仮にあなたが会社の社長でもなければ、これから会社を立ち上げようとも思っていないとしても、本書の視点を持っておくことは、これからの職業人生の役に立つはずです。 職場の雰囲気が悪くなり、メンバー同士が衝突しチームが分裂した。 組織目標が未達で、愛想をつかしたメンバーが退職したいと切り出してきた。 業績が悪化して赤字の状態が続き、役員から事業の撤退を言い渡された。 メンバーの横領がバレて、上司である自分が経理に呼び出された……。 そんなヒリヒリするような状況は会社の組織のマネジャークラスでも直面する可能性があります。 たとえ起業や経営を志さなくても、チームをマネジメントしていくうえでも、「社長の視点」を持つことは欠かせません。 社長業のイメージが湧かない場合、「万一、同じ状況に置かれたら、自分ならどうするか」と自身に置き換えて、困難を打開するヒントを一つならず二つ、三つとつかんでいくきっかけになってくれれば筆者冥利に尽きます。 もっとも、マネジャー経験がゼロの方には、本書で書かれていることは少々刺激が強すぎるかもしれません。本書を読んでみて、「自分には会社経営なんてムリだ。これからも変わらず、会社員として与えられた責務を全うする」。そう宣言いただくのも、
もちろんいいでしょう。 誤解してもらいたくないのですが、本書で語る「リアル」によって、私は起業に興味がある人や、すでに会社を辞めて独立している人に対し起業を断念させるつもりはまったくありません。 むしろ一人でも多くの人に、「経営の尊さ」に気づいてほしいと思っています。 繰り返しにはなりますが、社長業をしていると大変、ツライという感情以上に、会社員視点だと得難い「やりがい」、表現し難いほどの「充実感」を享受できるのは紛れもない事実です。 絶対ムリと思われていた大きな山を必死で乗り越えて、目指し続けていた絶景を共有する経験は何事にも代えられません。 最初は一人もいなかったお客様が増え、「なくてはならない」と心から感謝されることもあります。苦難をともにして喜びを分かち合った仲間たちの笑顔を見て「頑張ってきてよかったな」と自分自身を全肯定したくなる気持ちに浸れる機会もたくさんあります。 誰よりも孤独であり、誰よりも仲間と喜びを共有できる。 何よりもつらいことと、何よりも楽しいことが混在する。 このような「社長はつらい、だから楽しい」という感覚を、嘘偽りなくリアリティをもって読者の皆さんと共有したいのです。 そして、少しだけ欲を言えば、本書を読了後に、 社長の方は「改めて経営に向き合いたい」 そうでない方は「いつかは経営に携わりたい」 そう思ってもらえたら筆者としてこれ以上の喜びはありません。
経営中毒目 次
第 1章「資金繰り」は最初に直面する、社長共通の悩み──人徳が問われる「カネのマネジメント」
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