これらの経営指標の多くは、業界によっておおむねの平均値があります。たとえば、粗利益率では、製造業は 50%、飲食業なら 70%、美容業であれば 90%、卸売業なら 20%などです。しかし、業種・業界にかかわらず、目指すべき目標数値が一定の数値があります。損益分岐点比率です。損益分岐点比率は売上高・粗利益率に関係なく、粗利益額と固定費の比較なので業種業界に関係なく使える数字です。多くの中小企業経営者が考えている利益率は売上高経常利益率です。京セラの稲盛和夫さんも、売上高経常利益率 10%を目指しなさいといっています。私もよくお客様からうちの会社の目指すべき利益率は何%ですかと聞かれますが、売上高経常利益率ではなく、損益分岐点比率で答えています。目標とすべき売上高経常利益率は、業種・業界によってまったく異なるからです。たとえば粗利益率 10%の業界では売上高経常利益率 10%は無理です。すなわち、業界の粗利益率によって、目指すべき売上高経常利益率は違うということです。しかし、粗利益率と損益分岐点比率を組み合わせることにより、理想的な業界の売上高経常利益率は計算できます。たとえば粗利益率 50%の業界で損益分岐点比率 80%を目指すなら、理想的な売上高経常利益率は 10%になります。計算式は粗利益率( 50%) ×( 100%-損益分岐点比率 80%) = 10%です。理想の損益分岐点比率は 80%。目標は 90%。製造業もサービス業も同じです。損益分岐点比率は、粗利益額に対して、固定費がどれだけの割合を占めているかという指標です。損益分岐点比率が 80%というのは、粗利益額 100に対して、固定費が 80であること。つまり、万が一、売上高が 20%下がっても収支はトントン。損益分岐点比率は低ければ低いほど、会社としての優良性が高いということになります(第 2章 4項参照)。損益分岐点比率が 100%を上回っている会社は、赤字の会社ということになります。粗利益で固定費を賄えていないということ。こういう状態の会社は、まず 100%を切ることを目指す。そして次に、目標の 90%程度を目指す。それが達成できたら、理想の 80%を目指すというステップを踏みます。
どんな業種であれ、まずは損益分岐点比率を用いて、あるべき姿(目標 90%、理想 80%)を目指す経営を心がけることのほうが重要といえるのです。
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