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社長は「鈍感」になっていく

 ここまで社長が直面する困難についてお話ししてきました。  それでも多くの社長は、困難の壁を乗り越えていきます。生物が自然界で生き抜くために環境に適応していくように、社長も、さまざまな苦難に立ち向かっていくと、だんだんその状態に適応していきます。  言葉を選ばずに言えば、「鈍感」になっていくのです。  周りの人を気遣えないとかビジネスの感覚が鈍いという意味ではありません。一つひとつの事象にうろたえなくなっていく、という意味です。  なぜかといえば、苦難に立ち向かうなかで、社長は「うろたえたところで、何も物事は良くならない」ことに気づくからです。  当然、社長も人間なので、「マジで困ったな」「ヤバいな」と思うことは日々あるわけですが、「お客様が離れた、一緒にやってきた仲間が抜けて悲しい、お金を調達できなかった、ああ、人格を否定された気分だ。どうしよう、困った、誰か助けて!!」と叫んだところで残念ながら誰も助けてくれません。  それなら、次に何をするかを考えていくしかない。自分たちで道を切り拓いていくしかないのです。  そういうマインドで臨んでいると、うろたえるハードルが上がっていき、ちょっとやそっとのことでは動じなくなります。  また、自分のモチベーションや働き方が他者の言動に影響されなくなり、他人の評価を気にしすぎなくなります。多少反対されても、自分の信念や考えを貫き通して、思い切った行動に出られるようになるのです。  結果的にそうなっていくのか、そういう人の会社が伸びるのか、ニワトリとタマゴの関係ではありますが、持続的に成長している会社の社長はたいていこのような人だと言えるでしょう。  経営をするなかで良い意味で「鈍感」になっていったのは、私も同じです。  自社の経営に対してもそうだし、あまりにもたくさんの企業社長の支援をしていると、「またこのパターンの修羅場がきたな」とか、逆に、「新しいタイプの修羅場だな」とか、神経が図太くなったというか、何がきてもドシっと構えられるようになったと感じます。  もちろん、社内から「徳谷さんって本当鈍感ですよね」と言われると、褒められている気持ちはしませんが(笑)、社長に求められる資質でもあるとポジティブに捉えるようにしています。

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