「感情セラピー」の方法は、 2種類 第 5章では、自分の感情がコントロールできないことに悩んでいる社長さんや院長さんの事例を4つご紹介しました。いかがでしたでしょうか? 感情のコントロールについてお話をさせていただいたこの章の最後に、「自分でできる感情コンサル =感情セラピー」の方法をお伝えしたいと思います。 自分自身に対して「感情セラピー」を行って、感情をケアする方法は、次の 2種類です。感情セラピーの方法 1 頭で考えて解決していく「思考型ケア」 たとえば、怒りや悲しみについて、「どうして自分はそう考えたのだろう?」と考えて、感情が起きた原因を明らかにし、問題を解決していく方法です。考えるのが好きな方や、論理的な思考の人に向いています。 この方法で感情をケアすると、スッキリした気分になれます。感情セラピーの方法 2 感情に話しかけて解決していく「感情型ケア」 自分の感情をイメージして対話し、それを「愛」に溶かしていく方法です。論理的な思考が苦手で、感覚的な人に向いています。この方法で感情をケアすると、心が温かくなります。 別名「究極の感情セラピー」。 ちなみに、「思考型ケア」をやったあとで、この「感情型ケア」をすると、リバウンドがなくなります。 ではます、「思考型ケア」のやり方から説明しましょう。「思考型ケア」の5つのステップ「思考型ケア」のステップは、次の5つです。ステップ 1 感情を体の外に出す(感情の見える化)ステップ 2 「誰の問題か」考えるステップ 3 「何が問題か」考えるステップ 4 「どっちでもいい」と言ってみるステップ 5 心の奥にある自分の本音を特定する 各ステップについて説明いたします。ステップ 1 感情を体の外に出す(感情の見える化) 悩んでいることについての感情をすべて外に出します、具体的には、声に出してみて、それをノートなどに書き出します。 たとえば、「なんで、些細なことに腹が立つんだろう」「どうして、社員のくせに腹が立つことを言ってくるんだ、バカ野郎」「言い争っている時間がもったいなかった」「どうしても未来が不安になってしまう」 など、心のなかの声を出し切ってください。誰に見られるわけでもないので、多少、汚い言葉を使っても構いません。ステップ 2 「誰の問題か」考える 可視化された感情を眺めて、1つひとつについて、「その問題は、誰の問題なのか?」を考えます。 たとえば、「なんで、些細なことに腹が立つんだろう」 →私の問題「どうして、社員のくせに腹が立つことを言ってくるんだ、バカ野郎」 →相手の問題「言い争っている時間がもったいなかった」 →私の問題「どうしても未来が不安になってしまう」 →私の問題 このように、誰の問題かを明確にすることで、自分が手をつけるべき問題と、手をつけても仕方ない問題が整理されます。ここで言えば、「腹が立つのは自分の問題、その原因を言ってくるのは相手の問題」と考えればいいのです。 このステップをやると、抱えていた問題が半分くらいになります。 もし、全部が「相手の問題」なら、「私がどうにかできることじゃない。つまり、私が悩む必要はないことだった」と、問題自体を消滅させることができます。
ステップ 3 「何が問題か」考える 残った「私の問題」について、具体的には、何が問題なのかを特定し、細分化していきます。細分化する対象は、「行動」「状況」「言葉」などです。 これは、思い出せるだけリストアップして、それについて自分が「どう感じたか」を、「嫌だった」「どうも思わない」「嫌ではない」という 3段階で評価します。 たとえば、「会議で、自分に歯向かってくる社員に対して腹が立つ」という問題を細分化してみると。・その社員が会議に出席している →嫌ではない・その社員が発言する →嫌ではない・その社員の意見が自分への反対意見である →どうも思わない・その社員の反論の態度が横柄で腹が立つ →嫌だった・その社員の言葉づかいに腹が立つ →嫌だった・その社員と言い争ってしまった →どうも思わない・その社員との言い争いで会議の時間を余計に費やした →嫌だった と、こんな具合です。 ここでわかることは、たとえ、「嫌だと感じたこと」があっても、そのすべてが嫌だったわけではないということです。 このように整理しないと、「全部が嫌だった」と漠然と思うだけになって、問題解決のターゲットが絞れないのです。ステップ 4「どっちでもいい」と言ってみる いよいよ核心に迫ってきました。ここで、魔法の言葉、「どっちでもいい」の登場です。 これまでのステップで、「嫌だった」として残った項目について、自分がどれくらい固執しているのかを、この言葉を使って判定します。「嫌だった」と思った項目について、「どっちでもいい」って言ってみて、自分がどう感じるか判定してください。たとえば、こんな感じです。・その社員の反論の態度が横柄でも、どっちでもいい →うーん、横柄じゃないほうがいいけど、そこまでじゃないかな・その社員の言葉づかいが悪くても、どっちでもいい →いや、これは許せない・言い争いで会議の時間を余計に費やしたのは、どっちでもいい →まぁ、こういうときもあるか ここで「どっちでもいい」と言えないのは、この部分に対して、自分なりの正しい解釈や思い込みがあるものです。 この「どっちでもいい」という言葉を言うことで、自分が何を握りしめているかがわかります。 この例で言えば、一番嫌だったことは「その社員の言葉づかいがどうしても許せない」のだということがわかります。 逆に、このステップで「どっちでもいい」と言えた項目については、手放しているということです。「どっちでもいいけど、今はどっちを選ぶ?」と、自分に言えるかどうかがポイントです。 たとえば、資金繰りに追われて精神的に苦しんでいたら、「お金はあってもなくてもどっちでもいい。どちらかと言えばあったほうがいいかな」と考えることができれば、心が軽くなり、お金の悩みから解放されます。 ポイントは、本当にどっちでもいいのか、自分の本心を聞いてあげること。「どっちでもいい」と無理やり思い込ませるのではなく、静かに心に語りかけて、自分の気持ちを確認することが、何よりも重要なのです。ステップ 5 心の奥にある自分の本音を特定する ステップ 4で「どっちでもいい」と言えなかった項目について、「どうしてダメなのか?」を深掘りします。・その社員の言葉づかいが悪くても、どっちでもいい →いや、許せない! 今回の例で言えば、この部分について、「自分はどうして、この社員の言葉づかいに我慢ができないのだろう?」ということについて、自分と対話します。「社長である自分に対して、言葉が丁寧じゃない」「社長に対して言葉が丁寧じゃないと、どうして、ダメなの?」「会社のトップだし」「会社のトップじゃなかったらいいの?」「いや、そもそも、年上の相手に対しては言葉づかいをちゃんとするのは当たり前だ」「どうして、年上の相手に対しては言葉づかいをちゃんとするのは当たり前なの?」「なぜって、私は、子どもの頃、親から厳しく、『目上の人には言葉づかいに気をつけなさい』と躾けられたからだ」 こうして対話をしていくと、怒りのなかに隠れていた「本音」が顔を出します。 ここまでわかれば、問題解決の方法も見えてきます。 この例の場合なら、「年上の相手に対しては丁寧な言葉づかいをしなければならない」ことに固執するのは、自分の子ども時代の経験(親から受けた厳しい躾)からくる思い込みだとわかりました。 そうしたら、「厳しい躾のおかげで礼儀正しい自分がいる、そのおかげでいろんな人から可愛がられてきたなぁ ~」と、今までの自分にとって役立っていたことをしみじみ思い出してみてください。 そして、社員への思い込み、たとえば、「礼儀正しくなることで、かわいい社員になってほしかったってことが心のなかにあったのだとしたら、それこそどっちでもいいことだ」と思えれば、この問題は解決します。
そしてその後、その社員に、「会議のときに意見を言ってくれるのはありがたいが、もう少し言葉づかいに気をつかってくれないかな。実は私は言葉づかいについて、子どもの頃にこんな体験があって……」と、自分の内面をさらしてもいい。 そうすると、相手から、「自分の言葉づかいが雑なのは、子どもの頃、外国で過ごしていたせいかもしれません」なんて意外な言葉が出てきて、わかり合えるかもしれないのです。 これはたとえ話ですが、似たようなケースは、本当によくあります。 以上が、「思考型ケア」の5つのステップです。「感情型ケア」の3つのステップ「思考型ケア」をやってみたけれど、マイナス感情をうまくケアできなかったときや、自分の感情を、理屈ではうまく説明できないときは、「感情型ケア」をお勧めします。「感情型ケア」のステップは、次の3つです。ステップ 1 具体的な状況から感情 =体の反応を特定するステップ 2 感情を形にして、それに対して話をするステップ 3 身体に戻して愛を感じる 各ステップについて説明します。ステップ 1 具体的な状況から感情 =体の反応を特定する 感情は、必ず体のどこかに反応として出てきます。 映画を観て感動すれば、胸がジーンとして、目頭が熱くなります。怖いときは、ドキドキするし、ガタガタ震えがきます。これが感情からくる体の反応です。 最初のステップでは、感情が動いたときに、それが自分の身体のどこに反応としてあらわれたかを特定します。 たとえば、社員との間に何かがあったら、そのときの状況を鮮明に思い出してみます。そして、「胸の奥が痛む」など、体の反応を言葉にしてください。ステップ 2 感情を形にして、それに対して話をする 自分の感情の居場所がわかったら、静かに目を閉じて、その場所に意識を集中します。そして、その意識の「形」を感じてみてください。 これは、人によって、たとえば赤い丸など、形が違うと思います。もし、形を感じられなければ、反応のある場所を意識するだけでも大丈夫ですので、次に進んでください。 感情の居場所がわかって、形を意識したら、それに向かって対話をしてください。 たとえば、「会社の利益が出なくて苦しい」という感情の居場所を感じたら、「こんにちは」「そこに居て頑張っていたわけを教えて」などと話しかけてください。 自分の感情に対して、存在を認めて、言い分を聞いてほしいのです。 そして、次は、「何かしてほしいことは?」って、感情からのリクエストに耳を傾けて、その感情が望むことを、すべてやってあげてほしいのです。 回答がなくてもかまいません。その感情の様子や変化を感じてください。 これは、正解も不正解もありません。あえて言えば、感じたままが正解です。ステップ 3 身体に戻して愛を感じる ひとしきり「感情との対話」が済んだら、その感情を身体に戻して温かさを感じてください。 この感情との対話によって、今まで無視したり、否定していた感情と仲直りした感覚をつかんでほしいのです。 それを身体に戻しながら、「今まで、よく頑張ってくれて、本当にありがとう」「出てきて、話をしてくれてありがとう」と、感謝を伝えてください。 やることはこれだけです。一連のステップは、目を閉じたまま、それこそ、心で感じて、感情と対話をしてください。 ステップ 1 ~ステップ 3が終わったら、試してほしいことがあります。 それは、もともと感情が動いた出来事を、もう 1度思い出すことです。 それが、たとえば、社員との間に何かがあったことであれば、それをもう 1度思い出してください。 思い出してみて、「感情型ケア」をやる前は、「胸の奥が痛む」という反応があったものがなくなり、「まあ、いいか」「なんとかなるか」「どっちでもいいか」などと思うことができたら、「感情型ケア」は大成功です。 そして、「今度同じことがあったらどのように対処しようか?」と新しいアイデアを見つけてください、 これが新しい行動パターンとなり、現実が劇的に変わっていきます。「感情型ケア」は、「思考型ケア」に比べて時間もかからず、しかも、リバウンドしにくいという、究極の感情セラピーです。悩んでいたことに対して、フラットになれるので、未来へ向けたアイデアも出やすくなるのです。 自分で行なう感情コンサル、「感情セラピー」のやり方を紹介しました。 ぜひ、お役に立てていただければ幸いです。
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