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持続的な成長を迫られるプレッシャー

 注意すべき点もあります。 IPOをすることで、世界中から会社や株価の動向を常に監視される立場になり、経営の難易度や責任は大きくはね上がります。  同時に、株を保有し経営に対して意見できる、つまり議決権を持つ株主からの追及に説明する責任が生じます。これは非上場のときには味わえない、なかなかのプレッシャーです。  上場企業に求められるのは、「ゴーイングコンサーン」、持続的に成長し続けることです。  現状維持はもちろん、ちょっとやそっと成長したぐらいでは、資本市場は評価してくれません。持続的に成長させられなければ、株価は基本的には下がってしまいます。  株価は、現在の企業価値だけでなく、将来的にどれだけの企業価値になっていくかという予測を加味しているので、下がっても仕方がありません。  しかし、株価が下がれば株主総会では大炎上です。それまで順調だった企業も、為替やインフレ、燃料高や原料高など外的要因により業績が下がり、株価まで下がれば、手のひらを返したように株主から厳しく批判されます(*)。

これまでなら数名の株主や投資家に説明すれば良かったのが、上場後は株主が何百人、何千人とふくれあがります。  株主総会だけでなく、ネットでももうボロカスに叩かれます。株価がちょっと下がっただけで、ポータルサイトの株式の掲示板は、文字通り罵詈雑言の嵐。社長も、上場直後は気になって掲示板を見るのですが、だんだん心が折れて見なくなります。見れば見るほど病んでいくのがわかっているからです。  株主から高収益を求めるプレッシャーがかかると、短期的には収益性の低い事業にチャレンジしにくくなります。これも、上場後の経営を難しくさせる要因の一つです。  将来的な事業投資により一時的に利益を減らすといった判断さえも、それが必ずしも株主から評価されるとは限りません。つまり、自由が利かなくなるのです。  なかには、 MBO(マネジメント・バイアウト)といって、経営陣が既存の株主から自社の株式を買い取り、非上場化に転じる企業もありますが、その背景には、株主から短期的な利益を求められ、中長期の成長を阻害されるジレンマが垣間見られます。  そういった企業は、株を高値で買い取ってでも非上場になることを選び、長期的な成長を目指すのです。*業績が悪ければ、社長は解任されることもありえます。プレッシャーはこれまでの比ではありませんし、社長をしている以上、このプレッシャーとは永遠に向き合わなければいけません。

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