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生き残る社長は会社をとじた結果を見て、潰れる社長は会社を売りたい金額を見る。

会社の着地においては、廃業が基本になるというのが前項の話でした。  この考え方と切っても切れないのが『清算価値』というツールです。  会社にはいろんな価値計算の方法があります。その中で清算価値は「会社をたたんだ場合に残る価値」を算出したものです。  清算価値を算出するためには、実際に会社をたたむ場面をシミュレーションしてみればいいでしょう。  まず資産をすべて売却して換金します。このとき全体として資産は縮小する傾向にあります。帳簿には換金できないものまで、資産として計上されていることが多いためです。  一方の負債です。こちらは通常減りません。むしろ増えます。会社をたたんだときに発生する負債があるためです。スタッフの退職金や、店舗などの撤去費用などがそれに当たります。  こうして再計算された資産から、再計算された負債を引いて残った数字が清算価値です。  実際に計算してみると、清算価値はかなり厳しい数字になることでしょう。でも、これがリアルです。あなたが今現在、実際に手にしている価値なのです。  清算価値を認識しておくことに大きな意味があります。  かつて「あなたの会社は 3億円で売れる」と M& A業者に言われた社長がいました。  その後、社長は M& Aでの売却を試みたものの、いつまでも売れません。 3億という数字が頭にこびりついて、それ以下の金額でのオファーを受け入れられなかったためです。  結局、売る時期を逃してしまい、最後は倒産しました。   M& A業者は、社長に会社を売らせたく、また自分のところに依頼させたいため、景気のいい話をしがちです。社長はそれを真に受けてしまいました。   M& Aができなければ、いずれ廃業するしかありません。清算価値と比べて、 M& Aの売却価格のほうが上だとしたら、売ったほうが得だという判断ができます。  撤退の判断を誤らないためにも、清算価値が有効です。  決算書の数字を見ているとまだ余裕がありそうに見えるときでも、清算価値を導き出したら、おしりに火がつくケースはよくあります。「せめて、最後は借金が残らないようにしたい」  会社の決着に対して、社長から頻繁に聞かれる希望です。廃業したときに借金が残るか否かを教えてくれるのも清算価値なので、この数値を観察したいところです。  清算価値を注視し、これ以上進んだらマイナスになるという手前で、リセットボタンを押してください。  私の顧問先のある会社では、私の提案で清算価値を計算してみることになりました。  するとその過程で、所有していたビルのひとつが、簿価より相当値下がりしていることが判明しました。さらにその不動産の築年数は相当古く、売却する際は、建物を解体して更地にしなければいけない可能性も懸念されました。  そこで、業者から解体費用の見積りもとってみたら、これが高い。アスベストの関係などもあって、予想していた 3倍くらいの費用が必要なことがわかりました。  土地の価値より、解体費のほうがずっと高いのです。  不動産という資産の顔をしていますが、このビルの正体は負債でした。  顧問先の会社は目を覚まさせられました。「こちらで建物を解体しないで済むように、一刻も早く売ろう」と。  社長は当初、創業地のビルだから大切だと言っていましたが、こうなればなりふり構っていられません。  積極的に行動したことで、解体することなく、建物ごと不動産を売却することができました。トランプゲームのババ抜きでたとえれば、ババを手元に残さないで済んだのです。  清算価値を見たから問題に気づけたケースです。  清算価値で、会社の現実の価値を把握することができます。  そして、清算価値を向上させようとするスタンスが、経営的な判断を正しいものにしてくれます。清算価値はロングライフを実現するツールなのです。 45  生き残る社長は、清算価値を会社の計器とする

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