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さらなる違反を予防するには「線引き」と「貫くこと」が大事

 コンプライアンス違反を未然に防ぐための予防策も必要です。  そのためには、どこまでがセーフで、どこを超えたらアウトなのか、違反の基準を線引きすること。それを明文化して、社内で共有しておくといいでしょう。  もちろん、線引きが難しいことはたくさんあります。たとえば、パワーハラスメント。  成果を出すために叱責することは「指導の一環で必要」なのか、「人格否定であり、それをするのは会社の基準に反している」のかは、客観的な基準が示しにくいところです。  会社の基準を決めたら、それを貫くことも大切です。  口で言うのは簡単ですが、会社の基準を貫くのは社長としても極めて難しいものです。  たとえばパワハラの基準を厳しくして厳格に適用すると、成果を出している人を降格させざるをえない場合があります。  実際によくある例ですが、自らも好成績を挙げている営業の責任者は、自分のような成績や営業方法を部下にも求めます。だから、パワハラと言われても仕方のない厳しい指導をしがちです。ただ、そういう営業責任者を降格させると、会社の売上が下がります。そう考えて、社長は処分をためらうかもしれません。  しかし、もしアウトの基準を超えているならば、「これは会社としての基準に反する」「イエローカードだよ」ときちんと言わなければいけません。基準に反している人を黙認していると、「じゃあ、私だって許されるだろう」となり、どんどんモラルが低下します。  創業からしばらく経ってから違反の基準を決めると、たいがい、違反している人から反発があります。「創業当初、私の指導は素晴らしいと言っていたじゃないですか。それを突然今日からコンプラ違反だなんて……」手のひらを返された、と反発されるわけですね。  現実的に、スタートアップだとコンプライアンス違反の前に優先度が高いことがあるので、その予防にまで手が回っていない会社がほとんどだと思います。  しかし、そうした反発が起きても、定めた「一線」を越えたコンプライアンス違反は厳しく取り締まらなくてはいけません。  会社の状況も個人の状況もわかりますが、組織が大きくなるにつれて「アウト」の基準は明確でないと、解釈次第で大きなトラブルが発生することになるのです。たとえ会社の功労者であっても、「コンプラ違反をしたなら、相応の対応をしますよ」と示す勇気を持つことが社長には求められます。  コンプラ違反だけに対応していても、事業は成長しない。トラブルが生じたら、矢面に立ち続けなくてはならない。そういった意味でも、社長は孤独になりやすい役割であり、同じ社長として同情の目を向けざるをえません。  しかし、従業員のコンプライアンス違反でも、最終的な責任を取るのは社長です。「僕は見てないので、知りません」とは言えません。  社長同士で話していると、よく「社長は謝るのが仕事ですから」という話になります。コンプラ違反に直接関与していなくても、それが起こる構造をつくってきてしまった、手を打ってこなかったという意味では社長に責任があるのは事実なのです。

第 4章最初に考えたプロダクトはなぜうまくいかないのか──0 → 100を可能にする「事業のマネジメント」

1「 9割失敗する」商品・サービスに欠けている視点

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