マクロ管理法を説明するとき、「他のダイエット法を差し置いても覚えてほしい」とか「食べる順番や組み合わせは無視していい」と伝えた。
これは本当なのだが、マクロ管理法に慣れてきたり、余裕が出てきたなら覚えておいてほしい知識がある。
その一つが「GI」。
ここまで何度か出てきたが、GIとはGlycemicIndex(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことだ。
そして、血糖値とは、血液内に含まれるグルコース〔*〕(ブドウ糖)の濃度。
グルコースは体内でエネルギー源となる重要な役割を果たしている。
炭水化物を摂取すると消化器官で消化・吸収され、図13のように血糖値が上がっていく。
その際、GI値が高ければ高いほど吸収が早く、血糖値が上がりやすくなる。
血糖値が急激に上昇すると、正常値に戻すためインスリン〔*〕というホルモンが分泌される。
人間は血糖値が乱高下したときに眠気や空腹感を覚える。
昼食後に急激な眠気に襲われたことがある人は多いと思うが、それは寝不足というよりは、血糖値の乱高下によって引き起こされる眠気やだるさである可能性が高いのだ。
高GIの食べ物の代表例として、白米や食パン、うどんなどが挙げられる。
低GIの食べ物として、玄米、全粒粉パン、そばなどが挙げられる。
茶色い食べ物のほうが一般的に食物繊維も豊富で低GIなのだ。
炭水化物であれば白米より玄米を猛烈にすすめたいし、基本的に白い炭水化物よりも色の濃い炭水化物のほうがよいと覚えておこう。
低GIの食品は消化に時間がかかるため腹持ちがよく、血糖値も緩やかに上昇するので空腹を感じづらい。
また、血糖値の乱高下もないため、だるさや眠気も感じにくい。
ダイエットや仕事のパフォーマンスを保つには、低GIの炭水化物のほうが圧倒的に向いているのである。
血糖値とインスリンの話が出たので、インスリンについてもう少し触れておきたい。
インスリンはその性質から、「肥満ホルモン」と呼ばれることもある。
簡単に言うと、インスリンが出ている間は、カロリーを体脂肪として溜め込みやすくなる。
要は、身体が太りやすい状態になっているのである。
特に、炭水化物と脂質の組み合わせは危険だ。
しかも、ご飯と脂っこいものの組み合わせは、ついつい大食いになりやすく、カロリー過多になりがちでもある。
どんぶりやスイーツなど、糖質と脂質の組み合わせを人間は美味しいと感じるから酷な話だが、ダイエットには大敵であることを覚えておいてほしい。
このインスリンの大量分泌を防ぐために高GIよりは低GIの食品を摂るべきなのである。
スイーツが太りやすいと言われる理由もGIとインスリンの関係で説明できる。
たとえば、ショートケーキを例にとってみよう。
ショートケーキは主に高GIの糖分と高カロリーの脂質(バターや生クリーム)で形成されている。
高GIの糖分を摂取したことでインスリンが大量分泌され、しかも高カロリーなバターや生クリームのカロリーも同時に摂っている。
その結果、体脂肪として取り込まれやすくなるのだ。
Chapter2で取り上げた「ラーメン・チャーハン・餃子」のセットも似たようなものである。
ショートケーキと違って、砂糖や生クリームは少ないが、小麦や米でしっかりと高GIの炭水化物を摂っているし、油も多い。
マクロバランスから見ても、インスリンの観点から見ても、こういった食べ物はダイエットにとって大敵なのである。
実はたんぱく質の摂取でもインスリンは分泌されるのだが、細かいことを言い出すとキリがないので、炭水化物×脂質の組み合わせは太りやすいってことを頭の片隅に置いておいてくれ。
ダイエットをしているときにはなるべく避けたい高GI食品ではあるが、すべて悪いかというとそうとは限らない。
高GIの特徴は「吸収が早く、すぐにエネルギーになる」こと。
普段の生活ではメリットを感じづらいが、運動直後は高GIの食品を食べたほうがいい。
炭水化物を食べると体内でブドウ糖に分解され、吸収されるが、運動後の栄養を一刻も早く吸収しようとしている筋肉は、脂肪ではなく「グリコーゲン」として筋肉中に補塡しようとするのだ。
しかも、グリコーゲンを貯蔵できる容量を越えない範囲であれば中性脂肪にはならない。
だから「ダイエット中だけどスイーツやラーメンがどうしても食べたい!」という人は、筋トレ直後に食べると一応、太りづらく脂肪になりづらいことになる。
もちろん、スイーツやラーメンは脂質も多くなるのでマクロ栄養素のバランスが取りづらい。
褒められた食事ではないが、こういった知識を持っておくと、ときには高カロリーな食事も楽しみながら体脂肪の増加を最小限に抑えられるので、ダイエットの手助けとなってくれるはずだ。
マクロ管理法を実践するうえで「食べる順番や組み合わせは無視していい」と伝えたが、正確に言えば、同じカロリーを摂取するにしても回数を分けたほうがいい。
3食にこだわらず、4回、5回と回数を分けて食事をすると、さまざまな恩恵を受けられるからだ。
まずは、「消化器官の負担を減らす」こと。
一気に食べると消化器官は一度に多くの食べ物を消化する必要があり、負担になってしまうのだ。
2つ目は、「体脂肪になりにくい」こと。
一度に大量の食べ物を食べると、消費できなかった「余剰カロリー」が生まれやすい。
この余剰カロリーは体脂肪に変換されてしまうが、小分けであれば適正なカロリー量を維持しやすいため体脂肪にもなりにくい。
3つ目は、「空腹を感じにくくなる」こと。
小分けで食べていればダイエットの大敵である空腹とは無縁になることもできる。
4つ目は、「リバウンドに強い身体を作れる」こと。
タンパク質は分解されるとアミノ酸になる。
小分けで食べていると、血中のアミノ酸レベルを保つことができ、ダイエット中に高確率で起こってしまう筋肉の減少を防ぐことができるのだ。
筋肉量が減りづらいことで、リバウンドに強い体を作ることができ、停滞期の対策にもなる。
その他にも小分けで食べるメリットはたくさんある。
満腹の人と、適切な量を食べた人、どちらの人のパフォーマンスが上かは自身の経験からわかるのではないだろうか?先ほども伝えたように、お腹いっぱい食べると眠気や倦怠感を覚える。
毎食満腹になるまで食べていては仕事やトレーニングのパフォーマンスが落ちて当然である。
また、一度の食事で吸収できるタンパク質には20~30gの限度があり(限度がないという研究もある)、小分けのほうがいいという研究もある。
まあ、この手の研究は欲しい結果によって細かく方法を変えることもあるので、すべてを信じることはおすすめしないが、そういう研究結果もあることを知っておくといいだろう。
そして、ほとんどのトップビルダーたちが1日に8食前後食べていることからも、小分けにして食べることは、体脂肪がつくことを最小限に抑え筋肉を大きくすることに何らかのメリットがあると考えてほぼ間違いないだろう。
ときには研究結果だけを信じるのではなく、このように論理的に推理することも大切だ。
いずれにせよ、小分けで食べることのメリットは多いので、マクロ管理法に慣れてきたらぜひ試してみてほしい。
マクロ管理法に慣れ、健康への関心が高まると、サプリメントを飲み始める人も出てくるだろう。
サプリメントもダイエット食品と同様に、インチキな商品や値段の割に効果が少ないものもある。
では、そういったインチキ情報を摑まされないためには何が必要か。
まずは、トップレベルの人の行動をマネてみるのも一つの手だ。
たとえば、「プロテインは飲んだほうがいいのか?」と思ったとき、ネットでプロテインの効用について細かく調べるよりも「筋トレ好きがみんな飲んでいるんだからプロテインはいい!」と思うことも一つのロジックだ。
同じロジックを使って、「身体が資本であるアスリートの、しかもトップレベルの人が使っているなら、身体によいに違いない」と割り切るのである。
だが、ここで気をつけてほしいこともある。
トップレベルのアスリートがおすすめしているからといって、本当にすばらしいものとは限らない。
アスリートによってはスポンサーがいて、「すすめているもの」と「実際に摂取しているもの」が違うことがある。
また、最近ではステルスマーケティング(通称・ステマ)という方法も存在している。
誰もが知っているモデルや芸能人が紹介しているからといって、効果があるとは限らないし、当の本人さえ使っていないこともある。
特にダイエット食品やサプリメントに関しては、ステマが少なくない。
だから、マネする際には「その人が本当に使っているかどうか」も調べてみよう。
そして、ダイエット法にしろサプリメントにしろ、騙されないようにするには、その人の「利害関係」に注目してみてほしい。
そのダイエットなりサプリメントの情報を発信して誰が得するのか、グーグルでちょっと調べればわかったりするので、気になった商品があっても実際に買う前に一度調べてみてほしい。
そして、スポンサーがついていたら「なるほど、そういうことか」と思ってほしい。
さらに判断力を磨くには、「その商品をすすめている他の人」にも注目してほしい。
アメリカでは、就職や転校をする際、それなりに長い付き合いのある教授や上司など最低3人ぐらいから推薦状を書いてもらわないといけないルールがある。
「リファレンスチェック」というやつだ。
この考え方をダイエット法やサプリメント、健康食品にも応用するのだ。
利害関係のない3人(できるだけジャンルの異なった人が好ましい)がすすめていたら信頼できると思ってもいいだろう。
マクロ管理法はどうかって?アメリカでは常識になりつつあるダイエット法だ。
すすめている人を挙げたらキリがない。
何より俺が自信を持ってすすめているんだぞ?俺は変なものは死んでもすすめない。
安心して取り組んでみてほしい。
最後に、ダイエットをしている人、ダイエットを考えている人に改めて聞きたいことがある。
「ダイエットの本来の目的は何か?」多くの人が「体重を減らすこと」だと思っているだろうが、単純な体重減が本来の目的ではないはずだ。
真の目的は、美しい身体を手に入れることだろう。
覚えておいてほしい。
「体重が増える=太ること」ではない。
ダイエットをする際、ほとんどの人は体重計の数字ばかり気にしてしまう。
だが、体重の増減だけをダイエットの成功の指標とすることは間違ったやり方だ。
たとえば、脂肪が1㎏減って筋肉が1㎏増えたとき、体重計の数字だけを見ると変化は見られない。
しかし、鏡に映るあなたの身体には大きな差が出てくる。
同じ1㎏でも、脂肪のほうがはるかに体積が大きく、筋肉のほうが体積は小さいからだ。
つまり、体重計の数字は同じであっても、身体は引き締まっている。
だが、体重の減少だけを指標としていると、このような成功例に気付くことなく「太っている」とか「思うように瘦せない」という錯覚に陥ってしまう。
最悪なのは、「体重が落ちない=失敗」と思ってしまうこと。
もし変にストイックだと、さらに過激なダイエットをやろうとして、健康を害することだってある。
その結果として手に入る身体は、体重は減ったかもしれないが美しさとはかけ離れたものとなるだろう。
ダイエットの本来の目的を見失って、体重を減らすことがゴールになるなんて愚かなことだ。
あくまで、体重は一つの指標にすぎない。
そんな一面的な指標は参考程度に考えよう。
別に何㎏だろうと、鏡に映る自分の身体が引き締まっていて美しいならいいだろう?マクロ管理法のルールを守っていても停滞期を迎えることもある。
だが、きちんと努力していれば、何かしら身体は変化している。
だからこそ、体重計に乗って一喜一憂するのではなく、そこにプラスして太ももやお腹周りのサイズを測ったり、自分の身体を写真撮影して、どう変化したかをまじまじと見つめてほしい。
体重や体型だけでなく、食事が高タンパクになったことにより肌や髪、爪の質だってぐっとよくなるだろう。
おわりにこの本のタイトルを「最強のダイエット」ではなく「最強の食べ方」にしたのには理由がある。
それは、マクロ管理法はダイエット(減量)以外にも有効だからだ。
既存のダイエットには「減量に成功したらそこで終了」となるものが多く、目標を達成した途端、気が緩みリバウンドしてしまうこともある。
だが、マクロ管理法は一生モノだ。
もしあなたが「減量」を無事に達成したら、その次から「現状維持」に目標を設定し、それを守っていればリバウンドする確率はぐんと減るはずだ。
このようにマクロ管理法は単なる減量だけに有効なメソッドではなく、減量後や増量後の「維持」にも効果的な一生モノのメソッドなのである。
このマクロ管理法、「難しそう」とか「めんどくさい」と思った人もいるだろう。
たしかに、いきなり始めるにはとっつきにくいかもしれない。
だが、断言する。
最初の1週間で慣れる。
2週間で効果が体感できる。
そこまで来たらもうこっちのもんだ。
大切なのはその最初の1歩、2歩を踏み出せるかどうかなんだ。
こればっかりは俺にはどうしてやることもできない。
やるのは君自身だ。
せっかくこの本を最後まで読んでくれたのだから、俺を信じて一度やってみてくれ!あなたが人生を振り返ったときに「あの2週間は人生で最も有意義な2週間だった」と思わせる自信が俺にはある。
Testosterone(テストステロン)1988年生まれ。
学生時代は110㎏に達する肥満児だったが、米国留学中に筋トレと出会い、40㎏近いダイエットに成功する。
大学時代は総合格闘技団体・UFCのトッププロ選手と生活をともにし、最先端のトレーニング理論とスポーツ栄養学を学び、自身も米国にてデビューを果たす。
現在は、とあるアジアの大都市で社長として働きつつ、筋トレと正しい栄養学を普及させることをライフワークとしている。
2014年よりツイッターを開始。
3年でフォロワーが18万人を突破(2017年6月現在)。
人気を博す。
完全無料のダイエット・筋トレ情報サイト「DIETGENIUS」、有料オンラインパーソナルサイト「GENIUSPERSONAL」、無料のアスリートメディア「STRONGGENIUS」の代表を務める。
著書に10万部を突破した『筋トレが最強のソリューションであるマッチョ社長が教える究極の悩み解決法』(UCAN)のほか、『人生の99.9%の問題は、筋トレで解決できる!』(主婦と生活社)、『スーツに効く筋トレ』(星海社)、『筋トレライフバランスマッチョ社長が教える完全無欠の時間管理術』(宝島社)がある。
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