Chapter5決済のしくみと書類外国為替
0501外国為替のしくみ0502外国為替相場0503為替先物相場と為替予約0504為替変動リスクへの対策代金決済0505代金決済の業務0506送金決済0507荷為替手形決済のしくみ0508信用状(L/C)の機能0509信用状統一規則(UCP600)0510信用状の点検0511信用状付荷為替手形決済(L/C決済)の流れ0512L/C決済の為替手形0513信用状の種類0514ディスクレパンシー発生時の対応0515信用状のない荷為替手形決済(D/P決済、D/A決済)の流れ0516D/P決済、D/A決済の為替手形0517ネッティング0518貿易決済の電子化の動き0519輸出ファクタリングとフォーフェイティング貿易金融0520輸出金融と輸入金融船積書類0521船積書類(ShippingDocuments)0522インボイス(Invoice)0523パッキングリスト(PackingList)0524原産地証明書(CertificateofOrigin)0525特定原産地証明書(CertificateofOriginforEPA)0526原産地証明の自己申告制度(自己証明制度/Selfcertificationsystem)0527領事査証(VISA)その他の船積書類*船荷証券はChapter3を参照*保険証券はChapter6を参照
Chapter5決済のしくみと書類外国為替
0501外国為替Trading外国為替のしくみ貿易取引の代金決済の多くは銀行を経由して外国為替のしくみを使って行われます。
外国為替とは為替とは、離れた場所にいる2者の間の決済を現金の移動を伴わずに銀行を通して行うしくみのことで、国内の決済であれば内国為替、海外との決済であれば外国為替と呼ばれます。
為替のしくみを利用することにより、現金輸送のリスクを回避し、信用力のある銀行を介することで安全な代金決済を行うことができます。
日本の場合、外国為替取引は、外為法と外国為替令により管理されており、支払い相手先や対象となる役務の内容により、許可・承認・届出が義務付けられています。
コルレス契約内国為替の場合、銀行間の決済は日本の各銀行が日本銀行に設けている当座預金口座での振替により行われます。
外国為替の場合は、日本銀行のような集中決済銀行は存在しないため、外国の銀行と資金決済を行う為替業務の契約を行い双方で口座を持合って決済を行います。
この銀行間の契約をコルレス*契約と呼んでいます。
また、お互いに口座を持合っていない場合には、双方の銀行が預金口座を開設している第三の銀行を介して決済を行います。
このように、外国為替のしくみを利用することにより、貿易取引の代金決済を安全に行うことができます。
*コルレス銀行:CorrespondentBank
0502外国為替Trading外国為替相場外国為替相場の概要は次の通りです。
東京外国為替市場ニューヨーク、ロンドン、東京など世界の外国為替市場では世界各国の通貨が売買されています。
東京外国為替市場でも、銀行や為替ブローカーが外為取引を行っており、銀行間の直物相場(インターバンクレート)は刻々と変動しています。
一方、日本の銀行は、顧客企業に対してその日一日適用するレートを固定しており、米ドルとユーロの相場を毎日10時ごろに公表しています。
このレートを公示仲値(CentralRateまたはTTMレート)と呼び、銀行と顧客との各取引に適用される為替レートの基準値となります。
米ドルとユーロ以外の通貨の対円相場は米ドルとの交換レートから間接的に算出されています。
直物相場(SpotRate)と先物相場(ForwardRate)銀行と輸出入企業の間の外為取引には、当日に売買を実行する直物取引と、将来のある時期に実行することを予約する先物取引があります。
貿易取引の決済で銀行と外貨を売買する場合は直物取引を行い、このときに適用される相場は対顧客直物相場となります。
先物取引は、将来の為替取引を予約する取引で、このときの適用相場は先物相場となります。
売相場と買相場外為取引での「売り」と「買い」は銀行を主体として呼び方が決められます。
日本の輸入者が米ドル建て輸入取引を行ったとき、輸出者に支払う米ドルを銀行から購入します。
この場合、銀行は米ドルを売ることになりますので売相場が適用されます。
日本の輸出者が米ドル建て輸出取引を行い、受取った米ドルを銀行に売って円貨を受取る場合、銀行は米ドルを買いますので買相場が適用されます。
対顧客直物相場(輸入為替)電信売相場(TTSレート*1)輸入者が電信送金を行うために銀行から外貨を購入するときに適用されるレートで、仲値(TTM)に銀行手数料(1円)を加えています。
一覧払輸入手形決済相場(ACCレート*2)輸入者が信用状付き一覧払い条件の手形決済のために輸入地の銀行と決済するときのレートです。
輸出地の銀行で荷為替手形が買取られた時点から輸入者が決済するまでの期間、輸入地の銀行は代金の立替えを行ったことになりますので、この間のメール期間に相当する金利をTTSに加えています。
現金売相場(CASH売レート*3)銀行が外貨現金を売るときのレートで、現金の保管や輸送の費用をTTSに加えています。
対顧客直物相場(輸出為替)電信買相場(TTBレート*4)輸出者宛に電信送金されてきた外貨を日本円に換えるときの交換レートで、仲値(TTM)から銀行手数料(1円)を引いています。
信用状付一覧払輸出手形買相場(ASBレート*5)輸出地の銀行が信用状付き一覧払い条件の手形を買取るときに適用されるレートです。
銀行は荷為替手形を買取ってから荷為替手形が輸入地の銀行に届くまで手形代金を立替えることになりますので、この間のメール期間に相当する金利をTTBレートから差引いています。
現金買相場(CASH買レート*6)
銀行が外貨現金を買取るときのレートで、現金の保管や輸送の費用をTTBから差引いています。
期限付手形買相場(UsanceBillBuyingRate)輸出地の銀行が期限付き手形を買取るときに適用されるレートです。
期限付き手形は一覧払に比べさらに銀行の立替え期間が長くなりますので、ASBレートに期日分の金利分を差引いたレートとなります。
*1TTSレート:TelegraphicTransferSellingRate
*2ACCレート:AcceptanceRate*3CASH売レート:CashSellingRate*4TTBレート:TelegraphicTransferBuyingRate*5ASBレート:AtSightBuyingRate*6CASH買レート:CashBuyingRate
0503外国為替Trading為替先物相場と為替予約先物為替予約は、為替変動リスクへの一般的対処方法です。
為替先物相場(ForwardRate)為替先物相場とは、将来のある時期に為替取引を予約する契約(先物予約)を行ったときに適用される円貨と外貨の交換レートの相場のことです。
先物相場は当該2国通貨の金利差により形成されます。
すなわち、2国の通貨に金利差があると、金利の高い通貨の先物相場は直物に比べて金利差分安くなり、金利の低い通貨の先物相場は高くなります。
銀行は先物相場については直物のような対顧客相場の公表は行っていませんが、気配値を公示して契約時に個別に建値を行っています。
先物為替予約先物為替予約は将来の確定日あるいは特定期間内に、一定の価格で外貨を売買することを取引銀行に予約することです。
輸出者や輸入者が外貨建て売買契約を締結した場合、契約時と代金決済時の間に為替レートが変動するリスクに晒されています。
先物為替予約は、この為替変動リスクを回避する手段として、利用されています。
たとえば、3カ月後に100万ドルの輸出代金入金予定のある輸出者であれば、取引銀行に対して3カ月後に100万ドルの買予約(輸出者が受取った米ドルを銀行が買取る予約)を行っておきます。
予約時点での直物相場が100円で先物相場が97円であったとすれば、輸出者は9700万円で採算を確定することができます。
3カ月後、為替の直物相場が円安で105円になっていても、円高で95円になっていても、輸出者は予約通りに代金決済時に9700万円を受取ることとなります。
先物為替の受渡し時期先物為替予約には、予約の実行日を特定して決めておく「確定日渡し」と、一定の期間内であれば任意の日に予約を実行できる「期間渡し」があります。
期間渡しには5月渡しのように実行月を決めておく「暦月渡し」、予約日を基準に決めた1ヶ月の期間内に予約を実行する「順月渡し」、10月20日から11月10日のように任意の期間を設定する「特定期間渡し」の方法があります。
0504外国為替Trading為替変動リスクへの対策為替変動リスクを減少させるには、一般的な先物為替予約のほかに、オプション取引などの手法がとられています。
通貨オプション取引通貨オプション取引とは、将来の特定日あるいは特定期間内に、外貨を売る権利(プットオプション)あるいは買う権利(コールオプション)を購入する取引で、輸出者や輸入者はオプション料を引受人に支払うことでその権利を取得します。
先物為替予約との違いは、特定日や特定期間が到来したときに、輸出者や輸入者はその時点の直物為替相場と比較し、オプションを行使することが有利かどうかを判断し、不利と判断すればオプションを放棄できることにあります。
たとえば、直物売相場が100円のときに3カ月後に100万ドルの輸出代金入金予定のある輸出者が3カ月後に100万ドルを101円で売る権利(プットオプション)を1ドルに付き1円50銭のオプション料を支払い購入します。
3カ月後に直物売相場が95円と円高になったとすれば、輸出者はオプションを行使して101円で売却します。
もし3カ月後に直物売相場が105円の円安になったとすれば、輸出者はオプションを放棄して直物相場の105円で売却します。
通貨オプション取引は、期日の直物相場により権利行使か放棄の選択が可能であるため、為替相場変動が激しく先行きの不透明感が強いときに利用されています。
リーズ・アンド・ラグズ(Leads&Lags)リーズ・アンド・ラグズは外貨建ての決済の時期を許容範囲内で早めたり遅らせたりすることにより為替リスクを軽減させる手法です。
たとえば、6月積み米ドル建て輸出契約を持つ輸出者が、先行きドル安傾向を予測した場合には6月のできるだけ早い時期に船積みし、早く荷為替手形買取りに持ち込むことが考えられます。
リーズは早めること、ラグズは遅らせることを意味します。
マリー(Marry)マリーは輸出代金で入手した外貨や手持ちの預金外貨を輸入代金の支払いに充てる手法で、外貨を円転しないことにより為替差損益の発生を抑える手法です。
たとえば、輸出入両方を行っている商社であれば、輸出代金で受取った外貨を輸入代金の支払いに充てる、輸出代金を外貨預金しておき輸入代金支払いに充てる手法があります。
また、後述のインパクトローンを活用して、輸入代金の支払いにインパクトローンの借入を行い輸出代金で受取った外貨を返済に充てる手法もあります。
居住者間外貨決済外為法では日本国内の居住者間の代金決済を外貨で行うことが認められていますので、貿易決済と国内決済を同じ通貨で行うことにより為替リスクを回避することができます。
たとえば、輸出契約で入金した米ドルを国内の仕入れ先に米ドルで支払いに充てることが考えられます。
インパクトローン(外貨借入れ)インパクトローンは外貨建ての借入れのことですが、その返済の原資にたとえば輸出契約で入金する外貨を充てて、為替差損益の発生を抑えることが考えられます。
円建て契約貿易代金の決済を円建てで行うことにより、為替リスクを回避する手法です。
海外客先に為替リスクをヘッジしたことになります。
ネッティング海外客先とお互いに輸出入取引がある場合、債権債務を相殺して為替リスクのエクスポージャーを減少する手法です。
主に、本社と海外支社支店などグループ企業間において利用されています。
0505代金決済Trading代金決済の業務代金決済の業務は主として銀行を経由する送金決済と荷為替手形決済で行われます。
貿易代金決済の種類貿易取引の代金決済は、主として銀行を経由する送金決済と荷為替手形決済が用いられます。
輸出者にとってはいかに確実に代金を回収するか、輸入者にとっては契約通りの商品の引取りを代金決済と交換にいかに確実に行うかが関心事ですので、それぞれの決済方法の特徴を考慮して最適な決済方法を選択します。
送金決済の特徴送金決済は、銀行手数料が比較的安いメリットはありますが、代金決済と船積書類の動きは関連付けられていません。
したがって、この方法は代金前払いや後払い、あるいは輸出者の船積履行や輸入者の支払い実行には不安のない間柄、たとえばグループ企業間での決済方法として主に用いられています。
荷為替手形決済の特徴荷為替手形決済は、為替手形(BillofExchange)と船積書類を一緒に銀行を経由して輸入者に送り、為替手形の決済と引換えに船積書類を引渡す方法です。
この方法は船積み(モノ)と代金決済(カネ)が書類(カミ)により関連付けられているため、貿易取引の決済として広く用いられています。
荷為替手形決済には、銀行の支払い確約が付いた信用状付き決済であるL/C*1決済と、銀行保証の付いていないD/P*2決済とD/A*3決済があります。
その他の決済のしくみ送金決済や荷為替手形決済のほかに、輸出者と輸入者間で債権と債務を相殺決済するネッティングなどのしくみが利用されています。
*1L/C:LetterofCredit
*2D/P:DocumentsagainstPayment*3D/A:DocumentsagainstAcceptance
0506代金決済Trading送金決済送金決済では、電信送金が使われます。
送金決済の種類送金決済は国内取引で銀行から代金を振込むのと同じしくみで、他国間で送金を行う決済方法です。
送金決済には、銀行間の支払指示伝達をスイフト(SWIFT)*と呼ばれる国際銀行間通信システムを使う電信送金(TelegraphicTransfer)が使用されています。
スイフトはベルギーに本部を持つ民間組織で、銀行間国際通信システムの運営を行っており、外国為替業務を行う世界中の多くの銀行が加盟しています。
電信送金による決済の流れ・輸出者は輸入者に請求書を送り、送金を指示します。
送金の時期は、前払いや後払いなど、契約時の取決めに従い、船積みを契約通り実行後、船積書類を輸入者宛にクーリエ便などで送付します。
送金決済においては、代金決済と船積みはそれぞれ独立した動きとなります(①、⑤〜⑩)。
・輸入者は送金する金額と銀行手数料を取引銀行(仕向銀行となる)に支払い、電信送金を依頼します。
外国送金依頼書には、送金金額、輸出者の名前と住所、被仕向銀行の名前と住所、などを記載します。
送金依頼を輸入者の事務所のパソコンから仕向銀行にデータ送信するエレクトロニック・バンキングも活用されています(②)。
・仕向銀行は、スイフトを使い支払銀行(被仕向銀行)に対して輸出者への支払指図を出します。
輸出者への支払いは、即日あるいは翌営業日に行われます(③④)。
*スイフト:SWIFT(SocietyforWorldwideInterbankFinancialTelecommunications/国際銀行間通信協会)
0507代金決済Trading荷為替手形決済のしくみ荷為替手形は為替手形と船積書類のセットのことです。
荷為替手形決済とは荷為替手形決済とは、輸出者が為替手形という支払い指図書と船積書類(船積みの証拠書類など)をセットにした荷為替手形を銀行に持込み、輸入者からの代金取立てを銀行に依頼するしくみです。
取立依頼を受けた銀行は輸入地のコルレス銀行に荷為替手形を送り、輸入者に為替手形の決済を求めます。
輸入者は船積書類を点検のうえ、問題がなければ為替手形を決済(支払いまたは引受け)して船積書類を入手します。
銀行は輸入者からの入金後、輸出者に回収した代金を支払います。
為替手形(BillofExchange)為替手形は、手形の振出人が名宛人に対して一定の期日に手形金額の支払いを指図する有価証券で、通常はFIRSTとSECONDの2通セットにして発行することで、紛失事故に備えています。
船積書類(Documents)船積書類は、契約通りに船積みを行ったことを輸入者が確認するための書類で、船荷証券、インボイス、パッキングリスト(梱包証明書)、保険証券、原産地証明書などの書類が含まれます。
輸入者はこれらの書類を使って輸送人からの貨物の引取りや輸入通関手続を行いますので、必要とする書類は売買契約の際に輸出者に要求しておきます。
信用状付きの決済では、要求書類として信用状に明記されます。
0508代金決済Trading信用状(L/C*)の機能信用状は、信用状発行銀行から輸出者への支払い確約書です。
信用状の機能信用状は、輸入者の依頼に基づいて輸入者の取引銀行が輸出者宛に発行する支払確約書で、信用状に記載された条件に合致した船積書類が添付された為替手形の支払いを信用状発行銀行が確約するものです。
仮に輸入者が倒産などの事由で支払できなくなったとしても、信用状発行銀行が輸出者に対して行った確約は有効ですので、輸出者は信用状の条件を満たす荷為替手形を信用状の有効期限内に呈示することで、安全に代金回収を行うことができます。
信用状は、輸入者の信用リスクを解消する機能を輸出者に提供しています。
信用状の条件を満たした荷為替手形は発行銀行の支払確約があるので、輸出者の取引銀行も買取りに応じやすく、輸出者は船積み後すぐに代金を回収することが可能となります。
信用状関係者の呼び方信用状取引では依頼する輸入者は「発行依頼人」(Applicant)、発行する輸入者の取引銀行は「発行銀行」(IssuingBankまたはOpeningBank)、信用状を受取る輸出者を「受益者」(Beneficiary)、発行銀行の指示を受けて輸出者に信用状を通知する銀行を「通知銀行」(AdvisingBank)、荷為替手形を買取る銀行を「買取銀行」(NegotiatingBank)と呼んでいます。
*L/C:LetterofCredit
0509代金決済Trading信用状統一規則(UCP600)UCP600により、信用状取引関係者の役割・責任や用語の定義が規定されています。
信用状統一規則とは国際商業会議所(ICC)は、信用状付き荷為替手形による決済業務を円滑に進めるための規則として、信用状統一規則*を定めています。
現在は2007年7月に改定された最新版(コード名UCP600)が使用されています。
信用状統一規則の原則信用状統一規則には信用状の種類や銀行の義務など、信用状付き荷為替手形決済を行うときのルールを細かく規定しています。
とりわけ重要な原則としては「信用状の独立抽象性」(第4条)と「書類取引の原則」(第5条)があげられます。
「信用状の独立抽象性」とは、信用状は売買契約をもとにして発行されるものの、いったん発行された信用状は売買契約とは独立した別の取引となる原則です。
従って、輸出者と輸入者は売買契約で合意した事項を正確に信用状に記載することが求められます。
「書類取引の原則」とは、信用状は書類取引であり信用状と合致するかどうかは書類のみで判断がなされるという原則です。
すなわち、実際の商品(Goods)、サービス(Services)、契約履行(Performance)が書類に書かれた通りの状態であるかを確認する責任は銀行にはありません。
*信用状統一規則:正式名は「ICC荷為替信用状に関する統一規則および慣例2007年改訂版」ICCUniformCustomsandPracticeforDocumentaryCredit2007REVISION
0510代金決済Trading信用状の点検信用状を受取れば、売買契約条件と相違がないか点検します。
信用状の接受信用状は発行銀行の輸入者(発行依頼人)に対する与信行為となりますので、輸入者は銀行による審査を経て、信用状取引約定書などの契約を結び、売買契約の内容に従って信用状の開設を銀行に依頼します。
信用状は通常はスイフトにより輸出国の通知銀行(AdvisingBank)を経由して輸出者に届けられます。
信用状を受取った輸出者は、信用状に記載されている各条件が売買契約の内容と合致しているか、また要求されている書類に矛盾がないかなどを点検し、もし相違点や矛盾があった場合は輸入者に信用状の条件変更(アメンド)を依頼します。
信用状の条件変更には、当事者全員、すなわち依頼人、受益者、発行銀行およびもしあれば確認銀行の同意が必要となります。
信用状の主な点検事項・信用状開設依頼者と受益者の確認・信用状の金額が十分にあるか、有効期限に十分に余裕があるか・買取銀行は指定されているか(輸出者にとっては指定なしが有利)・為替手形の手形期間(一覧払い、期限付き)の確認・商品と数量、価格と取引条件(インコタームズ条件)・輸送手段、船積港と仕向港・船積期限(Latestdateforshipment)の確認・分割船積(Partialshipment)、途中積替え(Transhipment)の条件・船荷証券や保険証券の条件の確認、Invoice、PackingList、原産地証明書、その他要求されている書類や部数に矛盾がないかなど。
0511代金決済Trading信用状付荷為替手形決済(L/C決済)の流れ信用状付荷為替手形決済の流れは次の通りです。
信用状付荷為替手形決済(L/C決済)の流れ・信用状付荷為替手形決済を決済条件として売買契約を締結します(①)。
・輸入者は取引銀行と信用状取引約定書を結び信用状発行を依頼します(②)。
・信用状発行銀行は、輸出国の通知銀行を経由して輸出者に信用状を発行します。
現在はスイフトによる送付が一般的です(③④)。
・輸出者は、信用状の条件や要求書類が契約内容と合致していることを確認のうえ、船積みを実行します(⑤⑥)。
・船積み完了後、輸出者は船荷証券(B/L)やインボイスなど信用状に要求されている船積書類(Requireddocuments)を揃え、為替手形を振出し、荷為替手形として信用状とともに買取銀行に持込み、買取りを依頼します。
買取銀行が信用状に指定されていなければ輸出者は取引銀行に買取りを依頼します(⑦⑧)。
・買取銀行の取扱いには、輸出者への手形代金支払いを銀行間決済完了前に行う「買取」と、完了後に行う「取立」があります。
買取の場合、買取銀行は持ち込まれた書類を信用状統一規則のルールに従い点検し、問題がなければ輸出者に手形代金を支払い、その後信用状発行銀行に荷為替手形を送付し、銀行間決済を行います。
取立の場合は、買取銀行は信用状発行銀行に荷為替手形を送付し、発行銀行による書類点検を経て手形代り金の入金を確認後、輸出者に手形代金を支払います(⑨⑩⑬)。
・信用状発行銀行は、輸入者に船積書類到着案内を出し、輸入者との荷為替手形決済を行ったうえで輸入者に船積書類を引渡します(⑪⑫)。
・輸入者は入手した船積書類を使い、船会社など運送人から貨物を引取り、輸入通関手続きを行います(⑭⑮)。
0512代金決済TradingL/C決済の為替手形L/C決済の為替手形の例は次の通りです。
L/C決済の為替手形(BillofExchange)L/C決済の場合、輸出者は信用状の指示に従って為替手形を作成しますが、一般的には、「振出人」は輸出者、「名宛人」は信用状発行銀行、「受取人」は買取銀行が記載されます。
また為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限のほか、インボイス番号などの一般記載事項に加えて、信用状番号、信用状日付、発行銀行、発行依頼者などの信用状情報が記載されます。
L/C決済為替手形の手形期間(Tenor)L/C決済の手形期間には、手形が名宛人に呈示された日が支払日となる一覧払い(Atsight)と、支払いに猶予が設けられる期限付きがあります。
期限付き条件には、呈示日から一定期間経過後を支払日とする一覧後定期払(例:At60daysaftersight)と船積日の翌日を起算日として支払日を決める確定日払い(At60daysafterB/Ldate)があります。
次の例は一覧払条件の為替手形です。
期限付き条件の為替手形の場合は、手形期限の欄にTenorを記入します。
0513代金決済Trading信用状の種類信用状にはいろいろな機能や条件設定がありますので用途、目的に合わせて利用します。
取消不能信用状(IrrevocableCredit)いったん発行された信用状は、関係当事者(発行銀行、依頼者、受益者、もしあれば確認銀行)全員の同意がなければ変更や取消しのできない信用状です。
UCP600では信用状はすべて取消不能と規定しています。
確認信用状(ConfirmedCredit)信用力の弱い発行銀行や送金についてカントリーリスクのある国の銀行が発行する信用状に、他の国際的に信用力のある銀行がさらに支払保証を加えた信用状です。
確認の方法には、信用状発行銀行からの依頼に基づいて行う通常の確認(オープン・コンファーム)と信用状発行銀行には通知せず受益者(輸出者)からの依頼により行う確認(サイレント・コンファーム)の2種類があります。
このような確認の付いていない一般的な信用状は無確認信用状(UnconfirmedCredit)と呼ばれます。
リストリクト信用状(RestrictedCredit)とオープン信用状(OpenCredit)荷為替手形の買取銀行が特定の銀行に指定されている信用状をリストリクト信用状、指定がない信用状をオープン信用状と呼びます。
輸出者としては、自社の取引銀行で買取りが行えるオープン信用状のほうが有用です。
譲渡可能信用状(TransferableCredit)受益者が信用状の使用権の全部または一部を他社に1回に限り譲渡できる信用状です。
回転信用状(RevolvingCredit)荷為替手形買取いにより減少した信用状の金額を、一定条件のもとで自動的に元の金額に更新させる信用状で、継続的な船積みを行う取引先の場合に用いられます。
0514代金決済Tradingディスクレパンシー発生時の対応ディスクレパンシーが発生した場合は、状況を考えて最善策で対処します。
ディスクレパンシー(不一致:Discrepancy)輸出者が買取銀行に呈示した荷為替手形の書類に信用状の条件と一致しない箇所があったときや書類に矛盾や不備があった場合、その書類には「ディスクレがある」と表現されます。
信用状統一規則では書類文面上の厳格一致を原則としていますので、単純なタイプミスや船荷証券の軽微なリマークなどもすべてディスクレの対象と成り得ますので、書類作成には細心の注意が必要です。
ディスクレがあった場合の対処方法には以下があげられます。
書類の訂正(Correction)輸出者が作成するインボイスや為替手形、あるいは入手した船荷証券や保険証券などで訂正が可能な内容であれば、書類を銀行からいったん返却してもらい、信用状に合致する書類に差替えます。
船積日などのように訂正ができないディスクレが発生した場合は、次に述べるアメンド、ケーブルネゴ、L/Gネゴ、取立扱いの手段で対処します。
アメンド(Amendment信用状の条件変更)アメンドは信用状の条件変更を輸入者経由で発行銀行に依頼する方法です。
信用状の条件変更には、輸入者、発行銀行、もしあれば確認銀行の同意が必要であるため、日数もかかるし輸入者には変更手数料が発生します。
船積予定本船の遅れなどディスクレの発生が予期された場合には、輸出者はできるだけ早く輸入者に信用状のアメンド依頼を出し、銀行買取りの時点でのディスクレ回避に努めます。
ケーブルネゴ(CableNegotiation)ケーブルネゴは輸出者の依頼を受けて、買取銀行が発行銀行にディスクレの内容を電信(スイフト)で伝えて買取りの可否を問合せ、発行銀行の承諾を得たうえで荷為替手形を買取る方法です。
船積後で信用状のアメンド手続きを行う時間的余裕が残されていない場合の手段として用いられます。
L/Gネゴ(LetterofGuaranteeNegotiation)L/Gネゴは、輸出者が買取銀行に「発行銀行が手形払いを拒否した場合には手形の買戻しに応じる」という主旨の念書(L/G)を差入れて、ディスクレを抱えたまま荷為替手形の買取りを行う方法です。
この方法は信用状の本来の機能である発行銀行による支払確約は喪失しています。
取立扱い(Billforcollection)上記いずれの手段もとれない場合、買取銀行は荷為替手形の買取りに応じず、取立扱いとします。
つまり、信用状発行銀行に書類を送付し、発行銀行による支払いを確認したうえで輸出者への支払を行いますので、実質的には信用状の付かない荷為替手形による取立てと同じとなります。
アンペイド(支払拒絶:Unpaid)発生したディスクレの内容を発行銀行あるいは輸入者が受入れることができない場合には、発行銀行は荷為替手形の支払いを拒絶する場合があります。
この場合、書類はすべて輸出地の銀行に返送されることとなり、輸入者は貨物を引取ることはできません。
このような事態になる前に輸出者は輸入者と協議して解決案を見出すことが必要です。
0515代金決済Trading信用状のない荷為替手形決済(D/P決済、D/A決済)の流れD/P、D/Aは、本来は船積書類の引渡し条件ですが、決済の呼び名として使われています。
D/P決済D/A決済の流れ信用状の付かない荷為替手形決済には、D/P*1決済とD/A*2決済があり、その流れは次の通りです。
・輸出者は契約条件に従って船積みを実行し、船荷証券やインボイスなどの船積書類一式を為替手形に添付した荷為替手形として取引銀行に持込み、銀行に代金の取立てまたは買取りを依頼します。
為替手形の名宛人は輸入者、手形期限はD/P決済の場合は一覧払(AtSight)、D/A決済の場合は期限付きとなります(①〜⑤)。
・買取/取立銀行は書類を点検し、問題がないかあるいは輸出手形保険付保などの条件が整えば輸出者に手形代金を支払います。
買取りに応じられない場合は取立扱いとします(⑥)。
・買取/取立銀行は、荷為替手形を輸入者の取引銀行(取立受任銀行)に送付し、手形代り金を請求します(⑦)。
・輸入者の取引銀行は、輸入者に荷為替手形を呈示し、手形決済を求めます。
D/P決済の場合は、輸入者が手形代金を銀行に支払うことと引換えに、銀行は船積書類を引渡します。
D/A決済の場合は、輸入者が手形を引き受ける(Accept)ことと引換えに、銀行は船積書類を引渡します。
手形の引受けとは手形期日の支払いを約束することで、輸入者は手形の裏面に記名捺印または署名します(⑧⑨)。
・輸入者は入手した船積書類を使い、船会社など運送人から商品を引取り、輸入通関手続きを行います(⑪⑫)。
・輸入者の取引銀行は、輸入者からの支払いを受けた後、輸出地の買取/取立銀行との銀行間決済を行います。
取立扱いの場合は、この後に買取/取立銀行から輸出者に代金が支払われます。
D/A決済の場合は、輸出者は手形期限まで代金回収を待つこととなります(⑩⑬⑭)。
*1D/P:DocumentsagainstPayment(手形代金払いと交換に書類を引渡す意)
*2D/A:DocumentsagainstAcceptance(手形引受けと交換に書類を引渡す意)
0516代金決済TradingD/P決済、D/A決済の為替手形D/P決済では一覧払い条件、D/A決済では期限付条件の手形期間の為替手形が振出されます。
D/P決済、D/A決済の為替手形(BillofExchange)D/P決済とD/A決済の場合の為替手形は、「振出人」は輸出者、「名宛人」は輸入者、「受取人」は買取銀行(取立ての場合は取立銀行)が記載されます。
また為替手形には、振出人、名宛人、受取人、手形番号、手形金額(数字と文字の両方)、振出地と振出日、手形支払期限のほか、インボイス番号などが記載されます。
D/P決済、D/A決済為替手形の手形期間(Tenor)D/P決済は、書類(Documents)を支払い(Payment)と交換に引渡しますので、手形期間は一覧払い(AtSight)で作成されます。
D/A決済では書類は手形引受け(Acceptance)と交換に引渡されますので、手形の支払い条件は期限付きで作成されます。
期限付き条件には、一覧後定期払と確定日払いがあります。
取立統一規則(URC522)D/P決済とD/A決済の取立業務を円滑に進めるため、国際商業会議所は「ICC取立統一規則の条文注釈」(URC522)を策定し、銀行の役割や義務を規定しています。
0517代金決済Tradingネッティングネッティングは取引企業間で一定期間の取引を集計し、受取金と支払金の債権債務を帳簿上で相殺し、差額を送金する方法です。
ネッティングとは継続してお互いに輸出入取引を行っている企業の間で、一定期間の取引を集計し、受取金と支払金の債権債務を帳簿上で相殺し、差額を送金する方法をネッティングと呼んでいます。
相殺を2者間で行うことをバイラテラルネッティング、多数の拠点の間で行うことをマルチラテラルネッティングと呼び、複数の海外子会社や支店を持つ企業グループ間の決済に利用されています。
ネッティングを活用することによって、輸出入者双方とも為替リスクと送金手数料を軽減する効果があります。
ネッティング決済を行うには、相手国の国内法がネッティング決済を許可している必要があります。
日本を含め外国為替が自由化されている諸国間ではネッティング決済は普及していますが、相殺決済には制限が課せられている国もありますので、留意する必要があります。
0518代金決済Trading貿易決済の電子化の動き貿易決済の電子化も進められています。
TSU*1とBPO*2TSUはスイフトが開発した新しい貿易決済サービスで、従来は人の目で確認を行っていた船積書類の点検をTSUシステム上で機械的に行い決済を行うしくみです。
輸出者と輸入者はそれぞれの取引銀行に売買契約のコピーを提出し、双方の銀行はTSUシステムに商品発注(PurchaseOrder)情報を入力し、POデータのマッチングを行います。
輸出者は船積実行後、インボイスや船荷証券などの船積書類のコピーを取引銀行に提出し、銀行は商品出荷情報をTSUシステムに入力します。
この商品出荷情報と先に入力されていた商品発注情報の照合がTSUシステム上で機械的に行われ、データの一致が確認されれば輸出者と輸入者に通知され、商品代金が輸入者の口座からの自動引落しにより実行されます。
輸出者はデータ一致確認後、船積書類原本を輸入者に直接送付します。
BPOはTSUを補強する、荷為替手形決済における信用状(L/C)の役割を果たすしくみです。
すなわち、輸入者の取引銀行がBPO発行銀行となり、商品発注情報と商品出荷情報のマッチング結果が一致した場合に、BPO発行銀行が輸入者に代わり代金決済を実行します。
*1TSU:TradeServicesUtility*2BPO:BankPaymentObligation
0519代金決済Trading輸出ファクタリングとフォーフェイティング代金回収リスクへの対策も開発されています。
輸出ファクタリングファクタリングは、企業が持つ売掛債権をファクタリング会社に手数料を払って買取ってもらうしくみです。
輸出ファクタリングは、このしくみを輸出取引の決済に応用したもので、輸入者が代金決済を実行できなかった場合にファクタリング会社が輸出者に代金を支払うしくみです。
ファクタリング会社は事前に輸入者の信用調査を行い審査に合格した輸入者が対象となります。
また、対象は輸入者の財務的信用リスク(貸倒れのリスク)に限定され、マーケットクレームによる不払いやカントリーリスクなどは対象外となっています。
フォーフェイティングフォーフェイティングは、主に期限付き信用状付き荷為替手形取引において、信用状発行銀行または手形支払人の手形引受を前提条件として、輸出者の取引銀行が買戻請求権なし(NonRecourse)で手形を買取るしくみです。
通常の荷為替手形の買取りは、もし手形が不渡りになった場合は銀行は輸出者に手形の買戻しを請求しますが、フォーフェイティングは銀行はこの権利を放棄するしくみです。
フォーフェイティングでは、カントリーリスクもリスク対象に含むことが可能です。
その他の輸出代金回収リスク対策その他、輸出代金回収リスクへの対策として、輸出手形保険や民間保険会社が提供する輸出取引信用保険があります。
0520貿易金融Trading輸出金融と輸入金融貿易金融には、銀行が輸出者に行う輸出金融と、銀行や輸出者が輸入者に行う輸入金融があります。
輸出金融船積前金融:輸出者が商品の生産や仕入れを行うための融資を輸出前貸と呼びます。
基本的には国内融資と変わりませんが、為替リスクを回避するための外貨建て借入れ(インパクトローン)も利用されています。
輸出前貸は、輸出代金の回収により返済されます。
船積後金融:船積後では、信用状付き荷為替手形を銀行が買取ることにより、その手形代金が回収されるまでの期間、銀行が資金を立替える金融となります。
輸入金融輸入金融は、輸入者が代金決済段階で支払猶予(ユーザンス)を受ける金融で、輸出者によるシッパーズユーザンスと銀行ユーザンスに大別されます。
シッパーズユーザンス輸出者が輸入者に対して代金支払いに猶予を与えるもので、両者に信頼関係があることが前提となります。
送金決済の場合は、輸出者は船積書類を輸入者に直送し、商品代金は合意した支払猶予期間が経過後、輸入者が送金します。
荷為替手形決済の場合は、決済方法をD/A決済とし、輸出者が期限付為替手形を振出し、輸入者が手形期日に銀行経由代金決済を行います。
銀行ユーザンス・本邦ローン本邦ローンは、日本の輸入取引において、輸入者の取引銀行が輸入者に支払猶予を与える金融で、銀行は対外決済を実行し輸入者には外貨貸付を行います。
本邦の銀行が自己資金で融資することより、本邦ローンあるいは自行ユーザンスと呼ばれます。
輸入側での融資ですので、金利は輸入者負担となります。
本邦ローンはL/C決済、D/P・D/A決済いずれの場合でも利用できる一般的な輸入ユーザンスとなっています。
・外銀アクセプタンス信用状付荷為替手形決済において、本邦輸入者が名宛人を海外の銀行とした期限付為替手形を条件とする信用状を開設し、輸出者が振出した期限付為替手形を海外の銀行が引き受け、輸入者が手形期日に信用状発行銀行を経由して支払いを行う方式です。
ニューヨークやロンドンなどの外銀が名宛人となり手形を引き受ける(Accept)ことより、外銀アクセプタンスと呼ばれます。
買取銀行は、期限付手形の名宛人となっている外銀に手形を送付して引受けおよび割引を依頼し、輸出者には手形支払猶予(ユーザンス)期間の金利を差引いて支払を行います。
・B/C(BillforCollection)ディスカウント信用状の付かない荷為替手形決済(D/P・D/A決済)において、海外の輸出者が振出した期限付為替手形を輸出地銀行に買取ってもらい、輸入者が手形期日に支払いを行う方式です。
輸出者と輸入者双方の信用が必要な方式で、グループ企業内決済の場合に利用されています。
・輸入跳ね返り金融輸入ユーザンス期間を使って商品の生産や販売を行って輸入代金決済のための資金の回収を図っても、さまざまな理由により支払期日に決済ができなくなることもあります。
このような場合、支払期日以降も融資を継続するために、外貨建て融資を決済して続けて円建て融資に切換えることがあります。
この金融を外貨建てから円建てに跳ね返ることより、輸入跳ね返り金融と呼んでいます。
また、輸入者が一覧払(Atsight)為替手形を決済する場合に、銀行が円貨で融資を行うことを直跳ね金融と呼んでいます。
いずれの場合も、国内金融の範疇に入ると解されています。
0521船積書類Trading船積書類(ShippingDocuments)船積書類は輸出者から輸入者に流通します。
船積書類(ShippingDocuments)とは船積書類は、輸出者が契約通りに商品を船積み(あるいは航空輸送で搭載)したことを証明する書類の総称です。
代表的な船積書類としては、インボイス(商業送り状)、パッキングリスト(梱包明細書)、船荷証券(B/L)、航空運送状(AWB)があげられますが、貿易取引条件により保険証券が加えられたり、輸入者の依頼により原産地証明書や各種検査証などの書類が追加されたりします。
貿易取引ではモノ(商品)とカネ(代金)を直接交換することはできませんので、モノを船積書類というカミに代えて、カミを流通売買することで代金を決済します。
輸入者は船積書類と引換えに代金決済を行いますので、運送人からの商品引取りや輸入通関手続きに必要とする書類をはじめ、輸出者の契約履行を確認するために必要な証明書や輸入者が手配する貨物保険料率に影響を及ぼす事項の確認書(例:船齢証明書や船級証明書)などを船積書類の一部に含むよう、契約時点および必要に応じて輸出者に要求しておくことが重要です。
船積書類の流れ船積書類は輸出者から輸入者に送付されます。
送付するルートは決済方法により異なります。
すなわち、荷為替手形決済の場合には、荷為替手形の一部として銀行を経由して送付されます。
送金決済やネッティングの場合には輸出者から輸入者に直接送付されます。
0522船積書類Tradingインボイス(Invoice)インボイスは代金請求や通関手続きなど、さまざまな場面で利用されます。
インボイス(Invoice)とはインボイスは輸出者が輸入者宛に発行する「納品明細書」兼「代金請求書」で、正式には商業送り状(CommercialInvoice)と呼ばれます。
インボイスには、その船積みに関連する以下の主要情報が記載されており、税関手続きや保険申込みなど、いろいろな場面で使用されています。
契約に関わる情報輸出入者の名前と住所、契約番号、取引条件、決済条件など商品に関わる情報商品名、規格や型番、個数、梱包数、重量、容積、荷印など船積に関わる情報本船名、航空機便名、船積港、出港(予定)日、仕向港、引渡し場所代金請求に関わる情報単価、建値、請求総額、支払い方法、銀行口座、信用状番号などその他の目的に応じたインボイスプロフォーマインボイス(ProformaInvoice)許認可取得などを目的として船積前に作成する仮インボイスです。
税関用インボイス(CustomsInvoice)日本の税関では商業送り状の提出で事が足りますが、輸入国側の税関用インボイス作成を輸入者から求められることがあります。
領事送り状(ConsularInvoice)輸入国における不正輸入申告防止目的で、当該領事館に提出するインボイスです。
現在は事例はほとんどみられません。
0523船積書類Tradingパッキングリスト(PackingList)パッキングリストは、配送、荷捌きなどに利用される梱包明細書です。
パッキングリスト(PackingList)とはパッキングリストは、貨物の梱包ごとの商品明細書で、梱包番号、荷印、各梱包の商品明細、個数、重量などが記載されます。
パッキングリストは、輸入者が保管、配送、荷捌きのために使用します。
通常、パッキングリストは輸出入通関手続きの際に、インボイスとともに税関に提出し、税関職員による貨物の現物検査を行う際にも使用されます。
一般的にパッキングリストはインボイスと同様の書式で作成されますが、価格や決済に関する情報は記載されません。
荷印(ShippingMarks)荷印は、梱包の外面に表示して、その梱包内の商品明細のほか、荷主、荷受人、仕向地、荷扱い注意事項などが記載されます。
輸入者側ではパッキングリストと荷印を照合しながら、荷捌きや商品配送の管理を行います。
荷印と同様に、荷扱い注意事項(ケアマーク)も梱包の外面に貼付けられます。
0524船積書類Trading原産地証明書(CertificateofOrigin)貿易取引商品の原産国を証明する公的書類が原産地証明書です。
原産地証明書(CertificateofOrigin)とは原産地証明書は、貿易取引商品の国籍を証明する公的書類で、日本では日本商工会議所等が発給機関となっています。
原産地証明書は、輸入国における輸入関税率の決定のほか、セーフガード措置など通商手段を適用する際の判定資料としても使用されます。
原産地証明書の発給手順輸出者は、商工会議所に会社と署名者登録を行ったうえで、船積ごとに原産地証明書の発給を申請します。
申請は船積前に行うことが原則ですが、出航日から6カ月以内は船積前と同様に申請ができ、1年以内は別途資料の提出が求められます。
原産地証明書は、偽造防止処理が施された商工会議所所定の書式が用いられ、輸出者は、証明発給申請書に記入・署名した原産地証明書とインボイスを添付して提出し、商工会議所の認証・署名を取得します。
原産地証明書の記載事項原産地証明書には、インボイス情報(輸出者名、荷受人=輸入者名、インボイス番号と日付、商品名、梱包数と数量、重量など)、輸送手段の詳細(船積情報、輸送本船名、積揚港、船積日など)、原産国名(COUNTRYOFORIGIN、日本の場合はJAPAN)が記載されます。
書式には、記載した事項が真実であることを輸出者が宣誓する文言(DECLARATIONBYTHEEXPORTER)が印刷されており、登録署名者が署名を行い、商工会議所の証明文言と署名を受けます。
0525船積書類Trading特定原産地証明書(CertificateofOriginforEPA)経済連携協定で取り決められた原産地資格を満たしていることを証明する公的書類が特定原産地証明書です。
特定原産地証明書とは特定原産地証明書は、経済連携協定(EPA)で取り決められた原産地資格を満たしていることを証明する公的書類で、輸入国側でEPAの関税優遇措置の適用を受けるために使用されます。
原産地の判定基準と特定原産地証明書の記載事項特定原産地証明書には、通常の原産地証明書と同様の情報に加えて、当該経済連携協定名、H.S.番号、原産地判定基準が記載されます。
原産地の判定基準は、H.S.コード変更基準のほか、付加価値基準や加工工程基準など、各EPA協定により詳細が規定されています。
特定原産地証明書発給の手順特定原産地証明書は、企業登録、原産品の判定依頼、証明書の発給依頼の順で進めます。
企業登録は、商工会議所に登録申請メールを送り、必要書類を郵送後、審査を経て特定原産地証明書発給システムのユーザーIDとパスワードを取得します。
原産品の判定依頼は、システムに商品のH.S.コードや原産地判定基準などを入力し、原産品であると認められた場合には原産品判定番号が付与されます。
判定依頼は原則として生産者が行いますが、商工会議所の求めに応じて原産品を示す資料を提出できる場合には申請者(輸出者)が行うことも可能です。
証明書の発給は、輸出者がシステムに必要事項(商品情報、輸入者、輸送手段、荷印など)を入力して行い、承認が下りれば所定の偽造防止処理が施された用紙にプリントし、宣誓署名を行ったうえで、商工会議所に持参し証明文言と署名を受けます。
輸入者の知識に基づく申告輸入申告時に輸入者が、EPA協定に定める要件を満たした原産性を示す書類を、税関に提出します。
この申請では、原産地に関する申告文は用いられません。
税関に対する説明責任は輸入者にあるため、輸入者は輸出者から必要な情報を入手している必要があります。
原産地証明の根拠と書類保存義務原産地証明の根拠となる書類は、採用する原産性の判断基準により異なります。
判断基準には、完全生産品、原材料からのみ生産される産品、品目別原産地規則(PSR:ProductSpecificRulesofOrigin)があります。
輸出者、輸入者は、輸入国税関からの問い合わせに備えて関連書類を保管する義務が協定に定められています。
日本の場合は、国内法令でも書類の保管義務が定められています。
0527船積書類Trading領事査証(VISA)その他の船積書類その他の船積書類には、領事査証や輸入者から求められる証明書などがあります。
領事査証(VISA)とは領事査証は、輸入国が書類の偽造や不正な価格申告を防止するために、輸出国の在日公館で書類認証を行う制度で、輸出者は輸入者からの依頼に基づいて在外公館で領事査証を取得します。
輸入者は、輸入手続きの際に税関に提出します。
日本からの輸出であれば、輸出者は船積完了後に在日領事館に領事査証申請を提出し、発給を受けます。
領事査証は輸出者が作成するインボイス(CommercialInvoice)に、領事査証のスタンプを押印して発給する方式が一般的に行われています。
申請にはインボイスのほかに原産地証明書や船荷証券の写しの添付が求められる国もあります。
査証の取得には思わぬ日数がかかる場合がありますので、信用状の要求書類に査証が含まれている場合には、信用状の買取期限に注意を払う慎重さが必要です。
領事査証は、世界的な貿易自由化の流れの中で徐々に廃止されていく傾向にありますが、中南米や中近東の国の一部では現在も輸入通関時の提出が義務付けられています。
0526船積書類Trading原産地証明の自己申告制度(自己証明制度/Selfcertificationsystem)原産地証明を輸出入者が自己申告(証明)する制度も導入されています。
自己申告制度(自己証明制度)とは日本が締結したEPAでは、前項の日本商工会議所が発行する「第三者証明制度」が用いられてきましたが、近年のEPAでは、輸出者(生産者を含む)または輸入者が自ら証明する「自己申告制度(自己証明制度とも呼ばれる)」が導入されています。
自己申告制度では、EPA税率の特恵待遇の要求を行う際に、輸入者は、以下のいずれかの方法で税関に輸入申告を行います。
輸出者が作成する原産地申告文による申告原産地に関する申告文を、輸出者(または生産者)が作成し、インボイスなどに記載し、輸入者は輸入申告時に税関に提出します。
申告文は、EPA協定により記載事項や文言が定められています(以下参照)。
申告の正確性の説明責任は輸出者にあります。
▶原産地に関する申告文(日EU・EPAの例)日EU・EPAにおける輸出者による自己申告の場合、原産品申告書は仕入書その他の商業上の文書に、協定附属書3Dに定められた申告文を用いて作成します。
文言は和文のほか、英語を含むEUの諸言語で作成可能です。
その他の船積書類輸入者との合意に従い、輸出者は各種証明書を船積書類の一部として送付します。
たとえば、CPT契約の場合に輸入者が貨物保険を手配する場合に割増保険料の支払いを避けるために輸出者が手配する本船の船齢制限を付けてその証明書(船齢証明書)を求める場合があります。
その他、商品によっては成分証明書や非被曝証明書など輸入者の要望や輸入国の規制などにより、各種証明書が求められることとなります。
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