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第十三章一念不動

第十三章一念不動

本日は運命や健康を完全にして、人生の真の幸福を獲得しようとする者にとって、特に特に必要なことを述べる。

それは何かというと、人生を活きる際に、自分の運命や健康に対する心の態度として、真理瞑想の始まった最初から今までの間に述べてきたことの中で、思考=観念=想像=理想=成就この関係をよく考えてみると、心の態度はあくまで積極的でなければならないのと同時に、いかなる事情があろうとも、自分の一旦描いた理想は、一念不動の状態で、固く固く把持して、変更しないことである。

否!このことくらい、人生を幸福にする原則の中で必要な原則は他にないのである。

だから、今までしばしばいってきたとおり、我々は、まず第一に、はっきりと明瞭に自己の欲する物事を決定することである。

そして第二には、一旦決定した以上は、その決定した事柄を、みだりに変更せぬことである。

これは、次の例で考えるだけで明瞭になる。

すなわち、ここに発動機の機関を鋳造する鉄工場があると仮定する。

機関を鋳造するには、まず第一に、鋳型を確定せねばならない。

そして、その鋳型は、どんなことがあっても、製作しようとする機関の設計書のとおりのものでなければならない。

その他の形であってはならないのである。

だから、もしも、鋳型を無頓着に拵えてしまうと、出来上がったものは到底完全でないことを免れない。

これと同様の原理で、我々人類の心というものは、宇宙の霊が熔かした宇宙エネルギーの流れを受け、それを形あるものに造る鋳型と同一のものである。

だから、どうしても、今いったとおり、常に一定の決まった形のものを用意しておかなければならない。

そうすると、この鋳型の中へとエネルギーが流れ込み、予期した状態を作り出すのである。

否、こうした原則と経路で、我々は自分の念願や、受けたく思うところのものを、生命や運命の中へと受け入れられるのである。

だから、我々は、心の扉を開くと同時に、今いったとおりその内容も、充分準備しておかねばならないのである。

宇宙霊は、その開かれた心の扉から中へと入り、設けられたる座席に座る。

そして、その準備されたとおりの設備を完成することに、その力を注ぎ出す。

だから、我々は常に自己の欲する事物を、完備し、しかも、チャンと一定した形に積極的に描かねばならない。

そして、その求むるところのものを心に描き終ったならば、それを固く固く心に守り、どんなことがあっても、決して変更させたり動揺させたりしてはならない。

と同時に、特に特に必要な事柄は、確実に自分のものにすることが出来るという〝信念〟を堅固にして、ゆるがせにしないことである。

もっと突っ込んでいえば、折あるごとに、自分の希望するところ、求むるところのものを、「実現する!実現する!」と繰り返し自己自身にいう、すでに、その求むるところのものを、半ば以上、自分のものにしたのと同様の道筋に入ったのである。

そしてその後は、ひたすらに信念を堅固にし、これを繰り返していると、宇宙霊は、自然的な経路で、自動的にその求むることを実現してくるのである。

ありていにいうと、最初に、信念強く、その希望が「実現する!」と断定したときには、その事柄は、霊の世界においては、もはや実在となっているからである。

ちょうど、花や実をもたせる種子と同様に……。

だから結局は成育の法則に従って、やがて花や実が実現するのである。

だから、この論理的必然性を妨げるようなことは一切いけない。

特に、求むることを変更したり、モデルを不完全にするような、信念を欠如することは、もっとも戒むべきことである。

どこまでも、前後一貫して、同一の事柄を、固く固く心に刻みつけて行かねばならない。

かるがゆえに、どんなことがあっても我々は、断じて、恐怖することなしに、また変更することなしに、信念強く、その実現を待たねばならない。

そうすることによって、その思考することが、必ずや、成就実現されることは間違いないのである。

一念不動の誦句私は、私の求むるところのものを、最も正しい事柄の中に定めよう。

そして、それをどんなことがあっても、動かざること山のごとき磐石の信念と、脈々として流れ尽きざる、あの長い川のごとく、一貫不断の熱烈なる誠をもって、その事柄の実現するまで、いささかも変更することなしに、日々、刻々、はっきりと、心の中に怠りなく連想していこう。

ちょうど、客観的に看察するがごとくに……。

私は、もはや、消極的の思想や観念やまたは暗示に感じない。

また、そうしたものは、私を動かすことは出来ない。

私は断然そうしたものより、より以上のものである。

私は、もはや、あらゆる人生の中の、弱さと小ささとを踏み越えている。

そして、私の心は、今、絶対に積極的である。

おおそうだ、私の心は勇気と信念とで満ち満ちている。

したがって私の考え、私の言葉、それはいずれも颯爽とし、いつも正義である。

だから、私には、人生のあらゆる場面に奮闘し得る、強い強い力が溢れているのだ。

そして、私の人生は、どんな人の世の荒波に脅かされても、あの大岩の上に屹然として立つ灯台のように、平静と、沈着と、平和と、光明とに、輝き閃めいているのだ。

修道大悟の誦句そもさん、われら、かりそめにも、天地の因縁に恵まれて、万物の霊長たる人間として、この大宇宙の中に生まれし以上、まず、第一に知らねばならぬことは、人生に絡まり存在する幽玄微妙なる宇宙真理なり。

誠や、この自覚を正しく厳かになし得なば、敢えて求めずとても、その身を健やかに、その運命を和やかにするを得ん。

これぞ、正に、千古昭として耽存する、尊厳冒すべからざる人生の鉄則にして、また、神ながらに定められたる、動かすべからざるの天理なり。

しかも心より喜ばんかな、われら、今や正に、雀躍する感激に咽びつつ、この妙諦とその手段とを知れり。

ああこの幸い、この恵み!そも何をもってかたとえん。

顧みれば、転々として人生の悶えと悩みに苦しみしこと幾年月!今や、われ、ここに、豁然として無明の迷いより覚め、自覚更正の大道に入るの関門に立ち、心眼すでに開けて行手に栄光繚乱たる人生を望み得し今日、我が心はただ、ひたすらに、言い能わざるの、限りなき欣びに勇みたつ。

しかり!世の人々の、すべてのすべて、よしや富貴栄達名門名誉の人といえども、しょせん味わい得ぬ、この欣びと、この感激!誠!恵まれたる我よ、と思えば、などか、この尊き因縁を、とこしえに忘れ能うべき。

されば、堅く、我と我が心に、この欣びと、この幸いとを根強く植えつけて、一意専心、黽勉努力、実践躬行、ふたたび人生無自覚の過ちを繰り返さざらんがために、厳かに反省の鞭を手にし、ひたむきに向上の一路へと颯爽と邁進し、われらの住むこの世界に、誠と、愛と、平和に活きんとする人の数を多からしむるべく、我まず、その模範の人とならんことを、自から、自からの心に、厳として誓わん。

あとがき(財)天風会理事大阪支部長医学博士山田保夫「安定打坐!」という天風師のお声と共に、間髪を入れずブザーの鈍い快音が、五官感覚の内の聴覚のみを穏やかに刺激する。

多心より一心に誘導されるひとときである。

それも十数秒にして、ブザーの音がはたと止まるやその瞬間、無碍自在の境地が開けて来る。

数分前まで脳を占領していた雑念妄念があえなく氷解するのである。

その頃を見計らって師の厳粛なお声がある。

「真理の瞑想に入ろう」そして本書に盛られた悟りの一章が、師のお口から、いやお身体から諄々として迸り出る。

そのお声が我々門下生の全身に深く静かに染み込んでゆくのである。

これが毎年、夏に行われる修練会の午前中の行修のメインである。

天風師のお言葉を借りるなれば、「生き甲斐ある人生を生きるためには、人間の生命に与えられている法則を自分なりに考えて、正しい真理に到達する、この悟りが必要である。

それには難行苦行して尚、時日を重ねるのが常である。

しかしそれを体験した私が、その悟りの内容を手取り早くお伝えしよう。

その内容を真剣に素直に会得すれば、あながち難行苦行せずとも結果は同じである」といみじくも仰せられた。

さすれば本書はまさに、人生を解決する悟りと師の慈愛の集大成であると言い得る。

換言すれば、健康と幸福への門を開く鍵を蔵した玉手箱にも等しい。

何卒この玉手箱を飾り物として安置せず、韋編三たび絶つの古事に倣い、熟読玩味、ひたすら実践躬行、偏に天風師のお心に応えられんことを乞い願うものである。

なお今回、本書の出版にあたっては、昭和六十三年に会員向けに発行された『天風瞑想録』によっている。

その際に編集に当たられた天風会員の堀尾正樹氏のひとかたならぬお骨折りがなければ、この本もこのような形で日の目を見ることもかなわなかったであろう。

あらためて堀尾氏に深く感謝申し上げたい。

付記堀尾正樹本書の原典の『天風瞑想録』は、天風会の創始者中村天風が、夏期修練会において、ご自身の悟りを中核として宇宙・生命・人間・人生について講述されたものを、私が十五年かけて心魂を注いでまとめ上げ、昭和六十三年に発表致したものであります。

編集にあたりましては、天風師の語り口、呼吸、迫力をそのままに、人の魂に沁み込む感化力を損なうことなく表現することに注意をそそぎました。

『天風瞑想録』は、天風会員にとりまして大切な一冊でございますが、この度、内容は全面的に『天風瞑想録』に準拠しながらも、多くの人々に読んでいただける体裁をもって出版されますことはまことに喜ばしい限りであります。

これを読む時、天風先生の人類を救わんとする熱情が行間に溢れていることを感じとることでありましょう。

熟読をおすすめします。

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