声が出なくなってしまった! 社長さんは、とかく、「何でも自分の責任」だと考えてしまいがちです。 ですが、その責任感から、言いたいことを抑えて心に溜め込んでしまうのは要注意です。 この相談の主、小森さんと久しぶりに会ったとき、驚きました。 笑顔が消えて顔色も悪く、なんと、思うように声が出せないと言うのです。 彼女は営業代行会社の経営者。いろいろなメンバーとチームを組んで活動を進めており、自らもプレイヤーを兼務しています。自分の提案が 3連敗中で、メンバーからの冷ややかな言葉に何も返すことができず、責任を感じて落ち込んでいるのだとか。「私の責任だから、何か改善策を考えるしかない」 その言葉を聞いて、私は、彼女の声が出なくなった原因はこれだと確信しました。 この「自分の責任だから、周りには何も言えない」という状態は、社長さんにはよくある話。「経営者は孤独だ」とはよく言ったものです。 私は彼女に言いました。「声が出なくなったのは、チームの人たちに言いたいことを言わず、押し殺しているからです。今日、家に帰って 1人になったら、思いっきり文句を言ってください」「えっ? だって、私が悪いんですよ」「自分が悪いかどうかは、とりあえず棚にあげて、言いたいことを吐き出してください。文句でもいいです。そして、今晩はもう何も考えず、温かいお風呂に入って、『 3連敗中、結果にはならなかったけれど、よく頑張った!』って、胸に手を当てて静かに、自分で自分に言ってあげてください。そして、体をやさしくさすってあげてください」「ダメです、文句なんて言えません。だって、全部、私の責任だから。私がまだまだ未熟なのがいけないんです。だから、頑張るしかないんです!」 そう言うと、彼女はポロポロと涙をこぼして泣きはじめたのでした。 何度やってもうまくいかないときって、つい「自分はダメだ」と思ってしまいます。そして、「自分のせい」だと落ち込み、「もっと頑張らなければ」と考えてしまう。 人間は感情で動いています。心にわだかまりがあると、体に反応があらわれます。声が出なくなるのは、九分九厘、「言いたいことを言っていない」ときにあらわれる症状です。 そして、この「言いたいこと」というのは、多くの場合、「文句」なんです。小森さんは、口では「自分のせいだ」と言っています。でも、深層心理では、「自分だけが悪いわけじゃない」「周りの人だって、もっと協力してくれたっていいのに」などと思っている。 それは口に出せないから、フタをして、おもてに出ないようにしている。そのせいで、声が出なくなってしまったのです。文句は、 1人のときに、思いっきり吐き出す! 解決策は、心の奥に押し込めている本音を解放してあげることです。 それには、文句を口にして、吐き出してあげるのがもっとも効果的なんです。 私の知人で、あるセミナーの講師から、「〇〇さんは結果が出ていないから、まだ、説得力がないですよね」と言われて、それが刷り込みになってしまった人がいました。セミナーの内容について疑問を感じていたのに、そう言われて、「たしかに、そうかも」って思ってしまい、すっかりやる気を無くしてしまったのです。 実績も結果も出ている講師からのその一言によって、「できていない自分は何も言う資格がない」と自分責めに入り、相手に目を向ける意欲がなくなっていました。 私は、その彼女にも、「自信とやる気をなくしたのはわかった。でも、まだ、そのセミナー講師に言いたかったことを口に出していないよね。聞いてあげるから、言いたいだけ文句を言ってみたら」って伝えました。 はじめは遠慮がちだった彼女ですが、だんだん、文句が止まらなくなって、全部吐き出したらすっかり気分がよくなって、「やる気が復活しました」とのことでした。 人って、文句が言えないとどんどん意欲が下がってしまいます。サラリーマンが居酒屋で上司への文句を言うのは、実は理にかなっているんです。まずは、文句を言って、エネルギーを取り戻す。エネルギーを取り戻して元気が出てきたら、そこで、「本当によくやっているよ」と、自分を認めてねぎらってあげる。そういう順番です。 私は、泣いて「文句なんて言えない」と言う小森さんに提案しました。「相手の前で言うのではなくて、 1人のときに言うだけだから大丈夫。思いっきり、相手のせいにして、文句を吐き出してください。そして、文句を言ってスッキリしたら、今度は、『徹夜で提案資料を作ったよね。頑張ったよね』って、『やったという事実』に目を向けて自分をねぎらってください」「わかりました。やってみます」「自分をねぎらったら、自分のなかで、『じゃあ、今度はどんな提案をお客様にしてみようか』って、考えを練り直してみてくださいね」 私からの提案を実際にやってみた小森さんは、気持ちがスッキリして、お客様に対して今までとまったく違う自分の思いが出てきたのだとか。それで、その思いを込めて提案したら、次々に契約が取れたそうです。不満を溜めていて自信がないまま提案しても、相手に響きません。文句を吐き出して、自分をねぎらってエネルギーが復活したから、新たな考えも浮かんで成約につながったのだと思います。
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