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「こだわり」と「やめる勇気」、大切なのはどっち?

老舗企業ならではのハードル  いつまでも赤字経営から脱却できない社長に多いパターンが、「やめる決断ができない」です。そのなかでも特に多いのが、老舗の看板へのこだわりが強すぎるケースです。  ある会社は、代々続く食品加工が本業で、そこから給食や弁当などにビジネスを広げてきました。いいときは儲かったのですが、残念なことにこれらのビジネスは先細り、毎年赤字計上をしています。儲けが出ているのは、近年始めた「そば事業」だけという状況でした。  多くの老舗企業にありがちなのですが、昔の単価でずっと商売をしていることです。取引量が減って、赤字になっているのに続けているのです。「切られたら怖い」という恐怖感から続けているのでしょう。  私は、社長に「なぜ、仕出しや給食をやめないんですか」と聞きました。赤字部門を整理して、そば屋だけにすれば、会社は黒字になり、新しい商売にチャレンジする余裕も出てくるはずなのです。  その社長の答えは、「ウチの看板だから」「老舗だから」「代々続いている商売を私がやめるわけにいかない」などでした。社長の口からは、さらに、「印象が悪くなる」「売上が減って銀行がお金を貸してくれなくなるのでは」という言葉が続きました。  要するに、必要のないプライドでした。  そば屋が黒字とはいえ、いつまでそれが続くかわかりません。赤字部門はすぐにやめて、そば屋を中心に会社をリフレッシュするように 1年かかって私は説得しました。結果、その会社はそばの店舗を増やして、経営はすこぶる健全になりました。もちろん、銀行も喜び、会社の印象も良くなりました。「社長発案」というしがらみ  もう一つ、「やめる決断ができない」パターンがあります。  それは、社長の発案で始めた新規ビジネスというケースです。  大見得を切って始めた手前、引くに引けないというわけです。  こういうケースでは、ダラダラと赤字を続けてしまいます。社員も社長の肝いり事業だから余計なことが言えません。  意味のない商売は見切りをつけるべきです。  やめる勇気がある社長でないと、絶対に成功はしません。  新規事業を始めるときは、黒字化するまでの期間や許容できる金額を初めに決めておくのが鉄則です。  いくら思い入れがあっても、それを超過した場合は潔くやめる。それが社長に求められる決断力と言えます。  ちなみに、私の場合、一つのビルだけでも残ればいいと思っていたので、簡単に事業もやめ、将来必要としないビルも売却しました。  私が自力再生に成功したのは、このような、やめる勇気、捨てる勇気があったからです。

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