少し脱線すると、幹部社員が今の仕事で価値が出せないときに、前職の仕事のやり方でなんとかしようとする行動を見せたら「危険信号」です。 特にマズいのは、前職で発注していた外部の会社に高いお金を払って仕事をしてもらおうとする人です。
前職でそれなりの地位にあり、外部の会社や委託先に数多く発注していた人にありがちなのですが、自分だけでは価値が出せないなと思ったときに、気心の知れたコンサルタントやアドバイザーを連れてきたり、前職の会社で使っていたシステムを導入しようとしたりするのですね。これは同業他社に転職した人にも当てはまります。 本当に必要があればもちろん望ましいことですが、たいがいの場合、何か自分の手柄を立てたいがために、顔のきく外部の人に発注しているだけです。その結果、必要のない新しいツールを無理やり導入して、貴重な資金をムダに使ってしまいかねません(*)。 大きい組織だと、そういう政治のうまい〝仕事をした感〟を出そうとする人がいても成り立つのですが、小さな組織で〝仕事をした感〟を出されても、組織に悪影響しかもたらさないでしょう。 幹部社員にも一般社員にも言えるのは、必要なのは〝仕事をした感〟ではなく、仕事を一緒にやれる〝仲間〟であるということ。雇用主と従業員という関係よりも、同じ仲間として一緒に働ける人をどこまで集められるか。誰を同じ船に乗せるか。これが創業初期の社長にとって最も大事な役割と言っても言いすぎではありません。 いきなり初対面の人を面接で見極めるのは簡単ではありませんから、創業初期に入社するコアな社員は、過去の仕事の仕方や人となりをよく知っている人か、信頼できる人からの推薦・紹介で採用するのが手堅い方法です。失敗することもありますが、未知の人を採用するよりは確度が上がります。 もっとも、そんな良い方がたくさんいるはずはなく、自身の目指す想いや実現したい世界、事業を踏まえて、社長自ら口説き続けるしかありません。 実際、先ほど二人で創業すると 8 ~ 9割がケンカ別れすると言いましたが、残り 1 ~ 2割の成功ケースは、学生時代から友人同士だったり、仕事で長い付き合いがあったり、創業前から人となりや価値観を深く理解し合えていた関係で立ち上げた場合がほとんどです。*社員からは「この人、外部の業者さんにお金使っているけど、何の価値を出しているんだろうね」と疑いの目で見られるようになります。そこで心を改めて頑張れる人なら良いのですが、だんだんと組織批判に走ってしまう人もいます……。
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