株でも人をつなぎ止めることができないとなれば、打ち手は他にないのでしょうか? これをやれば効果てき面という打ち手は残念ながらありませんが、私の経験上、ミッションやバリュー(価値基準)の共有は、長期的に見ても大きな効果を発揮します。 とりわけ創業初期において、「この会社は何のためにやっているのか」「そのために我々はどういうことを大事にするか」という価値基準をメンバー同士が腹を割って話しておくことは大切です。 私がこれまで 1000社以上を支援してきたなかで、大きく成長する企業に共通していたのは、お互いの人生のバックグラウンドを開示したうえで、会社の背骨やものさしになるものを最初にちゃんと決めておき、それを共有していたことです(*)。 具体的には、ミッションやビジョンという会社の存在意義や目指す姿、それに対する強度、行動の在り方を共有するのです(詳細は第 4章の Column Sessionで述べます)。 メンバー間でミッションやバリューを共有していれば、多少事業がうまくいかないことがあったとしても、会社がゆらぐリスクをだいぶ抑えられます。 もし読者の皆さんが誰かと起業しようとするのであれば、本当にその人と目指す世界観やゴール、ビジョン、「こういうことを大事にしよう」というバリューを共有できるかどうかを考えてみてください。 なんとなく仲が良いから、といって始めると、後から「入り口のところで失敗した……」となりやすいものです。 起業は、何をやるかも大事ですが、それ以上に誰とやるかが大事。さらにそれ以上に、何のためにやるかが大事なのです。その目線合わせは徹底しすぎるくらいでも足りないくらいです。 精神論を振りかざすつもりは毛頭ないのですが、ここで述べたことはいずれも蔑ろにはできません。そうやって苦難を乗り越えてきたたくさんの企業をこの目で見てきたからこそ、しつこいほどに強調しておきたいと思います。*メンバー間で覚悟というか「本気度」を示し合わせることも大事です。事業を進めていくと想定以上にうまくいかないことが連続して起こります。それでも「なぜ、この会社や事業をやりたいのか」。熱意に温度差がないか確認しながら温度感を等しくする努力をし続けるということです。
2「たった一人の採用」で会社は成長する?それとも傾く?
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