次に今の人件費は妥当かどうか、「労働分配率」を計算します。労働分配率とは、会社が生み出した付加価値に対して、人件費の割合がどれだけであったかを示す指標です。労働分配率は「人件費 付加価値額(粗利益)」で計算します。ここで、付加価値額というのは、粗利益のことを指します。労働分配率を分析することで、人件費が適正かどうかを判断することができます。例に挙げた古田土印刷の場合には、人件費 1億 4723万 1000円に対して、粗利益額が 2億 7289万 5000円ですから 54・ 0%( = 1億 4723万 1000円 2億 7289万 5000円 × 100)となります。労働分配率についても、他の経営指標と同様に、業界平均などの目安の数値はありますが、そうした平均値を目安にするよりも、「自社が最も高い利益を上げていたときの労働分配率」を目安にするほうが目標設定としての妥当性は高まります。さて、第 2章 4項の未来会計図表の解説の中の「経営指標の目安」に、総資本経常利益率と自己資本比率が取り上げられています。この2つは、損益計算書の数値だけでは計算できない指標なので、ここでは簡単に触れておきます。総資本経常利益率とは、会社が運用するすべての資本(総資本 =総資産:貸借対照表の一番下に記載される総額です)を使って、どれだけの経常利益を稼ぎ出したのか、ということを見る指標です。「会社の収益性」がわかります。たとえば、総資本 1億円の会社と、 2億円の会社があって、ともに経常利益が 1000万円だったとすると、前者は総資本経常利益率が 10%で、後者は 5%となり、前者のほうが〝少ない資本でたくさん稼いでいる会社〟だということがわかります。次に、自己資本比率ですが、これは「会社の健全性」を表す指標です。会社の資本が他人資本と自己資本に分けられることは社長もご存じですよね。借入金は他人資本で、資本金や内部留保した利益は自己資本です。要は会社のすべての資本の中に占める自己資本の割合が大きければ大きいほど、健全な会社だということがわかります。
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