「未来会計図表」とは、損益計算書の内容を元に、経費を変動費と固定費に分けて、過去の利益構造を見える化したツールです。同時に、このツールを活用することで、適切な予算作りも可能となります。過去を分析する以上に、未来に活かすことで大きな価値があるツールなので、「未来会計図表」と呼んでいます。ベースにある考え方は、「変動損益計算書」です。「変動損益計算書」とは、通常の損益計算書とは費目の集計が少々異なります。通常の損益計算書では、売上高の下には、売上原価が記載され、「売上高-売上原価」で売上総利益を計算し、その売上総利益から、さらに販売費・一般管理費を差し引いて利益(営業利益)を算出しますね。しかし、「変動損益計算書」では、売上高から変動費を引いて粗利益を算出します。「変動損益計算書」では、売上高から変動費を差し引いたものを「限界利益」と呼びますが、つまりは粗利益と同じと考えてください。「未来会計図表」の構造は簡単です。次の全体像を見てください。これは古田土会計が顧問先の社長にお渡しする「未来会計図表」の資料です。左が未来会計図表です。右はその解説になっています。
通常の損益計算書は、売上高からはじまって、売上原価、粗利益(売上総利益)が書かれ、その下に人件費をはじめとした経費が費目ごとに列記されます。すべて数字で表されているので、パッと見で、直感的に「多いのか、少ないのか」ということを判断するには不向きです。ところが、未来会計図表は、グラフ化していますので、売上 100に対して、変動費が 50なら、「ちょうど売上の半分だな」といった状況が、すぐにわかります。粗利益と固定費のバランスや、固定費と営業利益のバランス、それぞれの関係性なども一目瞭然なので、とても便利です(未来会計図表の例では、各項目の説明を記載しているために、必ずしも比率通りにはなっていません)。未来会計図表は、単月と累計をそれぞれ作成します。月次の予算管理は当然に単月の未来会計図表に基づいて行うわけですが、同時に「これまでのところ、今期の予算達成度合いはどのくらいなのか」ということについては累計の数字で確認することはいうまでもありません。一般的に作成される月次の試算表が「当月」と、「当月までの累計」で表現されるのと同じことです。では古田土印刷を例に説明しましょう。次の図を見てください。一番左に「売上高」の棒グラフをおきます。古田土印刷の売上高は 5億 1842万 4000円。その右側上段に「変動費」を表示します。
変動費とは、売上の増減にともなって、比例的に増減する原価の項目です。製造業でいえば、製品を作るための原材料費や外注費などが変動費にあたります。会社によっては、「広告によって、売上が増えたり減ったりするので、広告宣伝費も変動費だ」とおっしゃる社長もいますが、広告宣伝費は変動費ではありません。広告が売上にある程度の影響を及ぼしたとしても、比例して連動することはありません。売上高から変動費を差し引いて残ったのが「粗利益額」となります。古田土印刷の場合、変動費が 2億 4552万 9000円ですから、粗利益額は( 5億 1842万 4000円- 2億 4552万 9000円 =) 2億 7289万 5000円です。よって、粗利益率は 52・ 6%と計算できます。次に、粗利益額の棒グラフの右わきに「固定費」の棒グラフをおきます。固定費はすべての原価・経費から変動費を差し引いたものです。人件費や事務所家賃、光熱費や教育研修費、研究開発費などが含まれています。「人にかかわる費用(人件費など)」「モノにかかわる費用(事務所家賃など)」「借入金などの金利」「未来費用(教育研修費・研究開発費など)」に分けておくとよいでしょう。未来費用とは、要は将来の会社の成長のために必要な経費で、社員の業務スキルが向上すれば、将来的な売上・利益に貢献しますので、教育研修費は未来費用になります。 5年後、 10年後に新商品を市場に投入するための研究開発費用も未来費用ですし、広告宣伝費も先々の売上に寄与し得るという点で未来費用といえます。粗利益額からこれらの固定費を差し引いて残ったものが「利益(経常利益)」です。古田土印刷の場合は、粗利益額が 2億 7289万 5000円で、固定費が 2億 3940万 400円ですから、経常利益は 3349万 1000円になります。
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