もちろん、売却に至るには、買い手と条件面で折り合わなくてはなりません。 まず論点になるのは売値です。「いったいこの会社にはいくらの価値があるのか」 通常は、最初に売り手がだいたいこれくらいの価値だというところを提示します。その言い値で決まるケースもありますが、ほとんどの場合は、買い手がディスカウントしてくるので、交渉することになります。 会社の値段はどうやって算出するかというと、これは企業の規模にもよります。 しっかりと事業が成り立っている会社であれば、 DCF法(ディスカウントキャッシュフロー方式)などを用いて、企業(あるいは事業)が将来どれくらいの事業収益を生み出す可能性があるのか、企業(事業)価値を算出します。 もっとも、中小規模の企業の場合は、どんぶり勘定で算出しているケースも少なくありません。小さな会社は精緻に計算しても、将来の事業収益が予測しにくいからです(*)。 だから、平均的な営業利益の何倍という形で計算する場合もあれば、これまでつぎ込んできたコストを積み上げたうえで利回りを含めて算出する場合や、買い手が事業の将来性を想定して計算する場合もあり、ケースバイケースです。「赤字の会社や事業でも売却できるか?」という質問もよくいただきますが、売却自体は可能です。 ただし、買い手の視点から見て重要なのは、買収後に事業を伸ばせるかどうかです。事業の中身を変えたり、買い手がすでに手がけていた事業と合わせたりすることで大きく成長できれば、多少赤字だとしても投資する価値があるとみなされます。 だから交渉するときは、「赤字の事業でも既存事業とのシナジーが期待でき、これから伸びていく可能性がある」というストーリーを描くことが重要です。 もっとも、買い手側は逆に、「これは赤字だから、企業価値が全然ない」というストーリーでディスカウントを迫ってきますから、そのせめぎあいと言えるでしょう。*ちなみに、中小企業の場合は、財務諸表が実態を伴っていないこともあります。たとえば、社長の個人的な費用が計上されていたり、よくわからないアドバイザー費用が入っていたり、親会社が経理を行なっていて安く済んでいたり、といった具合です。
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