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chapter3 人事・賃金制度の種類と日本での潮流

目次

chapter3 人事・賃金制度の種類と日本での潮流

仕事を基準に考えるか、人を基準に考えるか

日本で一般的な人間基準人事は、国際的には少数派

船日本の人事制度は「人」中心

人事管理の手法は、仕事を基準に考えるか、人を基準に考えるか、とい

う視点で大きくふたつに分けられます。このうち、「1 本では人を基準に人

市を考えるケースが多数派です。諸外国では、むしろ(K 市を基準に人市を

考えることが多いため、日本の人市管刑手法は国際的に見ると少数派です。

鉛仕事基準の人事では、賃金額は職務内容に応じて決まる

より国際的な、仕1iを括準に行う人,]l’.笠理では、まずは仕’JI、つまりは

何か特定の業務が先にあって、その仕ボに人を張りつけるイメージとなり

ます。会社の中に担当者の椅子がいくつもあって、それぞれに牒務内容に

応じた貨金額が占かれている。それぞれの椅子に座った人は、これまでの

キャリアや能力に関係なくそのi1金額をもらえる、という形です。個々人

の能力やキャリアは、むしろその栢子に座るために必汲とされます。

こうした形で行われる人:JJを「仕事基準人事」と己い、その下で支払わ

れる只金のことは「仕事給」とか、より一般的には「職務給」と呼ばれます。

e…人間基準の人事管理は、仕事ではなく人に払う

一方、人を駐準にするのが「人間基準人事」です。椅子ではなく、働く

人1 人ひとりの背巾に貨金額がついていて、その人がどの椅子に座るかに

は関係なく、背巾についている金額をもらう、というイメージです。

こうした形で支払われる貨金を「属人給」と言い、その典型が勤続・年

齢・学歴など個人の1涵性に対して支払われる「年功給」です。また、職務

遂行能力に対して支払われる「職能給」も、本人の能力に対して支払われ

るという意味で、本質的には1届人給の一種と考えられます。

高度経済成長期には主流

だった「年功給」制度

高コスト体質を生みやすいため現在ではほほ消滅

船働く人にはよいが経営者にとっては?

前項で述ぺたように、日本で一般的な人間基準人市では、屈人給を后と

する制度が設Jtされます。ライプラリに戻る

このうち、戦後の翡炭経済成長時代に主流となったのが「年功給」、及

びそれをペースとした年功序列型の人1tlilJ皮です。

年功給では、勤紐年数や学歴、性別などによって貨金が決まります。こ

れらは「擬似的能力」と言われ、当時は能力の代HI!指様と考えられていま

した。

終身屈用とともに日本の企業文化の最大の特徴とされ、能力が低い人で

もほかの人と同じレベルの昇給がJYI待できるため、社員にとってはとても

優しい、孟い換えれば生ぬるい制度でした。

G 低成長な現在では維持できない

しかし、この制度は同一労働・同一賃金の原則と大きく乖離しています。

次第に「あのオジサンと自分は同じ仕事をしているのに、なぜ、貿金が

こんなに違うのか?」といった現場からの疑問に答えられなくなります。

さらに勤続や学歴、性別といった本人の努力で変えられないことを粘準

にiお金を決定するため、働く人の努力を否定することにもつながります。

生産性の向上を阻害するため、次第に成果に見合わない高コスト体質の温

床となってしまいます。

こうしたデメリットもあったため、経済の高度成長が収束し、年功によ

る昇給・昇格の前提となっていたピラミッド型の人口構成も崩れていくに

つれ、維持することができなくなって消えていきました。現在では、純粋

な年功給制度を維持している企業はほとんどありません。

多くの中小企業で現在も

採用されている「職能給」

年功給制度が行き詰ったあと、主流となった

船人材の教育と成長を信じる制度

年功給に代わり、70 年代以降、日本の企業でt流となったのが「戦能給」、

及びそれをペースとした人市・貨金制度(=職能資格制度)です。

これもすでに少しだけ前述しましたが、人は成艮する、また、企業側も

時椙l をかけて人材を教育して成艮させよう、という意忠と信念に枯づいた

制度と耳えます。

日本の企業風土や組織文化にマッチしていたためか、大手企業はもちろ

ん中小企業にまで広く普及し、現在でもこの制度を運用している会社が多

くあります。

船職能給制度は多くの企業の発展に貢献してきた

職能給による制度では、(動く人の能力をあらかじめいくつかのレベルに

分けて等級を設定し、その等級に応じた賃金を支給します。Chapter 2 で

解説した「期待する社員像」は、まさにこうした「レベル分けされた等級」

のひとつです。

企業側としては、人事巽動を柔軟に行えるとともに、教育・育成によっ

て人材レペルの着実な底上げが図れるため、会社の成長や発展を狙う態勢

を整備しやすいメリットがあります。

働く人にとっても、教育や育成を視野に入れた制度であり、長期雇用が

前提となっているために一定の安心惑があり、年功給制度ほどではないも

のの、企業への帰属意識や社員同士の一体感が醸成されます。等級が明示

されているため、社員間での位金差に対する一定の納得感もあります。

人材を育成しようとする企業であれば、避けてとおることができない人

ボ・位金制皮であることは間違いないでしょう。

低成長時代に入ったいま、

職能給制度には課題山積

働く人の能力が上がる速度に、利益が追いつかない

紀年功給と同じような問題を起こしがち

このように広く背及した職能給ですが、少子,i:i齢化が進展し、同時にグ

ローバルな競1tが激化して低成長な環境が常態化するとともに、徐々にほ

ころびが見えてきました。右の図は、職能給とそれに伴う職能資格制貶の

f/1l凶点を示したものですが、運用が結局のところ年功的になりやすく、必

ずしも能力に応じた昇格・降格がされないことや、貨金の全体的な庭上げ

が人件伐の高騰を招きやすいこと、などのデメリットが指摘されています。

これは、日本的な職場環悦の中では、適切な昇格や降格が実際にはなか

なかできないため、運用が以前の年功的なものになってしまいがちなとこ

ろに問題があるのでしょう。こうした状康では多くの社且が高い等級にま

で昇格していくため、人件毀の高騰を招いて経営を圧迫してしまうのです。

e グローバル化で競争が激化し、コストに耐えられなくなった

職能給の制度には、そもそも、窃皮成艮の終巧で70 年代以降に企業内

のポストが不足したため、従来の年功給の制度を代替するために#人され

た、という側面があります。要するに、ポスト不足で行理戟に就けなくて

も、能力があると判断されればポストではなく能力、つまり等級で11金を

払って処遇しますから、安心してください、という制度でもありました。

このように、はじめから年功序列制度の実態的な維持を意図した側面が

あったため、バプルで好哉気な時代には、年功的な運用が維持されたケー

スが多かったのです。

しかし、バプル崩壊とそれに続く「失われた20 年」で、企業はその負

担に耐えられなくなりました。その結果、2000 年代に入り、成果型位金

など新たな人事制度の校索が行われていくことになります。

職能給制度の運用には、

本来は「仕事調べ」が必要

ほとんどの企業が実施していないのが実態

船年功的な運用は、職能給制度自体の問題ではない

ただし、前項で述ぺたような年功的な運用の問頌は、ヤ,に企業側の問題

であり、制度そのものの問迎ではないはずだ、と著名は考えています。

職能給をペースとする職能資格制炭は、本来、「仕事調ぺ」の尖施が前

提となっています。しかし、実態としてはほとんどの企業がそれを実施し

てきませんでした。

紀仕事調べをしつかり実施すれば、現在でも十分通用する

仕F化調べというのは、その会社に存在するすべての(七ltを洗い出して、

そのすべての仕事について、それぞれの等級に求められる業務遂行レペル

と、その実行に必要な能力を明らかにする作業です。この仕事調べによっ

て、一般的には「謀業一覧表」と呼ぶA類を作成します(右事例②参照)。

これはつまり、能力を測るものさしを作成する、ということです。

この仕事調ぺを実施している企業の割合は、この制度を羽入している大

くす

企業でもIO 社に1 社程度であると、II浪能資格制度の生みの親とされる柚

だt••

田丘先生から直接伺ったことがあります。能力を測るものさしがなければ、

能力に枯づく等級のレペル分けがうまくできませんので、制肛全体も完全

に機能するはずがありません。

確かに、仕事調ぺはエネルギーが必要な大変な作業ですが、それを嫌がっ

て柑純な等級設定だけで運用しようとしても、この制度が本米意図してい

る望ましい効果は実現できないのです。

そのため、この仕事諜lべをしっかり行ってから職能給を導入し、数年ご

との見町しもきちんと行っている企業では、現在でも職能給制度を維持し、

連用に成功しているケースも多く存在するようです。

「職務給」の制度では

より公平な運用ができる

人種や年齢、性別などによる差別が起こりにくい

鉛事前の契約で仕事の内容と賃金額をガッぅ乞で翌咆る

日本から少し離れ、海外で一般的な「職務給(あるいは「仕事給」)」の

制度についても見ておきましょう。

職務給型の賃金制度では、それぞれの職務(=仕事)の価値に基づいて、

賃金を決めます。同じ仕市なら同じ貨金、という大変シンプルな制度です。

職務内容をあらかじめ明示し、それに対する貨金もいくらである、と先

に契約を結んでから、その仕市に適した人を選んで就労してもらいます。

この人は俊秀だから、将来きっと何かよい仕市をしてくれるだろう、といっ

た日本的な発想とはまった<兵なる制度です。

C 多人種・多民族社会では、基準が単純明快な制度が求められる

職務給型の貨金制腹では、このシンプルさのために、(動く人にとってよ

り公平な迎用が行える、というのが棗大の利点でしょう。

諸外国では、日本のように社会の大多数が同じ人柿・民族で構成されて

いるわけではない場合がよくあります。そういう国々では、実際のところ、

こうした単純明快な基準を持つ賃金制度しか運用できないという’J情'「行があ

ります。

たとえば、多人種・多民族の集合体である米国では、公民権法という法

律があり、同じ仕事をしているにもかかわらず貨金が迫うと、差別として

問題になることがあります。採用時の腺務経歴書に、写真を貼るよう義務

づけることすら違法です〇川の色や人種、容姿等による事前選別を防ぐた

め)。差別に対して、そこまで敏感な国民性や労働文化があるので、誰に

でも枯準がわかる人事制度が求められる、というわけです。職務給型のば

金制度は、そうした背娯の下で最適化された制度だと言えるでしょう。

職務給制度は、柔軟で

長期的な人材活用は苦手

配置転換が難しく、離職や転瞬が多いため

船契約内容にない仕事は断られることもふつうにある

職務給では、それぞれの職務の内容に応じて凶金額が決まりますが、こ

れらの負金額はそれぞれの企業が(壬意に決められるものではなく、似たよ

うな靡務内容ごとに、採用・転職市場で相場が形成されています。日社の

思うようには貨金額を決められない、というデメリットがあるわけです。

また、「この仕事をしてください」という契約を結んでから人を熙うので、

別の職務への配置転換(異動)は困難です。仮に、上司が「ついでにこの

仕市もやっておいて」という指示を与えても、部下が「その仕Tドは契約に

含まれていません」と断ることも、ご< n 党的にあります。

また、仕事と賃金が直結しているために、かえって会社にとって最適な

人材配匿がしにくい、という構造的なジレンマも存在します(右図参照)。

ただ、社員の側でも一般にその会社に「就社」したという磁識は薄く、

その時務のプロとして「就戦」した、と考えるため、その仕事に対するプ

ロ政識は日本型の屈用形康より強くなる、という側面もあります。

¢社員教育は最低限

さらには、職務内容によって只金が決まるのですから、同じ仕事をして

いる限り、あまり昇給は期待できません。会社はそれぞれの仕ボのプロと

して人を雇うので、能力開発は本人の責任です。企菜はある程度の職務訓

練、つまりトレーニングの機会は与えますが、和極的な社員教育はまずし

ません。働く人が自ら能力を磨いて社内での昇進を狙ったり、必要なら転

職をしてキャリアアップを図ることで、界給を果たしていくのが枯本です。

こうした仕組みになっているので、雌職率は一般に高く、日本式の長期

職務総では、現場ベースの

業務効率化は起こりにくい

効率をよくする方法を考えるのは管理聞の仕事

鉛日本の常識は世界の非常識?

海外型の職務給制度は、日本的な人1l基準の人事制度とはかなり違うた

めに、日本のピジネス祁識がまったく通用しないこともよくあります。

たとえば、日本企業では業務の効率化などのために、いわゆる「QC サー

クル」などを設けて現場の社貝がアイデアを出し合うことがよくあります

が、職務給型の人市制J豆においては、こうしたことはまずありえません。

なぜなら、会社の業務の効率化を考えるのは、管理・監督者の仕事であっ

て、そんな仕事は契約事項に入っていないので、それぞれの担当者の仕事

ではない、と考えるからです。確かに、一理あると貞えなくもありません。

また、前項で述べたように職務給の下では配沼転換が難しいため、業務

の効率化によって、もし自分の仕事が不要になってしまったら、別部門へ

の異勅ではなく、そのまま社を切られかねません(一般に、職務給型の人

事制度のほうが、経営側の理由による解面が容易です)。解屁にまでは至

らなくても、t1金を下げられる危険性があります。

こうした理由もあるために、職務給型の賃金制度を導入している識場で

は、現場からの業務効率化の提案を期待するのは難しいというわけです。

労使が一体となって生荘性を商める、グループで一緒に改善する、という

ようなことは、はじめから期待しないほうがいいでしょう。

船どちらが優秀というわけではないが根本から異なる

このように、仕¥培準人事の労働文化においては、屈用契約を結んでい

る自らの仕事に対してはプロ意識もあり臼任感が強いのですが、他人に対

しての協力意識は低くなりがちです。日本ではその逆で、同俯との協力意

識は,Biいものの、プロ意識は低くなりがち、と言えるでしょう。

能力の高い管理職などに

適合する「役割給」制度

一時期流行した「年俸制」も役割給の一種

船一定の裁量を認めて、結果で評価する制度

日本の一部の大企業において、職能給に代わって屯流になりつつある位

金制度として「役割給」があります。この役剖給も、職務給と同じ11lt基

粘の人市・貨金制度のひとつと言えますから、ここで触れておきましょう。

役割給における人市制度では、働く人は特定の役割(役職)や任務をま

ず与えられます。そのうえで、その役割や任務を遂行するのにどのように

1bl を使うのか、またどんな(1市を組み合わせて進めるのかなどは、本人

の判断や決定に任せられます。そのうえで、一定の期間に成し遂げた成果

が評価され、それに応じた貨金が支払われる、という仕紺みです。

その性臼上、高い責任感や職務遂行能力、さらには権限も持っているホ

ワイトカラーや管理職、あるいは専門的な業務を行う研究職や専門職など

にマッチする制度と口えるでしょう。業紐の評価期間は1 年に設足され

ることが多く、「年俸制」として運用されるケ_スが多いようです。

e 賃金額や職務内容に「相場」はない

この役割給の制度では、職務給の場合のように、職務内容がボ前に詳細

に決められているわけではありません。また、賃金の相場が市場横断的に

形成されていて、それに躾づいて賃金額が決定されるわけでもありません。

ある程度、曖昧な部分を残している制腹であるため、日本的風土に合わせ

た形で、職能給を職務給に近づけた制度とも言えるでしょう。

なお上述のように、働く人に大きな裁州を認めないと機能しない制度で

あるため、能力や意識が低い礼員に役割給を適用することは現実的ではあ

りません。反復的な作菜を行うプルーカラーの人にも適用できないので、

その場合、通常の職能給や職務給と組み合わせるケースが多いようです。

多くが失敗に終わった

「成果主義賃金」制度

現在では一部の要素のみが取り入れられている

鉛長期不況を背景に導入されたが・・

前項で触れた「役割給」や、その一形態である「年伶制」は、2000 年

代初頭に日本企業のあいだでプームになった「成果主義賃金制度」の代表

格です。大企業はもちろん、中小企業でも多くの企業がこぞって甜入しま

した。位金決定の枯準を、能)]や年功ではなくもっぱら仕市での成果に硲

き、成果を出した社且と出せなかった社且の貨金について、ボーナス(伐

与)時などに大きく格差をつけることなどが試みられました。

背景にあったのは、2000 年代初頭の長期不況です。いわゆる「失われ

た 20 年」で企業の体)]が低ト・し、疲界した企菜は、人件伐の1.l.. にも手

をつけざるをえなくなりました。成果を基準にすることで、支払う貨金の

格差を大きくし、それによって人(牛貨の高騰を抑制しつつ、成果だけは出

してもらおうと考えたわけです。

この時期には労働基削法の改正もあり、本占執箪時点と同様、労働時間

の短縮が強く惟進されていた時期と屯なります。能力のない社且が要領の

悪い仕’Jfの仕方をしたり、ミスをしたりすると労働時間は長くなりますが、

能力が店くテキバキと仕」9を片づける社員の労働時間は総じて短いもので

す。そうすると、会社は能力の低い社員に対し、能力の高い社員よりも多

くの賃金を支払わねばなりません。これは、いつの時代にもある程度存在

する矛盾なのですが、この時代の経営者にとっては許容できるものではな

かったのでしょう。「当社では、時問でなく成果に貨金を文払う」と言えば、

それなりにもっともらしく間こえます。成果主浪只金の導入によって、残

業代を圧縮し、人件貨全体の伸びも抑制しようとしたのです。

ただし、これらの試みのほとんどは、うまくいくことなく失敗に終わり

ました。本来の狙いを実現できないケースが多かったのです(右図参照)。

「成果主義賃金制度」が

挫折した理由①

人間心理への無理解がモチベーションを下げた

日本で成果中義に品づく位金制皮がうまくいかなった理由を竪理する

と、次の3 つに要約できます。

1 :うまく成果を出せないと、社員のやる気がなくなる

2 :期待される成果(目標)や、評価への不満が高まる

3 :全員が自分の成果だけを考え、チームワークが弱まる

Q 1 :うまく成果を出せないと、社員のやる気がなくなる

成果を出したら貸金もたくさんもらえるとなれば、ほとんどの人がいっ

たんは頑張ろうします。しかし、もともと無雌な成果を要求をされたり、

成果を出せないことが絨いたりすると、最初からあきらめて、頑張ろうと

しなくなるのが人間です(心則学では、これを「学習性無力感」と臼いま

す)。不況下では会社に求められる成果を2作げるのはもともと難しいため、

この状況に陥る人が多くいました。

また、期待された成果を出せないと、評価でもマイナスをつけられて貿

金に反映されます。プラスのときもあるのだから、公平ではないかとも思

われるのですが、貨金の減額は、増額時の喜び以上に働く人のモチベーショ

ンを下げます。「貿金のマイナスで貞任はとった」と開き直る社員も出て

きたりして、全体として、やる気の低ドに拍車をかけてしまいました。

また、成果を出せた数少ない社員も、その成果を継続する精神的ストレ

スに耐えられないケースが多くありました。成果を出すことが当然と周囲

から思われると、本人には強い精神的ブレッシャーがかかるのです。

こういった人間の心理に与える影響を考屈しなかったことが、成果主義

の貨金制度が成功しなかった要因のひとつです。

「成果主義賃金制度」が

挫折した理由②

賃金に直結するため、社員が公平性に敏感になる

2 :期待される成果(目標)や、評価への不満が高まる

成果ギ義型の貨金制皮で、成果(LI 様)をどこまで達成したかがは金額

を大きく左右することになったとき、経滋側が期待したようにより岱い成

果を設定する人は少なく、最初から、できるだけ達成しやすい低い1北様設

定となるようにする人が大多数を占めてしまったのも、この制度がうまく

機能しなかった要因のひとつでしょう。

働く人にしてみれば、リスクをとって高いLl 標設定をすれば、それが達

成できなかったときには賃金を下げられてしまいます。それならば、最初

から低い日標にしておいたほうが、賃金減額のリスクは避けられます。会

社からLI 標を設定される場合にしても、頑張りすぎて期待を大きく超えて

達成すると、次年度はさらにハードルが上がってしまうかもしれません。

適当なところで収まるよう、手を抜くインセンテイプが(動きます。

成果型賃金制度の下で、個々の社員が目標を確実に達成できるよう動く

と、会社全体での業績が大きく落ちてしまいかねない、という欠点があっ

たのです。それを避けるために会社が強引に高い目様を設足すれば、負金

減額に直結するため、社員の側の不満が一気に高まることにもなりました。

同様に、成果の評価の際にも、成果主義ではそれが賃金の削減に直結す

るがために、評価の公平性に少しでも疑問があると、社員の不満が一気に

高まることになりました。

たとえば、チームで獲得した成果に閲して誰が、どのような割合で評価

されるのか? あるいは、間接部門の社貝の成果評価はどのように行うの

か? 評価に際して企菜は雛しい判断を迫られるのですが、こうした微妙

な問題についてはどんな決定を下しても不満に思う人が一定数いるため、

社員のモチペーションを下げる一因となってしまったのです。

「成果主義賃金制度」が

挫折した理由®

チームの強みを活かせなかった

鉛3 :全員が自分の成果だけを考え、チームワークが弱まる

ライプラリに戻る

サッカーでは、もっともわかりやすい収未ほコールを決めることです。

紺点をしない限り試合には勝てませんから、ゴールを決めることが晟大限

に評価されるのは当然です。会社では、ゴールに相当するのは売上や利益

を挙げることですから、これらの行為は大きく評価されます。

しかし、ボールを持った選手全員が、自分でゴールめがけてシュートを

しているようでは決して試合には勝てません。相手のボールを算い、ペス

トのタイミングでストライカーにバスをする。シュートを決めやすいとこ

るにセンタリングでボールを出す。敵の攻撃を防ぐ。さらには選手の状態

を管理するトレーナーや、全体の戦略を構築する監I祝なども必要です。

会社でも同じで、直接に売上や利益につながる(上市の裏には、それをサ

ポートする多くの人且が働いています。これらの間接的な部門の人員も、

売上、利益に結びつくプロセスの中にしっかり位匿づけ、バランスよく評

価することができなければ、チームはガタガタになってしまうでしょう。

これこそが、成果型貿金を尊人した企業で多く起こったことでした。木

来は、最終成果である売上•利益だけでなく、受注に至る勝ちバターンと

しての戦略・戦術を練り、その営業プロセスの巾で、r|―情II戎果を評価する

ことを忘れてはいけなかったのです。しかし「成果」主義ということで、

とかくわかりやすい数字に対する評価が高くなっていたケースが多くあり

ました。

結果、社員全員が自分の成果を(優先するようになり、チームの一員とし

て、同位をサボートする姿勢が弱まってしまったのです。また、拍接的に

売上や利益の数字につながれない部署の人員では、前述のように評価に対

する不満が必まってしまったのです。

「歩合給」制度は

成果主義賃金の一種

特定の閲種にはマッチすることもある

鉛同じ成果主義賃金でも性質は大きく異なる

念のため、成果主義貨金制皮の一種である「歩合給」についても、ここ

で説明しておきましょう。

歩合給は、1 個売ったらいくら、あるいは1 個生産するといくら、など

といった非常に明瞭な形で、成果に直結した負金が支払われる制度です。

前述した年伶制などの役割給は、もっと長いスバンで成果をとらえるこ

とが一般的です。しかも、成果の範囲には数字で測れない定性的なものも

含まれます。そのため、同じ成果主義の貨金制度であっても、ここで盃う

歩合給とはかなり逃うものだと考えてください。

歩合給では、やればやっただけ貨金につながることが、働く人にもすぐ

にわかります。そのため、働く人のやる気を高める効果があります。たと

えば宅配便の配達員などは、貨金の一部に歩合給を採用しているケースが

多いためか、走りながら配達している人をよく見かけます。単なる時間給

や月給にしたら、走る人はほとんどいなくなるのではないかと思います。

¢賃金すべてを歩合給にするのは不安定すぎる

歩合給は、本人の努力で売上を直接的に変えられ、またその数字を本人

が倍i単に把担できる職種でないと祁入できません。具体的には、保険や自

動車、不動産のセールス職などでよく羽人されています。

経営者としては貨金を変動伐化できるメリットもありますが、全面的な

歩合給では働く人の貨金額が不安定になりすぎてしまうため、鉗月の貨金

における歩合給の羽入割合は、20 %が限界とよく言われます。不安定な

制度ですから、貨金制度の駐本にすることはできないでしょう。また、歩

合給では等級制皮などを設定できないデメリットもあります。

中小企業に適している

「役割行動給」制度

閾能給と役割給のいいとこどり

紀売上や利益につながる具体的な行動を基準にする

最後に、日本企業でこれまで主流となってきた人市・貨金制度の課俎を

改泊する形で、今後主流になっていくであろうと宜者が考えている「役割

行動給」についても紹介します。

役割行動給では、「優れた業組を出し続ける人の思考・行動特性」を意

味する「コンピテンシー」を参考に、会社の業績向上につながる社員の具

体的な行動(=役割行動)を、経営到!念からのブレークダウンと、現場か

らのボトムアップの両方を使って1I前につくり、それぞれの等級ごとにあ

らかじめ提示します(1i例③参照)。そのうえで、その行動や考え方をど

こまで実践できたかによって、働く人の負金額を増減させます。その性質

上、屈人給と職務給のいいとこどりのような制度だと耳えるでしょう。

船成果主義失敗の教訓も反映している

慟く人の持つ能力に応じて只金を決めていたII汲能給に比ぺ、役割行動給

では(動く人が示した行動に応じて賃金が決まります。それぞれの行動は、

直接的にしろ間接的にしろ成果につながるものが評価の対象になっていま

すから、職能給に比べると成果主義の要素がより多く含まれています。

また、年俸制などの役割給が失敗した要因のひとつが、プロセス評価が

うまくできなかったことにあったことはすでに述ぺました。役割行動給な

ら、間接部門の人員の行動も、しっかり評価体系に組み込むことが可能と

なります。個々の社員がどう動けばいいかも具体的に示されているので、

菜務遂行能力が比較的低い巾小企菜の社員にも適用しやすいでしょう。

あえて難点を言えば、料入時に「会社の発l該に必要不可欠な行動」を具

体化するのに、少々脳みそに汗をかく必要があるところでしょうか。

日本の人事制度の主流は

15年ことに変遷してきた

そろそろ新しい主流に代わる時期

船職能給制度への回帰と、管理職への成果主義導入の二極化

キな人事・貨金制度についてひととおり解説したので、ここで戦後の日

本における人事・貨金制度の歩みを復習し、今後の潮流についても考えて

みましょう。右凶は、日本の経済・社会の変化とそれぞれの時代における

人市・ii金制度について示したものです。日本の人事・貨金制度はおおよ

そ15 年ごとに主流が変化してきたと肖われています。

敗戦直後の混乱期を経て、1945 年以降の役剥JOI に入ると、たくさんの

子供を生み育てられる屯算兜給与などの生活賃金制が主流となりました。

1960 年からは甜皮成艮JOl に人ります。生活水郎が飛即的に向上した時

代です。人市・貨金制皮は年功序列制が主流でした。企業が急成長してい

ましたから、誰もが頑張ればポストに就けた時代です。

1975 年からは安定成長の時代です。二疫にわたるオイルショック以降、

わが世の在を謳歌してきたR 本は、高度成長から安定成長へのシフトダウ

ンを余儀なくされました。企業は成長鈍化によりポスト不足になり、ポス

トではなく能力で処遇する時能給制度が主流になりました。

バプルが崩壊した1990 年以降は、「失われた20 年」の長期低成長時

代に突入します。低成長とデフレにより、年功的なII哉能給制皮が維持でき

なくなり、成果主義制皮や菜禎給の存入が多くの企業で試みられました。

貨金の変動代化、定期昇給のないフラットな貨金制度の導人です。

そして2005 年以降は、過度の成果主義への傾斜への反省から、日本的

な職能給制度への回帰が起こると同時に、筈理職などでは役割給が一般化

しています。また、前項で紹介した役割行動給など、その他さまざまな制

度への移行が校索されているのが現状で、そろそろ、次の主流となる人事・

凶金制度が決まってくる時期だと言えるでしょう。

理想の人事1吉命奇I

コルフによく似てい

は?

者は常々、理想の人事ふ賃金制度はゴルフによく似

ているという説を阻えています。

アメリカの行動科学者ウィリアムh モブリーは人々

がゴルフを大好きな理由として、①明確な目標がある

®ゲームに完結性がある、③フィードバックがある、④

も様な技能を駆使できる喩⑤判断を要求されるといっ

5 つの要素を挙げているのですがこれらの要素はすべ

て`仕事における動機づけにも通じているからC 出10

①目標がなければ、仕事で何を目指せばいいのかわか

りません。

②ゲームの完結性がなければ`とこまで頑張ればいい

のかわかりませんし失敗したときに心槻一転のやり9,

しができませんロ

®フィードパックがなければ、仕事の出来がよかった

のか悪かったのかわかりませんCl

④多様な技能を駆使できなければ、ワンパターンな仕

になって飽きてしまいます。

⑤判断を要求されなければ、常に誰かの

1プればならないため1 自分の意思を表に出せす欲求不;

に陥ってしまいます。

これらの要素が欠けた会社や組織では社員のモチ

ベーションが低下してしまいます。ゴルフの要素を満た

すような人車{ヨ金制度を整備できるように、みなさん

もぜひ頑張ってください。

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