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「どうしても嫌いな社員がいる」出版社社長   50代  西尾史郎さん(仮名)

自分にだけ、歯向かってくる社員「相手のことが、好きか?  嫌いか?」それは、理屈ではありません。  どうしたって、やることなすことが嫌いな相手って、いるのではないでしょうか。  その相手が、ただの知人なら、付き合いをやめればいいだけです。無理に付き合う必要はこれっぽっちもありません。  問題は、その嫌いな相手が社内や取引先にいて、どうしても付き合わなければならない場合です。何度も言うように、社長さんだって人間です。お気に入りの社員もいれば、どうにも鼻持ちならない社員だっていて当然です。  これは、「いつも、自分にだけ感情をあらわにして歯向かってくる社員がいて、こっちもつい感情的になってしまう。そんな自分をどうにかしたい」という、出版社の社長さんからの相談事例です。「具体的には、その社員さんのどんなところが我慢できないんですか?」「いちいち、私の考えに反論してくるんです。しかも感情的に。だから、こっちもつい感情的になって、他の社員の前で言い争いになることもしょっちゅうです。しかも、そいつ、周りの社員にはやたらとイイ顔をして、まるで、社員代表になったような顔で私のことを突き上げてくる。そこがまた腹が立つ」「それで、西尾さんは、どうしたいんですか?」「相手は社員だから、個人的に嫌いになってはいけないと思っているし、ほかの社員たちの前で言い争っていて、感情的な社長だなって思われたくないなと……」「感情的になってしまう自分に苦しんでいると」「そうですね」「わかりました……。では、その社員さんのことを嫌いになってもいいって自分に許可してみてはいかがですか?  嫌いになっちゃダメだと思うから苦しくなるのだと思います」「嫌いになっていいんですか?」「いいも悪いも、感情は抑えられませんから。コントロールはできないんです」「でも、嫌いになったら、これからも言い争いを続けることになりませんか」「そこです。西尾さん、その社員さんが自分の会社にいるということは、『自分を変えるチャンス』だと考えたらいいと思うんです」自分が変わって、ワンステップ高い位置に移動する「ええっ?  社長なのに、社員のために、こっちが変わらなくてはいけないんですか?」「はい。社長なのにではなく、社長だから変わったほうがいいと思います」「あいつのために、自分が変わるなんて、正直、納得できないんですが……」「まず、その考え方を外してください。『あいつのために変わる』のではなくて、『自分のために変わる』んです。自分が変わることで、その社員さんと言い争うことがなくなるなら、自分にとってメリットだと思いませんか?」「うーん」「言い争いというのは、会社の地位は関係なく、同じレベルの人同士がやるものです。西尾さんが変わって、ワンステップ上に行くと、言い争いは成立しなくなります」「なるほど……いっぽうのレベルが変わると言い争いにはならないと」「そうです、そうです。そのうえで、今度は冷静に、『どうしてあいつは自分にばかりつっかかってくるんだろう』って考えてみてください」「どうしてなんだろう?  ほかの社員に対してはイイ顔ばかりしているのに」「もしかしたらですけど、その社員さんは、誰よりも西尾さんのことを信頼しているんじゃありませんか?」「ええっ!」「だって、言ってもわからない相手だと思っていたら、何も言いませんよね。わかってくれると信頼しているから、わざわざエネルギーを使って歯向かってくるのだと思うのですけど」「そうか……。信頼か……。じゃあ、いちいち歯向かってくることをネガティブにとらえなくてもいいんですかね」「だと思います。次は、西尾さんご自身の気持ちを冷静に考えてみてください。どうして、ただの社員から反論されただけで、つい、感情的になってしまうのか?」「えーと。自分以外にはイイ顔をしているくせに、なんで自分にはいつも歯向かってくるんだと、そこですかね」「これも私の想像ですけど、西尾さんは、実は一番わかってもらいたい相手にわかってもらえないことが切ないのではないですか?  本当は、コイツに一番わかってもらいたいのに、どうしてわかってくれないんだって」「あー、なるほど。そうなのかな……」「たぶん。だって、わかってほしいと思う相手でなかったら、わざわざ、社長である西尾さんが時間を使ってぶつかり合いませんよ」  感情コンサルの結果、実は、言い争っていたのは、お互いに認め合っているからで、「わかってほしい、わかってほしい」という思いがぶつかりあっていたのだということが判明しました。西尾社長はとてもスッキリされたようでした。昔から、「仲が良いほど喧嘩する」なんて言います。いつも言い争っている同士が、実は深層心理では認め合っている。感情というのは、本当に面白いと思います。

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