エクイティにしてもデットにしても、資金調達で注意したいのは、マクロ環境の変化に大きく影響を受けることです。 日米の金利の状況や国際情勢などによって、調達が数カ月で急激に難しくなることもあります。調達の準備を進めているなかで状況が変わってしまい、調達ができなくなるケースは珍しくありません。 実際によくある事例の一つですが、こんなことがありました。 スタートアップの株価水準をはかる指標の一つに、 PSR(株価売上高倍率)があります。ある企業の時価総額が 1年間の売上高に対して何倍の水準になっているかという、やや乱暴な企業価値の算定方法なのですが、当時のスタートアップは売上さえ伸びていれば、どれだけ赤字でも将来的な成長見込みがあるというだけで、企業価値が高く評価されていました。 ところが、調達環境が厳しくなった数カ月を境に、売上が高くても企業価値が評価されず、資金調達ができなくなってしまったのです。「もっと早く動いておけばよかった」と後悔しても、時すでに遅しです。 社長はエコノミストではないので、マクロ環境の変化を予測するのは簡単ではないでしょう。それでも、いろいろな人に話を聞きながら、自分なりに仮説を立てていくしかありません。 予定していた調達計画が頓挫し、数カ月後にはキャッシュショートすることが確実。「なんとかしないといけない」と、気持ちばかりが焦りますが、資金調達の予定が狂ってしまったら、何らかの手を打つしかありません。「株式を本来の価値よりも下げた価格で売却し、調達する」「借り入れ手段を模索する」などの方法もありますが、それも難しい場合、最近は「経営戦略を修正する」ケースをよく見かけます。赤字を出してでも売上を伸ばしていくのではなく、短期的にコストカットをして赤字を減らし、多少成長のペースを調整するのです。 投資家から「半年前は全然違うことを言ってただろう」とツッコミを入れられかねないですが(実際に言われることもあります)、
環境が変われば意思決定の仕方も変えるのは当然のことです。 むしろ言ったことを表向きだけかたくなに守ろうとしていたら、会社がつぶれてしまうでしょう(もちろん、方向性の変更を早め早めに投資家に告げ、対話することは前提です)。 結局は、即効性のある「魔法の手段」などありません。シナリオを複数持ちながら、いかに先んじて資金の手当てをできるか。そのうえで、コスト管理をしながら、事業を力強く成長させ、売上と利益の水準を確保し続けられるか。それをやり切るしかないのです。
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