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生き残る社長は相手の都合が悪い話を語り、潰れる社長はあたりさわりのないように語る。

これからお話しすることは、私の手の内を明かしてしまうような話なので、本当はしたくないところです。  会社をたたむとき一番の山場になるのは、どこだと思いますか。  やはり、従業員をやめさせる場面です。  社長としては、相手はこれまで自分についてきてくれた方々なので、そう簡単に割り切れることではありません。決断と実行にはものすごい重圧とストレスがかかります。  この場面をうまく乗り越えなければいけません。会社をやめることをごねられたり、徹底的に抵抗されたらややこしいことになります。  また、廃業を通知したところで「だったら、明日から会社に来ません」とそっぽを向かれてしまってもダメです。営業を急にはやめられないので、人手がなくなってしまっては仕事が回りません。  進行上、社長に全従業員を集めてもらって、廃業の決定を通知することが通常です。雇用の期限や、退職条件をどのように考えているかについても伝えます。  ここで2つポイントがあります。  まず、ちゃんと従業員サイドのメリットも作ってあげることです。法律上の最低条件を満たして、規定どおりの退職金さえ払えればそれで十分とは、なかなかなりません。プラスアルファのメリットまでつくってあげることで、相手も「会社や社長は従業員のことも考えてくれている」と感じてくれることでしょう。  すでにお話しした、自分が少し損をする意識を持つ、に通じるところです。  そしてもうひとつ、とても大切なポイントは、それだけを伝えてはいけないことです。  別の言い方をすれば、相手にとって最も悪いストーリーをしっかり語ることです。  この廃業のケースでいえば、法律上の最低限のルールはどうなっているか。もし従業員が退職をごねたら、どうなるかなどを先にしっかり伝えます。そのうえで、あらかじめ用意していた、それよりはベターな条件を提示するのです。  たとえば「本来、会社はあなたたちに、規定の退職金しか払う義務はない」と言う。十分理解させたうえで「でもそれでは忍びないところだから、社長の配慮で、特別手当として 1か月分の給料を上乗せする」といった具合です。  多くの方が、相手にとっての都合の悪い話を省いてしまいます。穏便に終わらせたいという弱気が、都合の悪い部分を省いてしまいがちなのです。  しかしそれでは、相手に、こちらからの提案のありがたみが伝わりません。  悪い話まで伝えなければ、図に乗らせてしまうこともあります。「もっと金をよこせ」とエスカレートしたり、と。  うちの VIP会員になっている社長からも、このような相談がありました。「うちの番頭が、従業員 3人とお得意さん数社を連れて独立したいと言ってきました。あちらが提示してきた条件についてどう思いますか?」  すでに対象スタッフと顧客にも話を通しているそうです。「独立が夢でした。社長に気持ちよく送り出していただければ」と言われたとも。  先方から提示された独立の条件の検討に入っている社長に、私は言いました。「社長がまずすべきことは、提案の良し悪しを検討するのではなく、相手を否定することだと思います」と。  ナンバー2は、業務中に、自分の独立の話を進めていたわけです。不正な行動です。  また、自分一人でやめるならば勝手にしろですが、顧客や従業員を連れて行くとなれば話は大ごとです。造反です。「従業員と顧客を連れて行くことを認める筋合いは私にない」「悪いのはお前だ」  ここのところをまずははっきりさせるべきだと考えました。仮に最後は交渉のテーブルについてあげるにしても、出発点がズレたまま話をすべきではありません。  今の時代は人のよい社長が増え、衝突を避けたがる傾向にあります。  それでも、相手にとって都合の悪い話をしておくことは避けてはいけません。ここで勇気を出しておけば、後で必ず効いてきます。 29  生き残る社長は、相手にとって悪い話をしっかり語る

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