P/ L上の利益とキャッシュフローが一致しない原因はいくつかあります。 一つは、単純に、帳簿上に売上や費用が計上されるタイミングと、実際に入金されるタイミングが異なるためです。 P/ L上では役務(わかりやすく言えば「業務」です)を提供した月や期に売上が計上されるケースが多いですが、お金の出入りはそうではありません。仮に1月に役務を提供した場合、売上は1月に計上されますが、入金はほとんどの場合、2月以降です。 1月の時点で見ると、 P/ Lの上では売上が立っているけど、 C/ Fの上ではプラスにはなっていないわけです。 それどころか、先行して外部の企業に仕事を発注したり、何かを購入したりしていると、売上が立つ前に費用がかかるので、むしろキャッシュは出ていっていることがあります。すると、 P/ L上はプラスなのに、 C/ F上はマイナスというややこしいことが起こるわけです。 請求書発行から入金までの売り掛け(や買掛)の期間を「サイト」と言いますが、これが長ければ長いほど入金が遅れます。サイトが翌月末の場合は、請求書発行から 1カ月で入金されるし、翌々月だと 2カ月後になります。 こちらとしては、キャッシュフロー上はなるべく早く入金してもらったほうがいいのですが、支払う側の都合でいえば、先延ばしできればできるほど望ましいので、先延ばしにする会社が少なくないのです。 さらに決算期で考えると、その期で役務が終えているものは売上計上されますが、実際の入金は決算をまたいでから、というケースがあります。すると、利益は出ていて納税しなければいけないのに、肝心のお金が入ってきていない、という事態に直面します(* 1)。 P/ L上の利益とキャッシュフローが一致しない二つ目の原因は、機械や設備の「減価償却費」です。 少し説明を加えましょう。 機械や設備、不動産を買ったとき、一度にすべての額が費用に計上されるわけではありません。 機械であれば、 1年しか使わないわけではなく、 5年、 10年と使います。そこで、取得費用をその年数で按分して、数年に分けて費用計上しようというのが減価償却費の基本的な考え方です。仮に 5年で計上するとしたら、今期は 5分の 1しか費用は計上されません(詳しい方には重ね重ね、釈迦に説法で恐縮ですが)。 ところが代金はたいがい、一括で支払うように求められます。その場合、キャッシュは全額出ていってしまったけど、 P/ L上の費用はその 5分の 1しか計上されません。 すると、費用が少ない分、 P/ L上は利益が出ているけれども、キャッシュはない、ということが起こります。利益が出ていると税金を払わないといけないので、「あれれ?」と一瞬、混乱します。 お金をいっぱい使ったのに、なぜか利益だけが残って、さらに税金も支払う必要があり、資金繰りが大変、といった〝怪奇現象(原理を知れば、何も怪しくないですが)〟がよく起きるのです(* 2)。 *1これが発展すると、最悪の場合「黒字倒産」になることも。会社が成長し、顧客を開拓できたり、新たな事業を始めたり、新商品を投入したりすると、大金が先に出ていきます。黒字だけど、支払いができず倒産を招いてしまうのです。 *2ちなみに、創業期、月末の資金繰りが難航していた際、支払期日よりも大幅に前倒して入金してくれた会社があり、大変ありがたかった経験を今でも覚えています。
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