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■損益計算書の利益だけを見てませんか

「今月の売上はどれぐらいだ!?」「予算通りに利益が出ているのか?」「今期は対前年比で 105%の売上・利益目標で頼むぞ!」社長が、社員に檄を飛ばすために日常的に使っていたり、経営上の関心事だったり、あるいは目標予算を設定する際の視点は、おおむねこうしたことではないでしょうか。売上がどれだけ伸びたか(伸ばすか)。利益はどの程度獲得できているのか。たしかに、いずれも会社経営においては重要な指標といえます。しかし、社長、はっきりいいます。損益計算書上に表される売上の増減や利益の増減だけを指標とした経営では、うまくいきません。もちろんこれは、社長、あなただけのことではありません。多くの社長さんが、損益計算書を中心にした経営に偏り過ぎています。「売上がいくらぐらいで、原価がどうで、販管費がこうだから営業利益や経常利益が増えた(減った)」と、損益計算書はよく見るが、貸借対照表をしっかり読み解くことはできないという社長さんが実に多いのです。しかし、損益計算書上に表される売上・利益だけを指標とした経営では、会社のかじ取りを誤ってしまう危険性があります。「勘定合って、銭足りず」黒字倒産を表すこの表現、社長もよくご存じですよね。では、そもそも〝黒字〟なのに、なぜ倒産するのでしょうか?このことをきちんと理解されている社長さんは驚くほど少ないのです。「利益が出ていても、支払手形を決済する現金が不足しているんだ。不渡り手形を出したら、会社は潰れてしまう」はい、その通りです。しかしそれは、黒字倒産の本質ではありません。もう一度伺います。利益が出ているのに、なぜ、手形決済資金が不足するのでしょうか。利益が出ているのなら、利益の分だけ現金が残るはずだと思いませんか。たとえばこんな会社がありました。製造業である古田土機械では、次の損益計算書のように、4月の売上高は 1000万円、売上原価は 400万円( ❶)で、販売費及び一般管理費が 500万円( ❷)だったので、営業利益は 100万円でした。

損益計算書上、営業利益の下に続く項目(営業外損益と特別損益)がゼロだとすれば、4月度の古田土機械の損益計算書には 100万円の経常利益( ❸)が残ります。古田土機械では4月に限らず、前月も前々月も 100万円程度の経常利益を稼ぎ出しています。毎月 100万円程度の経常利益が上がっているにもかかわらず、来月末に外注先 A社に支払うべき 200万円の資金が不足している。このときの古田土機械の状況がまさに「勘定合って、銭足りず」です。 A社への支払い 200万円は、損益計算書では「売上原価( ❶)」に計上されています。その原価を支払っても、なお 100万円の利益が残る( ❸)ということが損益計算書には表現されているわけです。にもかかわらず、支払いのための資金が不足している。かかった売上原価や社員の給料などの経費を支払っても、なお 100万円残るはずなのに、きちんと計上ずみの売上原価を払うお金が不足しているのはなぜか?実は、古田土機械では、毎月、借入金の返済が 200万円もあったのです。銀行からの借入れの返済額が、稼ぎ出している利益の額よりも多いと、こうした〝銭足りず〟の状況が発生することがあります。たとえば、 1億 2000万円の借入金を 5年で完済する返済スケジュールで銀行から借金しているなら、金利分を無視しても年間の返済総額は 2400万円です。月々にすると 200万円もの返済になります。月に 100万円の利益が出ていたとしても、その利益 100万円を借金の返済に充ててもなお足りず、結果的にさらに足りない 100万円をどうするか、新たに借入れするのか……いずれにしても厳しい資金繰りを余儀なくされてしまうのです。ところが、そうした実情、つまり毎月、借入返済で 200万円もお金が出ていってしまうという事実は、損益計算書には出てきません。儲かっているのに、支払い資金が不足してしまう原因は、損益計算書以外のところに表されています。ですから、損益計算書だけを見て、「儲かった!」「儲からなかった…」と一喜一憂していると、会社を〝黒字倒産〟させてしまうことになりかねないのです。

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