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10  枝葉の価値観はバラバラでいい

「お客様を喜ばせることが喜び」という、柱となる価値観には共鳴しても、枝葉の価値観はまったく異なる社員の集まりが強い組織――。  言うのは簡単ですが、実現はそうやさしいものではありません。  中小企業の社長のような、大きな権限のある人がやってしまいがちなのが、「自分と同じ価値観を他人も持っていると思ってしまう」こと。  ものごとを限定せず、まずは進んでいく方向や到着地点を定め、その方向に向かいながら最終的にベストな到着地点を決めたいという価値観の人、この人を「アバウトタイプ」とします。  このタイプは、人やものごとのつながりを意識しながらベストな到着地点を模索するのが得意で、私もこのタイプです。  それとは逆に、ものごとをより明確に具体的に捉えたい、抽象的なものはできるだけ具体的にしていき、最終的にはピンポイントに絞り込んでから行動したいという価値観の人がいます。この人を「キッチリタイプ」としましょう。  どちらがいい悪いということではありませんが、お互いがお互いの傾向をわかっていないと、会社がうまく進まない原因にもなり得ます。  たとえばこんなケースはないですか?  アバウトタイプの上司がキッチリタイプの部下に仕事を頼みました。  アバウトタイプの上司は、大体のイメージを伝えればできると思い、とりあえず概略を考えて持ってくるように指示します。  キッチリタイプの部下は、とりあえずと言われても、どれくらいの進捗度まで仕上げればよいのか、いつまでに仕上げればよいのか指示してほしいと思っています。  アバウトタイプの上司は「そんな細かいことまで説明しなければ仕事ができないのか?  ダメな部下だ」と思う。  逆のこともあるでしょう。キッチリタイプの上司が、アバウトタイプの部下に指示をすると、キッチリタイプの上司が細かく指示するのに部下はあまり聞いていない、いつも思っていたものと違うものができる。そして使えない部下だと思う。  これはどっちが正しいわけでも間違っているわけでもありません。キッチリタイプの部下に仕事の指示をするときは、仕事の全体像や具体的な期限をきちんと伝えてあげると、部下は力を存分に発揮していい仕事ができますし、アバウトタイプの部下に仕事の指示をするなら、大まかな方向性を伝え、とりあえず何から始めるかを伝えてあげると力を存分に発揮してくれます。  大切なのは、人間にはいろんなタイプがあり、それぞれが自分らしく力を発揮できるポイントは違うのだと理解していることです。  組織にはいろんな人がいた方がいいのです。それぞれのデメリットを打ち消しあい、 1 + 1を 3にも 4にもする。それが組織の強みです。  社長がスタッフのそれぞれの価値観を把握していれば、相手が理解しやすい指示命令ができるので望む結果が得られる可能性が高くなります。  スタッフも自分の価値観で仕事ができるため、生き生きと働けるようになります。  野球でたとえると、腕力が強くホームランを打てるが足が遅い選手に、お前はホームランは打てても足が遅いからダメな選手だ、毎日スピードドレーニングをしなさいと、その人の嫌いな練習ばかりをさせて、結局得意なホームランを打つ能力も殺してしまうようなもの。  ホームランを打てる選手は長打力を鍛えるのに専念してもらう、足の速い選手は内野安打や盗塁の技術を磨くというように、お互いの得意な分野を受け持てばいいのです。  得意なことは楽しいですから、アイデアも出てきて、とても楽しい作業になります。  このようにお互いの特性をわかっていれば、それぞれ得意分野に専念すればよいだけ、好きだから苦痛には感じないし、スキルもアップし効率も上がります。

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