「アウトプットが苦手」という人は、どんなアウトプットからスタートすればいいのでしょうか? まずは、「話す」ことから始めましょう。「話す」ことが、最も簡単なアウトプットです。「昨日、こんなことがあってさ」と昨日の出来事を友人や同僚に話す。これも立派なアウトプットなのです。 読んだこと、聞いたこと、自分が体験したこと。それについて、第三者に言葉で話してみましょう。 たとえば、「昨日、読んだ本に書いてあったんだけど……」という話を、家族にして、友人にして、後輩にする。 1週間以内に 3回、本の感想を人に話すことができれば、「アウトプットの基本法則 1」の「 2週間に 3回使った情報は、長期記憶される」を楽にクリアできます。 脳内にある情報、あなたの考え、思考、想いなどが、言語化されて外界へ吐き出される。ただ「感想を話す」だけで、脳は活性化し、記憶の増強、定着にも大きく貢献するのです。 本を読んだ感想、映画を観た感想、テレビ番組を見た感想、スポーツの試合を見た感想、おいしいものを食べたグルメ感想。何から始めてもいいので、まずは「感想を人に話す」ことからアウトプットをスタートするといいでしょう。 「感想を話す」ときのコツは、「自分の意見」「自分の気付き」をひとつでいいので盛り込むことです。 よく SNSで「話題のラーメン店に行きました!」という投稿がありますが、それがどんな味で、おいしいのかおいしくないのか。肝心な感想が書かれていないものが多いのです。 自分がどう思い、どう感じたのか? そこに「あなたらし
さ」が盛り込まれると、あなたの「話」に価値が生まれ、耳を傾けたくなるのです。 居酒屋でサラリーマン同士が話すのを聞いていると、ネガティブな会話が多いことに気付きます。ポジティブな言葉は少なく、上司や会社の悪口、愚痴などが圧倒的に多いのです。 ポジティブな言葉とネガティブな言葉のバランスを変えるだけで、仕事も人生も結婚生活もすべてうまくいくことが、ポジティブ心理学の研究で判明しています。 逆をいえば、ネガティブな言葉が多い人は、仕事も人生も結婚生活もすべてうまくいかないということです。 ノースカロライナ大学の研究では、職場で話される会話のポジティブな言葉とネガティブな言葉の割合(ポジティビティ比)を調べたところ、その比率が 3対 1以上でポジティブな言葉が多いチームは、ビジネスで極めて高い利益を挙げ、チームメンバーの評価も高いものでした。 一方、ポジティビティ比が 3対 1を下回ったチームは、会社への愛着が低く、離職率が高まりました。さらに、最も業績の高いチームでは、ポジティビティ比が 6対 1にまで達していました。 夫婦関係研究の大家、心理学者ジョン・ゴットマン博士の研究によると、ポジティビティ比が 5対 1を下回ると、夫婦は高い確率で離婚にいたり、ポジティビティ比をもとにした離婚予測の 94%が的中しました。 仕事での成功や、良好な人間関係を維持するためには、ポジティブな言葉がネガティブな言葉の 3倍以上必要であるということ。「アウトプットしよう!」といった場合、ネガティブなアウトプットをしない。ポジティブなアウトプットを増やさない限り、成功や幸せにはつながらないのです。 思っていることを言葉に出して「話す」ことはアウトプットになるので、「話す」ことは推奨されることですが、「悪口」をいうのだけはやめたほうがいいでしょう。 なぜならば、「悪口をいう」ことは、百害あって一利なしだからです。 (1)ストレスホルモンが増える 悪口をいうのは、「ストレス発散」を目的にしているのかもしれませんが、悪口をいうとストレスは増えることが明らかにされています。 東フィンランド大学の研究では、平均年齢 71歳の 1449人にある調査を行いました。一人ひとりに、普段どれくらいゴシップを流したり、人を批判したり、意地悪な態度をとっているのか質問をしました。その結果、悪口や批判が多い人は、そうでない人に比べて、認知症になる危険性が 3倍も高いことがわかったのです。 また、別の研究では、悪口をいうと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌することがわかりました。長期にコルチゾール高値が続くと、身体免疫力を低下させ、さまざまな病気の原因となります。 コルチゾールというのは、ストレスがかかったときに出るホルモンです。つまり「悪口をいう」ことは、ストレス発散ではなく、逆にストレスになるということ。また、悪口をいい続けると、認知症などの病気になるリスクが高まるのです。 (2)人間関係が悪化する アウトプットは記憶の強化です。居酒屋で「課長が嫌い!」と、課長のアラ探しで盛り上がるのは、「課長が嫌い!」という記憶、感情を強化します。
多くの人は、「悪口は、本人の前で言わないから大丈夫」と思っているかもしれませんが、人間は非言語的なメッセージによって、言葉に出さないことも伝えてしまうので、「課長が嫌い!」という思いは、確実に相手に伝わります。結果として、課長のあなたに対する態度や評価はより厳しくなり、人間関係はさらに悪化します。 (3)悪いところ探しの名人となる 悪口をいい合う。それは、人の短所、欠点、悪いところを探してアウトプットする訓練をしているのと同じです。つまり、日常的に悪口をいい合っていると、「悪いところ探しの名人」になります。 他人の悪いところが目につくようになるだけではなく、自分の短所、欠点、悪いところにも目がいくようになるのです。「悪口をいう」ことは、「ネガティブ思考」のトレーニングなのです。 ポジティブ思考があなたの人生をプラスに変えていくことはすでにお伝えしましたが、ネガティブ思考はあなたの人生にブレーキをかける。何をやってもうまくいかない人生を、自分でつくり出すことになるのです。 「思っていることを上手に伝えられません」「何を話せばいいのかわかりません」という人は多いと思います。伝え方が下手。そもそも、伝え方がわからない。「伝える」問題、それはコミュニケーションの問題と言い換えていいでしょう。 コミュニケーションについて考える場合、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」の 2つに分類すると理解しやすくなります。 「言語的コミュニケーション」とは、言葉の意味内容、言語的情報です。「非言語的コミュニケーション」とは、外見、表情、視線、姿勢、動作、ゼスチャー、服装、身だしなみなどの視覚的情報。そして、声の調子、声の強弱、声質などの聴覚的情報です。 心理学で有名な「メラビアンの法則」があります。メラビアンの法則とは、「矛盾したメッセージが発せられたときの人の受け止め方についての研究」で、言語、視覚、聴覚で矛盾したメッセージが発せられたとき、どれを信用するかという実験です。 視覚情報が 55%、聴覚情報が 38%、言語情報が 7%。私たちは、言葉の意味内容そのものよりも、視覚情報や聴覚情報を重視しているのです。 ちなみに、この実験結果を「人間のコミュニケーションのうち、非言語的コミュニケーションの割合が 93%」と解説している本もありますが、それはもとの実験を曲解しています。あくまでも、メラビアンの法則は、「非言語的コミュニケーションの重要性」を示しているにすぎません。 「何を話すか」が言語的コミュニケーション。「どう話すか」が非言語的コミュニケーションです。 たとえば、結婚式でスピーチを頼まれたとき、何を話そうかと必死に悩みます。どんなに素晴らしい話も、ガチガチに緊張してしまってはまったく伝わらないのです。 話の内容よりも、とりあえず笑顔で明るく話すことのほうが何倍も重要なのに、多くの人は「何を話すか」ばかりに気をとられて、「どう話すか」については気が回らなくなっているのです。 人に何かを伝える場合、「言語」だけではなく「非言語」が非常に重要であるということ。今よりも、ちょっとだけ非言語的コミュニケーションを意識するだけで、あなたのコミュニケーション力が大幅にアップすることは、間違いありません。 非言語的コミュニケーションを使うと、想いが伝わりやすくなります。しかし、非言語的コミュニケーションというと、何か難しそうな印象があります。 誰でも簡単にできる非言語的コミュニケーションは、相手の目を見て話す、つまり「アイコンタクト」です。 アイコンタクトをすることで、お互いの細やかな感情の機微が伝わりやすくなり、コミュニケーションが深まります。恋愛でも仲良くなりやすいし、ビジネスでも親しい関係性をつくりやすい。お互いの人間関係が深まり、あなたの評価も上がります。 また、アイコンタクトによって、ドーパミンが分泌されます。 ルーヴァンカトリック大学(ベルギー)の研究によると、アイコンタクトのある人の顔写真とない顔写真を見たときの脳活動を比較しました。 結果は、アイコンタクトがある場合に脳の報酬系の一部である腹側線条体が強く活性化しました。報酬系というのは、ドーパミン神経のネットワークです。 ドーパミンは、「うれしい」「楽しい」という幸福物質であり、モチベーションを高め、記憶を増強する効果もあります。 良好な人間関係をつくるのに、アイコンタクトは非常に役に立ちます。 具体的なアイコンタクトのコツとしては、 (1)目の間を見る 相手の目を直視するのは怖い、目を合わせるのが気恥ずかしいという人もいるかもしれません。その場合は、目を直視するのではなく、眉と眉の間、目と目の間、あるいは相手の
鼻の周囲を見るようにすると楽にアイコンタクトができます。相手の目を直視することだけが、アイコンタクトではありません。 (2)重要なところで 1秒、目を合わせる イギリスの心理学者アーガイルの研究によると、 2人の人物が会話をしている際、会話中に相手を見る時間は会話全体の時間の約 30 ~ 60%。うちアイコンタクトがなされるのは、 10 ~ 30%。相手に特別な感情がない場合、アイコンタクトは、長くても 1回 1秒程度で終わるそうです。 目を合わせるタイミングが難しい、タイミングがとれないという人もいると思います。 最初は話の重要な部分、「ここは伝えたい」という部分だけ、しっかりと 1秒、目を合わせるようにするといいでしょう。目で念を押すようなイメージです。 (3)目で「想い」を伝える 「目は口ほどにものをいう」といいますが、あなたの「想い」や「感情」は目にあらわれますので、アイコンタクトによってあなたの感情を相手に伝えることができます。 たとえば、あなたが仕事でクライアントと話すときは、「この商品は素晴らしいですよ!」と目で訴えながら話すと、実際その「想い」が伝わります。 恋人と話すときは、「あなたのことが好きです」と目で訴えながら話すと、より関係が深まります。 逆に、「関心がない」「話がつまらない」というのも、目にあらわれやすいので注意が必要です。 (4)話を聞くときも目を見る 相手に話しかけるときはアイコンタクトをするものの、相手の話を聞いているときにアイコンタクトがおろそかになる人がいます。 話を聞いているときに相手の目を見ると、「私はあなたに関心があります」「話を興味深く聞いています」という非言語的なサインになります。アイコンタクトに「うなずき」の動作を加えると、さらにポジティブなサインを送ることができます。 アイコンタクトが上手になると、コミュニケーションが深まりやすくなります。最初は難しいかもしれませんが、少しずつ練習していきましょう。 部下に厳しいことを伝える。あるいは、上司にトラブルを報告する。人に「悪いニュース」を伝えるのは、誰にとっても気が進まないものです。 相手によくない事実を伝える場合、相手にできるだけショックを与えずに伝える方法があります。それが、「クッション話法」です。【ダメな話法】 No But話法 クッション話法をお伝えする前に、まずダメな話法をお伝えします。それは、「 No But話法」です。 「最近、遅刻が多いようだな。せっかく、売上業績が上がっているのに台無しじゃないか」 最初に「悪いニュース」を伝えて、あとから「ポジティブな内容」でフォローするという話法です。 「悪いニュース」をストレートに先に伝えると、相手は精神的にショックを受けるので、後半の部分は上の空になってしまいます。あとから、いくらフォローしても、相手にまったく伝わっていない。ネガティブな印象だけを強烈に与えて、相手を落ち込ませる話法です。このパターンでストレートに伝えてしまう上司は多いはずです。【クッション話法】 1 Yes But話法 「悪いニュース」を直接伝えないで、クッションを入れる。クッション話法の代表例が「 Yes But話法」です。 「最近、売上業績もアップしているし、すごくがんばっているね。ただ、遅刻が多いのは問題だな。時間厳守で頼むよ」 まず、ポジティブな情報を伝える。相手のできている点、長所、メリットなどを伝えて、ポジティブな雰囲気をつくってから「悪いニュース」を伝える。「 No But話法」と伝える順番を逆にするだけですが、相手に対する心理的ダメージは相当緩和されます。【クッション話法】 2 Yes And話法 さらに柔らかく伝えたい場合は、「プラスの情報」に「プラスの情報」を上乗せする「 Yes And話法」というものがあります。 「最近、売上業績もアップしているし、すごくがんばっているね。さらに時間厳守できると最高だな」 叱る、欠点を伝えるのではなく、「してほしい」「できるといいね」と付け加えると、かなりマイルドになります。【クッション話法】 3 Yes How話法
もっと柔らかく伝えたい場合は、「 Yes How話法」があります。 「最近、売上業績もアップしているし、すごくがんばっているね。どうすればもっとよくなるか一緒に考えてみよう」 「悪いニュース」を直接伝えずに、疑問文形式で、本人に考えさせるパターンです。結果として、「遅刻を減らして、時間厳守したいと思います」という答えを本人に言わせるのです。 人間の行動が変わるためには、「気付き」が必須です。相手に「悪いニュース」や短所、欠点をストレートに伝えると、「そんなに遅刻していませんけど」といった否認の感情が湧き上がり、上司のアドバイスを素直に受け入れることが難しい場合があります。 本人に気付かせることを目的とした「 Yes How話法」は、部下の行動を改善させる効果の高い方法といえます。 ここまで読んで難しいと思ったかもしれませんが、悪いニュースはストレートに伝えない、 No But話法を使わないだけでも、相手の印象はかなり変わってきます。 なんでもかんでもストレートに伝えるのがアウトプットではありません。ときに変化球を交えながら、相手に届くボールを投げることも大切なのです。 私も経験があるのですが、マンションで挨拶をしても、挨拶が返ってこないことがあります。 挨拶は、コミュニケーションの入り口です。まず挨拶があって、雑談が始まり、より深い内容の会話ができる。挨拶をすればするほど親密度は高まります。挨拶をすることは、「あなたとの交流を歓迎します」という心理的なサインであり、挨拶をしないことは「あなたとの交流を歓迎しない」というネガティブなサインとして受け止められます。 心理学で「相手の存在を認める好意」を「ストローク」といいます。そして、肯定的ストロークの代表例が「挨拶」です。 つまり、挨拶されるだけで、「人から認められた」「承認された」という感覚が得られるのです。心理学者エリック・バーンは、「人間は誰しもストロークを求めて生きている」と述べています。 テニスでストロークという言葉が使われるように、ストロークとは「打つ」という意味。挨拶を交わすということは、「ストローク」を交換することで、それを「交流」といいます。つまり、挨拶は心理学的に見ても、「交流」の基本となるのです。 挨拶には、「コミュニケーション、交流の入り口」「挨拶をきっかけに会話がはずむ」「相手を認めることで相手を育てる」「相手からの印象がよくなる」「職場の雰囲気がよくなる」「常識のある人と認識される」など、多くのメリットがあります。 挨拶をするときの注意点は、非言語的コミュニケーションを意識すること。ぶすっとつまらなそうな表情、暗い声質で「おはよう」と言っても、雰囲気は悪くなるだけです。 笑顔で元気よく、アイコンタクトしながら「おはようございます」と言うことで、挨拶の効果は最大化するのです。 職場、友人、恋愛、家族などコミュニケーションにおいて、「雑談」がとても重要であることは、多くの人が知っていると思います。 しかし、人間関係を深めたいと「雑談しよう」と思っても、「何を話していいかわからない」「気の利いた雑談ができない」という人が多いのではないでしょうか。 心理学の法則「ザイオンス効果」を知っていると、雑談は内容より、回数のほうが重要だとわかります。 アメリカの心理学者ザイオンスが行った実験。 10人の人物の写真を被検者に見せます。写真ごとに、見せる回数が 1回、 2回、 5回、 10回、 25回と異なります。写真の提示後に、写真ごとに好意度を評価してもらいました。その結果、多く見せた写真の人物ほど、被検者の好意度が高くなることがわかったのです。 接触回数が増えるほど、人の好感度は高くなる。これを「ザイオンス効果」(単純接触効果)といいます。 雑談などのコミュニケーションをする場合、「何を話そう?」とその内容を必死に考えて、結局、話せない、声をかけられなくなる、という人が多いはず。 しかし、コミュニケーションは、内容よりも回数が重要。「おもしろい話をしなければ」という気負いは捨てて、「とりあえず声をかけよう」「なんでもいいから雑談しよう」というスタンスでいいのです。 忙しいビジネスマンの方は、「月に 1回、家族旅行に連れていけば、家族コミュニケーションは OK」と思っている人もいるかもしれませんが、「月に 1回の家族旅行」よりも「 1日 5分の家族の会話」のほうが、はるかにコミュニケーションを深めるのです。 「質問する」というのは最も簡単で、最も効果的なアウトプット法のひとつです。それも、「他人に質問する」のもいいですが、「自分自身に質問する」だけで、脳は圧倒的に活性化し、必要な情報を集めてくれるのです。 アフリカの首都を記憶させる研究では、事前に 5択問題を受けたグループと、従来の暗記形式で勉強したグループにわけます。翌日にどれだけ記憶しているかを再テストしたところ、「事前テスト」のグループは、 10 ~ 20%も高い得点をとったのです。 テストや問題を解くことが、勉強や記憶に役立つことは知られていますが、まだ勉強していない事柄を、質問してから勉強するだけで、記憶効率が大幅にアップするのです。 私のセミナーでは、必ず開始前に簡単なアンケートに答えてもらいます。たとえば、「アウトプット力養成講座」のときは、「あなたが、アウトプットに関して、最も悩んでいることは?」「今日のセミナーで、あなたがいちばん学びたいことは?」などと質問をして、参加者全員に記入してもらいました。 これから始まるセミナーで、「自分が何をいちばん学びたいか?」を自分に質問することで、その内容に注意が向くようになる。話の中で関連する内容が出たら、「それは、自分の知りたかった内容だ!」と集中力が高まります。 心理学で「カクテル・パーティー効果」というものがあります。 100人以上が参加するパーティー会場で、場内は会話で賑わって、ザワザワととても騒がしい状態。そんな中、どこかから「カバサワ」という名前が聞こえてきたら、かなり騒がしい中でも「あっ、自分が話題になっている」と、すばやく反応するはずです。
このように、人混みや雑踏の中でも、自分の名前や自分の興味があるキーワードを自然に聞きとることができる現象を「カクテル・パーティー効果」といいます。 脳には、「選択的注意」というものがあります。脳の Google検索のようなもので、事前に単語登録しておくと、周囲の膨大な情報の中から、「選択的注意」によって、その言葉を選択的に拾い出すことができるのです。この「選択的注意」を発動させるための事前単語登録が、「質問する」ということです。 「選択的注意」を上手に活用することで、学びの効率をアップさせることができます。たとえば、ビジネス書を買ってきて読む場合には、読み始める前に「自分はその本から何をいちばん学びたいのか?」を自分に質問して、紙に書きましょう。 あなたは、『アウトプット大全』をなんの目的で購入しましたか?「アウトプットに時間がかかるので、効率的にアウトプットする方法を知りたい」「書くことが苦手なので、書く技術を向上させたい」など、いろいろあると思います。 自分に質問し、それを書き留めることで、「選択的注意」が働くようになり、脳は、本の中からその答えを必死に探すようになります。結果として、あなたが学びたいことがしっかりと吸収され、記憶に残りやすくなるのです。 勉強を開始する前に、たった 10秒、「何を学びたいか」自分に質問するだけ。それだけで、学びの効率が大幅にアップするのです。 「何か、質問はありませんか?」 私のセミナーでは、最後に質疑応答の時間をとって参加者からの質問に答えます。質問の手がたくさん挙がると非常にうれしいですし、まったく手が挙がらなければがっかりします。 質問とは「自分の疑問を解決する」、つまり「自分のため」に質問すると考える人がほとんどだと思いますが、「質問される」と人はうれしい。つまり、質問は人を喜ばせるものである。質問は、「相手のため」にもなるのです。 たとえば、会社の会議で「何か質問はありませんか?」と司会が言ったときに、誰も質問をしないと議論が浅いまま次に進んでしまいます。適切な質問をすることによって、議論が活発化し、深まります。結果として、「適切な質問」は、会議の参加者や会社にとって大きなメリットをもたらすのです。 質問は、コミュニケーションの潤滑剤でもあります。「適切な質問」により、お互いの理解が深まり、人間関係が深くなります。 あるいは、「適切な質問」をすることによって、「この人勉強しているな」「積極的に参加しているな」と他者からの評価も上がります。このように、「質問する」ことは、メリットだらけです。ですから、「質問はありませんか」といわれたなら、あなたは率先して手を挙げるべきです。 適切な質問をするコツは、 (1)質問を考えながら聞く 「質問はありませんか?」と急にふられるので、焦って変な質問をしてしまう。そうならないために、普段から常に質問を考えながら話を聞くクセをつけましょう。会議でもセミナーでも、いつ指されても 3つくらい質問できるように準備しておく。質問を意識すると、より深く話を聞くことができます。 (2)相手に喜ばれる質問をする 「相手が話したそうなこと」「話し足りなかった部分」をイメージして質問することで、相手に喜ばれる、感謝される質問ができます。 (3)参加者に喜ばれる質問をする 話を聞いていると、参加者のほとんどが同じ疑問を持つ場合があります。それを代表して自分が質問する。「それ、自分も知りたいと思っていた」と他の参加者が思えば、質問したあなたに感謝するでしょう。 (4)議論を深める質問をする 質問は「議論を深める質問」か「議論からはずれる質問」かのどちらかです。話の流れに沿っている、話のテーマをより深める方向の質問をすると、議論が深まり、理解も深まるので、相手にも参加者にも感謝されます。 相手に嫌な思いをさせずに、快く引き受けていただけるような「依頼」「お願い」の仕方を知っておくと非常に楽です。実は、そんな夢のような方法があります。 心理学の法則で「返報性の法則」というものがあります。人は親切にされた場合、「その親切をお返ししないといけない」という気持ちが湧き上がる心理です。 たとえば、バレンタインデーにチョコをもらったら、「お返ししないといけない」と思うのも返報性の法則です。デパ地下で試食したら、「買わなきゃ申し訳ない」という気持ちが湧くのも同じです。 ですから、人に何か頼みごとをするときは、一方的にしてもらうのではなく、まず自分から相手のために何かをする、相手に与える。ギブ(与える)の精神で接することです。 普段から「親切」を与えていると、相手は「あなたにお返ししたい」という気持ちが湧いてくる。そのタイミングでお願いごとをすると、相手は喜んで引き受けてくれるはずです。 この場合、注意すべきは、「ギブ&テイク」の精神ではなく、「ギブ&ギブ」の精神で接すること。 最初から「見返り」を期待して人に親切にしても、それは見透かされてしまいます。「見返り」を期待するほど、「見返り」
見返り」は返ってこないのです。 「ギブ&ギブ」の精神で接することで、多くの人があなたが困ったときに助けてくれ、協力してくれるようになるのです。 「相手の気分を害したくないので断るのが苦手です」「断るくらいなら、つい受けてしまいます」という人は多いのではないでしょうか。 日本人は断るのがとても苦手です。きちんと「断る」ということをしないと、あなたの貴重な時間が、「残業」「休日出勤」「行きたくもない飲み会」によって、無限に侵食されていきます。 「上司からの“残業のお願い”を断ると昇進に響く」と考える人もいるかもしれませんが、あなたの会社では、「上司のお願い」を断らない便利屋のような人が本当に昇進していますか? 多分、「仕事ができる人」が普通に昇進しているはずです。 「断らない人」は、自分が本当にやりたいことに対して、エネルギーと時間をふり向けることができなくなっていきます。休息や睡眠、家族と過ごす時間も削られる。 つまり、「断らない人」は、確実に「不幸な人生」を歩むのです。死ぬほど忙しくて睡眠がとれなくなったり、健康を害したりして初めて「断る」わけですが、それだったら最初から断るべきなのです。 個人でビジネスをしている人は、「仕事を断ると仕事が減る、次の仕事がこなくなる」と思っている人が多いですが、「仕事を断るほど、仕事は増える」という法則があります。 「引き受けられないほど仕事が殺到している」ということは、「人気がある」ことの証明だからです。 人気のレストランに電話し 3カ月先まで予約がいっぱいだったら、「そこまで予約いっぱいなら、相当いい店に違いない」とさらに行きたくなる。そんな心理と同じです。ですから、きちんと「断る」ことをしていると、仕事は増えます。 「断る」ことによって、特にデメリットは生じません。断ってみればわかりますが、むしろ、「断る」ことでたくさんのメリットが得られるのです。 上手に断るためにはどうすればいいでしょう。 それは、自分の人生の中での「優先順位」を決めておくことです。「家族」が大切と思う人は、「土日は家族と過ごす時間」というルールを決めます。「どうしても急な仕事が入ったので、日曜日に出勤してくれないかな」といわれたら、「申し訳ありませんが、土日は家族と過ごす時間なので」と断るだけです。 私の場合、毎年 12個の「年間目標」を立てています。気が乗らない仕事の依頼がきた場合は、「年間目標に沿っているか?」と自問自答します。それで、年間目標にそぐわない仕事の場合は、 0. 1秒で断ります。たとえ、高額な講演料の仕事であってもです。 「年間目標に沿わない仕事を受ける」ということは、それだけ「関係のない仕事」に時間を奪われるということ。つまり、年間目標の実現にマイナスの影響しか及ぼさないのです。 また断る場合は、「迷わず断る」ことが重要です。「えー、そうですね……」と迷った素振りを見せると、「なんとか頼むよ」と付け入られてしまいます。迷うということは、「断る明確な理由がない」ということを非言語的に相手に伝えているのと同じです。迷わずにすぐに断ることで、自分の意思の固さ、自分のポリシーの固さが相手に伝わります。 また、ケース・バイ・ケースで判断するのもよくありません。「断る」判断は、「優先順位」に照らし合わせて、常に同じ基準で断ってください。「今回だけ特別に頼むよ」という言葉には決して乗らないこと。「今回だけ」が永久に続くことになります。 また、ケース・バイ・ケースで判断すると、「 Aさんの頼み
頼みは聞くのに、なぜ俺の頼みは聞かないんだ」と、トラブルの原因になります。常に同じ基準で公平に断っていく限り、大きなトラブルが起きることはないでしょう。 とはいえ、「断ると角が立つので断りづらい」と思っている人がほとんど。そこで、「断りの公式」を使うと、角が立たずに断ることができます。 断りの公式は、「謝罪(感謝) +理由 +断り +代替案」です。 たとえば残業を頼まれた場合、「すみません(謝罪)。選んでいただいて大変ありがとうございます(感謝)。本日、子どもの塾の送迎があるため(理由)、残念ながらお引き受けできません(断り)。明日の午前中でしたら終わらせることができるのですがいかがでしょうか(代替案)」 まず、謝罪(感謝)のクッション言葉をはさみ、理由を先に述べて、「結論」である「断り」はできるだけ最後に述べるといいでしょう。 同じ断るにしても、「断りの公式」を活用すると、誠意のある断り方ができます。 「プレゼンテーションが苦手です」という人の多くは、「緊張が苦手」であるはずです。ある調査によると、「緊張が苦手」な人の割合は、全体の 88%にも及びました。 つまり、緊張がコントロールできれば、プレゼンはかなり楽になる。プレゼンがもっと上手になることは間違いないでしょう。 「緊張が苦手」な人は、緊張してくると「ああ緊張してきた、どうしよう、ヤバイ。ヤバイ」と緊張をものすごく嫌います。 一方で、トップアスリートやプロスポーツ選手は、よく「緊張を楽しむ」といいます。緊張は敵なのか、それとも味方なのか。その議論は、 100年前に決着しています。 生理学者ヤーキーズとドットソン博士の 1908年の研究では、マウスに黒と白の目印を区別するように訓練し、マウスが区別を間違えたときには、電気ショックを流して学習を促しました。 結果、電気ショックの刺激が適度なときにマウスは最も速く区別を学習し、逆に電気ショックが弱すぎたり強すぎたりすると、学習能力が低下することがわかったのです。 罰やストレス、緊張などの不快なものは一定量あったほうが、パフォーマンスは上昇します。そして、ストレスが強すぎても、弱すぎてもパフォーマンスは低下します。 つまり、ある程度の「緊張」があったほうがパフォーマンスはアップする。緊張は敵ではなく、味方であるということです。なぜならば、適度の緊張状態では、脳内でノルアドレナリンという物質が分泌されます。ノルアドレナリンは、集中力や判断力を高め脳のパフォーマンスを飛躍的に高めてくれるのです。 緊張してきたら、「パフォーマンスが上がってきた」とつぶやいてみましょう。ほどよい緊張の中で、堂々と高いパフォーマンスでプレゼンできるはずです。 緊張をコントロールする具体的な方法については、拙著『いい緊張は能力を 2倍にする』(文響社)をお読みください。緊張コントロールの百科事典。 33の緊張緩和法を紹介しています。 日本人のほとんどは、議論やディスカッションが苦手です。アメリカ人はディスカッションが得意ですが、それは、小学校の頃から「ディベート」の授業があり、議論する力や自分の意見を述べる力が鍛えられているからです。日本人も議論の練習さえすれば上達します。 ここでは、議論が上達する方法についてお伝えします。 (1)議論の練習をする 生まれつき議論が得意という人はいないわけで、議論が上手かどうかは、「議論の経験がどれだけあるか」で決まります。つまり、議論の練習をすれば、誰でも議論は上達します。 しかし、「会社の方針」など、自分たちの利害関係が大きい問題を激しく議論すると、感情的なしこりが残る場合があります。 ですから、まずは仕事とはまったく関係ない話題で議論の練習を始めるといいでしょう。 たとえば、「本」「映画」「テレビドラマ」などを題材に熱い議論を繰り広げるのがおすすめ。アウトプットになるので理解も深まり、楽しく議論の練習ができるはずです。 (2)議論と感情を切り離す
激しく議論すると「感情的なしこり」が残るかもしれないと書きましたが、本来、それは間違った議論の方法です。 たとえば、会社の方針について、激しく議論する場合。お互い、「会社のため」という共通の目的を持って議論しているはずですから、議論の結果、憎しみが残るというのはどう見てもおかしいのです。 「議論」と「感情」は切り離して行うべきであり、それもトレーニングが必要です。激しい議論のあとに、笑顔で互いの健闘を称え合うくらいでないといけない。それも、練習と経験ですが、常に“「議論」と「感情」は別”ということを意識する必要があります。 (3)流れを予想する 会議に出席して、いきなりそこで新しい議題が提案され、予想もしていない議論が突然始まる……ということはまずないはずです。事前に議題や議案、資料などが配布されている場合が普通でしょう。つまり、「何について議論になるのか」は、事前にわかっている場合がほとんどです。ですから、会議の流れをイメージして、そこで出てくる「論点」や「質問」を予想して、事前に対策を練っておけばいいのです。 不思議なことに、議論が苦手な人ほど事前の準備をしない。議論が得意な人ほど、資料やデータを用意しています。ということは、「議論が上手」「話し方が上手」かどうかよりも、どれだけ事前に周到に準備するかで結果が決まるのです。 ですから、議論の流れを予測し、徹底抗戦できる武器、資料やデータを十分に備えておけばいいのです。 (4)想定問答集をつくる おすすめなのは、「想定問答集」「 Q& A集」をつくることです。会議で出そうな質問に対して、事前に文章でまとめておく。そうすれば質問が出ても、瞬時に適切な回答ができるはずです。 では、何問くらいの「想定問答集」をつくるべきか。その場合、参考になるのが「 10- 30- 100の法則」です。私の数百回を超える講演、セミナーの質疑応答、議論から導かれた経験的法則ではありますが、 10問で 70%、 30問で 90%、 100問で 99%をカバーするイメージです。 ひとつの議題から、出てくる質問は無限にあるわけではありません。自分で質問を書き出してみましょう。 10個くらいは書けると思います。それに対して、自分の答えを用意しておけばいいのです。たった 10問の質問に対して準備しておくだけで、 70%がカバーできます。 「残りの 30%が出たらどうするんだ?」とまだ心配な方は、 30問の想定問答集をつくってください。 30問の想定問答集であれば、 90%以上をカバーするはずです。 「残り 10%が心配」という方は、 100問つくっておけばいいのですが、通常は 30問程度の問答集があれば十分です。 (5)最初に意見をいう 議論の練習をするのは、上達までにかなりの時間を要します。もっと簡単に議論が上達する、即効性のある方法はないのでしょうか? ものすごく簡単で、絶大な効果がある方法があります。 それは、いちばんに意見をいう。ただ、それだけです。心理学実験によりますと、会議の流れは「最初に発言された意見」に大きく影響され、結果として「最初に発言された意見」に決まることが多いことがわかっています。確かに、「朝まで生テレビ!」を見ていても、最初に意見をいった人が強い、という傾向はありますね。 つまり、最初に自分の意見をズバッと述べるだけで、議論が有利に進められる。非常に効果のある心理テクニックです。 日本人は、「相談する」のがものすごく苦手です。とにかく、相談したくない。「相談する」ことを「恥」と考えるのでしょう。 どんなにつらくても、とにかく我慢する。本当に我慢できなくなって、どうにもならなくなって初めて相談するので、多くの場合、対処不能……手遅れか、非常にこじれた状態になっています。 精神科医として「あと 2カ月早く相談してくれれば、ここまでひどくならなかったのに」という経験を、数え切れないほどしています。患者さんに、「なぜもっと早く相談しなかったのですか?」と質問すると、ほとんど同じ答えが返ってきます。「相談しても問題は解決しないから。現実は何ひとつ変わらないから」 確かに、ブラック企業に勤めていて、残業も多く、多大なストレスを抱えていたとしたら……その会社を辞めない限りストレスから解放されないように思えます。しかし、心理学的には、その考えは完全に間違いです。 ある実験では、別々のケージに入れた 2匹のマウスに軽い電気ショックを与えますが、片方のマウスが入ったケージにだけ、電気ショックを止めるレバーがついています。そのレバーを踏むと、両方の電気ショックが止まる仕組みになっています。従って、電気ショックを受ける頻度、回数はどちらのマウスもまったく同じです。 何度か電気ショックを与えると、レバーの付いたケージのマウスは、電気ショックを止める方法を学習します。レバーを踏んで自分で電気ショックを制御できるマウスと、何もできなくて、ただおびえるマウスでは、どちらがストレスの影響を受けるでしょうか? 結果は、電気ショックの回数はまったく同じであったにも
かかわらず、何もできないマウスのほうは、ストレスによって潰瘍ができ、衰弱が早いなど、より大きなストレスの影響を受けたのです。つまり、同じストレスを受けているのに、「コントロールできる」という感覚を持つだけで、ストレスの影響は消えてなくなるのです。 人に相談することで、対処法が示される。あるいは、自分で順序立てて話すことで頭の中が整理され、自分で対処法や方向性が見えてくる。つまり、相談によって「コントロールできそうだ」と思えるだけで、不安やストレスの大部分は消えてなくなるのです。これが、「相談」あるいは「心理カウンセリング」は効果があるという心理学的理由です。 実際に、陰鬱な表情で来院する患者さんも、たった 30分話を聞くだけで、現実は何も変わっていないのに、気分はものすごく軽くなり、笑顔で帰宅する人がたくさんいます。 「相談しても何も変わらない」というのは完全な間違い。「相談する」だけで、不安もストレスも取り除かれるのです。 悩みごとがあれば、早めに人に相談したほうがいい。そんなアドバイスをすると、「そもそも相談する人がいません」という言葉が返ってきます。「相談できる人がいれば、とっくに相談しているよ」と。 普段ほとんど話をしない人に、いきなり人生を左右する相談をしても聞いてくれるはずがありません。相談相手というのは、普段からつながっていないと、いざというときに突然あらわれるものではないのです。 では誰とどうやってつながり、絆を深めていくのか? 社会学の研究によると、人間関係は 8つのタイプに分類できるといいます。そのつながりは、多重円のようになっていて、中心に近いほどつながりは「強く」、つながれる人数は少なくなります。 「親友」「相談相手」「癒し手」までが「強い絆」でつながっていて、その数は多くても 10人。「親友」で数人、「相談相手」までで 5人以下といいます。 現代人は、 SNSでたくさんの人とつながり、メッセージや「いいね!」をやりとりしているかもしれませんが、 15人を超える人と同時に「濃いつながり」をつくることは、心理学的、社会学的に不可能です。 LINEや Facebookでつながっている人が、あなたが本当に困ったときに相談に乗ってくれますか? その人たちのほとんどは、「相談相手」にはならないのではないでしょうか。 私は、「親友」というのは、 3人いれば十分だと思います。昔からの親友、職場の親友、趣味仲間の親友。それぞれひとりずついれば、自分が困ったときに相談に乗ってくれます。 あなたが困ったときに、親身に話を聞いてくれて、助けになってくれるのが親友。何十人とつながっても、困ったときにはなんの役にも立ちません。ただの「遊び友達」です。 「弱い絆」の人のご機嫌をとるために、あなたの貴重な時間を費やすことは、時間の無駄、人生の無駄。ほとんどの人は、多くの人とつながりすぎなのです。 私は、 100人と 1回ずつ会うよりは、「強い絆」の 10人と 10回会うことを意識しています。さらに「親友」といえる「非常に強い絆」の数名と過ごす時間を何よりも優先します。つまり、「弱い絆」の人たちに費やす時間を最低限にとどめて、「強い絆」の数名と濃い関係をつくることを最優先すべきです。 「ほめる」のが苦手です、という人は多いと思います。あるいは「部下をあまりほめすぎても、つけあがるのではないか」と心配する人もいます。しかし、それは、「ほめる」行為が間違っているのではなく、「ほめる方法」が間違っているだけなのです。 そもそも「ほめる」という行為がアウトプットなのかと思う人もいるでしょうが、「ほめる」はアウトプットであり、同時に「フィードバック」でもあります。「ほめる」のが苦手な人は、「ほめる」ことは「フィードバック」と考えるといいでしょう。 あなたの部下が何か行動を起こしました。それは、よかったのか、悪かったのか。何か明確な結果が出ていない限り、本人には判断不能です。 そこで、上司であるあなたは、その行動が正しければ「ほめる」、その行動が不適切であったならば「叱る」というアクションをとるべきです。それによって部下は、自分の行動が「適切」であったか、「不適切」であったかを学習することができるのです。 「適切」な行動に関しては、次回からもそれを繰り返し行い、精度を高めていく。「不適切」な行動に対しては、その原因を究明し対策を講じて、同じ過ちを犯さないようにする。 「ほめる」「叱る」によって「気付き」が誘発され、「自己成長」が引き起こされるのです。 あなたが、ほめたり叱ったりすることは、部下の行動に対するフィードバックになります。結果として、「いい行動」を繰り返し、会社に対しても利益をもたらすでしょう。 ほめたり叱ったりしないということは、「フィードバック」
フィードバック」しないということです。インプット、アウトプット、フィードバックのサイクルが、うまく回らないので部下は成長しません。 よく部下に「自分で考えろ!」という人がいますが、すべてを自分で考えさせるといちいち思考停止に陥ってしまいます。ある程度の示唆、方向性を与える( =フィードバックする)ほうが、部下の成長スピードは猛烈に加速します。 また、「ほめられる」ことによって、脳内ではドーパミンが分泌します。「楽しい」という感情が湧き上がると同時に、「次もがんばろう!」というモチベーション、意欲が湧き上がるのです。 人を導き成長させるためには、「ほめる」ことは不可欠です。 「ほめる」ことの重要性は理解いただけたと思いますが、具体的にほめる段階になると、どうやってほめたらいいのか迷う人も多いでしょう。あるいは、「ほめ方」が間違っていると、部下が勘違いすることもありえる話です。 自己成長を促す「ほめ方」を4つ紹介します。 (1)「強化したい行動」をほめる ほめられた行動は心理的に強化されて、もう一度それを繰り返そうという気持ちになります。ですから、ほめるべきは「結果」ではなく、「強化すべき行動」なのです。 (2)具体的にほめる 部下が 1億円の契約をとってきた場合。「 1億円の契約をとってきてすごいな!」は、結果をほめているのでよくないほめ方。それよりも、「 1億円の契約をとれたのは、クライアントさんの希望に叶うように、あきらめずに企画書を出し直したから。その粘り強さはすごいな」と、強化したい「具体的な行動」をできるだけ細かくほめると、本人も「これからもそこをもっとがんばろう!」と思います。 「 1億円の契約をとってきてすごいな!」だけでは、何がよかったのか、本人の「気付き」につながりません。これを繰り返すと、「俺ってすごい! 同期の中でナンバーワン」というような増長、思い上がりのみが強まります。 (3)承認欲求を満たす 有名な「マズローの欲求 5段階仮説」があります。その仮説では、人から承認される、認められるという「承認欲求」は、人間の欲求の中でも高次に位置する欲求といわれます。 ですから、本人の「承認欲求」を満たすほめ方は、本人のモチベーションを大きくアップさせるのです。 たとえば、「今回大口の契約をとってきて、社長も喜んでいたぞ」「今回の契約は、会社にとってすごい貢献だ」のように、他の人や組織への貢献を強調すると、承認欲求は強まります。一方、お金の欲求、物質的な欲求には慣れの効果があります。大金を手に入れてもすぐに慣れてしまい、次はより大金を手に入れないと満足できない状態に陥ります。 承認欲求には、慣れの効果はありません。つまり、承認欲求を満たす「ほめ方」であれば、 10回ほめても、 100回ほめても何度でもその効果が得られるのです。 (4)文章でほめる 多くの場合、口頭でほめることがほとんどだと思いますが、手紙やメールなど文章でほめると、より効果的です。形で残るものは、あとから何度も見直すことができる。本人がそれを読み直すたびに、「ほめ」の効果が得られます。 ほめて人を育てる「ほめ育」を世界に広げようと活動している「ほめ育財団」代表理事の原邦雄さん。私の友人でもある彼のメソッドは、部下や従業員をほめるときは、「ほめシート」という紙に書いて本人に渡すことを基本としています。言葉だけでほめるより、書いてほめるほうが、何倍も効果があるからです。 「昨日の企画書、とてもよく書けていたぞ。部長も喜んでいたぞ」的な話であれば、対面でいうほどではありませんが、メールで書いて送れば、部下のモチベーションが大きくアップすることは間違いないでしょう。 「ほめる/ほめられる」によって人間関係は深まっていきます。ほめられて不快に思う人はいません。人間は自分を認めてくれる人に好意を持つのです。上手にほめることで、働きやすい、モチベーションの高い職場をつくることができるのです。
新入社員を対象としたアンケートでは、「正当な理由があれば、上司・先輩に叱られたいと思いますか」という質問に対して、 78. 5%の新入社員が「叱られたい」と答えました。 また、「叱られることは、自身の成長において必要だと思いますか」の質問に対しては、 87. 7%の新入社員が必要と答えました。意外なことに、新入社員は叱られたいし、それによって自己成長したいと思っているのです。 しかし、ただ感情的に叱ったのでは、部下は成長しないどころか、人間関係もおかしくなります。次の日から出社しなくなるということも、現実に起こっています。では、自己成長を誘発する叱り方はどのようなものなのでしょうか? 「叱る」とは、「失敗」や「好ましくない結果」に対するフィードバックです。結果として「気付き」を誘発し、「対策」を講じて、「行動」の変化が起こり、「自己成長」が促されるのです。 つまり、部下のため、相手のために叱る。「 For You」(あなたのため)の視点で叱るということが最も重要です。 では、「 For Me」(自分のために)の視点で叱るとはどういうことでしょうか? それは、感情をぶちまける。憂さ晴らしのために叱るような叱り方です。これは「叱る」ではなく「怒る」といいます。「怒り」、つまり感情的な暴力によって相手を支配しようとするやり方は、必ず反発を招きます。 具体的にどう叱るのかというと、「修正してほしい具体的な行動を指摘する」ことが重要です。「 1億円もの損失を出してどうしてくれるんだ!」はただの怒り。「先方との連絡不足があったんじゃないのか?」と具体的に指摘しないと、「気付き」「学び」にはつながりません。あるいは、「どうして、こんなに損失が拡大したと思う?」と失敗した原因、理由、対策を本人に考えさせるのもいいでしょう。本人が気付かなければ一緒に考えることです。 重要なのは、同じ過ち、失敗を繰り返さないこと。「気付き」と「対策」が得られて、初めてフィードバックがうまくいったと考えられます。 「自己成長を促す叱り方」についてお伝えしましたが、実は、これを円滑に行うためには、重要な大前提があります。それは、信頼関係です。 いくら正しい叱り方をしても、今日から働き始めたアルバイトや入社 1カ月目の新入社員を厳しく叱ると、明日から出社してこなくなる可能性があります。なぜならば、「叱る/叱られる」は、信頼関係がないと成立しないからです。 上司から部下に対して必要なのは、「父親的な愛情」。育てる、成長してほしい。将来を期待し、活躍してほしいから叱るんだという愛情。思いやり。親が子を育てるように、「部下を育てる」「育ってほしい」という想い。 そして、部下から上司に対しては、ある種のリスペクト、敬意。それなりに仕事の経験を多く積んでいる上司に対するプラスのリスペクトの感情がないと、叱られても「何いっているんだよ」「うるさい」「たいして仕事もできないくせに、えらそうに」といった反発が返ってくるでしょう。「自分も上司のように仕事ができるようになりたい」からこそ、「聞く耳」を持つのです。 このように、父親的愛情と、尊敬・敬意という信頼関係があって、「叱る/叱られる」ことが成立するのです。 「父親的な愛情」「父親的な力強さ」を父性といいます。父性といえば、「強い」か「弱い」かで議論されることが多いですが、「強すぎる父性」というのは人間関係的にはマイナスです。極端な例でいうと、映画『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーや、「家庭内暴力をふるう父親」です。力で人を支配しようとするパターンは、どう見ても尊敬されません。 「力強さ」ともうひとつ「人間性、個性」という部分で秀でたものを持ち「尊敬される」「リスペクトされる」という要素があって、リーダーシップを発揮できる。そうした人間関係をつくろうと努力していくところで、バランスのよい上司/部下の関係が生まれてくるのです。 何か失敗をしても謝れない。つい、言い訳をしてしまうという人はいませんか? 「男性」で「地位が高い」人ほど、謝れない傾向が強いといいます。 素直に謝れない理由は、プライドが高く、謝ることは自分の価値を下げると思っているので、自尊心を傷つけたくないからです。しかしながら、謝ることは自分の評価や価値を下げることなのでしょうか。 ある心理実験では、被検者に実験助手をつけて、ある課題に取り組んでもらいました。助手はわざと失敗し、被検者は実験者から低い評価を受けます。 そして、助手は 4つの行動をとりました。失敗を被検者に謝る/謝らない。実験者の前で謝る/被検者にだけ謝る。「実験者の前で謝る」と、失敗は助手の責任とわかりますから、被検者の評価は下がりませんが、「被検者にだけ謝る」と、失敗は被検者の責任となり評価が下がります。 最後に、被検者に助手の技能について評価してもらいます。 結果は、被検者の評価が下がる、下がらないには関係なく、助手が謝ったグループで評価が高くなったのです。 つまり、謝ったほうが評価が上がるということ。多く
多くの人は、「謝る」と自分の評価が下がるような気がして、素直に謝れない原因になっていると思いますが、素直に謝ったほうが得なのです。 また、「謝る」はアウトプットに対する「フィードバック」につながります。「失敗した結果」に対して感情的に受け止め、結果として反省することで、次への対策につながります。 謝らない、つまり「自分は悪くない」「自分に責任はない」と考えている限り、インプット、アウトプット、フィードバックのサイクルは回らず、次に進めない。つまり、「自己成長」しないし、同じ過ちを今後も繰り返してしまうでしょう。 「謝る」ことに抵抗がある人は、「謝る」は「フィードバック」であり、「自己成長の糧」であると考えましょう。また、「謝る」ことによって自分の評価が下がるのではなく、高まるということを知っていれば、素直に「謝る」ことができるのではないでしょうか。 アウトプットが苦手という人は、説明するのが苦手だと思います。逆にいうと、人に説明することは、アウトプット力を鍛える恰好のトレーニングになります。さらに、説明することによって、圧倒的に記憶に残りやすくなります。 たとえば、三角形の面積の公式は「底辺 ×高さ ÷ 2」ですが、「なぜ底辺 ×高さ ÷ 2なのか説明してください」といわれたら、小学生レベルの問題ですが、意外と難しいですよね。 「まず、三角形を含む長方形を書きます。三角形の頂点から垂直に線を下ろします。そうすると、左側と右側に面積の等しい三角形が 2つあらわれました。だから、長方形の面積『底辺 ×高さ』を 2で割ると三角形の面積になるのです」 このように説明できると、三角形の面積の公式は絶対に忘れないでしょう。 説明によって、「意味記憶」が「エピソード記憶」に変換されるので、圧倒的に記憶に残りやすくなります。「意味記憶」というのは、英単語「 apple =りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。 「エピソード記憶」というのは過去にあった出来事や体験、つまり物語、ストーリーとしての記憶です。「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいという特徴があります。 三角形の面積「底辺 ×高さ ÷ 2」は、単なる記号の組み合わせですから「意味記憶」です。覚えづらく忘れやすい。これが「三角形を含む長方形を書き……」と説明することで、ストーリーすなわち「エピソード記憶」に変換されたので、覚えやすく忘れづらくなったのです。 説明することで、相手の理解も深まり、相手の記憶に定着するだけでなく、説明した自分の記憶にも圧倒的に定着しやすくなる。「説明する」ことは、最高のアウトプットのトレーニングであり、脳のトレーニングにもなるのです。 「説明する」ことは、記憶に残すことであり、脳のトレーニングでもあります。その重要性はわかっていても、何かを「説明してください」といわれると、なかなか上手に説明できる人は少ないと思います。 この項では、「上手に説明するための7つの方法」をお伝えします。 (1)大きな声ではっきりと話す 説明が苦手な人は、自分に自信がないので、小さな声でボソボソとしゃべってしまいます。それでは、説明の内容が正しかったとしても、相手にはまったく伝わりません。まず最低限、大きな声ではっきり話すこと、つまり「非言語的コミュニケーション」を意識しましょう。 (2)堂々と自信を持って話す 説明が苦手な人は、その「自信のなさ」が声や態度にあらわれてしまいます。それでは、どんなに正しい説明をしても、自信のなさが非言語的メッセージとして伝わってしまうので、聞いている側は「本当に正しいの?」と思ってしまいます。ですから、態度や語調だけでも、堂々と話すことを意識しましょう。 (3)最初にポイントを話す 説明が苦手な人の話は、何をいいたいのかよく理解できません。なぜならば、なかなか結論をいわないからです。ですから、結論や要点をいちばん先にいうことです。 「その意見に私は賛成します。なぜならば……」のように、「結論」 +「理由」という順に述べるだけで、
だけで、話が論理的になり理解しやすくなります。 (4)話は短くシンプルに 「たくさん話せば理解してくれる」と思っている人が多いのですが、たくさんしゃべるほど、相手は混乱し、説明はわかりづらくなります。ですから、話は短くシンプルにすべきです。長くなる場合は、一文、一文を短く切って話すといいでしょう。 (5)例を使う 例を出して説明すると、話がわかりやすくなります。より詳しく、より具体的なイメージしやすい例、親近感が湧く身近な例など、使えそうな例を普段から探しておくことも重要です。 (6)権威を使う 権威を使うと、説得力が圧倒的にプラスされます。本書でも、「ハーバード大学の研究によると」と有名な大学名を出して研究を引用しているのはそのためです。引用できそうな研究、事例はすぐには見つからないので、普段から探してストックしておくことも重要です。 (7)数値を使う 「大多数が賛成した」 →「 89%が賛成した」。「非常に効果的である」 →「 72%に効果が認められた」のように、具体的な数字を明記すると説得力がアップします。 「“自分の本心”や“自分の弱さ”をさらけ出すのが怖い」という人は多いと思います。日本人は「打ち明ける」よりも、「我慢する」「耐え忍ぶ」傾向が強いので、自分の弱さを「打ち明ける」ことをよしと思わない人もいるでしょう。 しかし、自分の本音を「打ち明ける」ことは、人間関係を深め、コミュニケーションを深めていくためには重要な意味を持ちます。 なぜならば、「自分の秘密」「自分の弱さ」「自分のマイナスの部分」など、自分の心の中を打ち明ける(自己開示する)ことで、相手との心理的距離が近づくからです。「自己開示するほど、親近感がアップする」ことを「自己開示の法則」といいます。 心理学者のアルトマンとテイラーは、「自己開示を通してお互いに相手のことを知ることにより、相互の信頼が増し、好意的な関係が形成される」(社会的浸透理論)と提唱しました。 他の人に話さない内容を自分にだけ打ち明けてくれた……そうした心理的交流が、人間関係を深めるのです。自己開示の幅と深さが大きいほど、好意度はより大きくなります。 とはいえ初対面の人に、いきなりディープな自己開示をするべきではありません。合コンで初対面の人に「子どもの頃、虐待を受けていました」といきなり自己開示しても、驚かれるだけです。自己開示は相手の「心の扉」の開き具合に合わせて、少しずつ行っていくべきなのです。 相手の心の扉があまり開いていない状態ではちょっとだけ自己開示をする。知り合ってからの期間も長く、相手の心の扉が開いている場合は、より深い自己開示が可能です。 ですから、初対面の人への自己開示は、ほどほどにしておいたほうがいいでしょう。 自分が自己開示をすると、相手も自己開示をしてくれる。これを「自己開示の返報性」といいます。互いに心の中を開示しながら人間関係を深めていくのです。 「打ち明ける」ことを上手に使うと、非常に深く、絆の強い人間関係を構築することができます。 初めて参加する会などで「自己紹介をお願いします」といわれることはよくあると思います。 自己紹介では、ものすごく流暢に自分の長所をアピールしてしっかりと記憶に残る人と、緊張してドギマギしてしまいほとんど話せない人、つまり自己紹介が「上手な人」と「下手な人」に完全にわかれます。 自己紹介は、人生で 100回以上はするわけですから、下手なら練習しておけばいいのです。 上手に自己紹介するのは、とても簡単です。自己紹介の原稿を書いて、それをスラスラいえるように練習し、暗記しておく。ただそれだけです。 30分もあればできるでしょう。 自己紹介は、「短いパターン」「長いパターン」と時間によってしゃべる内容が変わります。また、「ひとり 30秒で自己紹介をお願いします」と時間指定されることもありますので、自己紹介の原稿は、「 30秒」「 60秒」の 2パターンをつくっておくのがいいでしょう。 「 30秒」は約 200文字、「 60秒」は約 400文字となります。実際に書いてみるとわかりますが、思った以上に情報を盛り込むことができます。 記憶に残り、共感される自己紹介のポイントを 6つお伝えします。 (1)誰にでもわかるように話す 自己紹介の目的は、「自分が何をしている人か」を記憶してもらうこと。しかし、「何をしている人」なのかがわからない自己紹介が多いのです。 「株式会社シオンで CRMを担当しています」といわ
れても、聞いている人は「なんの会社ですか?」「 CRMってなんですか?」と疑問だらけ。初対面の人にするのが自己紹介ですから、専門用語などは使わず「わかるように話す」ことが重要です。 (2)差別化ポイントを盛り込む 自己紹介が終わったあとに、「そういえば、この人、なんの人だっけ?」とまったく覚えてもらえていないとするならば、自己紹介の意味がありません。 つまり、自己紹介の必須条件は、「記憶に残る」ということ。そのためには、自分の中で「尖った部分」「変わった部分」「長所、得意とする点」「他人と差別化できるポイント」などを盛り込むことです。 (3)数字を盛り込む 数字を盛り込むと、差別化しやすく、すごさが伝わりやすくなります。 たとえば、「映画が大好きです」ではなく、「年間映画 100本を観る映画ファンです」。「ベストセラー作家の樺沢です」ではなく、「累計 50万部のベストセラー作家、樺沢です」といえば、「すごいな!」と印象に残ります。 (4)ビジョンを盛り込む 「ビジョン」「使命」「目標」など、自分が何を実現したいのか。行動や考え方の指針を盛り込むと強い共感が得られ、あとから声をかけられる確率も大きくアップします。 「目立った長所」や「差別化ポイント」がないという人も、自分の「想い」であれば熱く語れるはずです。 (5)非言語的コミュニケーションを意識する 最も重要なポイントは、「何をしゃべるか」ではなく「どうしゃべるか」。 うつむいて、小さい声でボソボソしゃべって名前すらよく聞き取れない……そんな状態では、どんなに自己紹介の内容が素晴らしくても、聞いている人にはネガティブな印象しか与えません。 先述の通り、初対面の印象の大部分は、非言語的メッセージで決まります。ですから、非言語的メッセージを意識し、前を向いて、笑顔で、大きな声ではっきりとしゃべる。たったそれだけでも、十分に好印象を与えることができます。 (6)自分らしさを追加する 自己紹介というのは、人から自分がどう見られたいのか。見られたい自分を、短時間でアピールする絶好のチャンスです。ですから、普段から「自分がどう見られたい」のかについて、よく考えておく必要があります。 言い換えれば、「自分らしさ」であり「個性」、そこをワンポイントでアピールできるエピソードを追加すると、魅力的な自己紹介になります。 自己紹介は、コミュニケーションの入り口であり、「出会い」の絶好のチャンスです。上手な自己紹介ができれば、ビジネスのチャンスも恋愛のチャンスも間違いなく広がります。 そのために、自己紹介原稿をしっかりとつくり込み、読む練習をしておくことは、とても重要です。 ほとんどの日本人は、「人に物を売る」ということが苦手です。あるいは、マイナス意識を持っています。「お金は卑しいもの」という考えに支配されている人が非常に多いのです。 営業とはなんでしょうか? 決して「商品を強引に売りつけること」ではありません。 営業とは、その商品が持つ「本当の価値」「本当の素晴らしさ」「本当の魅力」を正しく伝えることです。結果としてクライアントの購入意欲が上がり、購入に至るのです。正しく営業すると、「売り込む」必要も、「売りつける」必要も、まったくないのです。 「売る」ことが目的なのではなく、「価値を紹介する」ことが目的だと考えると、「営業はネガティブな職業」というイメージは払拭されるはずです。 私も営業というか、メルマガや Facebookで本やセミナーの告知をします。たとえば、「新刊『アウトプット大全』が発売されました!」のように。それでは、どのように紹介するのでしょうか。 営業や告知が下手な人は、「買ってください」を連呼します。クライアントの心理は、「価値があるもの」は買いたい。「価値のないもの」は買いたくない。ただ、それだけです。だから、価値を説明せずに「買ってください」を連呼しても、絶対に売れません。 商品を売りたければすることはたったひとつ。「価値を伝える」ことなのです。 たとえば、私は『アウトプット大全』を自分のメルマガで紹介するなら、次のように紹介します。
たった 7項目の紹介文ですが、買いたくなりませんか?「買ってください」とは、一言も書いていません。 効果的な営業術。それは、「売り込む」ことでも「買って」と連呼することでもありません。商品の本当の価値を紹介すること。言い換えると、「ベネフィット」を紹介することです。「ベネフィット( benefit)」とは、「利益」です。その商品を購入すると、クライアント(購入者)に、どのようなメリット、利益、得があるのか。その点をしっかりと説明しましょう。『アウトプット大全』は次のような特徴のある本です。#日本で初めてアウトプットに特化した、アウトプットの決定版。#アウトプットについて、異なる 80の視点からアウトプットの実践法を解説したアウトプットの百科事典。#精神科医の、脳科学、心理学的根拠に基づいた、再現性のあるノウハウ。#図解入り。読書が苦手な人も直感的に理解できるわかりやすさ。#基本 2ページ完結でどこからでも読める。気楽にスキマ時間で読める。何度でも読めるから、効果抜群。#読んだその日から実践できるハードルの低さ。読んだその日から効果を実感できる即効性。#アウトプットによって、受け身型、消極的な人生が、能動型、積極的な人生に変わる!あなたも、『アウトプット大全』を読み、アウトプットを実践して、自分の人生を変えてみませんか? ベネフィット(利益)、価値を伝えると商品は売れます。「物を売る」のではなく、「価値を伝える」……自分は価値の伝道者だと思うと、営業もかなり楽になると思います。 とはいえ、営業のコツがわからないという方に、「売れる公式」をお伝えします。 ビジネスをやっている人ならば絶対に知りたい「売れる公式」。それは、「価値 >価格」です。自分が思っている、あるいは期待している価値よりも価格が安ければ、購入に至ります。高ければ、買いません。 1万 5, 000円のお寿司を食べて、「他の店で食べれば 2、 3万円のレベル」と感じれば再訪するし、「この内容で 1万 5, 000円は高い」と思えば、二度と訪れないのです。 残念なことに、多くの企業は、「価値 >価格」の公式を成立させるために、「価格」を安くするほうを選びます。牛丼 450円では「高い!」と思う人が多いから、 380円にしよう。他社はもっと安くしているから、うちも安くしよう。無限に続く値下げ競争に、多くの企業は疲弊しています。 価格を下げずに商品を売るには、商品の価値を高めること。もちろん、魅力的な商品をつくる、開発するという方法もありますが、今ある商品の魅力、メリット、ベネフィットを十分に伝えることで、今すぐ「売れる公式」を成立させることができます。 たとえば、私は「樺沢塾 精神科医の仕事術」というインターネット上の学習コミュニティを運営しています。『樺沢の仕事術や勉強法をより深く学べる。月額 1, 620円で 30分の樺沢オリジナルの仕事術動画が月 3回配信されます!』 ここまで読んで、「今すぐ申し込もう!」と思った人は少ないと思います。 樺沢塾には重要な特徴が4つあります。「樺沢塾 精神科医の仕事術」 https:// lounge. dmm. com/ detail/ 60/ 「コンテンツ見放題」「アウトプット型」「双方向」「リアル」。「樺沢塾」ではこれらのすべてを「ビジネス書 1冊分の価格」 1, 620円で提供しています。 4つの樺沢塾の特徴を具体的に説明することで、樺沢塾に値段以上の価値を感じられるようになったはずです。 このように「価値 >価格」を意識すると、売り込まずに商品の魅力をアピールすることができるのです。
「感謝は大切です」といわれますが、気恥ずかしくて素直に「ありがとう」と言えない人が多いと思います。そもそも「感謝する」と本当にいい効果が得られるのでしょうか? イリノイ大学の研究では、感謝やポジティブ感情が多く、幸福感を持っている人は、そうでない人に比べて 9. 4年長生きすることが明らかになっています。 その他、多くの研究で、感謝やポジティブな感情が多いと心臓血管系が安定し、免疫力も高まり長生きする……つまり、「感謝は健康にいい」ことが明らかにされています。 脳科学的には、感謝することで、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィンなど、脳と体にいい作用を与える 4つの脳内物質が分泌されます。 たったひとつの行動で、 4つの脳内物質すべてが分泌されることは、他にはありません。感謝は最高の脳トレーニングともいえます。 また、セロトニンとオキシトシンは癒やし、リラックスをもたらし、オキシトシンとエンドルフィンは免疫力を高めますので、これらの物質が分泌されると「健康にいい」といえるのです。 さらに興味深いのは、エンドルフィンは、感謝したときと感謝されたときの両方で分泌されるといいます。人に感謝したときにいい効果が得られるのはわかりますが、人から感謝されたときも、心と体でプラスの変化が起きているのです。 「感謝する」ことは、何か気恥ずかしいというか、ちょっと抵抗感があるかもしれません。しかし、感謝されてマイナスの感情を抱く人はいません。むしろ、人間関係、コミュニケーションを深める言葉です。 脳科学的にも絶大な効果があることがわかっています。ですから勇気をもって、積極的に「ありがとう」と言ってみましょう。「ありがとう」はすべてがうまくいく魔法の言葉です。 まずは、奥さんや旦那さんへの言葉を「愚痴」から「感謝」に変えるだけで、夫婦仲も変わってきます。勇気を出して「いつもありがとう」と言ってみませんか。 「電話」と聞くと、アナログ仕事とイメージする人は多いと思います。そして、メールやメッセージが非常に普及したおかげで、電話をかける頻度は非常に減っています。 しかし、メールやメッセージよりも「電話」のほうがいい場合も間違いなくあるのです。デジタル時代だから、リアルとデジタルをつなぐ「電話」を上手に活用することが大切です。 (1)電話は、最強の確認ツール 電話のメリットは、早くて確実だということ。メールやメッセージはいつ読まれるかわかりませんし、メッセージで「開封」「既読」になっても、本当に内容を理解しているかどうかまではわかりません。 ですから、「緊急で重要な要件」「今すぐ判断や結果を知りたい要件」の場合は、電話が向いています。以前、「急ぎの用件で、ずっとメール返信を待っていたのに、なぜすぐ返信をくれないのですか」と言われたことがありますが、そこまで急いでいるのなら、ただメール返信を待ち続けるのではなく、「電話」で確認すべきです。 電話は、相手の意思や考えを、今すぐ確実に「確認」することができます。ですから、緊急性のある重要な要件の「確認」は電話が最強です。 (2)相手の仕事を邪魔しない気遣いが必要 電話の最大のデメリットは、相手の仕事に割って入るということ。電話をしたら先方は会議中や重要な商談中かもしれない。「そんなくだらない要件で忙しいときに電話するな!」と怒鳴られることもあるでしょう。 また、集中力がいったん途切れると、元の集中力に戻るまでに 5分以上かかります。ですから、「電話」 =「相手の仕事の妨害」の危険性もあります。ちなみに、私は午前中の執筆中は、電話がかかってきても出ません。集中力が途切れてしまうからです。 そうならないために、緊急性の低い用件に関しては、相手が「メールやメッセージを送った直後」「 SNSを投稿した直後」に電話するのがいいでしょう。休憩時間か、少なくとも忙しく仕事をしていないことがわかります。 あるいは、ランチ時間など、相手のタイムスケジュールを意識して、「忙しく仕事をしていない時間」を意識する気遣いがあると先方もうれしいはずです。 (3)非言語的メッセージが伝わる 電話のメール、メッセージと比べた大きなアドバンテージは、声のトーンなどで、あなたの「感情」を非言語的に伝えられることです。メールで「ありがとうございました」と書くのと、電話で直接いうのとでは、電話のほうが、非言語的な要素が上乗せされるので、圧倒的に伝わりやすくなります。 具体的な例を挙げると、「お礼」はメッセージで簡単に済ますよりも、電話で丁重に述べたほうが、あなたの気持ちがよく伝わります。また、「お願いごと」も、メールでは一蹴されても、電話で直接お願いすると受けていただける確率が数倍アップします。 「感情」を伝えたい場合は、メールやメッセージよりも電話です。
(4)ニュアンスが伝わる メールで何往復もやりとりをしても行き違う微妙な問題が、電話だと 30秒で解決するということがあります。電話は、微妙なニュアンスが伝わるからです。 ですから、何でもかんでも、メールやメッセージで連絡すればいいというわけではありません。 長文のメールを 1通書くのに、何分もかかります。「込み入った話」「複雑な話」など、直接電話で話したほうがわかりやすい場合は、電話で話したほうが時間節約できるのです。 (5)証拠が残らない 電話の大きなデメリットのひとつは、記録が残らないということです。電話では「はい」と言ったのに、あとで「そんなことはいっていない」と行き違いが発生するトラブルもありえます。 あるいは、電話で「 1, 200万円で契約」と言ったはずが、先方が騒がしい場所で電話をとっていたら「 1, 000万円」と聞き違えてしまう可能性もあります。 ですから、電話で重要なやりとりをした場合は、その後確認のメールを送り、記録と内容を残しておくことも重要です。 (6)相手が電話好きかどうかを考える 電話で連絡するか、メールやメッセージで連絡をするか。迷った場合は、「相手がいつもどちらで連絡をとってくるか」、相手が「電話」と「メールやメッセージ」のどちらが好きかを考えましょう。 電話好きの人には、緊急度が低い要件でも、「さっさと電話で知らせてほしい」という人もいます。年長の方は電話に慣れていて、電話が好きな人が多いかもしれません。 ちなみに私は電話が大の苦手なので、「緊急の要件」以外では電話をかけないでください。 電話を上手に活用する 6つの方法。これらを意識すれば、先方にどちらで連絡すればいいのかは、おのずとわかるはずです。
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