この章では、関係性を扱います。もちろん誰もが、他者と関わらずに生きていけるわけではありません。ロングライフのための関係性を考えてみたいと思います。 私の尊敬する友人に鮒井さん(仮名)という方がいます。友人と言っても、年齢的には私より 2まわりも上の方です。 元経営者で、自分たちはリスクをとろうとしない業界の姿勢に違和感を覚え、本当の意味で顧客と歩む会社をつくろうと独立されました。起業後の会社経営は狙いどおりにうまく進み、すでに後進へ会社を譲って経営の一線からは身を引いています。まさにロングライフを実現した元社長です。 この鮒井さん、相当な金を持っています。具体的にはわかりませんが、私の嗅覚が間違いないと言っています。ご本人がいないところでは、知り合いの間で「鮒井銀行」と呼ぶこともあります。人生の大先輩に向かって何とも失礼ですが……。 さて、この本を書くにあたってアイデアを考えているとき、鮒井銀行、ではなくて鮒井さんのことを思い出しました。ロングライフの秘訣を導き出そうとしたためです。 ひとつ気づいたことがありました。「あれ? 鮒井さんに飯をおごってもらったことがないかも」 何度か食事をご一緒したことはありますが、おごってもらった記憶がありません。 ちょっと話を聞かせていただきたいときに、私がおごったことはありました。でも、逆は、あったかどうか……。 鮒井さんは金を持っているのにケチだ、とクレームをつけたいのではありません。「金の力を使わずして、自分よりもずっと年下の人と付き合えるのってすごいことですよね」と、ここでは言いたいのです。 なお、他の共通の知人に聞いたら「おごってもらったことがある」と言っていたので、相手によりけりなのかもしれません。 鮒井さんが、飯をおごってくれない理由はわかりません。 意図的にそうしている可能性もあります。たしかに、毎回おごられると、こちらも気をつかって誘いづらくなったりするものです。 もしくは天然のケチなのか、奥村のことが好きではないのかも……。 いずれにせよ、鮒井さんはおごってくれなくても、私は鮒井さんと付き合いたいから付き合っています。ここが大切なところでしょう。 自分の場合を考えてみます。 やっぱり、年下の人と食事することになったら、「自分が出さないといかんかな」と軽く悩みます。その裏側には、年上としての威厳を保ちたいとか、カッコイイところを見せたいという下心があります。ケチだと思われたくないという気持ちもあるのでしょう。 心の中に力みがあり、相手からの評価をコントロールしてやろうというちょっとした野心があるわけです。 鮒井さんからはそれを感じません。だから気持ちよくお付き合いができます。 大御所なのにとってもフラットなのです。力が入っていなくて自然体です。 すごいことだし、素敵なことだと思いませんか。 フラットな自分でいられれば、気負うことなく、楽に豊かに生きられます。 他者と良い関係を築くこともできるでしょう。大人になって友達ができなくなったという話はよく聞かれますが、このあたりが関係している気がします。 しかし、フラットでいると言葉でいうのは簡単ですが、そうあるのは難しいことです。私もいつもフラットでありたいと思っていますが、まったくできていません。 普通はどうしても、自分をよく見せたいという欲が働いてしまうと思います。また、自分の中に抱えているコンプレックスが、フラットでいることを邪魔してしまうことだってあります。 他者との関係性を考えることがこの章のテーマですが、相手のことより先に、まず自分のあり方をチェックしてみるのがよさそうですね。 33 生き残る社長は、自然体でいられる術を身につける
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