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Chapter3時間の使い方で、仕事の成果は大きく変わる

目次

「時短」の流れの中で、いかにして生産性を上げるか?❖労働生産性を高めるには、自身のスキルアップが条件

2018年の通常国会で「働き方改革関連法」が成立しました(正式名は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」/2019年4月より法案の一部が施行)。

厚生労働省のリーフレット「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」には、働き方改革を次のように定義しています。

・働き方改革……働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革。

働き方改革関連法は、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、パート法、派遣法などいくつもの法律が対象となっており、改正内容も多岐にわたっています。

働き方改革を推進するために、厚生労働省は、「時間外労働の上限規制の導入」「毎年5日、有給休暇の取得」などの整備を進めています。

したがって、「労働時間を減らして生産性を向上させる」ことが企業の命題になっています。歯科医院の場合だと、労働生産性を上げるためには、おもに次の施策が考えられます。

①患者様の数を増やす(1日の来院患者数を増やす)ひとりの患者様の治療時間を短くするように努力します。

②リピート率を増やす競争が激しい歯科医院では、患者の再受診率を上げるための工夫が必要です。

③患者様の単価を上げる「単価」を上げるには、「自費率を上げる(自費診療)」ことが前提です。

①〜③の施策を実現するには、「歯科医師のレベルが高いこと」「レベルの高い歯科医師になるための研鑽を怠らないこと」が絶対条件です。

手技はもとより、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などが高いレベルになければ、治療時間を短縮することも、リピートを増やすことも、自費診療を勧めることもできません。

時間を短縮し、それでも収益を上げるには、「自己成長のために多くの時間を投下して、高いスキルを身につける」ことが必要です。

❖「市場シェア」よりも「マインドシェア」を意識する

収益を伸ばそうとしたとき、多くの歯科医院経営者は、最初に「新患数を増やそう」と考えます。ですが、収益を伸ばすために新患を増やすのは、間違えた発想です。

成長期にある市場では、「シェアを奪うこと」がマーケティングの基本戦略です。しかし、歯科医院のように成熟期に入った市場では、「市場シェア」よりも「マインドシェア」を意識すべきです。

マインドシェア……患者様の思考の中に占める自院の割合を増やすこと。「患者様とどんな関係を構築するのか」によって決まります。

患者数を多く集めても、自費率が低ければ、「治療に追われ、それでいて利益が上がらない」という悪循環に陥ってしまいます。

したがって、新患を集めるより、既存の患者様の満足度を高めるほうが収益を伸ばすことができます。マインドシェアの考え方は、歯科医院にとどまらず、成熟産業の高収益化のヒントになります。

新規顧客の開拓ばかりに目を向けず、既存顧客との関係を構築し、ファン化することが、キャッシュフローを改善する要諦です。

市場シェアよりも、顧客のマインドシェアを増やす施策に時間を費やすことが大切なのです。

新規事業で勝負するのではなく、既存事業の改善を図る❖生産性を上げる2つの方向性

会社の(あるいは、ビジネスパーソン個人の)生産性を上げるには、2つの方向性が考えられます。

①イノベーションを起こす方向性

新規事業をはじめるなど、新しい価値を提供する。

②業務改善をする方向性

会社の課題の改善など、「うまくいっていないこと」「改善の余地があること」を減らす(課題をなくす)。

労働生産性を上げるための正しい順番は、「②業務改善→①イノベーション」です。

本業で利益が上がらない段階で新事業に手を出すと、成功する確率は低いと思います(本業さえうまくいかない経営者に、新規事業が成功するとは思えない)。

だとすれば、余計な新事業に手を出さず、本業で儲かるように業務改善やコストの見直しをすべきです。個人の仕事も同様です。労働生産性を高める最初の一歩は、課題を洗い出し、改善策を講じることです。ダラダラと続く会議や残業。

こうした慣習を一気に「ゼロ」にするのは難しいので、会議なら「開始から2時間を超えない」というルールをつくる。

残業なら「20時以降は禁止」と決める。自分の作業を見直して、ムダな作業をしていないか確認する。そうすれば、30分~1時間という単位で時間の節約が可能です。

❖マインドを変えなければ、残業はなくならない

「平成28年度産業経済研究委託事業(働き方改革に関する企業の実態調査)報告書」

(日本経済新聞社)によると、「自社の長時間労働の原因について、あなたはどのように考えていますか」という質問に対して(33~73歳の男女/経営企画・事業企画と経営管理の部長職以上/有効回答数206サンプル)、もっとも多かった回答は、「管理職(ミドルマネージャー)の意識・マネジメント不足」で、次いで、「人手不足(業務過多)」「従業員の意識・取り組み不足」「社員の生産性・スキルの低さ」「長時間労働を是とする人事制度・職場の風土」の順となっています。

この結果からも、長時間労働の原因となっているのは、「意識の低さ」「スキルの低さ」にあることがうかがえます。

日本企業の残業体質や非生産的な体質をつくり上げている根本的な原因は、働かせる上司と働いている部下たちの意識です。

だとすれば、長時間労働を是正して、労働生産性を上げるために必要なのは、社員のマインドを変えることです。

「残業はしない」「残り時間でこれだけの仕事をする」とマインドをセットして、達成するためのありとあらゆる方法を考える。

途中で上司やクライアントから呼び出され、中断を余儀なくされたのなら、計画を変更したり軌道修正したりして、やり切る。そうすれば、勤務時間内での仕事を最大化できます。

マインドを変えることによって、少ない時間であっても、大きな成果を上げることが可能になります。

「他人の力を借りる」ことで、質の高い仕事が可能になる❖仕事量が増えたときは、いったん、手放すのが正解

仕事の量が多いのは、「できる人」と思われている証です。「あの人ならやってくれる」と評価されているからこそ、仕事を任されます。仕事をたくさん抱えることは、悪いことではありません。できなかったことができるようになるからです。

「仕事をたくさんこなす→スキル・経験値が上がる→さらにたくさんの仕事をこなせるようになる→「できる人」だと認められる→仕事をたくさんこなす……」というサイクルを回し、自分に負荷を与え続けることで、人は成長していきます。

とはいえ、どれほど経験を積んでも、どれほどスキルを身につけても、ひとり当たりの仕事量には限界があります。抱え込みすぎると心身ともに疲弊して、生産性を落としてしまいます。仕事の依頼先に迷惑をかけることにもなりかねません。

そんなときは、仕事の一部を「手放す」のが得策です。手放すとは、断ることではなく、「人の手を借りる」ことです。

私は歯科医師として、経営者として、作家として、数多くの仕事に携わっていますが、どの仕事においても生産性が高いのは、手放しているからです。

「いのうえ歯科医院」の副院長をはじめとするスタッフたちが、こころよく協力してくれる。編集者、出版プロデューサーといった出版のプロたちが、献身的に支えてくれる。

多くの人の助力が相乗効果を生み出して、何倍、何十倍もの成果につながっています。私の場合、仕事の絶対量が増えてきたら、仕事を3つに分類して対処します。

【3つの分類】

  • ①自分でなければできないこと……本人が継続して行います。
  • ②誰かと一緒にやると成果が上がること……同僚、部下、外部スタッフと一緒に進めます。
  • ③信頼できるスタッフに任せること……その道の専門家に、責任を持って引き受けていただきます。

仕事の量が増えてきたら、すべての仕事を自分で抱えたりせず、信頼できるスタッフの力を借りています。

協業(複数の労働者がひとつの生産過程に集って、協力して仕事に携わること)をすれば、自分は「①(自分でなければできないこと)」に特化できるので習熟度が上がり、結果的に質の高い仕事ができるのです。

「自分で仕事をしない」ことも、自分の仕事である❖人に仕事を任せると、自分も相手も成長する

私は、「仕事をしないのも、仕事のうち」だと考えています。「仕事をしない」とは、「自分で仕事を抱えない」=「人に任せる」ことです。

そして、「人に任せる」ことは、「相手を成長させる」ことにつながります。とくに、指導的な立場にいるリーダーは、「仕事をしない」ことを覚えるべきです。

「自分でやったほうが早い」「自分でやったほうがうまい」という考えを捨てないかぎり、部下の成長は頭打ちです。

また、「仕事をしない」ことは、自分自身の成長にもつながります。

「マネジメントやプロセス管理の手法が身につく」「難易度の高い仕事に取り組む時間がつくれる」からです。

リーダーにとって、「自分でやったほうが早い仕事」は、難易度の低い仕事です。難易度の低い仕事をどれほどこなしても、スキルアップにはつながりません。

❖結果が出ないのは、任せた側に責任がある

任せた相手が結果を出せなかった場合、悪いのは「任された相手」ではなく、「任せた本人」です。結果が出ないのは、任せた側の「任せ方」に非があったと考えるべきです。任せる側、任される側、双方に共有すべき3要素があります。

【共有すべき3要素】

  • ①ゴールどういう仕上がりになるべきか。どこまでの仕上がりを求めているか。
  • ②デッドラインゴールに到着するギリギリの締め切りはいつか。
  • ③コストゴールするまでにかかる費用はいくらか。

最低限この3つが共有されていれば、任せる側の想定どおりの結果に近づくはずです。

最高のチームをつくれば、自然と最高の結果が生まれる❖「人に頼る」ではなく、「人と組む」という意識を持つ

他人の力を借りる場合でも、「自分の実力ではできないから、人に頼む」「時間がないから人に頼む」といった受け身の姿勢では、大きな結果を残すことはできません。

他者と協力関係を築くときは、「頼る」という感覚ではなく、「組む」という感覚を持つことです。協力関係(協業)とは、「お互いに不足しているものを補い合う関係」ではありません。

「強みを掛け合わせて、相乗効果を生み出す関係」のことです。

自分にはできないから相手に任せるのではなく、相手より強い部分を自分が担う(自分よりも強い部分を相手が担う)のが、協力関係の基本です。

したがって、「仕事を終わらせるために人を頼る」という考え方をやめ、「より大きな結果を生み出すために、お互いが能力を発揮し合う」という考え方にシフトすると、「組む人」の質が上がります。

❖「最高のチームをつくること」が上昇の鍵

現在、歯科業界は構造不況業種のひとつに挙げられています。

「歯科業界は過当競争が続き、飽和状態となっている」「歯科業界は衰退産業である」という声も聞かれますが、私は、「危機感を持たなければいけないが、悲観的になる必要はない」と考えています。

なぜなら、私たちにできることはまだまだたくさんあるし、工夫の余地、努力の余地も残されているからです。では、何から取り組めばいいのでしょうか。

最初に取り組むべきは、「最高のチームをつくること」です。高いレベルの医療を提供するには、チーム力が必要になります。

院長の技術が高くても、スタッフの協力がなければ、最高の医療を提供することは不可能です。

業績が悪化したとき、患者数を増やす、自費率を上げる、予防歯科に注力するなど、収益に直結する取り組みからはじめる歯科医院経営者を見かけますが、それだけで収益が改善するのは難しいでしょう。

なぜなら、患者数を増やすのも、自費率を上げるのも、「チーム一丸となって治療に取り組む体制」が整っていなければ実現しないからです。

❖チームメンバーを選ぶ3つの基準

歯科経営においても、出版においても、セミナーにおいても、「最高のチーム」をつくってチームを有機的に機能させることが、大きな成果を上げる条件です。

最高のチームをつくるには「誰と組むか」が重要です。私は次の3つの条件を踏まえながら、「チームメンバー」を選んでいます。

【チームメンバーの3条件】①圧倒的な向上心がある

私は、「能力よりも向上心が大切」だと考えています。能力は二の次、三の次です。

たとえば、自分たちがライバルに負けているとき、「自分たちとライバルの差」を客観的に分析して「今のままでは勝てない。

もっと努力をして、もっと工夫をして、ライバルに負けないものをつくろう!」と奮起する人材がチームには必要です。

【チームメンバーの3条件】②継続する力がある

結果を出す上で絶対的に必要なのは、「時間と量」です。

結果が出るまで「やるべきこと」や「与えられた役割」を愚直にやり続ける熱量を持った人は、頼もしい存在です。

【チームメンバーの3条件】③レスポンスが早い

連絡に対するレスポンスが早い人、積極的に動ける人、スタートダッシュを切れる人を重用します。レスポンスの早い人は、処理能力の高い人です。

また、相手からの指示を待つのではなく、自分から相手に提案できる人は、時間をムダにすることがありません。

ひとつの仕事で複数の価値を生み出す❖濡れたタオルを絞り切るような発想で仕事をする

仕事の進め方を大別すると、複数の仕事をこなす「マルチタスク」と、ひとつの仕事に集中する「シングルタスク」に分けられます。

どちらがより効率的なのかは識者によって意見が異なりますが、私は次のように考えています。

・シングルタスク……「いついつまでに、こういう結果がほしい」という期間と目的が明確になっている場合は、一点集中する。

・マルチタスク……仕事の幅を広げたり、複数の結果を得たいのならマルチタスク。

マルチタスクの場合、個々の仕事を独立して見るのではなく、関連づけて見るようにすると、思考の幅、行動の幅を広げることができる。

もっとも生産性が高いのは、シングルタスクでもマルチタスクでもなく、「ひとつの仕事で複数の価値を生み出す」ことです。

たとえば、私が講演をする場合、「会場にお見えになった参加者を満足させる」のはもちろんのこと、講演の内容を「動画コンテンツにする」「音声コンテンツにする」など、「ひとつの講演で複数のコンテンツを生み出す」ことを踏まえて、見せ方を考えます。

「ひとつの仕事=ひとつの結果」ではなく、「ひとつの仕事=複数の結果」を目指す。

濡れたタオルを絞り切るような発想(もうこれ以上、何もないというところまで成果を搾り取る発想)で仕事をしていくことが大切です。

❖センターピンを倒せ!

元グッド・ウィル・グループの創業者、折口雅博さんは、著書『起業の条件』(経済界)の中で、「センターピン理論」を提唱しています。ビジネスをボーリングにたとえた理論です。

センターピンは、一番前の真ん中にあるピンのことで、「ココだけは絶対に外せないポイント」です。このピンに当たらなければ、ストライクを取ることはできません。

また、1本ずつピンを倒すには時間がかかりますが、センターピンを倒してしまえば、1投で残りの9本を一緒に倒すことも可能です。

ビジネスにもセンターピンがあります。飲食事業のセンターピンは味。メーカーはヒット商品。小売業は品揃え。航空事業は安全。介護事業は居心地の良さ。医療事業は技術。

センターピンはビジネスによって違います。「自分のビジネスのセンターピンは何か」を見定め、倒す。

大事なところを一点突破すれば、そのほかの問題・課題が一気に解決することがあるのです。一番成果につながりやすいところを最初にクリアすることで、多くの結果を得ることができます。

がむしゃらに動いているのに結果が出ないのなら、いったん手を止めて、「自分にとってセンターピンは何か」を考え直してみることが大切です。

「3分しかない」ではなく「3分もある」と考える❖3分という時間をあなどってはいけない

時間は平等で、1日は誰にとっても24時間です。しかし、時間の使い方は平等ではありません。

同じ24時間を与えられていても、能力やスキル、成果や環境において大きな差が生まれます。

成果を上げている人は、まるで1日が30時間あるかのように、濃密な時間の使い方をしています。

【1日を30時間にする人の特徴】

  • 優先順位をつけて、優先度の高いものから集中して取り組む。
  • やること、やらないことが明確になっている(やらないことを決めている)。
  • オンとオフのメリハリが利いていて、リラックスする時間も確保している。
  • 時間の使い方に必ず「価値」「意味」がある(意味づけできない時間を持たない)。
  • スキマ時間を効率的に活用している。

なかでも、スキマ時間の活用は、仕事の成果に大きな影響を与えます。まとまった時間をつくるのは無理でも、5分、10分……なら時間をつくることは可能です。

「たかが3分」と思いがちですが、3分間を1日、1週間、1ヵ月……と積み上げていけば、大きな時間を確保できます。

【3分を有効に使う方法】・「3分間だけ集中法」を使う

3分でできることはたくさんあります。

「あと3分しかないからやらない」と考えるのではなく、「まだ3分あるからやる」と考えると、時間の密度が濃くなります。

同時並行で進めなければならない仕事が重なってしまったときは、「3分単位」で作業をすると高い集中力を維持できます。

電話、メールの送受信(確認)、スケジュール調整、資料の印刷、プロジェクトの進捗確認などは、「ひとつの作業について3分」と時間を決めて、短い時間の中で集中したほうが効率的です。

【3分を有効に使う方法】・あらかじめスキマ時間に「何をするか」を決めておく

電車の待ち時間や乗車時間、アポイントとアポイントの間、人を待っている時間など、「スキマ時間」を有効活用するには、事前に「スキマ時間に何をするのか」を決めておくとよいでしょう。

時間が空いたときに「何をやろうか」を考えていたら、それだけで時間が過ぎてしまいます。

スキマ時間に中身のある仕事をするには、「メールをチェックする」「資料に目を通す」「本を読む」など、時間の長さに応じて、すべき仕事を決めておくことが大切です。

時間管理の究極の目標は、「自分の時間に相手を合わせさせる」こと❖自分で時間をコントロールするには、どうしたらいいか?

限られた時間の中で結果を出すためには、自分の時間を自分でコントロールする必要があります。

そのためには、次の3つを意識して仕事に取り組むべきです。

①「やらされている」という意識から、「役立っている」という意識に変える仕事をたくさん振られたときは、「やらされている」と義務感でとらえるのではなく、「仕事の数だけ、たくさんの人の役に立っている」「たくさんの依頼に応えている」と能動的に考えることが大切です。

時間を能動的に使いはじめると、自分で時間をコントロールしている感覚を持てるようになります。

他人からの一方的な指示で自分の時間の過ごし方を決められてしまうと、ストレスが溜まります。

だとすれば、仮に一方的に仕事を振られたとしても、その仕事に「価値」を見出し、「理想の自分になるためのプロセスである」と解釈できれば、「やらされ感」は軽減するはずです。

②自分の時間が奪われる原因をはっきりさせる仮に、自分勝手な電話ばかりかけてくるクライアントがいるのであれば、電話応対のスキルを磨く。

クレーム対応に時間を取られるのなら、正しい対処法を身につける。

ムダな会議(自分が意思決定に加われない会議、上司の発言を聞くだけの会議、時間ばかり長くて何も決まらない会議など)には極力出席しないなど、「時間を奪われる原因」を突き詰め、対策を講じることが重要です。

生産性を上げるには、定期的にPDCAサイクルを回して、自分を評価して、行動を改善することが大切です。

③時間をコントロールできる立場になる時間コントロールの究極の理想は、時間の主導権を自分が握る(相手に渡さない)ことです。

つまり、自分が相手に合わせるのではなく、相手が自分に合わせてくれる関係をつくることです。

「○月×日に仕事をお願いしたいのですが、空いていますか?」と期日の決められた仕事を受けるのではなく、「こういうお仕事をお願いしたいので、ご都合のいい日を教えていただけますか?」と、こちらの都合を優先してもらえるようになれば、時間の主導権を握ることができます。

日清食品株式会社の創業者、故・安藤百福は「余人をもって代えがたい人になりなさい」という言葉を残しています。

「余人をもって代えがたい人」(ほかの人に代わりにやらせることができない人)になれば、主導権を握ることができる。

自分の都合にまわりが合わせてくれるようになります。

そのためには、常に研鑽を続け、常に成長を続け、圧倒的な結果を残すこと。

相手からの信頼を得ること。唯一無二の存在になることです。相手が自分に合わせてくれるようになったら、一流の証です。

❖イレギュラーな仕事を頼まれたときの対処法仮に「今日中にこれをやってほしい」とイレギュラーな仕事を頼まれた場合、私なら、「今日中にその仕事をやらなければいけないのか。

すでに決まっている予定をズラしてまで、その仕事を『今日』やる価値はあるのか」を考えて、・「価値がある」場合……時間を調整して、引き受ける。

・「価値がない」場合……先送りにする(別の日にしてもらう)。ようにします。

私の経験上、イレギュラーの仕事の多くは、「今日中に対応しなければ手遅れになる」ようなものではなく、緊急度はそれほど高くありません。先送りが可能です。

ですが、イレギュラーな仕事の中にも、緊急性の高い仕事や価値の高い仕事もありますから、イレギュラーな仕事を組み込めるように、「時間的なゆとりを持たせた時間管理」を心がけています(本を読む時間を減らして、作業に充てるなど)。

また、急を要する打ち合わせであれば、「対面」ではなく、「Zoom(ズーム)」や「Skype(スカイプ)」などの会議ソフトを使ってオンラインミーティングをする。

その日中に仕事を完遂できないのであれば、少しだけでも進めておいて、次回につなげる。

アウトソーシングできる案件であれば、外部の力を借りる……など、臨機応変に対応しています。

「基本的にイレギュラーの仕事は受けない。緊急性、重要性が高い場合は、できる範囲で最大限の努力をする」これが私のスタンスです。

どうしてもうまくいかないときは、「損切り」の発想を持つ❖ムダな努力には見切りをつけることも必要

ある方法で結果が出ないときは、PDCAサイクルを回して、「うまくいかなかった原因はどこにあるのか」「同じ失敗を繰り返さないためには、どうすればいいか」を考え、改善に着手します。

では、PDCAサイクルを回し続けても結果が出ない場合、どうするか。

たとえば、「100万円の売上を見込める新商品」の企画を立てたとします。

ところがその企画がうまくいかなかった場合、打つ手は、2つあります。

①まったく違うアプローチを考える今までの延長線上で企画を練り直すのではなく、「まったく別のやり方」「まったく別の考え方」「まったく別の方向」からその企画を実現する方法を考えます。

②まったく違う企画を考える結果が出ない行動をいつまでも続けるのは、時間の浪費です。

実現の可能性が低いのであれば、潔くその企画を捨てて、別の企画を考えます。

ファイナンスや経済学では、「サンクコスト」という概念が使われています。

・サンクコスト……すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のこと。

それまでに費やした労力、お金、時間などを惜しんで、それが今後の意思決定に影響を与えることを、サンクコスト効果といいます。

人は、自分が今まで払ったコストを棒に振ることができない傾向にあります。

時間や費用をかけた出来事を、「せっかくだから」「もったいないから」といつまでもやめられないのは、サンクコストによるものです。

たとえば、値上がりを期待して買った株が値下がりしても損切りができないのは、サンクコストが判断を鈍らせているからです。

行列ができている飲食店に並んだとき、並んですぐであれば「ほかの店に変えよう」と変更するのは簡単です。

しかし、長時間並んだあとでは、「投資した時間をムダにしたくない」という思いから、「もう少し並んでみよう」という判断をしがちです。

人間は、もう戻ってこないコストを気にするあまり、合理的な判断ができなくなります。

ですが、労働生産性を上げるには、過去のサンクコストを排除して、「未来」にフォーカスすべきです。

うまくいかない場合はこれまでの手法を捨てて違うアプローチを試す。

それでも結果が出ないなら、「100万円の売上を見込める新商品」という企画から離れて、まったく新しい企画を考えたほうが結果につながります。

良い人材、良いスタッフが集まらなければ、生産性は上がらない❖人材が集まらないのは、経営者に魅力がないから

多くの歯科医院で、人材不足が深刻になっています。

帝国データバンクの調査によると、2018年度の医療機関の倒産は40件で、2010年以来8年ぶりに40件を超えました。

しかも、「歯科医院」の倒産が23件と、全体の57・5%を占めています。

倒産が急増しているのは、「人の集まりやすい地域で開業が相次ぎ、競合が激化している」「人口減少など、歯科医院の顧客獲得が次第に難しくなっている」といった要因のほかに、「人手不足倒産」が挙げられます。

歯科衛生士や医療事務資格者の確保が、困難な状況になっています。

人手不足を放置すると、生産性が落ちて、行き着くところは倒産です。

歯科医院をはじめ、中小企業の人手不足を解消する方法は、2つあります。

【人材不足を解消する方法】①新しい人材を採用する②既存の人材の離職を防止する①新しい人材を採用する「いのうえ歯科医院」も、かつては人手不足、人材難に苦しんだことがあります。

当時の私は「人が集まらないのは、環境のせいだ。

帯広という地方都市にいる以上、人は集まらない」と決めつけ、根本的な問題が「私自身の考え方」にあることに気づいていなかったのです。

「いのうえ歯科医院」に人が集まらなかった本当の理由は、「井上裕之」という人間に魅力と能力がなかったからです。

そのことに気がつき、自己成長に邁進した結果、優秀なスタッフを集めることができました。

人材を採用したいなら、経営者(上司やリーダー)が魅力的になるのが近道です。

②既存の人材の離職を防止する転職サイト『リクナビNEXT』が転職経験者100人を対象に退職理由の「本音」を調査したところ、次のようなランキング結果になりました(参照:『リクナビNEXT』「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」)1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)2位:労働時間・環境が不満だった(14%)3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)4位:給与が低かった(12%)5位:仕事内容がおもしろくなかった(9%)6位:社長がワンマンだった(7%)この調査結果が示しているのは、「労働条件よりも、人間関係の不満で仕事を辞める人が多い」「とくに、上司や経営者など、自分より地位の高い人との人間関係に不満がある」ということです。

では、どうすれば「人間関係の不満」による退職を防ぐことができるのでしょうか。

どれほど親しい間柄であっても、自分と相手の考え方、価値観には違いがあります。

したがって、不満や違和感を100%なくすことは不可能です。

けれど、なくす努力はすべきです。

人間関係における不満や違和感は、わだかまりになります。

わだかまりはやがてストレスを生み、ストレスが許容範囲を超えると爆発し、退職につながります。

ですから、部下の不満や違和感を減らすためには、「価値観を揃えること」「上の立場にいるほうがしっかり説明すること」が大切です。

❖上司と部下、社長と社員の価値観を揃える

離職を防ぐには、社内で「価値教育」を実施して、経営者や上司と、社員の間で価値観(経営理念、会社としてのミッションなど)を共有することが大切です。

「いのうえ歯科医院」では、朝礼を習慣化して、私が「目標を持つことの重要性」などについて説明しています。

また、Facebook(フェイスブック)内に非公開グループページをつくり、私の出版や講演内容の抜粋、歯科医療のトピックス、業務報告などを上げています。

スタッフの疑問や悩み、問題は、直接相談にのっています。上下関係おいては、どうしても下の立場にあるほうが、わだかまりを飲み込みがちです。

そうならないように、上司は部下に対して「何か疑問はない?」と問い続ける。部下が疑問を感じているようなら、きちんと説明をする必要があります。

企業における競争力の源泉は「人材」です。人材戦略は経営戦略の中心に位置付けられます。

強い組織をつくるには、経営者サイドが魅力的になること。そして、経営者サイドと社員の価値観を揃えることが大切です。

悔しさや屈辱感は、自分を成長させる原動力❖現状に満足したとたん、気がゆるみはじめる

ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のバンタム級王者、井上尚弥選手は、「バンタム級史上最強」「日本ボクシング史上最強」とまで言われる選手です。

WBSSとは、団体の垣根を越えて、トーナメントで「誰が一番強いか」を決する大会です。

彼を最強にしたのは、勝負に向けてぬかりなく日々を送る心がけと、たゆまぬ努力と、そして「悔しさ」でした。

井上尚弥選手も、最初から最強だったわけではありません。高校時代、井上尚弥選手は、国内の大会で2敗、海外で4敗しています。

負けたときは相当悔しい思いをしたそうですが、負けたからこそ、「これまでと同じやり方では通用しない」ことに気がつきました。

ロンドン五輪出場をかけた最終予選でも、井上尚弥選手は僅差で負け、出場を逃しています。負けた要因のひとつは、気のゆるみです。

当時を振り返って、「心のどこかにあった『18歳でオリンピックに挑戦できているだけでも凄いこと』という思いが練習のときの気のゆるみにつながり、当日の試合でも気負いすぎて力んでしまった」と井上尚弥選手は答えています(参照:転職コンシェルジュ『ワークポート』」/井上尚弥選手スペシャルインタビュー)。

❖私が「世界最高レベルの歯科医師」を目指したきっかけ

悔しさや屈辱感は、自分を変える原動力になります。私が「世界最高レベルの歯科医師」を目指すようになったのも、30代後半で、大きな挫折を味わったからです。

当時、開業したばかりの「いのうえ歯科医院」に、大勢の先輩医師が見学にいらしたことがありました。

治療の様子を見ていただいたあと、とある大御所の先生が発した言葉に、私の頭の中は真っ白になりました。

「井上先生も頑張っているけれど、一流の先生なら、もっといい治療をするよ」屈辱的でした。

「優秀な歯科医師になろう」と努力を続け、高度な治療技術を身につけ、良い仕事をしているつもりでした。

ところが私の仕事は、「及第点レベル」「ギリギリ合格点レベル」「頑張っていることが目に見えるレベル」でしかなかったのです。その悔しさが私を変えました。

私は、「優秀な歯科医師を目指しているうちは、一流にはなれない。一流になるには、世界最高レベルを目指さなければならない」と誓ったのです。

その後は必死になって自分を磨き、腕を上げ、臨床データを集め、UCLAの教授陣にも評価され、私は歯科医師としてのステージを上げることができたのです。

あの日の悔しさがなかったら、私はより高い知識や技術を求めることなく、自己満足で終わっていたかもしれません。

❖悔しさは、ネガティブでなくポジティブ

一所懸命頑張っているのに結果が出ないとき、人は「悔しい」と思います。悔しさとは、自分自身が求めているものを得られないときに生じる気持ちです。

努力を惜しまなかったのに、結果を出せない自分自身へのはがゆさでもあります。一所懸命頑張っていなければ、人は「悔しい」とは思いません。なぜなら、頑張らなければ結果が出ないのは当たり前だからです。

「これほど頑張ったのに結果が出ないなら、もういいや」とあきらめ、投げ出したときも「悔しい」とは思いません。

悔しさは、「結果が出るまであきらめたくはない」という純粋な気持ちのあらわれなのです。うまくいかないとき、問題が起きたとき、結果が出なかったときは、上手に悔しがる。

そして、「自分に足りないものは何か」「どうすれば今よりもっとできるようになるのか」を分析して、今からやるべきことを検証する。

悔しさを覚えるのは、「自分ならもっとできるはずだ」という自分に対する期待があるからです。

悔しさをネガティブにとらえるのではなく、ポジティブにとらえる。そうすれば悔しさは、自分自身を限りなく前進させるエンジンとなります。

食事も、睡眠も、入浴も「仕事の一部」と考える❖睡眠不足は集中力の低下を引き起こす

私は、「できることなら、24時間、眠ることなく働き続けたい」と思っていますが、一方で休息の重要性を誰よりも理解しているため、睡眠負債(睡眠不足が積み重なって不調を引き起こす状態)を溜め込まないように心がけています。

就寝時間はとくに定めていないので、「疲れを感じた時間」に、床に就きます(平均すると、深夜12時から1時くらいに就寝)。起床は、午前6時前後。

就寝時間が何時になっても、同じ時間に起きています(休日も同じ時間に起きています)。カーテンを閉めないので、日の出とともに目が覚めることもあります。

睡眠不足は集中力の低下につながり、ひいては仕事の生産性を落とすことになるので、十分な休養を取ることが大切です。

❖仕事の成果を上げたいなら、しっかり寝て、たっぷり食べる

仕事が忙しくなると、人はつい、「寝る間も惜しんで仕事をする」「お風呂に入らずに、シャワーだけで済ます」「急いで食事を終わらせる」ことがあります。

睡眠も、入浴も、食事も、本来であれば「仕事以上に大切なもの」です。それなのに、忙しいという理由で軽んじてしまうのは問題です。

「仕事をしている」という充足感があるため、短期間であれば疲れを感じることはないかもしれません。

しかし、忙しさにかまけて日常生活をおろそかにすると、次第にスタミナ、エネルギー、集中力が枯渇してきて、「頑張れば頑張るほど、成果が出ない」という悪循環に陥ってしまいます。

どれほど仕事が忙しくても、ゆっくり食事を味わう。たっぷり睡眠を取る。ゆっくりお風呂に入る。1日の疲れを取ることも、仕事の生産性を上げるためには大切です。

食事も、睡眠も、入浴も「仕事の一部」と考える。リラックス&リフレッシュすることは、「怠けること」ではなく、むしろ、生産的な行動だと考えるべきです。

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