多くの中小企業の社長は、なぜ数字を見て、経費の削減の方に動くのでしょうか。 それは人間の本能が大きく影響しているのだと思います。 私たちの頭は、合理的な計算機ではありません。 ビジネスにお金を使ったり、節約したり、何かを決める段階になると、不安などの感情が出てきて、社長の決定を大きく狂わせるのです。 多くの人にとって、損をして失ったものは、得して得たものより価値が大きい傾向があります。これを損失回避性と言います。みんな損失は回避したいのです。 合理的に考えれば、 1万円落としたことの苦痛は、 1万円拾ったことの満足度と同じのはずです。 ところが、人間は同額の利益から得る満足より、損失から受ける苦痛の方がはるかに大きいと感じてしまうのです。 たとえばあなたが A社株 100万円と B社株 100万円とを持っていたとします。 あるとき、 A社株は 120万円になり、 B社株は 80万円になりました。 あなたはどちらの株を売りますか? 多くの方が A社株を売ると答えられます。 120万円になった A社株が 100万円に戻ってしまうかもしれないと思い、せっかく得た 20万円の利益を失いたくないとの思いから、上がり目の株を売り急ぐ傾向にあります。 また 80万円になった B社株を売ってしまうと、 20万円の損失が確定してしまうので、確実に損することを嫌がって、 100万円に戻るかもしれないと、損失を避けようとする考えが起こり、下がり目の株を売り遅れる傾向にあります。 損失を避けたいという人間の信念が、経営においても意思決定に大きな影響を与えます。 だから周りのみんなを幸せにして売上を増やそうという行動より、ムダを削って経費を減らそうという言葉に反応してしまうのではないでしょうか。 そして冷静に考えると明らかな失敗の選択をするのです。 ある社長は、経費に目をつぶったら会社はつぶれてしまうのではないか、社員や家族を路頭に迷わせてしまうのではないかと、夜も眠れないくらい悩み、苦しんだそうです。 悩み抜いた末に「経費には目をつぶる。お客様に喜んでいただくためのお金は惜しまない」その覚悟を決めて行動に移した結果、思わぬものに出会いました。 今までのやり方では出会うことのできなかった、お客様の心からの笑顔です。お客様に「ありがとう」と言われた従業員も、嬉しそうでした。 社長は思ったそうです。「このために商売をやっていたんだ」と。 現在その社長の周りには幸せな人が増え、ビジネスも成長しています。 本能がもたらす苦しみを乗り越えられた人には、幸せが待っているのです。
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