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06危機的状況で、どんな言葉を語るべきか?優秀な経営者は、社員に「安心感」を与えようとする

会社が危機的状況にあるとき、社員も大きな不安を抱えています。そんなとき社長は、どうふるまい、どんな言葉を伝えるべきでしょうか? 社員の危機感をあおってはいけない  会社の置かれた状況が厳しいとき、社員に対して、危機感をあおるようなことばかり言う社長がいます。社員の人たちにも危機意識を共有してもらおうという気持ちかもしれませんが、私は逆効果だと思っています。  経営幹部のあいだでは危機感を共有することは必要ですが、一般社員の人たちにも経営陣と同じような危機感を持たせようとするのは、あまりいいことではありません。  社長と社員は、雇う側と雇われる側、指示をする側とそれに従う側、立場がまったく違います。状況の受けとめ方も当然、違います。ですから、危機感を共有して社員との絆を強め、一枚岩になろうとしても難しいのです。  とくに今回のコロナ対応のように先行き不透明な状態が長期化していると、社員の不安感は増しています。そこに社長からさらに危機感を訴えられたら、「うちの会社、大丈夫だろうか?」といっそう不安になり、みんなの気持ちが浮き足だってしまいます。もし、本当に存続が難しいなら、それを正直に伝え、早めに転職などを準備してもらったほうがいいでしょう。 その言葉は、社員に「安心感」を与えられているか?  では、社長は何を語るべきなのでしょうか。まず、「早め早め」に「具体的」な状況や対応策を伝えること。そして、「前向きな対応策」を語り、「安心感」を社員に与えることです。「前向きな対応」の大事さはすでにお伝えしたとおりですが、同時にトップは、社員に安心感をもたらす話、今後に希望の持てるメッセージを伝えることが大切なのです。  例えば、「資金繰りが大変だ」と知らされても、社員はどうしたらいいか分からず、不安になるだけです。しかし、「融資と公的支援策により、会社の資金繰りに関して 1年間は心配ありません」と伝えられたらどうでしょうか。会社がすぐにつぶれるわけではないことが分かり、安心して自分たちの仕事に集中できます。  このように、厳しいなかでも社員にモチベーションを持ち続けてもらうためには、まずは安心感を持ってもらうことです。そのうえで、「これから、こういうことをやっていきますから、皆さん協力してください」と伝えて、意識統一、結束を図るのです。 結局、「この人についていこう」と思われるかどうか  人とのコミュニケーションは、「意味」と「意識」の両方と言いました。相手が伝えようとしている「意味」が分かれば、とりあえずコミュニケーションは取れます。  しかし、意識の疎通がうまくいっていない関係では、何かトラブルが生じたとき、あるいは危機のときなどに、綻びが表に出てくるのです。  コロナ禍で、医療機関で働く人たちのハードワークが続くなか、ある病院でボーナスカットに不満を抱いて看護師さんたちが大量に辞めると言い出す騒動がありました。これはボーナス云々というよりも、日ごろから労使間の関係が良くなかったのでしょう。信頼関係がなかったゆえの意識のギャップが、危機下で一気に噴出したのだと思われます。  普段はできていないことが、危機になったらできるようになることはありません。意識の疎通不足は、危機のときにはいっそう顕著にあらわれます。  逆に言えば、日ごろからコミュニケーションがうまく取れていて、意味も意識もかよわせることができていたら、危機のときにもそれは活きるはずです。『論語』に、「民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず」という言葉があります。「民衆に政策のすべてを理解してもらうことは難しい。だから為政者は、民衆から信じられ頼りにされなければいけない」という意味だと安岡正篤先生は説かれています。「知らしむべからず」とは、知らせるなということではなくて、知らせてもすべてを完全に理解してもらうことは難しいという意味です。だからこそ、為政者というのは日ごろから「あの人のすることだから、ついていこう」と思ってもらえるような存在、信頼される存在にならなければいけない、と言っているのです。  これは、経営者も同じです。普段の言動を通じて社員から信頼されていれば、何か事が起き、それに対して会社が指針を出した

ときに、みんなが「社長の言うことだから、信用できる」「社長についていこう」という気持ちになってもらえるはずなのです。 Pointできる社長は、危機感ではなく安心感を与え、「この人についていきたい」と普段から思われている。

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