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3  規則より「人としてどうなのか」

 組織に関して、よくいわれていることがあります。「特定の社員に依存せず、どの社員も同じ力を発揮できるのが強い組織。経営者は、そのための環境を作ることが大事」  確かにそのとおりです。そのために会社には決まりがあり、お店にはどのお客様も同じサービスが受けられるよう規則やマニュアルがあります。  しかし私は、中小企業にはあまり細かい規則やマニュアルは要らないと考えています。  それより重視したいのが「人としてどうなのか」。  あるレストランの話をします。  多くのレストランでは、お子様ランチは子どもしか頼めません。  ある日、 1組の夫婦がそのレストランに来て、 2人分の食事とお子様ランチを注文しました。  お子様ランチは子ども限定なのでスタッフは注文を断りました。  でも待てよとそのスタッフは思ったのです。   2人分の食事を注文されているのにお子様ランチは余分ではないかと。そこでその夫婦に、なぜお子様ランチを注文したいのか尋ねました。  すると、あることがわかったのです。  その夫婦の子どもは先日亡くなって、今日はその子が生きていれば誕生日のお祝いをこのレストランでする予定だったのです。「あの子はこのレストランのお子様ランチが好きだったので、つい頼んでしまいました。頼めないことは知っていました。すみません」と言われました。  それを聞いたそのスタッフはすぐにお子様ランチをキッチンに注文して、その夫婦に提供したのでした。  その夫婦はたいそう喜んでいたということです。  世の中には規則を重んじる会社が多いです。  もちろんそれは大事なことですが、規則より前に「人としてどうなのか」を考えた対応をスタッフにしてもらいたいものです。  働く人が「自分が客だったら買わない、そのお店には行かない」と思っている会社が発展するはずがありません。  それよりも「自分が客だったら利用したい、人にも薦めたい」  そう思って働いてもらうこと。  そのためには、スタッフとどう向き合っていくべきなのか。  人件費を減らして利益を出そうとばかり考えている経営者の下で、そういうスタッフが育つのか。あなたはどう思われますか?  人件費を減らして利益を出そうとすると、会社と従業員は利害が対立する関係になります。  会社は働いた分だけ給与を払うから、仕事は短時間で終わらせて、余計な残業などはしないよう要求する。  従業員側も、会社がそういう態度なら、こっちも言われたことだけやって給料をもらえばそれでいい。それ以上のことは一切やらない。  こういう関係で、果たしてお客様に喜んでもらうサービスや提案ができるのでしょうか?  成功している社長は、従業員が幸せになるにはどうしたらいいかをいつも考えていて、従業員も社長の思いに応えるのは、自分がお客様を喜ばせて会社を好きになってもらうことだとわかっています。  そんな会社では、あちこちでお客様を喜ばせる接客ができていくのです。  大企業は「どのお客様も同じサービスが受けられるように」と、しっかりしたマニュアルがあるので、「規則なのでできません」というように、マニュアルをはずれて親身になったサービスは望めないことが多いです。  お客様の数が多い分、例外を認めてしまうとほかのお客様全員にも認めなければならないことから、一律でできない、例外は認めないというスタンスなのです。  そこはお客様の数が多くない分、柔軟な対応ができる中小企業の出番です。「私もお子様ランチを食べたい。何であの客だけ認めるんだ!」と言い出すお客様が現れたら(現れないと思いますが)、「こうこうこういう理由から特別に提供しました。ご理解ください」と説明すればいいだけ。   1人ひとりにきちんと説明すれば、納得しないお客様はいないですし、もし納得されないようならそのお客様にもお子様ランチを提供すればいい(いないと思いますが)。  自社のお客様全員と向き合える中小企業だからこそ、取れる手立てです。  大企業ができないことを中小企業がやる、こういうところで大企業に勝たなければ、どこで勝つというんでしょうか?

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