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生き残る社長は非情なリストラをし、潰れる社長はやさしく削る。

 利益が出せなくなっている会社の Y社長がいました。「これからどう経営すればいいのか?」と私に相談に来られた方です。  経営環境は悪く、本業には向かい風。そして、 Y社長を含めたオーナー一族には、事業を立て直すほどの気概と力量が足りていないと感じました。  今すぐ廃業すれば、会社にはまだ資産があるので、借金は残らないし、従業員も経営陣もそれなりの退職金や手当を手にできるでしょう。  私は「もう会社は廃業させたほうがいい」と伝えましたが、 Y社長にはまだ廃業という選択肢が飲みこめません。そして「もう一度チャンスがほしい」ということで、部分的なリストラだけを実施して赤字の解消を狙うことになりました。  リストラを決断した Y社長ですが、迷走がはじまりました。  リストラ案をまとめて実行すると決めていた期日は、どんどん先延ばしになります。  人員削減の内容についても、当初は約 10名を予定していたものの、日がたつにつれ「削減する人数をもっと減らそう」と言い出す始末です。「あいつには家族の事情があるから、やっぱりリストラ対象から外してあげたい」「残った従業員の給料もカットすれば、削る人数を減らすことができるのでは?」  発言はブレはじめ、雲行きが怪しくなってきました。  社長は、もちろんリストラをしたくありません。会社の存続のためと一度は割り切ったのですが、現実味を帯びてきたことで、心の弱い部分が顔を出してきたのでしょう。「リストラはちょっとだけで済ませたい」という、逃げ腰が透けて見えました。  気持ちはわかるんですけどね……、でも、これではリストラは成功しません。  中途半端なリストラはしたものの、結局会社は立ち直らず、数年後に廃業。従業員に手渡せる退職手当の額は大きく減ってしまいました。 Y社長以外の関係者は、心の中で「だったらはじめから廃業したほうがよかった」と思ったことでしょう。  リストラには思い切りが必要です。  なお、リストラは必ずしも、スタッフの首を切ることだけではありません。しかし実際は、影響力の大きい人員削減が、リストラの中心的取り組みになることが多いのです。  その人員削減ですが、批判を恐れずに言えば「人を削り過ぎるくらいでちょうどいい」と考えています。  多くのケースでは、人員の削減数が足りなくなりがちです。社長に、できるだけクビにする人の数を減らしたいという心理が働くためです。  しかも経営はまさに傾いている真っ最中です。リストラをしても、まだしばらくは経営状況が悪くなると想定すべきです。リストラ時点での帳尻はあったとしても、少し時間がたつと「やばい、リストラが足りなかった」となりやすいところです。  リストラに 2度目はありません。  よく押さえておきたい鉄則です。  リストラの内容が甘くなって「前回は 5人やめてもらったけど、まだ足りなかったから、次は 3人やめてもらおう」と、不足を補う必要が生じることがあります。  しかし、現場の従業員の心情を感じてみてください。一度リストラが行われ、仲間がやめさせられました。そしてまた次のリストラが行われるわけです。「次にやめさせられるのは自分?」「この会社はもうダメなのでは?」  スタッフがこんな疑心暗鬼に陥っていては、会社の立て直しなんてできません。  リストラは一発で仕留め「痛みは全部出し切った、後は前を向いて進めば大丈夫だ!」と、残ったスタッフに社長が宣言できるようでなくてはいけません。  リストラが甘くなるよりは、人員を削り過ぎるほうがましだという意味をおわかりいただけたでしょうか。一気に削って、一気に雰囲気を上向かせなければいけないのです。これはリストラに限らず、他の痛みを伴うアクションにも応用できるかもしれません。  最近、 M& Aをお手伝いした社長は、会社を買い手に引き渡した日に「 15年前に、やむを得なかったといえ、リストラしたことが今でも悔しくて……」と話していました。晴れの卒業の日なのに、です。  事業主の業は深い。でも、やり切るしかないんですね。 27  生き残る社長は、非情なまでにリストラを徹底する

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