人と人との距離を縮めて親密になりたいのなら、その人と飲食を共にするのが一番です。 ハイテク素材の製造業を経営している m社長は、ビジネスで関係する人を呼んで、徹底的におもてなしをする人です。 当社は、これまでにない新しい素材を世界に先駆けて開発することに成功し、国内だけではなく海外の企業や大学と共同で研究開発をしています。そのため m社長の会社には、日本だけではなくヨーロッパ諸国からのお客様がひっきりなしに来るのです。 本社は長野県の山間部にあり、海外からのお客様のアクセスは決してよくありません。それだけに、わざわざ来てくれたお客様を、地元のおいしい飲食店に案内して、たくさんの酒や料理をご馳走しているのです。 ある時、ドイツのメーカーの社長が来社したので、お昼は信州そばをご馳走して、夜は和食料理店で手厚くもてなしました。国によって「飲み会」の慣習は異なるようですが、そんなことはお構いなしに焼酎や日本酒を酌み交わしながら開発中の製品について熱く語り合うのです。 私もその席に同席していたのですが、さすがにドイツ人は飲む量も食べる量も多く、ほとんど酔った素振りを見せない感じでした。話している内容は、技術的なことが中心で私にはあまり理解できないことが多かったですが、お互いの夢を語るなどしてとても盛り上がった飲み会になりました。 その後、宿泊した旅館でも、お酒を飲みながら明け方まで楽しい時間を過ごしました。 ドイツ人の社長はとても喜んでいて、その後の商談も順調に進んでいるとのことでした。 m社長は、いつもこのようにおもてなしを徹底する人です。あれだけのご馳走や酒を提供すると、出費も大きいのですが、それ以上に人脈構築や取引先開拓の効果があるということで、「大切な投資」ととらえているようです。 もっとも、「ビジネスで取引してほしい」というのを前面に出すようなおもてなしは、相手に見透かされてしまい逆効果のときがあります。 直接的な効果や見返りは期待せず、心底から「この人と楽しもう」と思ってもてなすほうが、親密になれてビジネス上の効果も出てくるものです。「飲んで仲良くなろうなんて昔の方法のようで古臭い」 そう思うかもしれませんが、日本だけではなく海外でも、今もなお非常に有効な方法だといえます。人との関係を積極的に構築するためには、自分から積極的におもてなしをするように働きかけることをお勧めします。 また、いつも自分が一方的にもてなされることに慣れてしまい、何もお返しをしようとしない社長もいますが、それでは相手との関係性の発展が望めません。 たとえ相手よりも自分が強い立場にあったとしても、よりいい関係を構築するために「おもてなしをされたら何かでお返しをしよう」と考えるべきでしょう。たとえば、仕事や人を紹介したり情報を提供したりと、相手が喜ぶようなものでいいでしょう。 次に、別の側面でのおもてなしについてご説明します。 私が多くの中小企業をみて、ときどき残念に思うことがあります。それは、商売の原点である「接客サービス」つまり、商品やサービスを買ってくれたお客様へのおもてなしが、とてもぞんざいなものになっている企業が少なくないということです。 たとえば、大手のチェーン店における店員の接客サービスは、マニュアルに基づいて、一定のレベルはクリアしていますが、地場の居酒屋に入ると、接客サービスの質がとても低いということがありますね。なかには、社長である店主自らが感じが悪かった、ということすらあります。飲食店では、いくら料理がおいしくても、接客に問題があればお客様が逃げるという基本的なことを忘れているのです。 こうした例は、飲食店だけではありません。「小売店で友人へのプレゼントを購入してラッピングを頼んだらとても雑だった」「工務店にリフォームを頼んだら、スピーディに対応してくれなかった」など、せっかくお客様が買ってくれたのに、対応が悪いことが原因で、その後のリピートを逸してしまうのです。 こうした場合、クレームとして顕在化しなければ、残念ながら社長が問題に気付くことはありません。中小企業の「売上が低迷している」と悩む原因が、「おもてなし」不足にあるケースも多いでしょう。 ぜひ御社のおもてなしのレベルを点検してみてください。 48/儲かる社長は、取引先やお客様に対して、おもてなしが行き届いているかを気にする!
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