私は経営コンサルタントとして独立した当初、向こう 1年間の行動計画書をつくりました。「4月はサービスメニューをつくる」「5月にはホームページを公開して営業活動に力を入れる……」 こういった具合に、 1年後に達成したい目標を掲げ、月ごとにやるべきタスクを書いたのです。 実際に活動を始めると、コンサルタントとして成功している人たちがやっていることが目についてきて、「彼らのようになるためには、もっとたくさんのことをやらなければいけない」と思うようになりました。 さらに、いろんな人から「こんなビジネスがあるけど一緒にやらないか」というお誘いが持ちかけられるようになりました。そのたびに「それもよさそうだなあ」と、新しいことに手を出すといったことを繰り返していました。 そのうちに、やることが山のようにあふれ、自分の本来のスキルとは関係がないことまで手を出そうとしていました。時間が足りなくなるばかりで実行が伴わず、儲けにつながらないという事態に陥ってしまったのです。 当時の私のように「まずやることを決める」という行動をしていると、そのうちに「あれもやりたい」「これもやりたい」とたくさんの思いが出てきます。 しかし、小さな会社は経営資源が限られていますので、やれることには限界があります。しかも、多くのことを手がけすぎると、軸がぶれてしまい、外から見て何が強みの会社なのかわからなくなってしまいます。「やることを決める」ことに行き詰まってしまった私は、ある日から自社の強みである「資金繰り・資金調達コンサルティング」を軸にして、あまり関係のないことはやめることを決めたのです。 それ以降も、「こんなこと一緒にやりませんか」というお誘いがありましたが、自社の軸からかけ離れることについてはお断りするようにしました。 すると、時間や資金をうまく活用して、「自分でビジネスを仕掛けてうまくいった」という成功体験を積み重ねることができるようになったのです。 大企業であれば多くの経営資源を活用して、さまざまな事業や取り組みを行うことができますが、経営基盤が脆弱な中小企業は、あれこれとやることを増やし過ぎると命取りになりかねません。 逆に、「こういうことはやらない」と決めておけば、自社のテリトリーが明確になり、経営に関しても迷いがなくなります。 先に「やらないこと」を決めて、うまくいっている中小企業はたくさんあります。 私が出会った社長に、広告デザインを主な事業としている人がいます。同社は、次から次へと大手企業の広告を受注し、ヒット商品輩出の原動力になっているのです。 その企業には、優秀な専属デザイナーがたくさんいて、社員には WEBのエキスパートもいるので、 WEB制作などほかの事業でも十分に稼げる能力があります。 にもかかわらず、社長は「わが社は広告デザインに関係すること以外の事業はやらない」と決めています。事業の柱を明確に示すことで、周囲から「あの会社は広告デザインがめっぽう強い」と認識してもらえるので、かえって注目が集まるのです。「やらないこと」を決める方法は、事業内容だけではなく、「営業する地域を限定する」「従業員は雇わず外注を活用する」「粗利益率が 30%未満の商品は扱わない」など、自社の強みや実情に合わせて細かく決めることも有効です。 とはいっても、多くの社長はアイデアマンなので、「やりたいこと」のほうがたくさん出てくるのは仕方ないと思います。その場合でも、そのなかから、「やらないこと」を決めるという決断が重要になってきます。 「やらないこと」を選ぶ基準は、「自社にない新たなノウハウが必要となること」「競合が激しい分野」「時間がかかりすぎる」といったポイントです。 多くの「やりたいこと」から、素早く「やらないこと」を決める能力が、儲かる社長となるために求められるのです。 10/儲かる社長は、自社の強みを活かした事業のみに力を入れる!
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