廃業が、悪者扱いされています。目の敵にされています。 今や国家をあげて M& Aが推進されていますが、裏側には、廃業する会社が増えていることへの問題意識があります。社内に後継者のいない会社が増えたため、廃業ではなく、第三者への M& Aを選ばせたいという思惑なのでしょう。 しかし、誰が何と言おうが、廃業が基本です。 私は会社を着地させるというイメージを持っています。会社は飛行機で、社長はパイロットです。社長はいつか、飛行機をどこかに着地させなければいけません。 ひとつの着地パターンとして、他者への承継という着地があります。社長が、誰かに経営を引き継いで会社から離れます。この社長を交代する相手が、子どもや従業員などの社内の人間ならば社内承継となります。外部の人間に会社を買わせるならば M& Aです。ここでは社内承継と M& Aを含めて「事業承継」と呼びましょう。 世間一般では、この事業承継が望ましいとされています。さらに、基本である、と。 本当にそうでしょうか。私には現場を知らない理想論と感じられます。 たしかに継がれることで会社が存続し続ければハッピーでしょう。 しかし現実として、継ぎ手がいない会社はたくさんあります。売ろうとしても、買い手が見つからない会社もたくさんあります。 それでも事業承継が基本であって、廃業は許されない選択肢なのでしょうか。 事業承継は、その仕事を他者でも引き継げるという前提が必要となります。そうでなければ、会社を引き継いだものの、仕事が回せずに頓挫します。 ところが、仕事というものは、思ったより属人的な性質のものです。 さらに成熟社会となれば、より個性的な事業が求められます。小さな会社では特にそうでしょう。誰でもできるような作業ではなく、その人だからできる仕事をしている会社が生き残れます。仕事はよりアートの感覚に近くなっているのです。 小さな会社の事業や仕事は、本来、事業承継になじまない性質のものだったりします。 事業承継という着地をかなえるには、当然、相手が必要となります。いくら社長が願ったところで、相手がいなければ実現できません。 それなのに廃業という選択肢が封じられてしまえば、どこにも着地できない会社が大量に生まれてしまいます。 実際のところ、小さな会社の世界では経営者の高齢化が進み、こんな前にも後にも進めない会社が溢れています。本当の社会問題は、廃業数の増加ではなく、決着をつけられない会社が溢れかえっていることのような気がしてなりません。 いつまでも着地しなければ、会社はどうなってしまうのでしょうか。 いつか、強制的に退場させられることになります。 飛行機の着地でたとえたら、墜落です。 強制的な退場には 2パターンあり、会社が倒産するか、社長の命が尽きるかです。要は、会社を誰かに継がせるか、自分でたたむかしない限り、いつか会社か社長のいずれかが死を迎えることになるのです。 強制退場の現場には、大混乱と痛みが伴います。 会社の倒産現場を垣間見たことがある方はきっと多いことでしょう。もちろん、その渦中にいる社長は苦しい思いをさせられます。 社長の死亡というおわりもまた混乱を回避することはできません。当の本人は亡くなっていますが、代わりに、残された者たちが苦労を背負わされることになります。 やはり、強制終了は避けていただきたいのです。 事業承継か廃業の選択肢しかなく、前者は相手がいる場合のみ可能という条件付き。 私が廃業を、会社の着地の基本として推す意図は伝わったでしょうか。 廃業では自分でおわりを創るので、強制終了と違って状況のコントロールができます。 いつでも、単独で、確実に実行できます。 最も頼りになるリセット方法と言えます。 会社の着地については「最低でも廃業しておわらせる」という認識を持ってください。 44 生き残る社長は、最低でも廃業というリセットボタンを押しておえる
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