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Chapter2スタバで育てた自律型人材

目次

Chapter2スタバで育てた自律型人材

正解のない問いから答えを導き出す

「多様性とは何ですか?」「尊敬と威厳とは何ですか?」最初の研修では、このような質問をファシリテーター(講師)は投げかけます。

もちろん、スラスラと答えられるパートナーはいません。何十年も働いているパートナーであっても、言葉に詰まるでしょう。それはそれで構わないのです。

自分なりに考えて答えを導き出そうとする、その姿勢が大事なのですから。さらに、ファシリテーターは問いかけます。

「あなたがお客様としてお店に行った時、一番よかったと感じたサービスは、どのお店のどんな時でしたか?」これも正解のない問いです。

パートナーは、自分の体験をもとに懸命に答えようとします。荷物をいっぱい持ってテイクアウトを頼んだ時、「ドリンクは袋に入れましょうか?」とひと声かけてもらい、嬉しかった。

家で淹れるコーヒー豆を探していた時に、好みや飲む頻度など、パートナーが親身になって相談に乗ってくれて、一緒に探すのが楽しかった。何度か通ううちに、パートナーが顔を覚えてくれていて、びっくりした。

そういった話をひと通り聞いた後に、「みなさんの話に出てきたように、スターバックスではお客様の記憶に残るような仕事をしているんです」と説明すると、パートナーたちは「なるほど」と感じるのです。

「スタバの接客がいいな」と思って憧れて入社したとしても、お客様からパートナーの立場になると、何をどうすればいいのかわかりません。

このような問いかけを通して、「自分がされて嬉しかったことを、お客様にもしてみよう」と意識することで、具体的にどう行動すればいいのかが見えてくるのです。日本の学校教育は、答えのある問題を解くことを中心に教えていると問題視されてきました。

さらに、「1+2=?」というように、1つの答えを導き出す学習が基本です。一方で、欧米の教育は一般的に、「?+?=3」のように、何通りもある答えを考える手法を取り入れています。

それだけでなく、ディスカッションやディベートをする習慣が、学校以外にも、家庭や地域などの日常生活に根づいているのです。

議論する力は、日常的に繰り返すうちに習慣となって身につくもので、性格や学力はそれほど関係ないでしょう。スターバックスでは、研修でも、お店に出てからも、ディスカッションの連続です。

それは、何通りも存在する答えを自分の頭で考えて、意見を伝えるという習慣を身につけてもらうため。大人になっても、議論する力は十分鍛えられます。

答えのない問いも、答えを出さないまま放置するわけにはいきません。正解がなくても、自分なりの答えを導き出すために考えなければならないのです。

そもそも、一歩社会に出れば答えのない問題ばかりです。答えのない問いに向かって考え続けなければ、想像力も問題解決力も育ちません。

本章では、自分の頭で考えて行動する「自律型」パートナーを育てるために、スタバが実践している取り組みや大切にしている考え方を紹介していきます。

「是正」と「強化」のフィードバック

自律型人材を育てるのは、一朝一夕でできることではありません。したがって、80時間の研修を終え、お店に配属された後も、スターバックスはパートナーを熱心に育て続けます。

そのために大事にしている教育スキルが、行動に対する是正と強化のフィードバックです。1つ目は、パートナーが失敗した時のフィードバックです。

たとえば、お客様が不満そうな顔で帰ってしまった場面を目にしたとします。

その時、接客対応をしたパートナーに対して、「今のお客様、何かあったの?」「お客様とどんな話をしたの?」「それに対して、あなたはどんな行動をしたの?」と問いかけていきます。

有名なトヨタのカイゼンでは、5回「なぜ」を繰り返すと言われていますが、それと同じで、繰り返し問いかけることで問題の本質が見えてくるのです。このフィードバックの目的は、相手の行動を「是正」し、正しい方向に導くこと。

一歩間違えると相手を追い詰めてしまう恐れもありますが、相手を責めるのではなく、どうすればよかったのか、気づいてもらうことが目的です。

たとえば、お客様のオーダーとは違う商品を渡してしまった時。ミスは誰にでもあることなので、そのこと自体は問題ではありません。問題なのは、その時の対応です。

お客様に指摘されて、「申し訳ありません」と謝って作り直すのは、当然の対応です。ただ、その時に無表情のまま謝罪したら、お客様は不快に感じるでしょう。

視線も合わせず淡々と作業を進めていたら、「なんだか作り直すのが面倒みたい」とお客様は感じるかもしれません。

こういう時の対応は、作り直すのが目的ではなく、お客様に不快な思いを抱かせてしまったことを解消するのが目的です。

お店が混んでいて、どんなに忙しくても、1人1人のお客様に感動経験を提供するのがスターバックスのミッション(使命)であることを忘れてはなりません。

こういった場面を見かけたら、すかさず行動是正のフィードバックをします。

「今、どうして無表情で対応していたの?」「お客様の表情を見たかな。かたい表情をしていたけど、何かあった?」このような感じで、「なぜ?」「どうしたの?」と投げかけます。

普通なら、「今の接客の仕方じゃ、お客様に対して失礼だよね。心から謝罪しないと、お客様はもう二度とこの店を利用しないって思っちゃうよ」とアドバイスする場面でしょう。

「謝る時は90度お辞儀をして、おわびの気持ちを表さないと」と、具体的なノウハウを教える人もいるかもしれません。

スターバックスのフィードバックは、本人に答えを考えさせます。

指摘する側が答えを与えてしまうのではなく、問いかけて、どうすればいいのか、なぜそうするべきなのかを相手に考えてもらうのです。

その理由は、正しい答えをポンと「指示」として与えてしまうと、相手は自分の頭で考えて行動をしなくなるから。

「商品を間違えたら、深々とお辞儀をして謝ればいいんだ」と、安易な方法論に頼ってしまうでしょう。物事の本質を自分で考えて納得しなければ、正しい行動に移すことはできません。

「今の対応は心が込もっていなかった」「お客様に嫌な思いをさせてしまった」と自ら気づかない限り、また同じことを繰り返すでしょう。

だから時間がかかっても、問いかけて考えてもらうのが大切なのです。もう1つが、肯定的なフィードバックです。

たとえば、お客様がとてもいい笑顔で帰っていったとします。

そういう場面でも、お客様とどんな話をしたのか、どんな対応をしたのかを聞き、なぜそういう対応をしたのかを引き出していきます。

「今のお客様、笑顔だったよね。どんな会話をしたの?」「お客様のかぶっていた帽子がかわいかったから、思わず『その帽子、かわいいですね』って言ったんです。

そうしたら、『そうなの、一目ぼれして買った帽子なの』って喜んでくださって」「いいねえ。どうして喜んでもらえたんだろう」

「そうですねえ。やっぱり、身につけているものを褒められると嬉しいからなのかな」「そうだね、誰でも褒められると嬉しいよね。今の対応はよかったから、どんどんやろうよ」このような感じで、その行為のどこがよかったのかを本人に考えてもらいます。

このフィードバックは、行動を「強化」するのが目的です。

スタースキルにある「自信を保ち、さらに高めていく」ためのノウハウでもあるのです。相手が失敗した時に叱ることはあっても、よい行動をそのまま見過ごしてしまう人は多いのではないでしょうか。褒めることはあっても、本人に行動を振り返らせるところまではしないかもしれません。

よい行動に対しても、褒めるだけではなく、何がどうよかったかを具体的に分析をしないと、何となく取った行動の場合は1回きりで終わってしまう可能性もあります。

フィードバックで本人に意識させることで、「次もやってみよう」というモチベーションが生まれ、よい行動を習慣化できるのです。

一般的なフィードバックは、伝える側が「あなたの行動のこういう点に問題がある。こう直してほしい」「今の行動はよかったよ」と一方的に伝える方法が主流でしょう。

スターバックスのフィードバックは、質問スタイルで相手の考えを引き出すことが大きな特徴です。よい行動も、正すべき行動も、自分で振り返り、自分で解決策を見つける。

答えは必ずしも与えるものではありません。納得のいく答えを自分で探し求めるものだと、私は考えています。

フィードバックには賞味期限がある

2つのフィードバックは、伝えるタイミングも鍵になります。タイミングは、早いほどいいのは言うまでもありません。

つまり、フィードバックには賞味期限があるのです。仕事をしているパートナーの作業を中断させてフィードバックするのは、正直私も躊躇していました。

とくに行動是正のフィードバックは、伝える側もいい気分にはなれません。つい、「仕事が終わってからでいいかな」と後回しにしがちです。

しかし、ネガティブなことを伝える時こそ、早めにするべきです。

問題行動に気づいたら、すぐにフィードバックをすることで、本人はその重大さを意識することができます。逆に、3日経ってから「あの時のことなんだけど」と指摘しても、話を掘り返しているようで効果的ではありません。

また、みんなが見ている前で「今の対応だけどさ」とフィードバックすると、本人のプライドは傷ついてしまいます。お客様の前でしたら、お客様は不快に感じるでしょう。

お客様の前で店員を怒鳴りつける飲食店がたまにありますが、ああいうのは接客サービスでは論外だと思います。

ネガティブなことほど、1対1で話すのは大原則です。私はバックヤードに来てもらい、1対1で話すように心がけていました。

行動強化のフィードバックも同じです。すぐに褒めないと、本人が何をしたのか忘れてしまうこともあります。

その場で褒めるのは難しくても、その日のうちに伝えるのが基本です。是正に対して、行動強化のフィードバックは、みんなが見ている前でどんどんしたほうがいいでしょう。

他の人も話を聞きながら、「そうか、ああいう場面ではそういう行動を取ればいいのか。今度やってみよう」と自分で取り入れようとします。

小さなことでもフィードバックしていたら、みんなで褒め合う環境を作るきっかけにもなるでしょう。みなさんの周りに、「お前はいつもそういう行動を取るよな」と注意をする人はいませんか。

もしかしたら、あなた自身に心当たりがあるかもしれません。こういう注意の仕方は、注意する側に問題があると思います。

いつも問題だと思いながら見逃してきたのなら、今まで正そうとしなかった側に責任があるのです。悪い行動や癖は、一度ついたらなかなか直りません。

周りから何も言われなければ「それでいいんだ」と思い、その行動を繰り返し、習慣化してしまいます。したがって、問題行動は、最初に気づいた段階ですぐに注意することが大事なのです。

対話を重ねて解決策を発見する

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」これは、大日本帝国海軍の軍人、山本五十六の言葉です。有名なので、みなさんもご存じでしょう。

この言葉には続きがあります。

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」この言葉は、スターバックスのミッションやスタースキルに通じるものがあると私は思います。

とくに、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」を実感する場面を、私は何度も何度も現場で味わいました。

私がディストリクトマネージャー(地区責任者)に就いていたころの話です。ディストリクトとは「地域、地区」という意味です。

ディストリクトマネージャーはストアマネージャー(店長)より1つ上の役職で、都道府県ごとにいくつかのエリアに区切り、そのエリアのお店をすべて管轄します。

私は埼玉県のあるエリアを担当していました。そのエリアで、新しいお店を同時期に2カ所出店した時のことです。

一方のお店は男性の高田さん(仮名)を、もう一方は女性の佐藤さん(仮名)をストアマネージャーに任命しました。

高田さんは30代後半で、アクティブに動く、はつらつとしたタイプでした。コミュニケーションの取り方もうまく、周りの人から親しまれていました。

佐藤さんは中途採用で入った社員で、実は人の上に立って仕事をするのは初めてでした。仕事の能力は高いのですが、自分の考えを主張するのが苦手で、コミュニケーションを取るのが不得手なタイプです。

そんな佐藤さんにストアマネージャーを任せるのは、私にとってもかなりのチャレンジでした。

私は2つの店舗を行き来していたのですが、「こんなに差が出るもんなんだな」と驚くぐらい、仕事の進捗状況に開きがありました。

新店の準備にあたっては、売り上げ計画や採用、育成などの事業計画をストアマネージャーが作成します。

機器類もそろえなければならないし、商品や備品の発注作業や納品された商品を配置する作業など、やることは山ほどあります。

高田さんは、わからないことがあるとすぐ私に相談し、パートナーたちに仕事をどんどん割り振っていました。

私が出る幕はほとんどなく、準備は順調に整っていました。

ところが、佐藤さんのお店のほうは、準備作業が停滞気味でした。佐藤さんからの相談はほとんどなく、独断で作業を進めていました。

もちろん、主体的に行動するのは、スターバックスが求めていることです。同時に、困った時に助けを求めるというスタースキルもあります。

どういう時に自分だけで判断し、どんな場面で人に頼ればいいのか。その兼ね合いを判断するのも、リーダーとしての務めなのです。

初めてのストアマネージャーだからわからないことも当然多いでしょうし、加えて1人でできるような仕事量ではありません。

私も、繰り返し「何かあったら相談してね」と伝えていたにもかかわらず、佐藤さんは自分ですべてを抱えてしまっていました。

どうやらストアマネージャーになったことへの気負いがあり、必要以上に「らしさ」を見せなければならないと考えている節があったようです。

手を差し伸べてあげたくてもできないので、こちらも困り果てました。

たとえば、私が「開店までの事業計画は、そろそろ立てたかな」と尋ねると、そこで初めて「やり方がわかりません」と言ってくるのです。

こちらで教えながら途中まで計画表を作り、残りは3日後までに終わらせると約束して、その時は帰りました。

ところが3日後、お店に行くと、計画表はまだできていなかったのです。こういう場面では、すかさずフィードバックです。

「どうしてできてないのかな」「業者とのやりとりで忙しくて……」

「でも、3日後までにやるって約束したよね」「そうなんですけど、他の仕事で手いっぱいで」「そうならないためにも、計画が大切だと思うんだけど、そもそも計画を立てないと誰が困るんだろうね」「私です……」フィードバックをすると、佐藤さんもその時は反省して行動を改めます。

けれども、別の仕事でまた期日を守れないことが何回もありました。

私もさすがに我慢の限界を超えそうになりましたが、「佐藤さんは初めてストアマネージャーになったんだから、いっぱいいっぱいになるのは当然だよなあ」と思い直し、諦めずにフィードバックを続けました。

そうこうするうちに、佐藤さんは徐々に仕事がこなれていき、私との距離感は縮まっていきました。そして、いよいよ開店となりました。

オープン直後は、佐藤さんもパートナーたちもやる気に満ち、お店には活気があふれていました。その様子を見て、「これなら大丈夫かな」と思っていたのですが、そう簡単にはいきませんでした。

しばらくして佐藤さんのお店を訪ねると、雰囲気は一変していました。パートナーたちの表情は暗くどんよりし、お客様を見ないまま「こんにちは」と呼びかけています。

その声にも覇気はありません。そして事務的にオーダーを受け、黙々とコーヒーを淹れるのです。これではお客様に感動経験を与えられるわけなどありません。

一方で高田さんのお店は、いつ行っても明るく、「目黒さん、こんにちは!」とみな笑顔で出迎えてくれます。

ストアマネージャーもパートナーも、気持ちよく仕事をしているのは見ているだけでわかりました。だからといって、仲よしチームのような雰囲気でもありません。

高田さんはパートナーに対して言うべきことはきちんと伝えるので、いい信頼関係を築けていました。やがて、佐藤さんのお店で働くパートナーのリーダーから、相談を受けました。

「佐藤さんは僕たちにはあれこれ指示を出すんだけど、自分では動かないんですよ。いつまでにやるっていう約束も守らないし、言い訳ばっかりしてるんです」「サポートセンター(本社)からの情報が、全然私たちに伝わっていないんです。

新商品の情報も直前に知らされるので、準備の余裕がありません。このままじゃこのお店、やばいですよ」佐藤さんはお店がオープンしても相変わらず、期日を守れないという部分は改善できていなかったのです。

やるべき仕事が多くて手いっぱいになっているのでしょうが、パートナーの役割分担もできずにいました。そのうえ情報提供も不十分で、チームの調和が取れなくなっていたのです。

それを聞いても、私は「ストアマネージャーとはこうあるべきだ」と佐藤さんに教えを説くつもりはありませんでした。彼女自身に解決策を見つけてほしかったからです。

「パートナーから仕事の進め方について意見があったんだけど、今のお店の状態をどう感じてる?」「あまりよくないと思います」そう答える彼女はやつれて顔色も青く、悩んでいる様子がありありとわかります。

「そもそも、どういうお店作りを目標にして、僕たちは始めたんだっけ?」「それは……お客様に感動経験をしてもらうようなお店って……」「今の状態は、それに沿ったものかな?」「全然違います……」「何がそうさせてるのかな」1つずつ問いかけながら、佐藤さんの心を整理していきます。

彼女にとってもつらいプロセスです。時には涙ぐむこともありました。そういった対話を重ねていくうちに、ある時佐藤さんは「私は自分から動きたい気持ちはあるんですけど、動けない自分がいるんです。

ストアマネージャーなのに間違ってたらどうしよう、って思うと、何もできなくて。本当は知らないんだけれど、パートナーに聞かれたら知ったかぶりしちゃったりとか」と打ち明けてくれました。

さらに、「パートナーのみなに謝りたい」という言葉が出てきました。

ようやく、自分から周りの人に歩み寄る決心をしたのです。

「それはいいことだね。できてない自分を認めて、それを謝罪するのはいいことだと思う。でも、謝っただけではダメだよね。これから先、どうすればいいのかを見つけないと」そこからの佐藤さんは変わっていきました。

周囲としっかりコミュニケーションを取り、仕事もパートナーにどんどん任せるようになりました。

パートナーの問題行動をフィードバックできるようになり、自分がどういうお店を作りたいのか、展望をパートナーに少しずつ話すようにもなりました。

すると、お店の雰囲気は徐々に明るくなっていったのです。パートナーとの間に信頼感が生まれたのは、見ていてよくわかりました。

この体験を通して、人は誰でも成長する可能性を持っていて、どんなに厳しい状況であっても、諦めなければ状況を変えられるのだと改めて思いました。

そのためにも、本人がしっかり自分の心の弱い部分と向き合わなければなりません。

こういう時に、周りが「もっとよく考えろ」と諭しても効果はないでしょう。

本人に振り返ってもらい、本人に答えを導き出させるために、フィードバックで誘導しながら気づいてもらうしかないのです。

みなさんが上司の立場なら、つい部下に対して「ああしろ、こうしろ」と教えてあげたくなるかもしれません。でも、それでトラブルは解決できても、本人の成長につながるとは限りません。

「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、結果がよくてもそこに至るまでのプロセスを大切にしなければ、本人にとってはよい結果とは言えないでしょう。最近の傾向として、正しいプロセスを示してあげないと行動に移せない人が多く見受けられます。

しかしながら、結果にたどりつく手法は無限にあるはずです。どれが正しいかは、やってみないとわからないし、またやった自分にしかわからないでしょう。だからこそ、苦労したり試行錯誤したりするという経験は、結果とは切り離して向き合うべきなのです。

自分で気づかなければ何事も身につかない

自ら気づくことで大きく成長したエピソードといえば、もう1人忘れられないパートナーがいます。

ディストリクトマネージャーをしていたころ、埼玉県に新店をオープンすることになりました。ストアマネージャーに抜擢されたのは、石川君(仮名)です。

石川君は学生のころから新宿にあるスターバックスでアルバイトをし、その後新卒1期生で入社しました。実は、彼は社内でちょっとした有名人でした。私は、彼と初めて会った日のことを今でも忘れられません。

新規店舗のキックオフ・ミーティングをするためにサポートセンターの会議室で待っていると、ドアを開けて入ってきた石川君は開口一番、「あ、目黒さんっすか。よろしくお願いしま~す」と低い声で挨拶したのです。普通なら、「目黒さんですか?はじめまして、石川と申します」と丁寧に挨拶するでしょう。

シャツの胸ボタンは「いくつ開けてるんだよ」とツッコミを入れたくなるぐらい外し、目つきも鋭く、いかにもヤンキー上がりのお兄ちゃんという感じでした。

ただ、話してみると根は素直ですし、仕事に対してはまじめに考え、何より熱意を持っているのもわかりました。学生のころから働いているので、スターバックスのマインドはきちんと身についています。お店で働く石川君を見ていると、学生アルバイトに対しても面倒見がよく、優しく接していました。

ところが、何かの拍子に「お前なあ、そうじゃないだろ?」などとトゲのある言葉が出てきます。忙しいと、イライラして近寄りがたいオーラを発している時もありました。学生さんたちは戸惑い、どこか怖がっている雰囲気もありました。

大きな問題はないものの、「なんかおかしいな」と気になったので、彼とコミュニケーションを積極的に取り、原因を探ることにしました。そしてある日、その理由がやっとわかりました。

彼は新宿のお店のオープンの時からずっと働いていたので、都会の人気店に勤めることに対してプライドを持っていたのです。

ところが埼玉のお店に配属となり、「えっ、なんでこのオレが埼玉に?」とかなりショックを受けたようなのです(埼玉県の方が読んだら怒りそうですが、あくまでもその時の石川君はそういうイメージを抱いていたという話なので、ご勘弁を……)。

理由がそれだけならまだいいのですが、石川君は新卒で入った時に最初の配属先に行き違いがあったらしく、会社に対して少しばかり不信感を持っていました。

そういった不満が積み重なって、彼の表情となり態度となり、外ににじみ出ていたのです。私の感じた違和感の正体はこれでした。エスプレッソを入れる技術やコーヒーの知識に関しては、私は彼にかないません。

しかし、彼が必要としている「マネジメント」の視点で私が伝えるべきことは、たくさんあります。そのことに私自身が気づき、それからは彼の「気づき」を引き出すよう努めました。

「この店をどういう場所にしたいの?」「最初に会社が約束を守らなかったのは悪かったかもしれないけれど、この先もずっとそれを引きずっていくつもりなの?」投げかけるたびに、石川君の目は遠くを見つめていました。

経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィーによる名著『7つの習慣』(フランクリン・コヴィー・ジャパン訳、キングベアー出版)によれば、人は他者に対して銀行の口座のように信頼の残高を持っており、何か事が起きるたびに、信頼残高を増やしたり減らしたりしています。

石川君は、これまでの一連の出来事から、会社に対する信頼度合いを下げてしまったようでした。そこで私は、上司という立場だけでなく、同じ人間として彼に対する信頼残高を増やすことを実践しようと決めました。

最初に意識したのは、「相手を理解する」こと。これは逆を言えば、自分のことを知ってもらうことでもあります。可能な限り、石川君のお店を訪ねる時間を多く取り、対話を増やしました。

ある時は休憩時間にランチを取りながら、お店のことからプライベートなことまで、お互い話しました。また、帰宅途中にちょっと顔を出す時間も、意識的に取るようにしました。

休みの日には、当時5歳だった私の息子を連れてお店を訪ね、話をさせたこともありました。こういった積み重ねは、「小さなことを大切にする」ことにもつながりました。

接する時間を増やすことで、「ちゃんと見ている」「いつも気にかけている」ことが伝わったように思います。こうして信頼関係を回復していく中で、彼の態度も少しずつ変わっていきました。

パートナーとの接し方も変わり、冗談を言うなど、仲間として受け入れるようになったのです。するとパートナーたちも、「最近、石川さん変わった。優しくなった」と見る目が変わります。

まだ見た目はツンツンしているのですが、石川君のいい部分が出るようになりました。オープンしてから間もない時のことです。お店に覆面調査員、いわゆるミステリーショッパーがやって来ました。

ミステリーショッパーについては後述しますが、スターバックスでは定期的に彼らが調査して、お店の向上を図っています。

その調査結果によると、石川君のお店は100点満点中99点でした。オープン直後なのに、いきなりの好成績です。ところが、彼は「なんで100点じゃないんだよ~」と悔しがっていました。

そのマイナス1点は、販売している商品の1つにプライスカード(値札)がついていなかったのが理由でした。

その時私が、「僕は知ってたんだけどね」と言うと、石川君は驚いて目を見張り、「どうして教えてくれなかったんですか!」と言いました。

その日のオープン前に店内の準備を見て回った時、私は1つだけプライスカードのついていない商品を見つけ、「最後にもう1回、店内を確認してね」と石川君に伝えていました。

「言うのは簡単だけど、気づくほうが大事なんじゃないの。この1点でこの先、プライスカードのことは絶対に忘れないだろ?」そう伝えると、「そうですね」と彼は素直に受け止めました。

人に教えられて目先の100点を狙っても、それはその場しのぎにしかなりません。自分で発見しない限り、何事も身につかないものなのです。

オープンから数カ月後、お客様がご意見を入れるポストに、こんな投書が入っていました。

「オープン直後と比べて、最近の店長さんは表情が和らいで、笑顔が見られるようになりましたね」最初のツンツンととんがっていた彼を思い出して私は爆笑、彼は苦笑いでした。

自ら気づくことで人は成長するんだと、私はこの時改めて実感しました。こちらが手取り足取り教えて、答えを出してあげるのはとても簡単です。

しかし、大事なのは答えを知ることではなく、答えを導く力を身につけることなのです。

「立ち止まって、見て、学ぶ」というプロセスを経て自分で気がつくほうが10倍大事ですし、100倍人生の勉強になると、私は思うのです。

「外の意見」でもっと成長する

前述した覆面調査員、いわゆるミステリーショッパーは、「スナップショット」とも呼ばれています。

調査員が一般客を装い、お店の状態や、サービスや商品の質を点数化するもので、「ミシュランガイド」などでその存在は有名かもしれません。

お店のスタッフは、誰が調査員なのかはわかりません。いつの間にかやって来て、さりげなくあちこちをチェックして帰っていくのです。

一般的には、スナップショットはお店側にとってあまり嬉しくないはずです。結果がお店の評価にダイレクトに反映されてしまったり、マイナス点が叱責の材料になりがちだからです。

しかしスターバックスの場合、それが他とは少し違います。

嫌な顔をするどころか、「ぜひ来て。ぜひ見て回って」という感じで、スナップショットの来店を楽しみにしている雰囲気があるのです。

ストアマネージャーをはじめとするパートナーたちは、お客様に喜んでもらうための準備を自信を持って行っているからこそ、その状態をしっかりと確認してほしいと思っているのです。

パートナーたちは、スタバの文化を自分たちで守っているという自負があります。ですから、自分たちのお店は、いつスナップショットが来ても100点だと自信を持っているのです。その証拠に、評価で出される全店の平均点は、常に90点台をキープしていました。

ところが、パートナーたちはその高得点を見てもガッカリするのです。「なんで100点取れなかったんだろう?」「次の月はここをもっと強化して頑張ろうよ」と常に満点を狙っています。

他店のよいところを吸収しようと、仕事の帰りや休みの日に、高得点を出したお店を見に行くパートナーもいます。

私はサポートセンターに勤務してからもお店に立ち寄ることが多く、仕事帰りや休日に様子をうかがうこともありました。

ディストリクトマネージャーの時と違い、店舗運営よりも人事系の仕事が大半だったので、用を済ませて何も言わずにお店を出ようとしました。

するとストアマネージャーが飛んできて、「待ってください、フィードバックをください!」と懇願するのです。

「おっ、そうだったね……んー、みんなの笑顔がいい!」「いや、そういうざっくりした意見じゃなくて、具体的にお願いします」このような感じで、パートナーたちは絶えずフィードバックを求めていました。

それは自らを成長させ、お店をよくしたいと強く思っているからでしょう。自分の存在意義を確認できる場面でもあります。つまり彼らは、「外の意見の大切さ」をわかっているのです。

どんなに自分たちが100点だと思っていても、身内の目は知らないうちに甘くなってしまいます。そして、どんなに自分たちが100点だと思っていても、お客様が100点だと思えなければ、何の意味もないでしょう。

お客様として好きになったスターバックスが、自分が店員になった後も、お客様に好かれるスターバックスであるかどうか。

それを確認できるから、ディストリクトマネージャーの巡回や、スナップショットの評価を大事にしているのです。

ディストリクトマネージャーをしていた時、担当していたお店のバックヤードに、「スナップショット対策」というタイトルの紙が貼られていたことがありました。

ストアマネージャーに紙のことを尋ねると、「前月のスナップショットの点数が低かったので、今月は必ず100点を取ろうと思って強化ポイントを貼り出すことにしたんです」と語り、その話しぶりからは満点を取りたいという気持ちがあふれ出ていました。

しかし、私はすぐにその紙を外すことを指示しました。

「私たちは1人1人のお客様のためにサービスを強化しているのであって、スナップショットの点数のために行っているわけではないですよね。

お客様やコーヒーに対して、気持ちを込めて繰り返し対応することで、お店のレベルやパワーがアップするんです。

強化しなくてはならないことは同じだとしても、それをスナップショット対策として打ち出した瞬間に、ゴールが180度変わってしまうでしょ」私の話を聞いて、ストアマネージャーははっとした顔になり、すぐにその紙を外してくれました。

このように、いい評価を得ることが目的になってしまわないように注意することも必要です。フィードバックは人からの意見であり評価ですから、とらえ方1つで、嬉しいアドバイスにも、嫌な意見にもなってしまいます。

どんなに相手に配慮したフィードバックをしても、外の意見に耳を塞いでしまう人は、変えることができません。それでも、私はフィードバックをし続けるのは大切だと思います。

なぜなら、人は自分のことをわかっているようでわかっていないものだからです。自分で考えている自分と、他人が見ている自分の評価が違うのは、よくある話です。その差に気づかないことには、直しようがないでしょう。

最近の若者は打たれ弱いからと、注意するのを避ける人もいるようですが、本気で相手の成長を考えるのであれば、言いづらいことほどあえて伝えるべきではないでしょうか。

マニュアルだけで感動を提供することはできない

私がスターバックスに勤めていたころ、アメリカのシアトルにある本社を訪れた時の話です。シアトルはスターバックス発祥の地です。1971年にシアトルで1号店が誕生し、今ではその店は観光スポットになっています。

シアトルの街には信じられないくらい、あちこちにスターバックスが存在します。お客様はその中から、気の合う店員がいるなどといった、自分に合うお店を見つけて通っているのです。私は、多くのお店を訪ねてパートナーたちに声をかけました。

「日本のスターバックスで働いているんだ」と言うと、「シアトルに何をしに来たの?仕事?」と気さくに話しかけてくれました。

私が座っている席の隣で、「日本のスタバはどんな感じ?」と、30分も世間話をするパートナーもいました。思わず、「仕事は放っておいてもいいの?」と聞きたくなったぐらいです。

日本だったら「仕事をサボってムダ話をしている」と言われそうですが、これが本場アメリカ流のスタバの接客だったのです。

すぐに行列ができてしまう日本では難しいのですが、私はそこに、スターバックスが思い描く「ホスピタリティ」の原点を見た気がしました。

1章でもお話ししたように、スタバには接客マニュアルはありません。それは、自分の頭で考えてお客様と向き合ってこそ、感動を与えられるという考えがあるからです。

一般的な飲食業では、「いらっしゃいませ」に始まり、「ご注文はお決まりですか」「一緒にドリンクはいかがですか」といったセリフが決まっています。

お辞儀の仕方やお金の受け渡し方も決まっているでしょう。

「アメリカ発のお店だからマニュアルがないのでは?」と思うかもしれませんが、同じアメリカ発のマクドナルドにはマニュアルがあります。

元々マニュアルは、人種のるつぼであるアメリカでは人によって話す言語も考え方も違うので、作業を理解してもらうために作られたと言われています。ちなみに、私が以前働いていたドミノ・ピザにもマニュアルは存在しました。

接客経験ゼロの人にも、マニュアルなしでお店に立ってもらう。しかも、お客様から見たら新人もベテランも関係ありません。たとえ経験ゼロの新人であっても、スターバックスの信用を壊さないような接客をしなければならないのです。

そんな超難題にあえて挑んでいるのが、スターバックスのすごさなのです。ただし、マニュアルがないからといって、何でも許されるわけではありません。

無言でサービスをしたり、パートナー同士でおしゃべりをしながら接客をしたり、お客様を不快にさせるような行動は許されません。

スターバックスのミッションは、お客様に感動経験を与えることですから。

スターバックスでは、お客様が入ってきた時に「いらっしゃいませ」と言うパートナーもいれば、「こんにちは」と声をかけるパートナーもいます。

お客様が帰る時に「ありがとうございました」と声をかけるパートナーもいれば、「行ってらっしゃいませ」とお客様を送り出すパートナーもいます。

バラバラだと、お店にまとまりがないと感じますか?でも、心に響くサービスは、お客様1人1人によって異なるものだと思います。

「心を込めてサービスをしよう」と言われても、実際は簡単にできるものではありません。

お客様にかける言葉や商品の受け渡しなど、すべてがマニュアル化されていたら、「それをしていればいいんだ」とマニュアルに依存してしまうでしょう。

そこには、お客様1人1人の立場になって考えるという大事な視点が抜け落ちています。私はよく、「なぜわざわざ人を介して売っているのか」という問いをパートナーに投げかけていました。

効率さえ重視すればいいのなら、自動販売機のほうが早くて便利でしょう。なぜ、お客様にお店に来てもらい、自分たちの手でコーヒーを販売しているのか。

その理由を考えれば、どのような接客を心がければいいか、おのずとわかってくるのではないでしょうか。

目の前のお客様が何を望んでいるのかは、お客様の表情や声のトーン、立ち居振る舞いを観察していないとわかりません。

急いでいたり、お客様が暑い日に汗だくだったり、雨の日に服がぬれていたりしたら、そこでかける言葉も変わってくるはずです。

それが相手の立場になって考えるチャンスにもなり、心を込めたサービスにつながると思うのです。心の込め方は人によって違います。

それをマニュアル化しようとした時から、サービスは単なる形だけになってしまうのではないでしょうか。本当は、接客マニュアルがあるほうが楽でしょう。

マニュアルは、教育を仕組み化するうえではとても便利なものです。スタッフの教育は効率化されますし、お客様はどのお店でも同じ接客を受けられます。

しかし、マニュアルで行動を定めてしまうと、人はそれ以外のことができなくなりますし、しなくなります。これはサービスの画一化をまねき、個性がなくなり、お客様を失望させてしまう原因にもなると私は思います。

たとえば、スタバでは注文を受けた時に、カップにマジックで商品名のコードを書くという習慣があります。これは商品を間違えないためです。

この時、コードだけではなく、ちょっとしたイラストを描くパートナーがいます。ニコちゃんマークのような顔を描く人もいれば、ハートを描く人もいます。顔なじみのお客様であれば、名前を書くこともあります。

これも、心を込める接客の1つでしょう。私自身も、お客としてコーヒーを購入した時に、カップに書かれたメッセージを見て特別な思いを感じました。

自分だけが何か特別な対応をしてもらったようで、満足感を得ることができたのです。

以前、パートナーに話しかけられて「もうすぐテストなんです」と答えた学生さんが飲み物を受け取ると、「Fight!!」とコップに文字が書かれていたそうです。

ツイッターにその写真を投稿していたので、その学生さんはよほど嬉しかったのでしょう。

豪華なおもてなしではなくても、工夫と「お客様を喜ばせたい」という気持ちがあれば、ペン1本でもサービスは提供できます。

こういった温かい交流は、マニュアルに縛られた行動の中では実現できないはずです。サービスは、相手の期待値を超えなければ感動を与えられません。

「いらっしゃいませ」と相手を出迎え、「ありがとうございました」と頭を下げて相手を送り出す。これらは接客業では当然であり、お客様も予想している当たり前の行為です。

マニュアルは、その期待値がマイナスにならないための教育システムであり、お客様の期待を超えるプラスの価値を生み出すのは難しいのです。

マニュアルがないと、統率が取れなくなると考える人もいるかもしれません。

スタバでマニュアルがなくても現場が混乱しないのは、1章でお伝えしたように、最初の研修でミッションを理解していることが大きいと思います。

共通の理念や目標を徹底して共有していれば、大きな混乱は起きないでしょう。大きな組織であっても、人から人へマニュアルに頼らず語り継いでいくことは、不可能ではないのです。もちろん、工場のような精密な作業をする現場ではマニュアルは必要です。

しかし、サービス業や販売業、営業職など、人と対面する仕事では、マニュアルが提供できることは限られています。

マニュアルが出発点になるのはいいのですが、マニュアルがゴールになってはいけません。コミュニケーションは、実際に人とやりとりして失敗をしながら、磨いていくしかないのです。

「スタバらしさ」がまねく暗黙のマニュアル

このように、スターバックスは接客のマニュアルがなく、個人の考えでお客様のために動くことが求められています。それが、スターバックスならではの自由でフレンドリーな空間を作っています。

しかし、主体的に動くという概念自体が形骸化しつつあるのではないか、と時折感じることがあります。

たとえば、最近はどのお店に行っても、「こんにちは」と挨拶をされることが多いのです。

すべてのお店で、すべてのパートナーが「こんにちは」と出迎えてしまったら、暗黙のマニュアルが存在しているのと一緒なのではないかと思うのです。

それぞれが主体的に動くことを求めているのなら「いらっしゃいませ」と出迎えても、「暑いですね」と声をかけてもいいはずです。

一般的な飲食店が「いらっしゃいませ」と出迎えるところを、「こんにちは」と言い換えるだけで主体的に動いていると思っているのなら、ミッションの本質を理解していないことになるでしょう。

また、スタバで働くことを誇りに思っている人が多いため、「スタバらしさ」という固定観念が生まれているような気もします。

挨拶を例に挙げると、「こんにちは」はスタバらしく、「いらっしゃいませ」はスタバらしくない、ということになるでしょうか。

もちろんこうした「スタバらしさ」という価値観は、スターバックスに対する愛着、愛情から生まれているものです。

しかし、それが行き過ぎると、何か新しいアイデアが出た時に、「それってスタバらしくない」と切り捨ててしまうのです。

そうなると、多様性を受け入れるというミッションからかけ離れてしまいます。どんな企業にも「らしさ」はあります。

これは、理念をもとにした日々の行動や考え方が繰り返されることで生まれる特徴であり、1人1人の言動にそのまま表れるのでしょう。

一方で、単に物事を比較して「らしくない」という判断をすることで、よくない方向に固定化されてしまうという懸念もあるのです。

「らしさ」にこだわり過ぎると、企業の成長は止まってしまいます。進化するには変化していかなければなりません。

「らしさ」を尊重しつつも、時代のニーズを反映していかないと、企業は衰退の一途をたどることになるのではと考えます。

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