社員に報いたくて頑張ってきたにもかかわらず、上場して間もなく、社員がごっそり辞めるケースもあります。上場するとストックオプションの権利が行使できるので、社員たちが株を売って辞めてしまうのです。 ストックオプションを目当てにしていた社員は、今勤めている会社のストックオプションの権利が行使できるようになると、また別の会社で権利を得たいと考えます。ストックオプションは会社を辞めてしまうと行使できなくなることが多いので、手元にある権利を退職前に行使してから、他の会社に転職するのです。 そうした事態を防ぐために、ストックオプションを一気に行使できないルールを設ける会社も増えてきましたが、少し前までは上場後に社員がごっそり辞めてしまうケースが多発していました。 前述したように、上場すると、事業計画も経理もコンプライアンスも厳しく見られるようになります。さらに気を引き締めてやらなければいけないときに、今まで働いていた人がいなくなってしまうのは大きな痛手です。 辞めていく人たちは「ストックオプションを行使したので辞めます」と正直には言いません。「また、新しい環境で再チャレンジしたい」、そんな言葉を聞き、〝うちだって、ここからが新しいチャレンジなのに〟と心の中で思いながらも、社長としては、これまでの感謝と、去っていくことへの寂しさが入り混じる、何とも言えない気持ちになることもあります。
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