MENU

Chapter1時間管理とは、価値観を管理すること

はじめに❖

「井上先生は、マグロですね」先日、私のことをよく知る方から、こんなことを言われました。

「井上先生は、まるで、マグロみたいですね(笑)」マグロやカツオなどの回遊魚は、眠っている間も泳いでいると言われています。

その理由は、「泳いでいないと呼吸ができない」からです。

マグロは泳ぎながら口に海水を取り込み、それをエラに通すことで呼吸しているため、泳ぐのをやめたとたん、死んでしまいます。

ですから、生まれた日から死ぬときまで、一度も止まることなく泳ぎ続けます。

私も、絶え間なく動き続けています。ムダな時間、立ち止まる時間は1秒もない。だから「マグロ」にたとえられたわけです。マグロは、生きるために泳ぎ続けています。

私も、自分らしく生きるために(理想的な人生を手に入れるために)行動し続けています。「井上裕之=マグロ」は、言い得て妙です。

❖私がフル稼動・フル活動しても疲れを感じない理由

私は、歯科医師として、作家として、コーチとして、セラピストとして、フル稼動・フル活動しています。ですが、疲れを感じることはありません。

疲労感の度合いは、やりがい、充実感、達成感などに大きく影響されます。

「疲れそうだ」と思える作業をする際、「気乗りがしない状態で行う場合」と、「楽しみながら行って、作業を終えたあとに充実感を得られた場合」とでは、後者のほうが疲労感は少ないことが明らかになっています(充実感が得られると、脳内に「快」の感情を引き起こす物質、ドーパミンが分泌されるため)。

私が疲れを感じないのは、「すべての時間が、充実しているから」「すべての時間が、『価値のあるもの』だから」「すべての時間が、自分のミッションやビジョンと明確に結びついているから」です。

・ミッション……使命や目的。「何のために生きるのか」「自分の価値は何か」という人生の命題。

・ビジョン………ミッションを達成したときの理想的な状況。私の場合、「日本人の歯に対する価値を、世界レベルに高める」「作家として、読者の人生を変える良書を出版し続ける」というミッションを抱いています。

私は、「こうなりたい」という理想を実現するために、自分のすべての時間を使っています。

だから「疲れ」とは無縁です。自分に対する期待や高揚感があれば、努力も苦労も楽しむことができます。時間は有限資産です。今こうしている間も、時間はどんどん過ぎています。

時間の刻みが人生の終焉(死)に向かっているのであれば、その時間を濃密に使わなくては、「自分の人生を生きている」とは言えないのではないでしょうか。

人生における価値・目的・使命を明確にしないで、目の前にあることに見境なく対応していると、大切な時間を「自分のため」に使うことが難しくなります。

その結果、疲れを覚えたり、苦しくなる。過ぎた時間を取り戻すことはできません。流れゆく時間を止めることはできません。私たちが、物理的に時間を管理することは不可能です。

しかし時間の「使い方」を管理することはできます。時間は有限でも、可能性は無限です。工夫も無限です。

平等に与えられる有限な時間をどのように過ごすかによって、その人の未来、その人の年収、その人の人生が変わります。

目次

❖時間管理とは、価値観管理である

時間管理の本質とは、

  • 生きている時間がムダにならないように、すべての時間に価値を持たせること。
  • 限られた時間の中で、圧倒的な価値を生み出すこと。
  • 有限の時間に、無限の可能性を持たせること。

であると私は考えています。

時間を有意義に使うには、「時間を管理する=価値観を管理する」という発想を持つべきです。

つまり、自分の価値(目的・使命)と関係があることにすべての時間を使い、それ以外のことには時間を割かないことです。

「時間管理=価値観管理」のポイントは、次の7つです。

【価値観管理の7つのポイント】(第1章以降で詳述)

  1. ①価値の高い順に優先順位を考える(第1章)
  2. ②「どうしてもそうなりたい」という強い欲求を持つ(第1章)
  3. ③ルーティン化、パターン化する(第2章)
  4. ④PDCAサイクルを回す(第2章/第4章)
  5. ⑤チームで最大の成果を出す(第3章)
  6. ⑥結果とプロセスを意識する(第4章)
  7. ⑦「やらないこと」を明確にする(第5章)

①価値の高い順に優先順位を考える

自分にとって「価値があるか、ないか」「意味があるか、ないか」を考え、価値があるもの、意味があるものに時間を使います。価値の高い順番で予定を組むのがスケジュール管理の原則です。

②「どうしてもそうなりたい」という強い欲求を持つ

「どうしてもそれがやりたい」「どうしてもそれがほしい」という欲求が強いほど、行動の源泉になります。

三日坊主で終わってしまうのは、目的がぼんやりしているからです。

③ルーティン化、パターン化する

ルーティン化、パターン化によって手順や段取りが決まるため、業務の効率化が可能です。業務が定型化すれば、作業時間や作業量の予測が立てやすくなります。

④PDCAサイクルを回す

定期的にPDCAサイクルを回し、「時間内にすべての仕事を終えることができたか」「質の高い仕事はできたか」「あの行動は正しかったか」「ほかにできることはなかったか」を検証すると、生産性が上がります。

⑤チームで最大の成果を出す

ひとりでは難しくても、チームで仕事に取り組めば、「最短の時間で、最大の結果を残す」ことも可能です。最高のスタッフを集めて、チームを有機的に機能させることが成果を上げる条件です。

⑥結果とプロセスを意識する

ゴール(結果)と期日を定め、それを実現するためのプロセスを逆算して考えると、「今、何をやるべきか」が明確になります。

プロセスが決まったら、あとはそれをひとつひとつ実行していけば、必ずゴールに到着できます。

⑦「やらないこと」を明確にする

余計なものごとを減らせば、「本当にやるべきこと」「本当にやりたいこと」に多くの時間を割けるようになります。

夜ふかし、ゲーム、飲み会、テレビ、ゴルフなど、やらないことを決めると、使える時間を増やすことができます。

❖一流とは、どのような人のことをいうのか?

人生において大切なのは、常に成長を続けることです。そして、自分が成長を望むのなら、「自分よりも結果を出している人たち」から学ぶのが最適解です。

だから私は、医学生だったときから「一流」にこだわり、「一流の歯科医師」なること目指していました。

では、「一流」とは何か。

一流とは、その分野の一等地にいることですが、本書では、次の条件を満たした人を「一流」と定義しています。

  • 一時的な成功で終わらず、維持・継続するために成長し続けている人。
  • 圧倒的な価値を生み出し、提供し続けている人。
  • 仕事と健康のバランスが取れている人。

一流になるためには、どのような目的を持ち、どのように目標を設定し、どのように時間を管理すればいいのでしょうか。

働き方が見直されている中で、短時間・短期間で生産性を上げるには、どのようにスケジュールを組み立てればいいのでしょうか。

時間に使われるのではなく、時間を能動的に使いこなすには、どうすればいいのでしょうか。これらの問いの答えが、本書です。

本書が、100%時間を活かし切るヒントになれば、著者としてこれほどの喜びはありません。

Chapter1時間管理とは、価値観を管理すること

時間には、「2つの概念」がある❖1秒をムダにすることは、人生を粗末にすること

私は、「時間には2つの概念がある」と考えています。「価値のある時間」と「価値のない時間」です。

  • 価値のある時間……「理想の自分」に近づくために必要な時間。自己成長をうながす時間。
  • 価値のない時間……理想、目標、目的と一切関係のない時間。自己成長につながらない時間。ムダな時間。

時間は、誰にでも平等に与えられています。

しかし、目的を持って過ごすのか、それとも無為に過ごすのか、使い方によって結果は大きく変わります。

私はこれまで、一流と呼ばれる多くの成功者と接してきましたが、彼らに共通しているのは、「時間に対する研ぎ澄まれた感覚」を持っていることです。彼らの24時間に、価値のない時間は1秒もありません。

ダラダラとテレビを観たり、SNSやオンラインゲームに興じたり、惰眠をむさぼることなど論外です。人生は、1秒1秒の積み重ねです。1秒をムダにすることは、人生を粗末にすることに等しい。彼らにはその自覚があるから、自分への投資や新しい事業への挑戦に余念がありません。

そして私自身も、「1秒も、時間をムダにしたくない」「1秒も、価値のないこと(=自分の理想や成長につながらないこと)に時間を使いたくない」と考え、時間の最大化を心がけています。私には、明確な目的があります。想い描く「理想の自分」があります。

  • 医師として、日本に欧米と同レベルの「歯の文化」を築きたい。
  • 作家として、(累計ではなく単著で)発行部数100万部のベストセラーを出す。
  • 潜在意識の第一人者として、多くの人の夢実現に関わる。
  • 出会うすべての人が、笑顔で元気になれる存在になる。

私の1分1秒は、この目的を達成するためだけにあります。この目的に結びつかない時間は、私にとって「価値のない時間」=「ムダな時間」です。

❖時間の長さは変えられないが、時間の密度は変えられる

時間の長さは、一定です。誰にとっても1時間は1時間であり、60分であり、3600秒です。時間の長さを変えることはできません。

ですが、長さは変えられなくても、時間の密度や充実度を変えることはできます。密度が変われば、出せる結果の大きさも変わります。

時間の密度を濃くして集中力を高めれば、「同じ時間でたくさんの量をこなせる」あるいは、「同じ仕事をより短い時間でこなせる」ようになるため、成長実感を得ることができます。

では、どうすれば時間の密度を濃くできるのでしょうか。それは、時間に価値を持たせること。1分1秒に、「この時間は、これをするためにある」と明確に意味を持たせることです。

ゴールに到着するために必要な行動以外の一切をやめる(睡眠や食事といった、生きていく上で不可欠なことには時間を使う)。

すると時間の密度が上がるので(やりたいことだけをやればいいので)、理想の自分に向かって成長することができます。

たとえば、「テレビをつけっぱなしにしていたら、なんとなく観てしまって、いつの間にか1時間経っていた」とすれば、その時間に意味づけをするのは難しい。

ですが、「テレビは、時代の雰囲気や傾向を映し出すメディアだから、これから1時間、話題のドラマを観てみよう。

そしてそのドラマが『なぜ人気なのか』を考察してみよう」とマーケターの視点を持っていれば、そこに意味を見出すことができます。

「テレビドラマ」が「仕事」という価値と結びつくため、その1時間は「価値のある時間」になります。

自分の核となる本当の目的を持たず、目の前に並んだ物事に時間を費やすから、時間が足りなくなります。「自分はどうなりたいのか」「何を手に入れたいのか」を考える。

「なりたい自分の姿」を強烈にイメージすることが、時間を有効に使うファーストステップです。

時間管理とは、価値観を管理すること❖価値の高いものから優先的に時間を使う

時間管理で大切なのは、自分の価値と結びつけることです。自分にとって「価値があるか、ないか」「意味があるか、ないか」を考え、価値があるもの、意味があるものに時間を使います。

自分の価値・目的・使命(=ミッション)を明確にして、それに対してのみ選択と行動を続けることが大切です。

「価値」という判断基準を持つメリットは、次の3つです。

【「価値」でスケジュールを決める3つのメリット】

①時間の密度、充実度が上がる

時計で計測される時間は、いつでも同じ間隔を保ちます。それなのに、時間の知覚のしかた(時間の感じ方)は変わります。

「楽しい時間はあっという間に過ぎるのに、退屈な時間はなかなか過ぎない」と感じることがあります。

「もう1時間も経った」と思うのか、「まだ1時間しか経っていない」と思うのか、1時間のとらえ方・感じ方は人それぞれです。時間感覚は、充実度によって左右されます。

やりたいことがあって、それに夢中になって取り組んでいるときは、時間が経つのが「速い」と感じます。

反対に、興味のないことをやっていたり、やることがなくダラダラと過ごしているときは、「遅い」と感じます。私は、時間を「遅い」と感じたことが一度もありません。

なぜなら、毎日、「あっという間」に過ぎていくような、「価値ある生き方」をしているからです。

すべての時間を「自分にとって大切なもの」のために使う工夫をしているため、退屈感を覚えることがありません。

②優先順位がはっきりする(ムダが省かれる)

「価値があることに時間を使う」と決めると、「価値がない」ものには、時間を使わなくなるため、ムダを省くことができます。

仮に、価値を見込めるものが、A、B、Cの3つあった場合は、「それぞれ、自分にどれくらいの価値を与えてくれるか」を見極めて、「大きな価値、複数の価値をもたらしてくれるもの」から優先的に時間を使うようにします。

③能動的に時間を使うようになる

私には「やるべきこと」も、「やらなければならないこと」もありません。私にあるのは、「やりたいこと」「やる価値のあること」だけです。

ビジネスパーソンとして組織の中で仕事をしていく以上、「好きなこと」ばかりができるわけではありません。

たとえ望んだ仕事でなくても、任された以上は一定の結果を求められます。仕事に対して「やらされている」と感じるのは、仕事が、自分の価値と結びついていないからです。

与えられた仕事を「嫌々ながらしかたなく」やったところで、生産性を上げることは不可能です。

仕事を選ぶ基準は、3つあります。「好き」「喜び」「成長」です。

たとえ、与えられた仕事が「好き」ではなくても、その仕事を遂行するによって、「相手が喜んでくれる」「自分自身の成長につながる」のであれば、途中でさじを投げることはないと思います。

嫌いな仕事にも、将来的な価値を見出すことができる。そのことに気がつくことができれば、仕事との向き合い方は変わるはずです。

私は大学院時代に、地味で地道な研究を重ねました。単純な反復作業を何千回も行い、データを取り、分析し、検証をして、論文にする。これの繰り返しでした。

「好きか、嫌いか」「やりたいか、やりたくないか」で判断するなら、嫌いだし、やりたくない。

ですが、私がまったく苦に感じなかったのは、「反復作業」と自分の価値を結びつけて考えていたからです。4年という最短年月で博士号を取得し、さらに臨床を学び、理想の歯科医師になる。そのためには、地味で単調な研究を繰り返す必要がある。研究は、自分の理想と直結している……。

大学院での研究は、すべて自己成長の時間でした。だから私は、どんな研究でも、能動的に、自ら進んで取り組むことができたのです。

「好きではないけれど、自分を成長させるためには、受け入れたほうがいい」と納得することができれば、仕事の姿勢が「受動」から「能動」に変わります。

前向きに、前のめりに、積極的に自分から仕事に関わる。そうすれば、効率性も生産性も、格段にアップするはずです。

❖時間もお金も、意味を見出すことで資産となる

私の娘は私と同業で、歯科医師をしています。現在研修中の娘に、私は毎朝、LINEで次のようなメッセージを送っています。

「努力と時間の掛け算、それが年収になります。とにかく、人より質の高い勉強をしてください」

「現実を見ることなく、情熱も本気もありません。今、この瞬間が、未来の自分になることを忘れないで」

「あとで悔んでも、取り戻すことはできないのが人生です。人生は上がるか、下がるかです」

「時間もお金も、意味を見出せなければ、無価値です。無価値は、浪費と同じです。意味を見出すことによって、資産に変わります。今、自分のしていることが浪費なのか、資産なのかを考えることがとても大事です。投資した時間とお金が『資産』になってはじめて、人から信頼されるようになります」

時間もお金も、意味づけせずにただ使うだけでは、浪費です。何のために使うのかを考える。使う以上は価値を見出す。

自分の成長のために、理想を実現するために使うのであれば、お金も時間も、使った金額、使った時間以上の価値をもたらしてくれるはずです。

自分がワクワクするもの=自分にとって価値あるもの❖自分自身の素直な欲求にしたがえばいい

「目標が見つからない」「自分には社会貢献といった崇高な志はない」といった理由で、価値を見出せない人がいます。

何かをはじめるのに、「崇高な動機」は必要ありません。大切なのは、「ワクワク感」です。

自分がワクワクすることであれば、なんであれ、「価値」に変わります。社会通念上許される範囲内であれば(犯罪や迷惑行為以外であれば)、動機は不純でもかまわない。

「女性にモテる」ことに価値を置いて、「そのために、仕事がデキる人になりたい」と考えるのも立派な動機です。

「高級車に乗る」ことに価値を置いて、「そのために頑張ってお金を稼ぐ」でもいい。私が頑張る理由も、究極的には「カッコよくなりたいから」です。

スポーツクラブに通うのも、ボクシングをするのもカッコよくなりたいから。常にベストパフォーマンスで仕事をするのも、そのほうがカッコよく映るからです。

研修医時代は、周囲から「井上先生は、いつも遅くまで研究に没頭していて、すごいですね」「誰よりも熱心に勉強をしていて、素晴らしいですね」と褒めてもらえるのが嬉しくて、頑張り続けることができました。

少しくらい、エゴイスティックになってもいいから、まずは「ワクワクしたい」という自分の欲求に素直になる。

そしてその「ワクワク感を満たすこと」を優先する。自分のことが満たされると、自然と「他者」に目が向くようになり、社会貢献、他者貢献を意識するようになります。

最初に大切にすべきなのは、自分自身です。自分の心の声に耳を傾けて、それに応える。自分自身に真摯に向き合う……。自分を大切にしているから、ほかの人のことも大切にできます。

自分自身を大切にできる人だけが、自分以外の誰かを大切にできるのです。世界平和を考える前に、自分を満たすことを考える。人は、自分が満たされたときにはじめて、「感謝」の気持ちを持てるようになります。

❖三日坊主になるのは、目的意識が薄いから

私は、歯科医師として、あるいは、コーチ(指導者)として、「井上裕之先生」と呼ばれることがあります。

「指導的立場にいる以上、お手本となる」ことが「先生」である私の目的です。健康管理の重要性を説いている私が、不健康そうに見えたら、カッコ悪い。

患者様やセミナー受講生に「こうしたほうがいいですよ」とアドバイスをしているにもかかわらず、自分ができていなかったら、カッコ悪い。私がジムワークを習慣化しているのも、「お手本」としての責務です。

「自己管理ができていない人は、他者の管理をしてはいけない」と私は考えています。だから私は自分を律しています。私を支持してくださる方々のためにも、妥協することはできないのです。目的が明確になっていない人は、目標が頻繁に変わります。

・目的……自分の価値。ミッション。

・目標……価値を達成するための長期、中期、短期のプロセス。

目標の先に目的がないと、エネルギーが湧きません。目標だけでは、物事は続きません。

たとえば、「体重を10㎏落とすこと」を目標としたとき、「なぜ体重を落とす必要があるのか」、その目的が明確になっていないと、途中で投げ出してしまいます。

あるいは目標を達成したとしても、「なぜやるのか」の答えを持っていないと、体型を維持する努力を放棄して、リバウンドします。

継続できずに挫折するのは、目的に対する欲求が「弱い」からです。

「どうしてもそれがやりたい」「どうしてもそれがほしい」という強い欲求を持っていれば、カラダが勝手に動いてしまうものです。強い欲求は、行動の源泉になります。

たとえば、海外出張があって日本を離れている最中に、「買ったことを忘れて、スーツのポケットに入れっぱなしになっていた宝くじ」を見つけたとします。

当選番号を調べてみると「1等3億円」が当選!ところが、その宝くじの支払期限は明日の19時までです。

このとき「海外にいるから」という理由で、3億円をあっさりあきらめますか?なんとかして、明日の19時まで帰国しようと手を打つのではないでしょうか。

なぜなら「3億円」は強い欲求になるからです。誰にでも、ワクワクするような強い欲求が眠っています。

「自分にはそんなものはない」と言う人は、その欲求に気づいていない、または、封じ込めているだけです。

「何がしたいのか」「何がほしいのか」「どうなりたいのか」を確かめて、欲求を解放する。

その欲求が強いほど、目的に向かって脇目も振らずに進むことができます。人間は自分に甘い生き物ですから、「なんとなく」はじめたことを習慣化するのは難しい。サボり癖や三日坊主を防ぐためには、「ワクワクする価値」を明確にすることです。

私が今、「筋トレ」を最優先にしている理由❖カラダを鍛えることが、自分のミッションに直結している

私のスケジュールには、「価値のあるもの」しかありませんが、なかでも、現在もっとも価値を置いているのは、ボディ・コンディショニングです。

東京と帯広で合わせて週3回、パーソナルトレーナーによるマンツーマンのトレーニングを受けています。

現在の私は、何をおいても「筋トレ」です(笑)。トレーニングの時間を最初に固定してから(スケジュール帳に記入してから)、それ以外の仕事の予定を組んでいます。

私は1996年から25年間、帯広と東京のダブルスタンスで仕事をしています。

毎週、木曜日の最終便で上京し、金曜日から月曜日の朝(午前中)までは東京で仕事をしています(月曜日の午後に帯広に戻って、木曜日の夜まで歯科医師として診察・オペに専念)。

「月曜日の朝」「水曜日の夜(診療後)」「金曜日の朝」にトレーニングのスケジュールを確定させ、それ以外の時間で、出版社との打ち合わせ、講演、セミナーに注力します。

私がボディ・コンディショニングに力を入れているのは、「カラダを鍛えることが、私のミッション(歯科医師として、作家として、世界最高のレベルにあること)と直結しているから」です。

フィジカルを鍛えることで健康を維持できるほか、相手に対して、信頼感、安心感、好意、力強さ、他者優位性(ほかの医師や、ほかの講師との違い)を印象づけることができます。

私は歯科医師として、セミナー講師として、コーチとして、「自分はどう見られたいのか」「自分の『価値』をどう見せていくのか」「どのような印象を与えたいのか」を常に意識して、「見た目」からメッセージを伝える努力をしています。

そんな私にとって、ボディ・コンディショニングは不可欠です。自分をメディア化し、自らの力でプロモーションをするためにも、見た目(人に与える印象)を整えることは、とても重要です。

❖筋トレをすることで手にする7つの価値

私が筋トレを優先順位の最上位に置いているのは、「健康」と「見た目」以外にも、多くの付加価値を与えてくれるからです(筋トレは時間の管理にもプラスに働きます)。

筋トレには、おもに7つの価値があります。

【筋トレが持つ7つの価値】

  1. ①カラダだけでなく、心も鍛えられる
  2. ②ゴールからの「逆算思考」が身につく
  3. ③数字&データで物事を考える習慣がつく
  4. ④PDCAサイクルを回す練習になる
  5. ⑤食事のクオリティが上がる
  6. ⑥頭が冴えた状態になる
  7. ⑦エネルギーを全力で発散できる

①カラダだけでなく、心も鍛えられる

筋トレは、己との闘いです。バーベルを持ち上げて「ああ、ツライ。これ以上は無理だ」と思ったとき、あきらめるのか、あきらめないのか。

私は常に、「人生は、やるか、やらないか」「勝つか、負けるか」の2択だと考えています。私にとって途中であきらめることは、「負け」に等しい。

「あと1回バーベルを上げることができれば、それだけ自分の理想に近づける!」と思えば、「やらない」という選択はありえません。

苦しくてもリミッターを外して、限界を超えて、「まだいける!まだできる!あと1回!」と自分を奮い立たせます。

たとえば、腹筋を鍛えるとき、多くの人は、「1、2、3、4、5……」と数えます。

私の場合、数を数えずに腹筋をとにかく動かし、「もう限界だ」と思ったときから「1、2……」と数えます。

腹筋は、限界を超えてからが1回目です。

限界を超える体験を繰り返すことで、筋肉も、メンタルも鍛えられます。医学的・科学的にも、筋トレとメンタルヘルスの関係性が明らかになっています。

スウェーデン・カロリンスカ研究所が発表した研究結果によると、筋トレや運動をすることで、うつ病・統合失調症との関係が認められている「キヌレニン」というアミノ酸が減少することがわかっています(2014年に科学誌『Cell』に発表)。

②ゴールからの「逆算思考」が身につく

ボディ・コンディショニングは、「現在のコンディション」と「目標とするコンディション」の差分を埋めていく作業です。

逆算思考とは、ゴールと期日を定め、それを実現するためのプロセスを逆算して洗い出し、実行していく考え方です。

最初に、「6ヵ月後に、体重を○㎏、体脂肪を○%にする」という目標を設定し、それに合わせてメニューを組み、「どのトレーニングを、どれくらいの頻度で行うか」を決めていきます。

6ヵ月後の目標から逆算し、「今日」やることを決めるわけです。

逆算的な思考をすると、「ゴールを達成するために、自分が何をやるべきなのか」を具体的に把握できるため、納得しながら行動を習慣化できます。

私の場合、「キレイに洋服を着こなす」「洋服のサイズに合ったボディバランスを整える」ことが目的(ゴール)であり、そのために、「どこの筋肉を増やし、どこの筋肉を減らすのか」を逆算して考え、トレーニングメニューを組んでいます。

③数字&データで物事を考える習慣がつく

私は毎日、自分のコンディションを「数字」と「データ」で把握しています(体重、体脂肪、筋量、水分量、代謝、BMIなど)。

自分の「数字」を毎日チェックしていると、昨日の自分と今日の自分のわずかな変化を見逃すことがありません。

仮に今日、昨日よりも200g体重が増えたとしても、微差であれば、翌日には体重を元に戻すことができます。

ビジネスも筋トレと同じで、「数字」の世界です。

毎日の数字(販売数、顧客数、歯科医院の場合は患者数、人件費、在庫などを)をチェックしていれば、「異常値」を見つけやすくなります。

業績や成績が伸び悩んでいるとき、多くのビジネスパーソンは、「数字」から目を逸らそうとします。

しかし、すぐに手を打たなければ大きな損失を生み、手遅れになることが考えられます。微差に気づかずに大差になってしまうと、経営を立て直すのは容易ではありません。それを避けるためには、毎日数字を見て、データを分析する。

そして異常値が見つかれば、すぐに具体的なアクションを起こして対応する必要があります。

筋トレもビジネスも、自分(自社)の数字をつぶさにチェックし、微差のうちに修正する習慣を身につけると、目標を達成しやすくなります。

④PDCAサイクルを回す練習になる

PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法です。

【筋トレにおけるPDCAサイクル】

・Plan(計画)……「最終的に、どのようなカラダをつくりたいのか」を明確にし、ゴール(理想のコンディション)から逆算してメニューを組み立てる。

・Do(実行)……メニューにしたがって、トレーニングを実行する。

・Check(評価)……プランどおりの結果が出ているのか、定期的に検証する。

・Action(改善)……計画どおりの成果が出ていれば、継続。

効果が見られなければ、重量設定やメニューを見直し、改善・調整する。新しいメニューを含んだ計画を立て、実行し、確認し、また改善する。

筋トレの習慣は、ビジネスにおけるPDCAの習慣につながります。筋トレを続けていると、仕事やプライベートでも、PDCAサイクルを回せるようになります。

⑤食事のクオリティが上がる

筋トレの成果を最大化するには、適切な食事が必要不可欠です。

栄養学の知識が身についてくれば、健康的な食事にこだわるようになり、食事のクオリティが上がります。私は、過度な食事制限をしていません。「食べたいものを食べる」のが基本です。

ですが、摂取カロリーや消費カロリーのバランスを考えながら、「21時以降は食事を抜こう」とか、「今日はたくさん食事をしたから、2日以内に軌道修正しよう」といったように、食事の量、栄養素、食べる時間、調理法などを調整しています(こうした調整力は、時間の調整にも発揮されます)。

⑥頭が冴えた状態になる

筋肉と知性は対極にあるように思えますが、じつは、筋肉量は脳の働きにも好影響を与えることがわかっています。

東京大学教授で日本随一の筋肉博士と称される石井直方教授は「筋トレが脳を賢くする可能性がある」と述べています。

筋肉を動かすことで筋肉そのものから分泌される物質を総称して「マイオカイン」と呼びます。

その中のひとつが脳に作用して神経細胞を増加させたり、減少を防いだりする効果が認められています。

筋肉の量が多いとマイオカインの量も増えるので、一定量の筋肉を維持し活動させることが、脳を賢くすることにつながる可能性があるわけです(参照:『朝日新聞デジタル』2019年1月18日「筋トレは脳を賢くする可能性がある」)。

また、2016年にアメリカ国立老化研究所などのチームが「筋肉の働きで記憶力が高まる可能性がある」という論文を発表しています。

運動をしたときに筋肉の細胞から出ると考えられる「カテプシンB」という物質が増えた人ほど、記憶力テストの成績が向上したそうです(参照:『NHK健康チャンネル』/大注目!筋肉に秘められた〝スーパー健康パワー〟)。

⑦エネルギーを全力で発散できる

人は、世の中や、社会や、他者との調和の中で生きています。とくに日本人は農耕民族であり、訪れる四季に柔軟に対応するため、自分のまわりと調和する必要がありました。

他者と調和し、活動を連携させることが成功への要諦であることに疑いはありません。

ですが一方で、自分の主体性を失い、「調和」ではなく、「迎合」の状態が続いてしまうと、自分のためにエネルギーを解放することが難しくなります。「迎合」とは、他者に合わせることです。

たとえば、フェラーリに乗っているのに一度もアクセルを踏み込んだことがなく、軽自動車のスピードに合わせて走るだけでは、フェラーリ本来のポテンシャルを発揮することはできません。人間は誰しも、高い能力を持っています。

ですが「迎合」に慣れてしまうと、自分の能力やエネルギーを発散できずに、ストレスを溜め込むことになります。

私は現在、体幹トレーニングやクロスフィット(歩く・走る・起き上がる・持ち上げる・押す・引く・ジャンプするといった動作を高い強度で行うトレーニング)のほかに、「PRIDE」で活躍した格闘家、大山峻護さんに師事し、ボクシング(ファイトエクササイズプログラム)に取り組んでいます。

私がボクシングをはじめた理由は、「可動性の高い筋肉をつくること」のほかに、「エネルギーを解放するため」です。

私は日ごろから自分のエネルギーを使いこなしていますが、それでも、ボクシングのトレーニングをすると、「まだまだ、レッドゾーンにまで踏み込んでいなかった」「まだまだ自分には余力があった」と気づくことができます。

リミッターを外してエネルギーを解放する上で、ボクシングはもっとも適したスポーツです。

一度、自分のレッドゾーンに踏み込む経験をしてみるとよいのです。

相手の価値観に合わせると、目的達成までのスピードが加速する❖自分のためだけではなく、他人のためにも時間を使う

時間管理の原則は、自分の価値観を優先することです。すべての時間を「なりたい自分になる」ために使うべきです。

ですが私は、「なりたい自分になることが最優先」だからといって、「他人のために自分の時間は一切使わなくていい」とは思っていません。

なぜなら、「相手のために尽くすこと」「相手の価値観に自分の価値観を合わせること」「相手と自分の価値観を共有すること」によってキーパーソンの目に止まり、引き上げてもらうことができるからです。

ビジネスシーンでは、上司、部下、取引先、クライアントが「何を求めているのか」「相手が何を重視しているのか」を察し、「相手が求める価値」を提供する姿勢が大切です。

私が日ごろお世話になっているA教授は、「規律」や「礼節」を重んじる方です。A教授と接するときは、挨拶・身だしなみ・言葉遣いに気を配ることが大切です。

それなのに医局の中には、A教授が大切にしている「価値感」に気づかず、「規律」や「礼節」を無視して振る舞う医局員もいます。

規律と礼節を持ってA教授と接する医局員Bと、自分勝手な医局員Cでは、どちらが教授に信頼されるかは明白です。

A教授からの信頼も厚く、目をかけてもらえるのは、医局員Bです。医局員Cに歯科医師としての技術があれば、「仕事の評価」を得ることはできるかもしれない。

ですがA教授の「情」や「信頼」を獲得するには至らないと思います。なぜなら、価値観の共有がなされていないからです。

❖相手が望む「自分」になることが、成功の近道

自分に「こうなりたい」という結果(ゴール)と、結果を得るためのプロセスがあるように、相手にも、「こうなりたい」という結果と、結果を得るためのプロセスがあります。

「相手は、どういうポジションの人なのか」「相手は、どういう結果を求めているのか」「結果を得るために、どのようなプロセスを踏もうとしているのか」を考え、相手にとって有益な価値を提供する。

相手にとって有益な「自分」になる。そうすることで、今度は相手から、「信頼」という大きな資産を返してもらうことができます。

私は作家として、雑誌の別冊なども含めると、これまでに約80冊の著作を出版してきました。年平均、7~8冊のペースで書籍を刊行しています。

私がたくさんの出版の機会をいただけているのは、私が編集者の価値観に合わせているからです。

私の場合、「自分の書きたい本を出す」というよりも、「編集者が私に求めている価値は何か」「編集者は、どのような著者を望んでいるのか」「編集者は、どのような本をつくって、どのような結果を得たいのか」を考え、「編集者に合わせて自分の本をつくる」ように心がけています。

相手の価値観に合わせているからこそ、私はたくさんの出版の機会を得て、「作家として、発行部数100万部のベストセラーを出す」という「なりたい自分」に近づくことができるのです。

自分の要求を押し付けるだけでなく、相手の要求にも答える。自分の価値観と相手の価値観を合わせる調整力を発揮することで、「なりたい自分」になるスピードが加速しはじめます。

相手が求めている価値を察して、「相手の役に立つこと」をしようとすれば、つらいこと、苦しいこと、厳しいことも出てきます。

ですが、それでも相手が望む自分になることを心がけて行動をしていくと、次第に自分に「できること」が増えてきます。

その結果、自分自身が成長していくのです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次