社長というのは、本当に辛いものです。「来年からは、取引を停止したい」 そんなことを、突然、宣言されるのも社長。 もしかしたら、来月は不渡りを出してしまうのでは……と、眠れない日々を過ごすのも社長。 新型コロナでほとんどお店にくるお客様がいないのに、「その日の売上」を毎日、震えながら確認しなければならないのも社長です。 なんと、因果な商売でしょうか! 私の父は、そんな因果な商売、社長をやっていました。 実家であるサファイアガラスの加工会社は、私が小学 3年生のときに、長野県の南西部にある伊那谷(上伊那郡)に帰郷した父が、創業したものです。そして、今は夫が跡を継ぎ、二代目社長として経営しています。 遡れば、祖父も明治時代に一代で建築会社を築いた社長です。 生きていくために、頑張った祖父。 競争に勝つために、頑張った父。 信頼を構築するために、頑張っている夫。 私は、子どもの頃から、身近なところで「苦労する社長の姿」を見ていたのです。 ですから、社長が、いかにたいへんな仕事なのか。痛いほどわかります。 やがて、成長した私は、経理担当役員兼新人として、父の会社に入社しました。 私が入社してからの父の会社は、それこそ苦難の連続。 本当に想定外の事態が続き、私は、資金繰りに追われる日々を過ごしました。 役員の私でさえ、毎日、眠れないほど辛かったのです。 家族だけでなく、社員や、その社員の家族の生活までも両肩に乗せていた父は、いったいどれほど苦悩していたことでしょう……。 社長というのは、本当に辛い。 この本は、そんな、日々「経営者としての重圧」に苦しむ、すべての社長さんのために書きました。 こんにちは。 自己紹介が遅れました。「感情コンサル 」を提供している、押野満里子と申します。 私はこれまでに、上場企業や中小企業の経営者、各業界のリーダー、さらには、会社員や主婦など、さまざまな方々に対して感情コンサルを行い、たくさんの心の悩みを解決してきました。 私のもとに相談にこられた社長さんのなかには、誰でもご存知の超有名企業の社長さんもいらっしゃいます。 悩んでいる社長は、自分ひとりではないのです。 ちなみに、感情コンサルとは、怒り、悲しみ、悔しさなどのマイナス感情を抱えて悩んでいる人の話を聞き、心を整えることを指しています。 その過程では、マイナス感情の奥底にある愛や感謝などの「温かい想い」を一緒になって探り出したり、その感情を抱く原因となった「過去に傷ついて置き去りにされた自分」と向き合って仲直りするお手伝いをします。 結果として悩みが解決したり、マイナス感情が溶けていくため、行動が変わり、実際に結果が出やすくなります。 おかげさまで、私の感情コンサルは口コミで広がっていきました。 特に、経営者の方々にご好評をいただいています。これまでに 500人以上の経営者とお会いし、 1000以上の悩みを解決してきました。 東京や大阪から、遠路はるばる来てくださる方が、多数いらっしゃいます。人生を豊かにするカギは、「感情」 世の中には、「リーダーの悩み」を解決するための手法を紹介する本がたくさん出ています。読者のみなさんも何冊かは手に取られたことがあるのではないでしょうか。 ここで宣言いたします。 本書は、その手の、いわゆるノウハウ本ではありません。 もっと根本的な心のなか、つまり「感情」を整理し、悩みを解決するための本です。 断言します。 悩みを解決し、会社を良い方向へ進め、人生を豊かにするカギは、「感情」です。 経営者の感情が整うと、考え方が変化し、社員に対して感謝が溢れてきます。やがてそれは自然と社員に伝わり、信頼が生まれる。自分も社員も会社も磨かれて、それが良い結果につながる。 今まで、数えきれないほどの実例でこのパターンを目の当たりにしてきた私は、この一連の流れを、「感情と結果の法則」と名づけました。 私の感情コンサルを受けた社長さんの多くが悩みから解放され、それだけでなく、社員の方たちとの関係が良好なものになり、やる気がアップし、業績向上が実現しています。 まさに、「感情と結果の法則」を体現してくださっています。
なぜ、『社長はメンタルが 9割』なのか 本書のタイトルを『社長はメンタルが 9割』としたのは、企業経営で一番大切なことは、社長さんご自身がメンタル、すなわち心を整えることだと考えるからです。 私が今の会社で三十数年役員を務め、父と夫という二人の社長を支えてきた経験と、感情コンサルで出会った社長さんたちのことを思い起こすなかで、このタイトルが降りてきました。 この後のプロローグで詳しく説明しますが、人の心は気分、思考、欲求などさまざまな要素から成り立っています。 そのなかでも一番大事なのが、感情です。 感情が整えば思考が変わります。マイナス思考に陥りがちな社長さんは、その奥にある感情を整えることで、思考が変わります。そして、思考が変われば行動が変わります。行動が変われば、それが結果にあらわれて、会社の業績が向上します。 本書の使命は、このプラスの循環、つまり「感情と結果の法則」を、社長さんが自分自身に落とし込むにはどうしたらいいのか、お伝えすることです。全部で 6章立て、 21の事例をもとに、みなさんと一緒に考えていきます。これからの時代は、「プラスの感情」が支配する? 現在のベテラン社長さんたちが生まれた昭和は、マイナスの感情をバネに頑張った時代でした。そして、昭和はそれで成功できた時代でもありました。 続く平成は、「人同士のつながり」を求めた時代。 そして今、時代は令和。 これからは、感謝や信頼、共存など、プラスの感情に目を向けて強化していく時代です。 マイナスの感情があったら、それから目をそむけるのではなく、あえて向き合う。マイナスの感情を捨て去り、プラスに変換するのではなく、マイナス感情の奥にある大切なものに気づくと、自然とマイナス感情が、愛と感謝に変わっていきます。 それを実現するのが、「感情コンサル」です。 本書は、 500人以上の社長さんからお聞きした実話を下敷きにした、事例を中心に構成しました。 多くの事例で業種や社長さんの年齢などに脚色を加え、どなたであるか特定できないよう、注意を払いました。複数の実話を合体させているものもあります。 事例は全部で 21本。それらを読んでいただきながら、社長さんたちが感情と向き合い、悩みを解決していくプロセスを、ご覧いただければと思います。 改めて、本書全体の構成は次の通りです。
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