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Chapter2売買契約の流れと取引条件

目次

Chapter2売買契約の流れと取引条件

0201市場調査(マーケティング)0202信用調査0203取引交渉の流れ0204取引交渉の内容0205契約書(Contract)0206インコタームズ(INCOTERMS)2020年版インコタームズ(Incoterms2020)EXW工場渡し(ExWorks)FCA運送人渡し(FreeCarrier)CPT輸送費込み(CarriagePaidTo)CIP輸送費保険料込み(CarriageandInsurancePaidTo)DAP仕向地持込渡し(DeliveredAtPlace)DPU荷卸込持込渡し(DeliveredAtPlaceUnloaded)DDP関税込持込渡し(DeliveredDutyPaid)FAS船側渡し(FreeAlongsideShip)FOB本船渡し(FreeOnBoard)CFR運賃込み(CostandFreight)CIF運賃保険料込み(CostInsuranceandFreight)0207インコタームズ2010と2020の対比0208インコタームズ規則が定めていないこと

Chapter2売買契約の流れと取引条件

0201Trading市場調査(マーケティング)マーケティングの主な要素は4つのPです。

市場と商品のマッチングを探るマーケティングは、ターゲットとする市場と商品のマッチングを探る作業で、顧客のニーズや嗜好の調査、顧客層の購買力に見合った適切な価格戦略の策定、ニーズに合った商品の調達や開発、商品の宣伝活動、ブランド戦略、最適販売ルートの調査などを行います。

このように多くの要素を複合的に検討することをマーケティングミックスと呼んでいます。

輸出のマーケティング輸出のマーケティングでは、ターゲット市場は海外になりますので、その国の風土、気候、文化、政治、人口、一人当たりGDP、宗教など、基本的な情報に始まり、発展途上国であれば今どの段階にあるか、など商品の特性に応じた各種情報を収集し、戦略を練ることとなります。

輸入のマーケティング輸入のマーケティングでは、ターゲット市場は日本ですので、法規制、国内市場規模、消費者動向や嗜好、競合商品、販売ルートなどの調査を行います。

近年多くの企業は、世界規模で事業展開を行っており、資源や材料の調達、人件費や労働の質などを考慮した最適製造地の選定、FTAやEPAによる規制緩和の活用など、複合的な調達・製造・販売戦略を策定しています。

たとえば、インドネシアやベトナムで製造した部品をFTAにより無税でタイへ輸入し、タイで製造した製品を日本に輸入する、といった地域をまたがった展開が行われています。

今後ともマーケティングのグローバル化はますます活発になるものと考えられます。

また、マーケティングの時点でその商品の輸出入についての法規制や、輸入国で流通する際に受ける各種規制の有無を調査しておきます。

取引先探しの方法貿易取引の相手探しは、海外に多くの現地法人や支店を持つ商社を通して探せば効率よく作業を進められますが、商社への手数料が発生します。

このように商社を介した間接貿易ではなく、直接貿易を狙うのであれば、コンサルティング会社の利用、ジェトロや相手国の在日大使館などの機関への照会、その商品の業界紙やインターネットなど広告媒体を通じて検索するなどの方法が考えられます。

ジェトロには世界各国の会社概要が記載されたダイレクトリー(企業便覧)もあり、取扱品目なども検索できます。

自社の能力や商品の特性などを考慮して効率のよい方法を選択することとなります。

国際見本市、展示会

各業界で実施されている国際見本市や展示会は、多くの売手と買手候補が一堂に会しますので、取引先探しや商品情報の収集に有効な場となっています。

売手企業はブースを構えて自社製品のサンプル展示や紹介を行います。

ブースの一角に商談コーナーを設置して展示会の場で商談を成立させる場合もあります。

0202Trading信用調査取引先の信頼度は、貿易取引の大きなカギとなります。

取引先の信用調査の方法取引先信用度の調査は、取引先の訪問面談、取引銀行への照会、業界内での情報収集、専門調査機関への調査依頼などいろいろな方法を織り交ぜて行います。

中でも、専門調査機関による調査は、客観的な情報や評価を迅速に取得できますので、費用はかかりますが、広く利用されています。

信用調査機関は世界各国にありますが、ダンレポートの名で知られる米国のDun&Bradstreet社が海外企業の調査に広く利用されています。

信用調査報告書信用調査報告書は、各調査機関がそれぞれの特色を出した書式で作成しています。

信用調査報告書には、会社の沿革、規模、主要株主といった基本情報、業界での位置や業歴などの営業情報、手元資金や借入状況などの財務情報、そのほかに安定性、成長性、経営者の資質など、多くの項目について調査機関による独自の評価が記載されます。

また、項目ごと評価や総合評価を点数で表し、わかりやすくするしくみも施されています。

カントリーリスク貿易取引では、取引先の信用度とは別の次元で、取引相手国の政治や経済状態により商品代金や投資資金の回収ができなくなるカントリーリスクがあります。

その国と取引を行う以上、カントリーリスクは避けられませんが、取引を開始するにあたり考慮する必要があります。

カントリーリスクの格付けはOECDや民間格付会社が行っています。

0203Trading取引交渉の流れ一方が出したオファー、またはカウンターオファーを、他方が無条件で承諾したときに売買契約は成立します。

引合い(Inquiry)引合いはお互いのニーズを相手先が満たせるかどうかを照会する交渉の前段階です。

たとえば、台所用品の取引であれば、輸出者が自社のカタログや価格表などを相手先に送付したり、輸入者が自分が希望するデザインを伝えてサンプルを取り寄せたりして、交渉の下地作りを行います。

複数の取引候補先がある場合には、この段階で交渉相手の絞込みを行います。

オファー(Offer)オファーは一般的には申込みの意味ですが、貿易取引のオファーは、「この条件価格でその商品を買うまたは売る」ことを相手方に確約する、すなわちオファーを受けた側がそのオファーを承諾(Accept)すれば契約が成立する拘束力を持つ行為となります。

オファーには、契約当事者、商品名、規格や品質、数量、重量、価格と貿易取引条件、輸送方法、梱包、船積時期、支払条件、保険、オファー有効期限などの主要事項に加え、その取引に応じた必要事項(以下参照)を記載します。

カウンターオファー(CounterOffer)オファーを受取った側が承諾せず、逆に「この条件価格でその商品を買うまたは売る」ことを相手方に意思表示する反対申込みをカウンターオファーといいます。

カウンターオファーは元のオファーを拒絶して新たなオファーを返すことなので、カウンターオファーを出した時点で元のオファーの有効性はなくなります。

通常は、カウンターオファーを何度も往復させて条件を煮詰め、契約に至ります。

0204Trading取引交渉の内容取引交渉は、価格の前提となる各種条件を確認しながら行われます。

品質条件(商品に係る確認)商品の特性に応じて、次のような確認方法が採られています。

見本売買:見本品の形や機能によって品質を決める方法で、雑貨類などの加工製品に用いられます。

売手は見本と同じ品質の製品を提供する義務を負います。

標準品売買:農林水産品や鉱業品のように自然条件等により品質が左右される商品に用いられる方法で、平均的な品質や販売に適した品質を基準にして取引されます。

輸送中に品質に変化がおこる可能性のある商品であれば、品質決定の時期を船積品質条件とするか陸揚品質条件とするかも取決めます。

仕様書売買:設計図や仕様書によって品質を決める方法で、プラント機械類など商談ごとに仕様の異なることの多い商品に用います。

規格売買:ISOなどの国際規格やJISのように各国で策定されている規格により品質を決める方法で、工業製品などに用います。

銘柄売買:世界的なブランド名やトレードマークを指定することで品質を決める方法で、ブランド商品売買に用います。

数量条件(数量に係る確認)商品の数量は、個数、重量、容積、長さなどで表されますが、国により基準が異なることもありますので、数量の単位を確認しておきます。

個数の単位:個数(Piece数)、ダース(1Dozen=12個)、グロス(1Gross=12Dozen=144個)などと表示されたり、機械パーツセットのようにセットを1単位として表示されたりします。

重量の単位:重さの単位にはポンド(lbs)、キログラム(kg)、トン(Ton)などが使用されます。

ばら貨物(穀物、鉄鉱石、石炭など)で輸送中に水分蒸発などにより重量が変化する可能性のある商品は、重量決定の時点を、船積重量条件とするか陸揚重量条件とするかも取決めを行います。

貨物保護のために梱包を行う商品の場合は、梱包材重量を含まないNet重量とするか、総重量Gross重量とするかも取決めます。

容積:容積の単位には、立方メートルや立方フィート(CubicFeet)があり、木材等の商品に用いられています。

また原油などの液体貨物ではバレル(Barrel=樽の意)という特有の単位が用いられています。

長さの単位:長さの単位はメートル法によるメートル(m)やキロメートル(km)のほか、ヤード法によるインチ(in)、フィート(ft)、ヤード(yd)などが鉄鋼のパイプや電線などの商品に用いられています。

貿易取引条件(価格に係る確認)価格については、取引通貨と貿易取引条件の確認が必要です。

通貨は円貨であれば日本の輸出入者は為替変動リスクを回避できますが、外国通貨であればリスクを負います。

貿易取引条件はインコタームズ規則が広く採用されています。

輸送条件(輸送に係る確認)輸送については、商品に適した輸送方法の選択と船積時期の確認を行います。

また、梱包方法、分割船積みや途中積替えの可否などの付帯条件も確認します。

決済条件(代金支払いその他に係る確認)代金支払いについては、代金決済方法や支払時期、支払いに用いる帳票書類の確認などを行います。

その他、貨物保険条件や船積前検査の有無などの確認を必要に応じて行います。

0205Trading契約書(Contract)契約書には、交渉段階で合意した事項に加え、不可抗力条項や準拠法などの一般条項をお互い確認して記載します。

売買契約書取引交渉が成立すれば、すみやかに売買契約書を結びます。

売買契約書には、交渉段階で合意した諸条件(商品、品質、数量、重量、個数、荷姿、価格、貿易取引条件、輸送方法、船積時期、保険条件、代金決済など)を記載するとともに、交渉段階では触れていなかった不可抗力条項や準拠法などの一般的な条件を確認して作成します。

一般条項については、売手と買手は優位に立つために自社の書式(フォーム)の使用を主張する場合があります。

このことを「書式の戦い(BattleofForms)」と呼んでいます。

書式の戦いは初めての相手との取引のときに発生する可能性がありますが、妥協点を見出して契約書を作成してゆくこととなります。

契約書は、通常は2通正本を作成し、両者が署名した後に1部ずつ保管します。

継続的な取引先の場合継続的に取引を行う相手先の場合、船積みごとに契約書を作成することは手間がかかりますので、主要な項目を売買基本契約書として締結しておき、個々の価格交渉での合意事項(商品、価格、船積時期など)を売約書や発注書といった簡便な書式で作成する方法も採られています。

また、売約書の裏面に一般条項を印刷しておくことも行われています。

この場合も裏面記載事項をめぐり、「書式の戦い」がおこる可能性があります。

0206Tradingインコタームズ(INCOTERMS)貿易取引では、売主と買主の各種義務を定めた規則であるインコタームズが広く利用されています。

インコタームズ(INCOTERMS)とはインコタームズ(INCOTERMS*1)は、国際商業会議所(ICC*2)が制定した貿易取引規則のことです。

インコタームズは1936年に初めて制定され、その後鉄道や航空輸送の発展やコンテナ船の出現など運送手段の変革に対応して、1953年、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年、2010年に改訂が行われ、現在は2020年1月1日に発効したINCOTERMS2020が最新版となっています。

インコタームズは、次の表の通り売主と買主の各種義務を規定しています。

その要点は、売手から買手への商品の引渡場所である「危険負担の分岐点」と、その価格に含まれる費用である「費用の分担」をアルファベット3文字の略号で規定していることで、取引内容に合わせて選択できるように11類型を定めています。

インコタームズ2020の11規則は、2つのグループに分類されています。

第1グループの7規則は、商品の引渡場所を場所(Place)で規定する規則で、コンテナ輸送による陸・海・複合一貫輸送や航空輸送などすべての運送モードに対応しています。

第2グループの4規則は、商品の引渡場所を港(Port)で規定する規則で、海上または内陸水路運送を行う船舶運送にのみ対応しています。

インコタームズと売買契約インコタームズは、国際条約ではないので強制力はなく、売買契約の当事者がインコタームズの採用の合意をすることによって、契約の取引条件として効力を発揮するものです。

インコタームズを契約に採用する場合は、「INCOTERMS2020」の文言を契約書の価格の建値として記載しておきます。

インコタームズは危険と費用分担は規定していますが、契約全体を示しているわけではなく、所有権の移転についても触れていません。

売買契約全体については、ICCモデル国際売買契約などを活用することが考えられます。

*1INCOTERMS:InternationalCommercialTerms*2ICC:InternationalChamberofCommerce

2020年版インコタームズ(Incoterms2020)

EXW工場渡し(ExWorks)EXWの危険分岐点EXWでは、売手の施設またはその他の指定場所(工場、製造所、倉庫など)で、買手に物品の処分を委ねたときに引渡しが行われ危険が移転します。

商品を引取るトラックなどの車両に商品を積込む義務は売手にはありません。

費用の分担EXWの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり買手は、自らが手配した車両への積込みを含め、物品の引渡し以降に発生する費用を負担します。

EXWの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに買手が自らの責任と費用で行います。

EXWの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出通関、輸入通関ともに、買手の負担になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

ただし、買手からの依頼があれば、売手は買手の危険と費用により輸出許認可取得や輸出通関に助力し、また物品の安全確認のために必要とされる情報を提供する助力義務があります。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査も含めて買手の負担となります。

EXWの留意点EXWは、売手の負担が最小、買手の負担が最大の規則です。

買手が直接または間接に輸出通関許可を取得できない場合は、EXWの使用は避けるべきです。

実務上、売手が積込みを行ったほうがよい状況もあります。

この場合、EXWloadedなどの表現を使ってインコタームズを変形させて使用することもできます。

ただし、変形させる場合には、危険と費用の分担を売買契約に明記しておくことが肝要です。

(例:EXWloadedatseller’sexpensebutatbuyer’srisk)。

買手が積込み作業中の危険負担を回避したい場合は、FCA規則の利用も有効です。

FCAでは、積込みが売手の施設で行われる場合は、売手が積込み時の危険と費用を負担します。

FCA運送人渡し(FreeCarrier)FCAの危険分岐点FCAでは、売手が指定引渡地で、買手が手配した運送人に物品を引渡したときに危険が移転します。

(1)指定引渡地が売手の施設であれば、物品が買手によって手配されたトラックなどの輸送手段に積込まれたときに危険が移転します。

(2)指定引渡地がその他の場所であれば、物品が荷おろしの準備ができている売手の輸送手段の上で、運送人に引き渡されたときに危険が移転します。

具体的には、コンテナ輸送であればコンテナヤード(CY)やコンテナフレートステーション(CFS)搬入時、航空輸送であれば航空貨物ターミナル搬入時の車上で危険が移転します。

運送人には実輸送手段は持たずに輸送契約を引き受けるNVOCCやフレイトフォワーダーなども含まれます。

費用の分担FCAの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、指定引渡地で運送人に引渡した時点が費用負担の分岐点となります。

FCAの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに買手が自らの責任と費用で行います。

FCAの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

売買契約で、売手に船積式船荷証券(0323船積式(ShippedB/L)と受取式(ReceivedB/L)、船荷証券の例②船積式フォーム記名式B/L)の提供を義務付ける場合、受取式船荷証券(0311、0323船積式(ShippedB/L)と受取式(ReceivedB/L)、船荷証券の例①受取式フォーム指図式B/L)に積込み済みの付記(OnBoardNotation)を行うことにより船積式船荷証券と同等とみなすとして運用されてきました。

インコタームズ2020年版ではこのしくみを取り入れ、「契約でそのような合意がある場合には、買手は自己の運送人に対して積込み済みの付記のある船荷証券を売手あてに発行するように指示しなければならない」ことを「利用者のための解説ノート」に記しています。

CPT輸送費込み(CarriagePaidTo)CPTの危険分岐点CPTでは、売手が指定引渡地で運送人に物品を引き渡したときに危険が移転します。

運送人には実輸送手段は持たずに輸送契約を引受けるNVOCCやフレイトフォワーダーなども含まれます。

CPTの使用方法は、売手が運送費を支払う輸入地側の指定仕向地をインコタームズ記号の後に表記しますが、危険の分岐点はFCAと同様に輸出地における運送人への引渡し場所(コンテナヤードや航空貨物ターミナルなど)であることに注意が必要です。

費用の分担CPTは、費用負担と危険の分岐点が異なります。

売手は、危険分岐点である運送人への引渡し地点までの費用に加え、指定仕向地までの輸送費を負担します。

また、船や航空機からの荷おろし費用は、運送契約に従うことになります。

一般的に、コンテナ船輸送や航空輸送では、船や航空機からの荷おろし費用は輸送費に含まれています。

CPTの運送および保険契約運送契約は売手が締結し費用も支払います。

保険契約は買手が自らの責任と費用で行います。

CPTの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは、売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

CPTでは売手が輸送手配を行いますが、輸送中の危険は買手に帰属します。

買手としては、商品に適した輸送手段や経路などを売買契約で売手に適切な指示を行っておくことが肝要です。

老齢船やオンデッキ(甲板)積など危険率の高い輸送には高い保険料率が課せられますので、買手の保険手配の面からも注意が必要です。

仕向港到着日の規定は避けるCPTでは売手の義務は合意した期間に船積みを行うことであり、船積後の出来事は買手の危険に属します。

当事者が到着日を規定する意図がある場合は、持込渡しであるDグループ規則を使用します。

CIP輸送費保険料込み(CarriageandInsurancePaidTo)CIPの危険分岐点CIPの危険の分岐点はFCAやCPTと同じで、売手が指定引渡地で運送人に物品を引き渡したときに危険が移転します。

運送人には実輸送手段は持たずに運送契約を引受けるNVOCCやフレイトフォワーダーなども含まれます。

CIPの使用方法もCPTと同様に売手が運送費を支払う輸入地側の指定仕向地をインコタームズ記号の後に表記しますが、危険の分岐点はFCAやCPTと同様に輸出地における運送人への引渡し場所となります。

費用の分担CIPは、費用負担と危険の分岐点が異なります。

売手は、危険分岐点である運送人への引渡し地点までの費用に加え、指定仕向地までの輸送費と保険料を負担します。

CIPの運送および保険契約運送契約および保険契約は売手が締結し費用も支払います。

CIPの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは、売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

その他の留意点CIPの場合もCPTと同様に、売手は仕向港到着日の規定は避け、また買手としては輸送方法や手段に注意することが肝要です。

保険条件について、インコタームズ2020年版では、「売手の義務は、最も広い補償範囲を持つICC(A)条件またはそれと同等」と改定されました。

協会戦争約款や協会ストライキ約款の追加補償は、売手手配の保険に既に含まれている場合を除き、買手負担となります。

保険期間は、引渡し地点(危険の分岐点)から指定仕向地まで、保険金額は、最低でも契約で定められている価格プラス10%(すなわち、110%)を補償すべき、と規定しています。

輸送中の危険は買手負担なので、商品に適した輸送手段や経路などを売買契約で規定しておくことが肝要なことはCPTと同じです。

DAP仕向地持込渡し(DeliveredAtPlace)DAPの危険分岐点DAPは、輸入国側の指定仕向地に到着した輸送手段の上で、物品が荷おろし準備ができ、買手の処分に委ねられたときに危険が移転する規則です。

売手は、指定仕向地までの危険を負担しますので、倉庫、物流センター、工場など指定仕向地や仕向地内の地点を契約当事者間でできる限り明瞭に特定しておくことが重要です。

また、売手はその地点に正確に一致する運送契約を結んでおくことが必要です。

DAPは、仕向港や空港に荷おろしした商品を、さらにほかの場所へ輸送して、荷捌きをするような場合に適しています。

費用の分担DAPの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、売手が手配した運送手段(コンテナやトラックなど)が指定仕向地に到着し、その運送手段の上で買手の処分に委ねられた時点が費用負担の分岐点となります。

DAPの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに売手が自らの責任と費用で行います。

DAPの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは、売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

DAPでは、到着した運送手段上で物品を引渡すことが可能な施設を指定仕向地として取り決めることが適切です。

コンテナ輸送や航空輸送では、到着したコンテナターミナルや空港での船や航空機からの荷おろし作業は運送人が行い、その費用は輸送費に含まれるのが一般的です。

DAPでは、「売手が運送契約において指定仕向地での荷おろし費用を負担した場合は、買手からその費用を回収する権利はない」と規定しています。

指定仕向地が、コンテナヤードや空港貨物ターミナルの場合は、DPU規則を使用することが適切です。

DPU荷卸込持込渡し(DeliveredAtPlaceUnloaded)DPUの危険分岐点DPUの危険の分岐点は、輸入国側の指定仕向地において、到着した運送手段から荷おろしされ、物品が買手の処分に委ねられたときに危険が移転します。

指定仕向地には、埠頭、コンテナヤード、空港や鉄道の貨物ターミナル、物流倉庫などが含まれ、屋根の有無は問われません。

もし可能であれば、ターミナル内の特定の地点を、できる限り明瞭に特定し、売手はその地点に一致する運送契約を結んでおくことが必要です。

費用の分担DPUの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、物品が到着した輸送手段から荷おろしされ、買手の処分に委ねられた時点が費用負担の分岐点となります。

指定仕向地がコンテナターミナルや空港貨物ターミナルの場合は、運送手段からの荷おろし費用は、通常は輸送費に含まれています。

指定仕向地が内陸の倉庫などの場合は、その場所での運送手段(コンテナやトラックなど)からの荷おろし作業を売手が手配できることが必要です。

DPUの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに売手が自らの責任と費用で行います。

DPUの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは、売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

DPUは2020年版で新設された規則です。

前身の2010年版DAT*は、指定仕向地を「到着したターミナル」と規定していましたが、2020年版では指定仕向地をターミナルに限定せず「いかなる場所でも可」と範囲を広げてDPUに改称しました。

これに伴い、荷おろし前に引渡しが行われて危険が移転するDAPを前に順序を入替えました。

DPUは指定仕向地において、売手に荷おろしを要求する唯一の規則です。

売手は指定場所で荷おろしの手配ができる立場にあることを確実にする必要があります。

*DAT:DeliveredAtTerminal

DDP関税込持込渡し(DeliveredDutyPaid)DDPの危険分岐点DDPは、輸入国側の指定仕向地に到着した輸送手段の上で物品が荷おろし準備ができ、輸入通関を済ませ、買手の処分に委ねられたときに危険が移転する規則です。

売手は、指定仕向地までの危険を負担しますので、倉庫、物流センター、工場など指定仕向地や仕向地内の地点を買手との間でできる限り明瞭に特定し、その地点に正確に一致する運送契約を結んでおくことが重要です。

費用の分担DDPの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、売手が手配した輸送手段(コンテナやトラックなど)が指定仕向地に到着し、輸入通関を済ませ、買手の処分に委ねられた時点が費用負担の分岐点となります。

DDPの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに売手が自らの責任と費用で行います。

DDPの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続き、および輸入に係る通関、許認可取得は売手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

輸入時に支払われる付加価値税その他の税金は、売買契約において明確な合意がなければ、売手の負担となります。

物品の船積前検査費用は、輸出国または輸入国の当局によって命じられる検査も含めて売手の負担となります。

もし、売手が運送契約において、指定仕向地における荷おろし費用を負担した場合は、契約当事者間で別段の合意がなければ、売手は買手から荷おろし費用を回収する権利はありません。

DDPの留意点DDPは、売手の負担が最大、買手の負担が最小の規則です。

売手が直接または間接に輸入通関許可を取得できない場合は、DDPの使用は避けるべきです。

FAS船側渡し(FreeAlongsideShip)FASの危険分岐点FASでは、売手が指定船積港において買手によって手配された本船の船側に物品を置いたときに引渡しが行われ、危険が移転します。

買手は、契約で定められた期日または期間内に、商品を指定船積港で引取るための船舶を手配します。

本船の船側には、本船が着岸している「埠頭」や、沖の繋留ブイなどで船積みをする際に本船に横付けする「艀」などの場合があります。

費用の分担FASの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、指定港本船船側で運送人に引渡した時点が費用負担の分岐点となります。

FASの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに買手が自らの責任と費用で行います。

FASの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

コンテナ船で輸送する場合にFASの規則を使用することは、適切ではありません。

コンテナ船輸送では、売手はコンテナヤード(CY)やコンテナフレートステーション(CFS)で運送人への引渡しをするため、本船船側での引渡しを規定するFASは実態と合わないのです。

そのため、コンテナ船で輸送する契約の場合は、FASではなくFCAを使用します。

FOB本船渡し(FreeOnBoard)FOBの危険分岐点FOBでは、売手が指定船積港において買手によって手配された本船の船上に物品が置かれたとき、引渡しが行われ、危険が移転します。

買手は、契約で定められた期日または期間内に、商品を指定船積港で引取るための船舶を手配します。

費用の分担FOBの費用負担の分岐点は、危険と一致しています。

つまり、本船の船上で運送人に引渡した時点が費用負担の分岐点となります。

FOBの運送および保険契約運送契約、保険契約ともに買手が自らの責任と費用で行います。

FOBの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

コンテナ船輸送にはFCAを使用するコンテナ船輸送にFOBの使用は不適切です。

FOBを誤使用すると、コンテナ船の本船上で危険が移転するため、輸出コンテナヤード(CY)保管時の危険を、売手が意図せずに負担してしまいます。

買手が手配する保険の開始時期も本船上となるので、万が一CYで事故が発生した場合には、保険期間対象外として求償不能になります。

FCAを使用すれば、CYで運送人がコンテナを受取時に危険が移転し、買手の保険はコンテナヤード保管時もカバーします。

FOB規則が頻繁に使用されるばら積み貨物の用船契約では、貨物を本船に積んだ後に積付けや荷ならしを荷主の費用で行う運賃建値であるFreeinandoutstowedandtrimmed(FIOST)で取決める場合が多くあります。

売手と買手はより正確性を求めて、FOB規則を変形させて、FOBstowedandtrimmedと表記することがあります。

このとき、積付けや荷ならしの費用と危険はどちらの負担で行われるかを明確にしておくことが必要です。

たとえば、売手の費用と危険で行われると規定するのであれば“Goodsshallbestowedandtrimmedatseller’sriskandexpenseafterthegoodshavebeenplacedonboard”といった規定が考えられます。

CFR運賃込み(CostAndFreight)CFRの危険分岐点CFRの危険の分岐点はFOBと同じで、売手が船積港の本船の船上に物品を置いたときに引渡しが行われ、危険が移転します。

売手は、指定仕向港まで商品を運ぶ輸送契約を結びます。

CFRの使用方法は売手が運賃を支払う輸入地側の指定仕向港を表記しますが、危険の分岐点はFOBと同様に輸出港における本船上であることに注意が必要です。

費用の分担CFRの費用負担の分岐点は、危険と異なります。

売手は、本船の船上で運送人に引渡すまでの費用に加えて、指定仕向港までの運賃を負担します。

運賃に仕向港での荷おろし費用を含むかどうかは、契約時に合意しておき、売手はその合意に従って輸送契約を結びます。

一般的に、定期船は運賃に荷おろし費用が含まれますが、不定期船はケースバイケースです。

CFRの保険契約保険契約は買手が自らの責任と費用で行います。

老齢船や甲板上船積みなど危険率の高い輸送には高い保険料率が課せられますので、買手は、輸送手段について売手に適切な指示を行っておくことが肝要です。

CFRの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

コンテナ船輸送には不適切コンテナ船輸送の場合は、CFRではなくCPTを使用します。

CFRでは売手の義務は合意した期間に船積みを行うことであり、船積後の出来事は買手の危険に属します。

当事者が到着日を規定する意図がある場合は、持込渡しであるDグループ規則を使用します。

用船契約との整合性CFRにおいて、売手が手配する用船契約の運賃条件が貨物の荷揚げ費用を含むかどうかについては、売手と買手は売買契約で正確に規定しておくことが賢明です。

たとえば、荷揚げの危険および費用は運賃に含むと規定することを意図して、“dischargingcostsuntilplacingthegoodsonthequayshallbeforseller’sriskandexpense”と規定することが考えられます。

CIF運賃保険料込み(CostInsuranceandFreight)CIFの危険分岐点CIFの危険の分岐点はFOBと同じで、売手が船積港の本船の船上に物品を置いたときに引渡しが行われ、危険が移転します。

売手は、指定仕向港まで商品を運ぶ輸送契約と保険契約を結びます。

CIFの場合も、売手が運賃を支払う輸入地側の指定仕向港を表記しますが、危険の分岐点はFOBやCFRと同様に輸出港の本船上となります。

費用の分担CIFの費用負担の分岐点は、危険と異なります。

売手は、本船の船上で運送人に引渡すまでの費用に加えて、指定仕向港までの運賃と貨物保険料を負担します。

荷おろし費用については前節のCFRと同じです。

CIFの保険契約CIFでは売手が、指定仕向地までの貨物海上保険を手配し保険料を支払います。

インコタームズの規定では、売手の義務は最低限の補償範囲の保険(すなわちICC(C)条件)の手配をすればよいとされていますので、買手がそれ以上の保険条件を望む場合は契約時に必要とする条件や追加補償を規定しておく必要があります。

CIFの通関、許認可取得、安全確認その他の手続き輸出に係る通関、許認可取得、安全確認その他の手続きは売手の義務、輸入に係る通関、許認可取得は買手の義務になります。

通関には、輸出入通関手続きに必要な費用、関税、税金などが含まれます。

物品の船積前検査費用は、輸出国の当局によって命じられる検査は売手の負担、それ以外は買手の負担となります。

コンテナ船輸送には不適切コンテナ船輸送の場合には、CIFではなくCIPを使用します。

CIFでは売手の義務は合意した期間に船積みを行うことであり、船積後の出来事は買手の危険に属します。

当事者が到着日を規定する意図がある場合は、持込渡しであるDグループ規則を使用します。

用船契約との整合性CIFにおいて、売手が手配する用船契約の運賃条件と売買契約との整合性の必要性はCFRと同じです。

0207Tradingインコタームズ2010と2020の対比インコタームズ2010と2020の主な変更点は次の通りです。

2020年版における2010年版からの変更点①積込済みの付記のある船荷証券とFCA規則FCAにおいても積込済みの付記(OnBoardNotation)のある船荷証券を求めることが実務上発生しているので、実情に合わせて、その選択肢を追加しました。

②費用の一覧が示されたこと利用者が一目で費用の分担がわかるように項目を整理しました。

③CIFおよびCIPにおける保険補償の水準の相違CIPは工業製品など高価な貨物が多く、最も補てん範囲の広い保険条件ICC(A)が使用されていることより、実情に合わせて、CIPの売手の義務をICC(A)に変更しました。

CIFの売手の義務は、ICC(C)のまま変更はありません。

④FCA、DAP、DPU、DDPの各規則における売手または買手自身の運送手段を用いる運送の取決め売手または買手が、運送契約を締結するのみならず、自ら所有する運送手段を使うことも明文化しました。

⑤DATからDPUへの3文字コードの変更指定仕向地を「ターミナル」に限定していたDATを、「いかなる場所でも可」と適用範囲を広げ、DPUに改称しました。

これに伴い、荷おろし前に引渡しが行われるDAPを前に順序を入れ替えました。

⑥運送契約の手配義務と費用の分担に、安全関連の要件を含めること安全関連の手配義務と費用分担、運送、通関、費用分担の項に記載されました。

⑦利用者のための解説ノート各規則の留意すべきポイントが記載されました。

0208Tradingインコタームズ規則が定めていないことインコタームズは売買される物品の所有権移転は定めていません。

インコタームズが定めていることインコタームズは、主として次の3分野について規定しています。

①売手と買手の義務について;たとえば、運送や保険の手配、運送書類の取得や輸出入許可の取得義務など。

②危険について:売手から買手に危険が移転する時と場所。

③費用について:売手と買手のどちらが、運送費、包装費、積込みや荷おろし費用、検査費用または安全確認に関する費用を負担すべきか。

インコタームズがあえて定めていないこと以下のようなことは売買契約で規定しておくべきこととして、インコタームズではあえて定めていません。

①売買される物品の財産権、権限、所有権の移転②売買される物品の仕様③売買契約が成立しているか否か④代金支払いの時期、場所、方法、使用通貨⑤売買契約の違反に対して請求できる救済方法⑥契約上の債務の履行遅延その他の違反の結果⑦制裁の効果⑧関税の賦課⑨輸出または輸入の禁止⑩不可抗力または履行困難⑪知的財産権⑫紛争解決の方法、場所、準拠法

 

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