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4  お客様をナンパ

 うちの長男があるレストランでホールスタッフのアルバイトをしていました。  そこの店長が息子に言った言葉に私は感心しました。「お客様とお話しするときは、お客様をナンパするつもりで話しましょう」。  女の子をナンパするなら、相手に気に入ってもらわないと成功しませんよね。  その気持ちでお客様と接しなさいというアドバイスです。  このお店はとても流行っています。  店員 1人ひとりが、じっくりお客様とコミュニケーションを取りながら料理を提供しているのです。  このような指導は「短時間でできるだけ多くの料理を運ぶ」ことを一番に考えているレストランでは無理です。  スタッフがお客様と話している間、料理は運べませんから。  私がそのレストランに客として行ったときのこと。  食べ終わった料理の皿を下げに来てくれたホールスタッフに料理のことを聞いたら、そのスタッフは質問に答えたあと、私の事務所のホームページを見ましたと言ってくれて、私は嬉しくなって、話をいろいろしてしまいました。  私の話を聞いてくれている間、そのスタッフはほかの仕事ができませんから「忙しいところ悪いかな」とも思い始めていたとき、別のスタッフがスーッと寄ってきて、話を聞いているスタッフの皿を運んでいきました。  私の話を聞いていたスタッフは「私の仕事はほかの人がしてくれましたから、どうぞお気になさらず」と言ってくれたので、私はもっと楽しく話させてもらえました。  これって嬉しいサービスですよね。リピーターが増えるのもうなずけると思いました。  従業員の「お客様を喜ばせたい」という思いを、実現しやすいよう仕組みにするのが社長の役目です。このお店では「ある従業員がお客様につきっきりになったら、ほかの人がヘルプに行くこと」という決まりがあるようでした。「従業員が一番力を発揮できる環境を整える」のが、社長の仕事です。

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