はじめに
原材料高、円安、人材不足、人件費高騰、後継者不足、デジタル化、コロナショック後の立て直し、先行き不透明な国内政治・国際情勢……。
高い資本力がある大企業はまだしも、国内企業の約 9割以上を占める中小企業を取り巻く環境は厳しいものがあります。
さらに、日本は災害大国です。
地震、水害など、いつ何が起こるかわからないリスクを抱えています。
そんな厳しい環境と大きなリスクの中で、中小企業の経営者は生き抜いていかなければなりません。
そのためには、経営者として最低限知っておかなければいけないことがあります。
それは、経営者としての心得から、仕事や商売の本質、お金、銀行との交渉、人材育成&マネジメントまで、多岐にわたります。
しかし、そんな経営の基本と常識、そして、その極意は、学校では教えてくれません。親が経営者であれば教えてもらう機会があったかもしれませんが、社会の変化が速く、激しいなか、親の時代では通用したことが、今では通用しないことも出てきています。
現代の中小企業経営者は、自ら積極的にインプットして、スピード感をもって実行する必要があるわけです。
ただ、そこに大きな差が生まれています。多くのインプットと実践を繰り返して業績を上げている経営者と、そうではない経営者です。
そこにある差は、才能の有無ではありません。
経営者として、経営の基本と常識、その極意をしっかり学んで、重視しているかどうかです。
失敗する経営者の多くは、その基本や常識、極意を知らない、もしくは、知っていても軽視しています。
なぜここまで私が断言できるのか? 私は、〝会社と家族を守る〟経営アドバイザーとして、今までに 1500社以上の中小零細企業の経営者を救ってきました。
私自身もかつて 140億円の負債から自立再生を果たした、中小企業の経営者でした。
その経験はもとより、アドバイザーとして培ってきた経験、知恵、知識から見いだした方法やアドバイスをしていくなかで、再生に成功する社長、再生に失敗する社長の違いが明確に見えています。
私はこれまでに中小企業の経営者向けの書籍を 7冊書いてきました。
本書は、その中でも読者の方や私に相談に来られた方に反響が大きかったもの、「知らなかった」「役に立った」「救われた」と言われた重要エッセンスを厳選し、最新情報を交えながら解説した、今までの著作の集大成と言える 1冊に仕上がりました。
ミュージシャンで言えば、新作も一部に盛り込んだベスト盤アルバムのような作品です。
目次をご覧いただければわかるとおり、各項目タイトルが質問形式になっているので、あなたが気になった項目ページから、好きなところから自由に読めるつくりになっています。
また、重要なことは、複数の項目で何度も繰り返しお伝えしています。
本書はタイトルのとおり「 1500社の社長を救った虎の巻」、今まで培ってきた経験・知恵・テクニックをこの 1冊にすべて詰め込んだ、いわば、「経営のバイブル」です。
日々の社長の仕事をしているなかで迷いが生じたとき、答えが見えなくなったとき、判断を下したいとき、この本をぜひご活用ください。
なお、本書では、「金融機関」を総じて「銀行」と表記していますので、ご承知おきください。
社長に必要不可欠な3つの力先代を越えるために求められる力――決断力 優秀な社長に求められる条件はいろいろとありますが、特に大切な3つの力を紹介します。
1つ目は「決断力」です。
うまくいかない社長で特に多いのが、二代目の後継者社長が先代を越えられないケースです。
親父の顔色をうかがう姿勢を見せるだけでもよくありません。
しかも、自分の判断で一度は決めた案件を、先代からのダメ出しで「やっぱりやめました」となると最悪です。
社員は、「ああ、またか」となって、社長の評価はガクンと下がってしまいます。
社員から「ウチの社長、ダメだよね」と思われたらおしまいです。
社員は、誰だって生活がかかっています。
ダメだと思う社長の下で働きたくありません。
頭の働く社員は、すぐに転職を考えるでしょう。
それも、いい社員からいなくなるのがセオリーです。
「社員が辞めちゃうんだよねぇ」などと、悠長なことを言っている社長には、「社長の決断力がないからだよ」とズバリと忠言しています。
代替わりをしたとはいえ、先代の影響力が大きい会社はたくさんあります。
後継者社長は、先代を乗り越えて決断力を見せつけることで、社員の信頼を勝ち得る必要があります。
「ウチの社長、すごい!」と認められれば、退職者もなくなるし、組織の団結力も強くなります。
また、幹部に「どうしたらいい?」などと軽々しく相談するのもよくありません。
聞かれたほうは、「そんなこと、オレに聞くの?」と考えて不安になります。
社長には断固とした決断力が必要です。
その意味では、社長は孤独な存在とも言えます。
中長期のビジョンほど求められる力――「すばやい行動力」 2つ目に挙げたいのが「すばやい行動力」です。
最近の政治家は、すぐに「スピード感ある対応」などと口にしますが、なんでも先送りにする姿勢は、日本政府特有の体質と言えます。
日本の中小企業の社長も、政府同様にスピード感のない人が多いと言わざるを得ません。
月に一度の面談で、「社長、先月決めたことはどうしましたか?」と私が聞いても、「今、考えているところです」という答えが返ってくると不安になります。
なぜ、すぐに実行できないのか。
いつでも先送りするのか。
理由の1つは、会社の目標が定まっていないからだと考えられます。
具体的に言えば、「いつまでに年商をいくらにしたい」「来年、新規事業を立ち上げたい」 などの目標がないからです。
根本は、会社のビジョンが描けていないからだと思います。
いつも目先の営業案件や毎月の支払いのことばかり考えていると、大切な事業に関する行動は必ずスローになってしまいます。
特に、営業がすこぶる優秀で社長に抜擢されたような人は、経営を教えてもらっていません。
営業についてはよく知っていても、会社を成長させる経営手腕には欠けています。
営業と経営は別物です。
その点、大企業は専門スタッフが、がっちりと社長をサポートします。
また、将来性のある人物には、あえて多くの部署を経験させて育てるという長期的な人材育成もできます。
一見、中小企業のほうがコンパクトで機動力がありそうに思いますが、実は大企業のほうが行動力は数段上です。
中長期のビジョンこそ、のんびり考えるのではなく、すばやい行動力が求められます。
毎日、毎時、毎分、毎秒、つねに考える――「とことん考える力」 社長に求められる3つの力。
3つ目は「とことん考える力」です。
面談をしていると、多くの社長が「売り上げを上げたい」と言います。
「どうやるんですか?」と聞くと、「営業を頑張る」と答えます。
「営業で頑張る」のは、どの会社にとっても当たり前のことではありませんか? 信じられないかもしれませんが、こういうケースがとても多いのです。
新たな具体的な方策がないからでしょう。
どんな会社だって、営業はそれなりに頑張っているはずです。
何かを変えなければ、売り上げが上がるはずがありません。
社員にいくら「もっと頑張れ」と発破をかけても、動くはずがありません。
「社員は、いつもサボることを考えている」 そう思ってください。
あまり言いたくないですが、大企業でバリバリ成績を上げているような人材と同じように期待をかけるのは、中小企業では無理というものです。
では、売り上げを上げるために何をしたらいいのか。
それは、社長がとことん考えてアイデアを出す必要があります。
毎日、毎時、毎分、毎秒、とことん自分の会社のことを考えてください。
そうすれば何かが変わります。
そして、他の誰よりも深く、競合他社よりも深く考えないと負けてしまう……。
それくらいの覚悟と危機感で肝に銘じてください。
「とことん考える力」こそが、会社を前進させます。
その「とことん考える力」こそ、社長の力であり、売上・利益に直結します。
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