボートノート保険求償代理人保険証券保証状荷渡し保証状(リマーク消し)保税運送保税工場保税蔵置場保税地域保税展示場ボックスレートホワイト国本船扱い本邦ローンま行マーケティングマスター・エアウェイビルマリーマルチラテラルネッティングメーツレシート

モントリオール議定書モントリオール条約や行輸出FOB保険輸出関係他法令輸出許可通知書輸出承認申請書(E/L)輸出申告輸出入者コード輸出ファクタリング輸出貿易管理令輸送条件ユニフォーム・ライアビリティ輸入関係他法令輸入許可通知書輸入許可前引取承認制度輸入公表第一号輸入公表第三号輸入公表第二号輸入承認申請書(I/L)輸入申告輸入跳ね返り金融輸入貿易管理令輸入割当制度(IQ)用船契約書用船契約船荷証券予定保険予備審査制度ら行ライナーリーズ・アンド・ラグズ陸揚重量条件陸揚品質条件リスト規制リストリクト信用状リマークリリースオーダー冷凍コンテナわ行ワシントン条約ワッセナーアレンジメント割増運賃

英語語句AACCレートACL業務AEO制度AGAJCEPAMSArrivalNoticeArrivalNotice(Air)ASBレートATAカルネAWBBB/EBaseRateBasicSaleandPurchaseAgreementBerthTermBillsofLadingB/LInstructionBoatNoteBPBPOBWCCC.Q.D.C/OC/PCancellingDateCASH売レートCASH買レートCCR(Air)CFRCFSCFSカットCharterPartyB/LCIFCIPCISGClaimNoticeCleanB/LCLP

CMI統一規則CollectCombinedTransportB/LCommodityRateConsolidationCargo(Air)CounterOfferCountryRiskCPTCSICTPATCWCCYCYカットDD/A決済D/OD/O(Air)D/P決済D/RDAPDDPDemurrage(Container)Demurrage(Tramper)DespatchMoneyDetentionCharge(Container)DevanningReportDiscrepancyDPUEE/PEIREPAEPA税率ExportLicenseEXWFFIFIOFOFAKFASFCAFCL貨物

FOBFOBAttachmentForwardRateFoulB/LFTAGGeneralAverageGATSGATTGCR(AIR)HHAWBH.S.コードII.C.C.(A)I.C.C.(B)I.C.C.(C)InsurancePolicyIATAIBPImportLicenseINCOTERMS2020InquiryInvoiceIQ品目JJASTPROLL/CL/C決済L/GL/GネゴLaydayStatementLaydaysLCL貨物LinerServiceLongTonMMate’sReceipt

MAWBMeasurementMetricTonMinimumCharge(Air)MFN税率MTCRMultimodalTransportB/LNNACCSNEXINPTN/RNSGNVOCCOOfferOnBoardNotationOpenPolicyOrderB/LPPackingListPrepaidProductsLiabilityRReceivedB/LReleaseOrderSS/I(ShippingInstruction)S/O(ShippingOrder)SalesNoteSCR(Air)SeaWaybillSHEXSHINCShippedB/LShippingMarkShortTonSpotRateStaleB/LStraightB/L

StraightCargo(Air)StrikesClausesSurchargeSurrenderedB/LSurveyReportSWIFTTTallyTHCTramperTRIPSTSUTTBレートTTSレートUUCP600ULDUnknownClauseVVISAVoyageCharterWWAWarClauseWTOW.W.D.

【著者紹介】黒岩章(くろいわ・あきら)──貿易ビジネスコンサルタント。

ジェトロ認定貿易アドバイザー(現AIBA認定貿易アドバイザー)。

日本貿易学会正会員。

──1953年大阪生まれ。

1976年神戸大学経済学部卒業、同年に総合商社丸紅株式会社に入社。

運輸保険部にて鉄鋼製品、製鋼原料、穀物、肥料、砂糖、機械など多岐にわたる商品の貿易実務を行う。

10年間の米国駐在を含む国際ビジネス経験が長く、商社、船会社、保険会社、フォワーダーなど貿易業界に幅広いつながりを持つ。

2001年より伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社に勤務し、物流保険部長、常勤監査役、コンプライアンス室シニアアドバイザーを経て、2018年同社退社。

伊藤忠丸紅鉄鋼グループ企業に加え、国際商業会議所(ICC)日本委員会などにおいて貿易実務セミナーを行っており、わかりやすさで好評を得ている。

──著書に『改訂版はじめての人の貿易入門塾』『改訂版これならわかる貿易書類入門塾』(いずれも小社刊)がある。

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